トップ新編理科総合A 改訂版1部 物質と人間生活>第1章 物質の構成と変化>第6節 酸化還元反応とエネルギー

6節 酸化還元反応とエネルギー

 

酸化・還元の定義

酸素・水素の授受と酸化還元  酸化という言葉(概念)を最初に提出したのは,A.L.ラボアジエである。彼は酸素が他の物質と化合する現象を酸化と呼ぶことを主張し,激しくエネルギーを放出して炎や光輝を発生する燃焼,金属が錆びる反応,呼吸等生体内で起こる反応が全て酸化反応であることを明らかにした。また酸化の逆反応,即ち酸化物から酸素が失われて酸化物が酸化前の状態に戻る反応,金属酸化物と木炭・コークス等を一緒に熱すると金属が得られる反応,いわゆる冶金等,を酸化の逆反応として還元という言葉で呼んだ。

この定義はその後やや広げられ,酸素との化合のみならずハロゲンや硫黄との化合も含めて酸化と呼び,酸化物が水素と化合すると酸素を失うことから水素との化合も還元と呼ぶようになった。これらの酸素・水素の授受を中心とする古典的な酸化・還元の定義を狭義の酸化・還元の定義という。

電子の授受と酸化還元  マグネシウムが酸素と結合するときには,Mgの価電子はOに移り,Mg2価の陽イオン,O2価の陰イオンになる。

 

 

このように,電子の移動に注目すると,酸化とは電子を失うことであり,還元とは電子を得ることであるといえる。Mgと塩素の反応でも,次式のように同様の電子の授受が行われ,酸化還元反応であることがよく判る。

 

 

電子の移動に注目した酸化・還元の定義を,広義の酸化・還元の定義という。

酸化・還元を電子の授受と結び付けて定義することは,現在一般に行われており,実際非常に有用な考え方である。教科書では狭い意味の酸化・還元,即ち酸素と化合することが酸化であり,酸素が失われることが還元であるという定義からスタートし,上記の電子の授受による定義へ,できるだけスムーズに結びつけるよう配慮した。

 

参考 フロギストン説とラボアジエの燃焼理論

可燃性物質が燃焼するとき,炎と共に何かが逃げていくように見える。この現象から,燃焼とは物質からフロギストン(燃素phlogiston)が失われることであるというフロギストン説が生まれた。この説は,初めJ.J.ベッヒャー(ドイツ,16351682)が唱え,G.E.シュタール(ドイツ,16601734)によって発展させられた。シュタールはフロギストンという名称を与えたばかりでなく,フロギストンを用いた燃焼の理論体系を考え出した。即ち可燃性物質はフロギストンを多く含む物質であり,燃焼とはそれらの物質がフロギストンを失う現象であり,金属が錆びるのも燃焼と同じ現象で金属がフロギストンを失う現象と考えた。また金属酸化物が木炭等によって還元されるのは,金属酸化物が木炭等のフロギストンを多く含む物質からフロギストンを受け取るからであると考えた。

 

金属  − フロギストン ―→ 金属酸化物

金属酸化物  + フロギストン(木炭等から) ―→ 金属

 

ラボアジエは,リン・硫黄の燃焼,スズの燃焼の実験等から,これらの変化に際して空気のかなりの部分が固定され,その結果重量が増えると考えた。この固定される空気の部分がK.W.シェール(スウェーデン,17421786)J.プリーストリ (イギリス,17331804)によってそれぞれほぼ同時に発見された気体(酸素,プリーストリによれば脱フロギストン空気)である。このことを含めた燃焼理論を確立したラボアジエは,「フロギストンに関する省察」(1783)や「化学原論」(1789)によって,酸素による燃焼理論がいかに合理的であるか,それに反してフロギストン説による燃焼の説明がいかに複雑で,自己矛盾に満ちているかを指摘し,フロギストン説を訂正した。

 

気体の発見

年 代

発 見 者

気  体

発見者の命名

1754

J.Black(イギリス)

二酸化炭素

固定空気

1766

H.Cavendish(イギリス)

水素

可燃性空気

176973

K.W.Scheele(スウェーデン)

