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2節 地下資源の利用と資源開発

 

資源探査

リモートセンシング

人工衛星や航空株等に載せたセンサー(観測器)を用いて,離れたところから対象物をとらえる技術をいう。1972年にアメリカのNASAが打ち上げた地球観測衛星ランドサットを皮切りに地球観測の為に多くの人工衛星が打ち上げられた。その原理は,物体から放射されたり,反射する電磁波にはその物体特有の特性があり,また同じ物体でも環境や条件によってその特性が変わってくることを利用して物体の状態や種類が特定するというものである。実際に観測した画像は,センサーの分解能やデータを観測した際の気象等により見え方が異なる。

資源探査だけでなく,火山噴火による降灰状況,森林伐採や森林火災の状況,海上での重油流出の状況,土地の利用状況,海水面温度からの漁場推定等を把握するのに利用することができる。

物理探査の手法

資源探査はかつては地質調査によって行われていたが,今日では様々な物理現象を利用することによって地中の地質構造を解析し,鉱床の場所を推定することができるようになった。

地震波による探査

地表近くで人工的に発生させた地震波を,受信機を使って測定し,地下構造を推定する方法である。岩石の中を通る地震波速度は岩石が硬い程大きく,堆積岩でいえば,地表近くにある地質年代の新しい岩石は軟らかく速度が小さいのに対し,地質年代の古い固結の進んだ岩石は硬く速度が大きい。このような性質を資源探査に利用している。

重力探査

地表面で重力加速度を測定し,地下の密度構造を推定する方法である。重力は,万有引力と地球の自転による遠心力の合力だが,万有引力とほぼ等しいと考えると質量に比例し,距離の2乗に反比例する為,地表での測定値が大きいということは,小さい場所に比べて密度が高い岩石が地表近くに存在していることを示している。このような性質を資源探査に利用している。

メタンハイドレート

水深200m以深の大陸棚縁辺部やシベリアの永久凍土地帯等特定の温度・圧力条件下に存在する水分子にメタンが結合したものでシャーベット状の物質。水分子の格子の中にメタンが取り込まれるが,水1Lに対しメタン217Lを含むことができる。日本周辺に海域に存在するメタンハイドレートの埋蔵量として6m3との試算値があり,現在の天然ガスの使用量に換算して100年分にも及ぶと推定されているが,現時点での探鉱・開発には解決すべき技術的課題が多い。

 

マグマと鉱床

マグマが地下深部から地表へと移動してくるのに伴い,多くの有用元素も地表へ移動してくる。

有用な元素が凝集し,採掘して経済的に成り立つようになったものが鉱床とよばれる。玄武岩質マグマがマグマだまりの中で結晶分化作用を始めると,かんらん石や輝石が晶出してくるのと同時にクロム鉱や白金が結晶作用や液体不飽和によって晶出し,マグマだまりの下部に集積することがある。これが正マグマ鉱床とよばれている鉱床である。マグマの結晶分化作用が進み,または花こう岩質マグマの結晶作用の末期には水蒸気庄の高まった部分に大きな石英や長右等,あるいは希元素鉱物等ができる場合がある。これはガラスの原料や窯業原料として,また,希元素の原料として採掘される(ペグマタイト鉱床)。福島県の阿武隈山地にはこのような鉱山が見られた。

花こう岩質マグマの固結が進むと岩体の中から有用成分を含んだガスや熱水が岩体の上にしみ出してくる。このガスや熱水は花こう岩体の上の岩石中にしみ込み,岩脈状になって有用元素を含む鉱床となる。()(せい)鉱床や熱水鉱床とよばれているものがこれである。また鉱床の分布形態から鉱脈鉱床とよばれる場合もある。日本の金(自然金),銀(輝銀鉱),銅(黄銅鉱),鉛(方鉛鉱),亜鉛(閃亜鉛鉱),錫(錫石)等多くの金属元素が熱水鉱床から採掘されてきた。兵庫県にあった生野鉱山等はこの例である。

また海底火山の噴気孔の周辺では火山ガス中に含まれていた有用成分が海水と接触して濃集堆積する場合もある。東北日本の各地で採掘されていた黒鉱鉱床とよばれているものはこうしてできたと考えられている。この鉱床からは金や銀,銅,鉛,亜鉛等多くの金属元素の原料が採掘されていた。

岐阜県にあった神岡鉱山や岩手県にあった釜石鉱山は石灰岩の近くに花こう岩質マグマが貫入してできたスカルン鉱床だった。日本の鉱山の多くは経済的な困難に直面し,今では殆どが廃鉱となっている。

 

 

 








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