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1節 日常生活と物質

 

電解工業

電気分解を利用して物質を製造したり,材料を加工したりする工業を電気分解工業という。物質製造で大規模に行われているのは,アルミニウム製錬,食塩電解,亜鉛製錬,銅精製等である。その他,フッ素,カルシウム,ナトリウム,リチウム,塩素酸ナトリウム等も,電解法で製造されている。

技術的には,他の製造法でも製造できるが,製品純度等の問題で,電解法で製造しているものもある。例えば,二酸化マンガン(W),クロム等である。

その他,めっき,電着塗装等も行われている。

 

電気分解による製造物質

分 野

製 造 物 質

水電解

H2

食塩電解

NaOHCl2H2

無機電解酸化

NaClO3KMnO4MnO2PbO2NaClO4

金属電解精製

CuPbAuAgNiFeBiInSn

金属電解採取

ZnCrMnNiCoGaTeCdTl

溶融塩電解

F2AlMgCaNa

 

鉄,コバルト,ニッケルの3元素は,よく似ている。単体は強磁性体で,細かい粉末は水素を吸着する。酸では,2価の陽イオンになり,錯イオンをつくり易い。鉄は2価,3価とも安定だが,2価のものは3価に移り易い。コバルトとニッケルは,単塩では2価が安定だが,錯塩では3価が安定となる。

鉄の単体は,鉄の塩類を電解するか,または純粋な酸化鉄(III)Fe2O3,シュウ酸鉄(II)FeC2O4を水素気流中で熱すると純鉄が得られる。赤熱した鉄は,水蒸気を分解して水素を生じる。

3Fe4H2O ―→ Fe3O44H2

鉄は塩酸,硫酸に溶けるが,濃硝酸には不動態を生じてそれ以上溶けない。この不動態になった鉄片を硫酸銅(II)溶液中に入れてもその表面に銅が析出しない。鉄は乾いた空気には侵されないが,水分と二酸化炭素を含む空気中では速やかに酸化される。

 

銅,銀,金の3元素を銅族元素という。どれも最外殻のs電子1個を失って1価の陽イオンになる。しかし内部のd電子を失うこともあり,銅はCu2,金はAu3になり易く,むしろこの方が安定である。どれも錯イオンをつくり易く,[Cu(NH3)4]2[Ag(CN)2]-[AuCl4]-等の例がある。銅(U)イオンは,水溶液中で[Cu(H2O)]2のアクア錯イオンとなっている。銅(U)イオンの示す青色は,アクア錯イオンが示す色である。水の代わりに水酸化物イオンまたは他の陰イオンあるいはアンモニア等の中性分子が配位すると色が変わる。アクア錯イオンを含む結晶の結晶水を失うと無色になる。

銅の単体は,展性,延性が大きく,熱・電気の良導体である。酸には溶け難いが,希硝酸,濃硝酸,熱濃硫酸のような酸化作用のある酸にはよく溶ける。これらの反応は,銅がまず酸化されて酸化銅(U)CuOとなり,次いで酸化銅(U)に酸が作用すると考えると理解し易い。

Cu(O) ―→ CuO  CuO2H―→ Cu2H2O

銅は,合金として利用されることも多い。

 

銅の電解精錬

粗銅はヤ金銅ともいい,純度が悪く,不純物を除く為に電解精錬を行う。粗銅を陽極とし,純銅薄板を陰極として硫酸銅(II)の溶液中で電解する。

電解で純銅が得られるのは,銅と不純物の金属とのイオン化傾向の差を利用したものである。銅とそれよりイオン化傾向の大きい金属は液に溶け出すが,小さい金属(AuAg)は溶けずに陽極下に沈殿する(陽極泥)。液中に溶け出た金属は,イオンのまま溶液中にあるが(硫酸塩の溶解度が小さいイオンはPbSO4のように沈殿する),銅のみは陰極に析出する。これが電気銅(純度99.99%以上)である。

陽極泥は焼いて,金を含む粗銀とする。これを陽極として,陰極に純銀かステンレス鋼を用い電解する。このときの電解液は,硝酸酸性硝酸銀溶液を用いる。このようにして純度99.95%以上の純銀を得る。このときできる陽極泥を焼いて粗金を得,更にこれより純金を得る。

 

アルミニウム

銀白色の軟らかい軽金属(密度2.7g/cm3)で,展性・延性に富む。地殻の構成成分として,酸素,ケイ素に次いで第3位であり,金属としては第1位を占める。主要鉱物には長石,雲母,氷晶石等があり,酸化物鉱物としてコランダム,サファイア,ルビー等が挙げられ,宝石として珍重されるものも多い。鉱石としてはボーキサイト,カオリンが重要で,工業的には氷晶石とアルミナの溶融塩電解で製造する。融点660.32℃,電気伝導性は銀,銅に次いでよい。