酸素

火の空気

1772

D.Rutherford(イギリス)

窒素

フロギストン化空気

J.Preistley(イギリス)

塩化水素

酸の空気

1774

K.W.Scheele(スウェーデン)

塩素

脱フロギストン塩酸

1775

J.Priestley(イギリス)

酸素

〃   空気

 

酸化剤と還元剤

酸化作用を有する物質を酸化剤という。一般に相手の物質に酸素を与えるもの,相手の物質から水素を奪うもの,相手の物質から電子を奪うものである。また,還元を起こさせることのできる物質を還元剤という。即ち,相手の物質から酸素を奪うもの,相手の物質に水素を与えるもの,相手の物質に電子を与えるものである。

中間的な酸化数をもつ物質は,場合により酸化剤にも還元剤にもなる。例えば,SO2Sの酸化数は+4だが,Sにはその他に−20,+6等の酸化数を示す物質がある。酸化剤と反応するときは,SO2は還元剤として働き酸化数は+6になる。還元剤と反応するときは,SO2は酸化剤として働き酸化数は0になる(即ち単体が析出する)H2O2Oの酸化数は−1であり,Oには−20の酸化数もあるので,SO2と同様にH2O2も酸化剤と還元剤の両方の働きをする。

酸化剤・還元剤

分   類

19世紀半ば頃までに知られていたもの

比較的新しいもの

単    体

O2O3Cl2Br2I2S

F2やフッ素化試薬

酸 化 物

MnO2PbO2CuOAg2O

 

オキソ酸の塩

硝石,塩素酸塩,次亜塩素酸塩,ヨウ素酸塩,

臭素酸塩,クロム酸塩,過マンガン酸塩,

バナジン酸塩,ビスマス酸塩等

過酸化物

H2O2Na2O2BaO2H2SO5

そ の 他

王水,硝酸,熱濃硫酸,熱濃過塩素酸

ヘキサシアノ鉄(V)酸塩(フェリシアン化物)

(V)塩,セリウム(W)塩等


単体


H2CP,金属(ZnSn)と酸,NaMg

Al
 

金属アマルガム等

水素化合物

 

HIH2SNH3とその誘導体PH3AsH3

金属水素化物とそ

の誘導体

炭化水素()

酸化物

 

COSO2P2O3H3AsO3H2PHO3HNO2

 

H2SO3

その他

(U)塩,スズ(U)塩,硫化物,

低酸化状態のTi

VCr化合物

ヘキシアノ鉄(U)酸塩(フェロシアン化物)

シュウ酸・グルコース等の有機物等

 

酸化還元反応式のつくり方

酸化剤Oxは,電子を得て他の物質に変化するが,この反応が可逆である場合に,その逆反応では,生成物が電子を失って元の酸化剤に戻るので,正反応による生成物は還元剤Reとして働く。

Ox1n e ―→ Re1 (1)

また,還元剤についても,同様に考えると,次のようになる。

Re2m e―→ Ox2  ……(2)

この(1)(2)eの数が等しければ,m×(1)n×(2)より,次式が得られる。

mOx1nRe2 ―→ mRe1nOx2  (3)

一般に,酸化還元の反応式はこのような形になっている。(1)(2)のような式で関係づけられる一対の物質((1)ではOx 1Re1(2)ではRe2Ox 2)を,酸化還元対またはredox対という。そして, (1)(2)の半反応式から電子eを消去してそれらを組み合わせると,酸化還元反応を示すイオン反応式が得られる。

例えば,塩素(酸化剤)とヨウ化カリウム(還元剤)の反応は,次式のように求められる。

 

Cl22e―→ 2Cl・・・(4)

}

(4)(5)

 

Cl2+2I―→2ClI2

2I2e―→I2・・・(5)

Ox1 Re2  Re1  Ox2

 

イオン化傾向

金属の単体が水溶液中で電子を放出して陽イオンになる傾向の大小をいう。これを大きいものから順番に並べたものはイオン化列と呼ばれている。イオン化列の順序は定性的に定められたものだが,最近は標準電極電位の測定によって得られた序列,即ち電気化学列とその配列がほぼ一致することから,電気化学列をイオン化列と区別せずに用いることがある。

イオン化列の中に水素を入れているのは,金属と酸との反応で,水素イオンが電子を受け取って水素ガスになるかどうかを判定するのに必要であり,また,将来水素電極について学習する準備にも望ましいからである。

標準電極電位V25℃,105Paで標準水素電極を基準にする。

電位〔V

電位〔V

LieLi

3.045

In33e-In

0.3382

Ke-K

2.925

Tle-Tl

0.3363

Rbe-Rb

2.924

Co22e-Co

0.277

Cse-Cs

2.923

Ni22e-Ni

0.257

Ba22e-Ba

2.92

Sn22e-Sn

0.138

Sr22e-Sr

2.89

Pb22e-Pb

0.1263

Ca22e-Ca

2.84

2H2e-H2

0(基準)

NaeNa

2.714

Bi33e-Bi

0.3172

Mg22eMg

2.356

Cu2+2e-Cu

0.340

Be22eBe

1.97

Cue-Cu

0.520

Al33eAl

1.676

Rh33e-Rh

0.758

Mn22eMn

1.18

Hg222e-2Hg

0.796

Cr22eCr

0.90

Age-Ag

0.799

Zn22eZn

0.763

Pd22e-Pd

0.915

Ga33e-Ga

0.529

Pt22e-Pt

1.188

Fe22e-Fe

0.440

Au33e-Au

1.52

Cd22e-Cd

0.4025

Aue-Au

1.83

 

イオン化傾向と金属の反応性

金属と水,酸との反応をみると,イオン化傾向が小さいものでは,酸化性の酸としか反応しないが,イオン化傾向が次第に大きくなるにつれ,希酸,高温水蒸気,水,・・・と反応する範囲が広がってくる。また,乾燥空気との反応も,イオン化傾向が大きい金属程反応し易い。

 

マンガン乾電池

乾電池にはマンガン乾電池とアルカリマンガン乾電池がある。マンガン乾電池は古くから生産されていたが,現在ではアルカリマンガン乾電池の生産量の方が多い。

マンガン乾電池は,メーカーによりその成分や構造が少しずつ違っているようであり,マンガン乾電池の反応は複雑で,簡単に説明できないが,一般的には次のように説明されている。

負極では亜鉛が溶けて電子が放出される。このときの生成物は,pHによって次のように変化する。
(1)
 pH5.15.8 Zn2NH4Cl ―→ ZnCl22NH42e-

Zn ―→ Zn22e- (Zn2として溶ける)

(2) pH5.87.85 Zn2NH4Cl2H2O ―→ Zn(NH3)2Cl22H3O2e-

(Zn(NH3)2Cl2が沈殿析出する)

(3) pH7.859.3 Zn4NH4Cl4H2O ―→ Zn(NH3)4Cl24H3O4e-

([Zn(NH3)4]2として溶ける)

正極では,MnO2の粒子内部に,NH4H30から分離したHが拡散してくる。また,負極から導線を通して炭素棒に電子が流れ込み,MnO2は還元されてMnO(OH)(またはMn2O3H2O)になる。そして,このMnO(OH)は未反応のMnO2中に拡散していくと考えられる(1.50.75Vくらいの放電の間の反応)

MnO2NH4e- ―→ MnO(OH)NH3

MnO2H3Oe- ―→ MnO(OH)H2O  (MnO2He- ―→ MnO(OH))

正極での反応もpHにより,また反応が進むと変化する。反応が進んだときはMn2が生じると考えられている(主としてpH0.56)

MnO24H2e- ―→ Mn22H2O

全体の反応としては,次式が一般的に受け入れられている。

2MnO22NH4ClZn ―→ 2MnO(OH)Zn(NH3)2Cl2

また,電解液に塩化亜鉛を多く含む塩化亜鉛型電池の場合は,全体の反応が次のようになると考えられている。

8MnO28H2OZnCl24Zn ―→ 8MnO(OH)ZnCl2Zn(OH)2

 