空気中に放置すると,酸化物の被膜を生じて光沢を失うが,内部まで侵され難い。酸には溶けてそれぞれの塩をつくるが,濃硝酸には不動態をつくるので比較的侵され難い。

アルマイトは,工業的にAlの表面にAl2O3の耐錆性被膜をつくったものの商品名である。アルミニウム板を陽極とし,シュウ酸や硫酸等の溶液の中で電解すると,表面に酸化物の被膜ができる。この被膜は硬くて丈夫であり,電気絶縁性がよい。これを更に加熱水蒸気で処理して緻密にする。電解に際して,直流のみでなく交流を併用すると,被膜の性能がいっそうよくなる。

Alを強熱すると,白光を放って燃え,多量の熱を発生する。

4Al3O2 ―→ 2Al2O33351.4kJ

この性質を利用して,炭素で還元し難い金属酸化物をAl粉末と熱して還元する。これをGoldschmidt法といいCrMnCoV等の冶金に用いられる。また,Fe2O3粉末とAl粉末の混合物をアルミノテルミットという。点火すると高温を生じ,レールの修理等に使用された。

Alは,工業用及び家庭用の器具の製作,銅の代わりに電線,電気器具にも用いられる。Al粉は塗料,火薬,花火に,Al箔はスズ箔の代用にする。また,Alはいろんな合金の原料として用いられる。

ジュラルミンはAlCu 3.55.5%Mg 等を加えた合金である。

尚,アルミニウムをつくる為に多量の電力を消費しているので,アルミ缶は回収して再生利用するのが望ましい(原料からアルミニウムをつくるのに比べて僅か3%程度のコストで再生できる)

 

酸化アルミニウム

アルミナまたはバン土ともいう。天然には鋼玉として産する。微量のCr2O3を含むものは紅色を呈し,紅玉(ルビー)と呼ばれている。TiO2を含むものは青色で青玉(サファイア)という。色の美しくないものは金剛砂といい,研磨剤として用いる。Al(OH)3を電気炉内で熱し,半融解したものをアランダムという。耐火性が強く,硬度が高いので,るつぼその他の耐火器具及び研磨剤に用いられる。

 

アルミニウムの製造

アルミニウムは地殻に非常に多く,8(地殻構成元素順位3番目)含まれているが,全て化合物となっている。ケイ素と化合した長石のように,複雑なケイ酸塩をつくり岩石や土壌を形成している。これらの量は多いが,それからアルミニウムを取り出すことは困難である。アルミニウム製造に用いる主な原鉱は,アルミナを主成分とするボーキサイトである。この製造方法を工業化することに成功したのは,1886年にアメリカのホールHall(18631914)とフランスのエルーHeroult(18631913)が別々に偶然発見した方法によった。

それまでは,アルミナは融点が高く,炭素で還元し難い為,塩化アルミニウムをナトリウムやカリウムで還元してつくっていた。

AlCl33Na ―→ Al3NaCl

しかし,ホール達が氷晶石Na3AIF6950℃に熱して融かし,これにアルミナを加えて融解させ,電解してアルミニウムを製造するという方法を考え出してから,急にアルミニウムの製造量が増加した。

アルミナの電解を行うと,電解槽の内壁が陰極となり,Al3が放電して,アルミニウムが析出して底に溜まる。陽極ではO2が炭素と反応して一酸化炭素や二酸化炭素を生じて,陽極を消耗する。したがって,アルミナの電解反応は次のようになる。

(陰極) Al3+3e―→ Al

(陽極) 2O2―→ O24eO2C ―→ CO2CO2C ―→ 2CO

(全体) 2Al2O33C ―→ 4Al3CO2Al2O33C ―→ 2Al3CO

電解に用いるAl2O3は純粋でないと上の反応が上手く進行しない。それにはボーキサイトを加圧下で水酸化ナトリウム水溶液と熱する。すると,酸化鉄等の不純物は溶けずに残る。溶液となったアルミン酸ナトリウムを加水分解すると水酸化アルミニウムが沈殿する。これを熱して純粋な酸化アルミニウムを得る。したがって,アルミニウムの製錬は2段階に区別でき,酸化アルミニウムを得る方法をバイヤーBayer法,アルミナの電解法をホール・エルー法という。

最近,電解に代わる方法として溶鉱炉法が開発され,注目されている。これはボーキサイトから直接アルミニウムを取り出す方法であり,電力不要の点から今後の工業化に期待がよせられている。

 

融解塩電解

化合物を融解して電解する方法で,溶融塩電解ともいう。アルミニウム製錬が代表例で,イオン化傾向の大きい金属やレアアース金属(21Sc39Y57La71Lu)の製造法である。

 

めっき(鍍金)

めっきとは,対象物の表面に金属薄膜をつける技術の総称である。電気を通じる電気めっきと,電気を用いない化学めっき(無電解めっき)に大別される。めっきは,主として次の()()のような目的で行われる。

() 表面を美しくする装飾用めっき。外観を装飾し,商品価値を高める。

() 下地を保護し腐食を防ぐ防食用めっき。化学的強度を高める。

() 表面に特殊機能をもたせる機能めっき。機械的,電気的性質等を高める。

(1) 電気めっき  単にめっきということが多い。めっきしようとする金属を陽極とし,その金属塩を電解液として,直流電流を流して電解し,陰極の金属または導電性物質の表面に金属を析出させるのが一般的である。水溶液を用いた場合めっきできる金属を下表に示す。標準酸化還元電位が水素より高い金属と,水素より低くても水素過電圧の為水素より高くなる金属が,水溶液でのめっきに用いることができる。

 

 

水溶液中でめっきできる金属

6

7

8

9

10

11

12

13

14

15

4周期

Cr

Mn

Fe

Co

Ni

Cu

Zn

 

 

 

5周期

 

 

Ru

Rh

Pd

Ag

Cd

In

Sn

Sb

6周期

 

 

Os

Ir

Pt

Au

Hg

Tl

Pb

Bi

溶融塩や有機溶媒を用いれば,殆どの金属のめっきができる。

(2) 化学めっき 化学めっきでは還元剤を用いて金属陽イオンを還元し,金属を析出させる。したがって,その機構は電気めっきと本質的に同じだが,電気を用いないので,プラスチック等の不導体のめっきに用いられる。

プラスチックの場合,表面を前処理し,微細な凹凸と親水性をもつ表面とし,さらに還元反応を促進する触媒を付着させた上で,金属イオンを含むめっき浴に入れてめっきする。触媒としてはPdが,還元剤にはホルムアルデヒドや次亜リン酸等が使われる。このようにして,導電性薄膜をもつプラスチックが得られる。化学めっきしたプラスチックを更に電気めっきすると,より堅牢なめっき製品となる。

(3) 電着塗装 自動車の塗装等に用いられている電気めっき技術。塗料を通常負に帯電させて低濃度の水溶液に溶かすか分散させ,電気分解して陽極の被塗装物の表面に析出させ,薄膜をつくる。

(参考文献)「教師と生徒のための化学実験」日本化学会編

 

新しい合金(超伝導物質)

現在実用化されている超伝導物質は,スズSnとニオブNbの合金等であり,液体ヘリウム(沸点−268.9)に浸けて用いられている。

超伝導物質は電気抵抗を示さないので,超伝導物質でできたコイルには大きな電流を長期(永久的に)流すことができ,強力な電磁石をつくることができる。この電磁石は,医療診断や化学分析に用いられる核磁気共鳴装置(NMR)等に用いられている。また,リニアモーターカーへの応用が期待されている。

超伝導物質にはマイスナー効果とよばれる反磁性があり,磁石と反発する性質を有する。

 

エチレンの分子構造

アルケンの二重結合をつくる炭素原子と,これに結合する原子は同一平面上に存在し,結合角が120°になることは実験的事実である。

 

C2H4の構造C=C 0.1339nmC-H 0.1087 nmCCH 121.3°HCH 117.4°
C3H6の構造C=C 0.1341 nmC-H 0.1104 nm (ビニル基)0.1117 nm (メチル基)
CC 0.1506 nmCCC 124.3°CCH 121.3°(ビニル基)110.7°(メチル基)

 

ポリエチレンの製造

ポリエチレンはエチレンの付加重合で合成され,幾つかの合成法がある。最初にポリエチレンは英国のICI社によって高温,高圧を用いて得られた。このポリエチレンは枝分かれの多いものだった。直鎖状のポリエチレンを低圧法で製造したのはドイツのチーグラーで,彼の発明したチーグラー触媒TiCl4-Al(C2H5)3を用いた。

 

ポリプロピレンの製造

ポリプロピレンがチーグラー-ナッタ触媒(TiCl3-AlCl(C2H5)2)で重合体になることが発見されてから,1957年にイタリアで初めてポリプロピレンの工業生産が始まった。ヘキサンやヘプタンの溶媒中で反応させる。

 

 