参考実験 11 海水電池(塩化銀電池)の原理

【目的】海水電池(正極に塩化銀,負極にマグネシウム合金,電解液に海水を用いた電池)の原理を,より簡略化した実験で理解させる。

【準備】3%食塩水,Mgリボン,銅板,銀板,炭素棒,電子ブザー,発光ダイオード,導線,ペトリ皿

【操作】(1)  ペトリ皿に3%食塩水を入れ,Mgリボンと銀板を入れて導線で結び,ブザーが鳴ることや発光ダイオードが光ることを見せる。

(2) 電極の組み合わせをいろいろ変え,(1)と同様の実験を行う。

【結果】ブザーはほぼ鳴るが,発光ダイオードは2V近くないとよく光らない。

 

ダニエル電池

1836年,イギリス人の化学者ダニエルJ.F.Daniellによって考案されたもので,起電力の変化が少なく,気体も発生しないので,ボルタ電池よりも数段優れたものとして評価された。当初は銅イオンが亜鉛室に移って自己放電を起こすという欠点があったが,いろいろな構造の改良を行い,電話交換機用電源として実用化された。

ダニエルは,1790年ロンドンに生まれ,1845年没。1831年,ロンドンのキングスカレッジ設立の際に化学教授となる。1831年以降,英国学士院会員。ダニエル露点湿度計,ダニエル電池,銅‐亜鉛熱電対の発明で有名である。塩類の水溶液の電解による研究もある。

 

参考 ボルタ電池

イタリアの医学者ガルバーニ(17571796)は,カエルを金属板に置いたときけいれんを起こすことを観察し,この現象を筋肉中の生物電気だと考えた。しかし,イタリアの物理学者ボルタAlessandro Voltaは,カエルに起こるけいれんは,動物自身がもつ電気ではなく,金属の接触電気によるものと考え,これにヒントを得て,水に濡らした紙や布を亜鉛と銅で挟むと,そこに電気が生じることを発見し,後にボルタ電池を考え出した(1800)。これが電池の起源で,ボルタはこの電池はいつまでも使えると考えたが,実際は,水素イオンの吸着により銅表面の触媒能力が低下し,使えなくなった。

ボルタは,1745218日生,182735日没。初め,Pavia大学,1815年以後Padova大学の教授。ボルタ電池を発明し,定常的な電流を得て,化学反応が電流を生み出すことを明らかにした。電位,電圧の単位ボルトvolt(記号X)は,彼の名にちなんでつけられた。

 

実用電池の種類
実用電池は,一次電池,二次電池(蓄電池)に大別される。これを下表に示す。

実用一次電池

名   称

負極

電解質

正 極

電圧〔V

マンガン乾電池

Zn

ZnCl2 NH4Cl (ZnCl2)

MnO2

1.5

アルカリマンガン電池

Zn

KOH(NaOH)

MnO2

1.5

酸化銀電池(銀電池)

Zn

KOH(NaOH)

Ag2O

1.55

空気電池

Zn

NH4ClKOH (NaOH)

OA(空気)

1.35

リチウム電池

Li

LiBF4(LiClO4)

(CF)n (MnO2)

3.0

 

実用二次電池

名     称

負極

電解質

正 極

電圧〔V

鉛蓄電池

Pb

H2SO4

PbO2

2.1

ニッケル‐カドミウム電池

Cd

KOH

NiO(OH)

1.3

ニッケル‐水素電池

MH

KOH

NiO(OH)

1.35

リチウムイオン電池

CLix

Li

Li1-xCoO2

4.0

 

電気分解と電極

電気分解は,電極表面に電位差を生じさせ,電気エネルギーによって化学反応を起こさせるもので,電力(エネルギー)を消費して化学ポテンシャルの高い物質を生産するという点で,電池と逆の変化に相当する。

電気分解では,電源の負極と連結した電極を陰極といい,正極と連結した電極を陽極という。しかし,反応は,負極・陽極で酸化反応,正極・陰極で還元反応が起こり,電極の名称と反応の内容が一致せず,生徒には解り難いので,電極の名称については,十分な指導が必要である。