ケイ素

天然には単体の状態で産出しないが,化合物として地殻中に酸素に次いで多く存在している。無定形のものは褐色の粉末状で,ケイ砂をMgAlで還元しても得られる。結晶は濃暗灰色で板状の八面体で,四塩化ケイ素をNaで還元すると得られる。

SiCl44Na ―→ Si4NaCl

無定形のケイ素は,融点1410℃,沸点2355℃である。結晶形のものの融点や沸点もほぼ同じで,硬度は7,粉砕され易く,化学作用は無定形のものに比べてやや不活性である。半導体の性質を示す。

フッ素とは室温で激しく化合し,塩素とは430℃,臭素やヨウ素とは500℃,酸素とは400℃,窒素とは1000℃で化合物をつくる。王水には徐々に酸化されて二酸化ケイ素となる。フッ化水素酸と硝酸の混合物とも反応するが,他の酸には侵されない。アルカリ溶液とは反応して水素を発生する。

Si2NaOHH20 ―→ Na2SiO32H2

高純度の単体(結晶)は半導体素子として,アモルファス単体は太陽電池等に使われている。

 

二酸化ケイ素

無水ケイ酸やシリカともいわれ,天然には石英や水晶,玉髄,メノウ,ヒウチ石,ケイ砂,鱗ケイ石,クリストバル石等,結晶状あるいは非結晶状で存在する。純粋な二酸化ケイ素は無色透明だが,不純物を含むものは不透明だったり,着色していたりする。融解したものを冷やすと石英ガラスとなる。

二酸化ケイ素は,SiO4の正四面体が結晶構造の単位となり,Oを共有して空間に広がった巨大な分子である。その四面体の配列の仕方によって石英,鱗ケイ石,クリストバル石等となり,配列が不規則だと石英ガラスになる。

二酸化ケイ素は水に溶け難く,塩基や炭酸塩で融解すると,巨大な分子が小さい分子やイオンとなって溶け易くなる。

SiO2Na2CO3 ―→ Na2SiO3CO2

また,フッ化水素HFと反応し水溶性の気体である四フッ化ケイ素SiF4となる。フッ化水素酸(フッ化水素水溶液)を用いるとヘキサフルオロケイ酸H2SiF6となる。

SiO24HF ―→ SiF42H2OSiO26HF ―→ H2SiF62H2O

 

水ガラス

ケイ砂をNaOHまたはNa2CO3と高温で融解すると,ケイ酸ナトリウムとなる。この濃溶液は無色透明だが粘稠で,乾燥するとガラス状になり,水ガラスという。人造石やガラス,陶磁器の接着剤,耐火塗料等に用いられている。

 

無機高分子化合物

無機高分子化合物の中心は,岩石の主成分として広く分布しているケイ酸塩である。その構造はSiO4の正四面体の結合の仕方で,次のように大別される。

(1) 次元的鎖状構造のもの SiO4の基本構造がO原子1個を共有して,繰り返し1列に結合し,鎖状の細長いイオン[SiO32]nとなったもの。また,鎖2本が結合した形のものもある。これらのイオン間に種々の陽イオンが配列する。アスベストが繊維状になるのは,このような構造をとるためである。

(2) 二次元的平面構造のもの [SiO4]構造が,平面状に結合したイオン[Si2052]nになり,これが更に種々の陽イオンを挟んで層状に結合したケイ酸塩で,雲母やカッ石等劈開性をもった鉱物等がこれにあたる。粘土もこの構造をもち,水に濡れると粘土が滑り易くなるのはこのためである。

(3) 三次元的網目状構造のもの [SiO4]構造が,全て共有結合で,三次元の網目状の巨大分子をくるとき,その組成式はSiO2となり,極めて融点の高い結晶となる。SiO2の組成をもつ二酸化ケイ素は,天然には水晶または石英として産出する。

水晶または石英を1550℃以上に熱して融解し,これを冷やすと,一定の融点をもたない石英ガラスとなる。石英ガラスを熱すると,歪みをもった切れ易い部分から次第に切れていき,徐々に軟らかさを増す。

一般に用いられるガラスは,SiO2Na2Oが加わった構造であり,SiO2の三次元的網目構造が部分的に切断されており,石英ガラスよりもはるかに低い温度で軟化する。

 

ケイ酸塩工業(窯素)

主要構成物が無機質,非金属からなり,加熱過程を経てつくられるとき,これを窯業という。また,主要原料として岩石や土壌類を用い,これらは殆どSiO2Al2O3を伴うケイ酸塩やアルミノケイ酸塩からなっているので,窯業をケイ酸塩工業ともいう。窯業製品は,不燃性,耐熱性,耐候性,耐化学薬品性,電気絶縁性等に優れ,これらの性質を生かして様々な方面で使用されている。窯業はその起源を1万年前の土器まで遡れる古い工業だが,最近では人工原料を使用した新しいセラミックス類が製造されている。

(1) 陶磁器  陶土という良質の粘土を水で練って形をつくり,陰干しの後,窯の 中で焼いて素焼きをつくり,これに上薬(釉薬)を塗って,もう一度焼いてつくる。陶器の素地は多孔質・吸水性であり,叩くと濁った音を出す。

磁器の素地は緻密で吸水性がなく,水を通さない。叩くと澄んだ音を出す。上 薬は,石英・長石・陶土・CaCO3等を水に混ぜ,かゆ状にしたもので,陶器や磁器の素焼きにこれを塗って1200℃で焼くと,上薬は融けてガラス状となり,美しい表面をつくると伴に水を通さなくする。

尚,土器は,不純物を含む有色の粘土を比較的低温で焼成してつくったものである。素地は多孔質で吸水性が大きい。屋根瓦,土管,植木鉢等で土器が使われている。陶器は比較的焼成温度が高く,磁器は更に高温で焼成する。

(2) 耐火物  一般に1500℃以上の耐火度をもつ物質を耐火物という。主に溶鉱炉等の耐火れんがに使用されている。用途により酸性,中性,塩基性の耐火物に分けられ,酸性ではSiO2,中性ではAl2O3,塩基性ではMgOCaOを主成分とするものが用いられている。

(3) セメント  石灰岩と粘土の混合物を細砕して混ぜ,回転炉で高温に熱し,出てくる小さい塊(クリンカー)に少量のCaSO4を加えて細粉にしたものである。水を加えてよく練り,放置すると結晶化して硬い固体となる。このセメントは,ポルトランドセメントといわれ,最も広く用いられている。その他,硬化の速さや強度等,その目的に応じていろいろなセメントがつくられている。

セメントは水と反応すると,不溶性水和物ができるため硬化すると考えられる。3CaOAl2O3の組成のポルトランドセメントでは,4CaOAl2O319H2O2CaOAl2O38H2Oを生じる。

(4) ガラス  ケイ砂,石灰岩,炭酸ナトリウム等の粉末の混合物を高温で融解し,一定の形にして冷やしたもので,主成分はCaNaのケイ酸塩である。代表的なガラスの組成と用途を下表に示す。ガラスは水にいくらか溶ける。温度の高いときや塩基性の水溶液には長い年月の間にかなり侵される。

窓ガラスには鉄が含まれているので,青緑色に着色している。色ガラスは金属のイオンやコロイドを着色剤として用いたものである。Co2で青色,Ni2で褐色,Cr3で緑色,Mn3で赤紫になる。またコロイドでは,CdSが黄色,Auが金赤,紫,青等,Agが黄色,Cuが銅赤となる。

 

代表的なガラスの組成と用途

ガラスの種類

組    成()

用 途

SiO2

CaO

Na2O

PbO

K2O

B2O3

Al2O3

MgO

Fe2O3

ソーダ石灰ガラス

6575

515

1020

0.54

0.54

02

一般ガラス器具用

鉛ガラス

5072

215

535

410

1

光学用,医療用

ホウケイ酸ガラス

6581

414

06

513

2

理化学器具用

 

(5) ほうろう  ほうろうとは,金属表面にほうろう薬(ガラス質)を焼き付けたもので,金属の機械的強さとガラスの性質を兼ね備えたものである。家庭では台所の調理台や浴槽等で,その他耐熱部品等に用いられている。七宝焼もほうろうに含まれる。ほうろう薬はケイ石や長石,炭酸ナトリウム,硝酸ナトリウム,ホウ砂等を主成分とする。

 

ファインセラミックス

従来,セラミックス製品(窯業製品)といえば,陶磁器,セメント等のように天然産出物を原料とし,これを焼き固めてつくられたもののことである。

・粘土の成分剤となっている鉱物の例

Al2O3SiO223H2Oイモゴライト

Al2(OH)4Si2O5カオリナイト

しかし,このような天然に産出する原料以外にも,はっきりとした素性の分かった純度の高い工業原料を用いて,従来のセラミックスの短所を補い,耐熱性,耐摩擦性,耐食性等に優れ,品質をコントロールして得られるセラミックスをファインセラミックス(ニューセラミックス)とよぶ。金属やプラスチックに比べて生態にとってより安全かつ適合しやすいものもあり,人工骨や人工関節として利用されている。

・ファインセラミックス用工業原料の例

Al2O3アルミナ

Zr2O3ジルコニア

SiCl4塩化ケイ素

 

 

 

 








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