電極の名称としてアノード,カソードを用いることもある。この場合には,上記の負極・陽極をアノード,正極・陰極をカソードという。酸化反応が起こる電極がアノードであり,還元反応が起こる電極がカソードである。

 

電気分解

電気分解では,電極表面で溶液との間に生じる電位差の為に強い電界が生じ,電極と溶液の間で正負のイオンや電子の授受が起こる。電極間の電位差を0から少しずつ上げていった場合,陽極では液中で最も電子を放出し易い物質または電極が酸化される。陰極では最も電子を受け取り易い物質が還元される。

水溶液の電気分解では,水とイオンおよび電極の反応を考えればよい。陰極では,水と主に陽イオンを考えればよい。pH7.0における水の標準電極電位は−0.8281Vであり,このpHにおいてこれより標準電極電位の高い陽イオンがあれば,一般にはこの陽イオンが還元される。また,水より標準電極電位が低い陽イオンがあれば,水自身が還元される。

Zn22e―→ Zn        E0=−0.7626V

2H2O2e―→ 20HH2()  E0=−0.828V

Al33e―→ Al       E0=−1.676V

したがって,AlAlより標準電極電位が低い金属イオンがあれば水が反応し,ZnZnより標準電極電位が高い金属イオンがあれば,イオンが反応する。

陽極では,水,陰イオンの酸化を中心に考えればよい。この場合は,標準電極電位の低い反応(酸化反応だから,反応式の逆反応について考える)の方が進み易いので,この値が水より小さいときは,陰イオンが反応し,水より大きいときは水自身が反応すると考えてよい。また,電極の標準電極電位がより低い場合は,電極が酸化される。

尚,[Fe(CN)6]3I3のように陰イオンであっても還元され易いもの,V3+Fe2+のように陽イオンであっても酸化され易いものがあることにも注意を要する。

40H←―2H2OO24e-

E00.401V

2I←―I2()2e-

E00.5355V

Ag←―Age-

E00.7991V

2Br-←―Br2()2e-

E01.0874V

2H2O←―O24H4e-

E01.229V

2SO42←―S2O822e-

E01.96V

以上,電気分解の反応を標準電極電位の値を中心に説明してきたが,実際の反応では,濃度や温度,電気化学反応の過電圧等の影響により,必ずしも前述の通りにはならない。化学反応に例えれば,標準電極電位は標準状態の反応熱に似たものと考えることができ,活性化エネルギーや反応速度を考えると,反応熱が大きくても必ずしも反応するわけではないことが理解できるだろう。高校段階では,標準電極電位を1つの基準と考え,実際の指導では代表例について理解させれば十分と考えられる。

 

参考実験 電気分解

【目的】NaCl水溶液やCuSO4水溶液の電気分解を寒天ゲル中で行い,電気分解における物質移動を理解させる。

【準備】3%のNaClと少量のフェノールフタレインを含む寒天ゲル,0.1mol/L CuSO4水溶液の寒天ゲル,ステンレス棒2本,電源(乾電池),導線,ガラス板,OHP投影装置一式

【操作】(1) NaClの寒天ゲルを適当な大きさに切り,ガラス板上に載せてOHP投影台上に置く。電源と導線で結んだ2本のステンレス棒を寒天に差し込み,変化を見る。

 0.1mol/L CuSO4寒天ゲルに(1)と同様の操作を行い,OHP投影台上で変化を観察させる。

【結果】(1)では,陰極付近が赤くなる。これは,OH生成によりpHが高くなり,フェノールフタレインが発色する為である。

(2)では,陰極に銅が析出することが判る。

【参考】(1) 寒天ゲル中の塩の濃度は,1%程度でもよい。

(2) どちらの寒天ゲルにも少量のKIとデンプンを加えておくと,ヨウ素デンプン反応により陽極にも変化が見られる。  2I ―→ I22e

(3) ガラス板に+,−の記号を書いておくと,反応が見易くてよい。

 

ファラデーの法則

この法則は,1833年ファラデーM.Faradayによって導かれた電気分解に関する法則であって,電気分解の法則とも呼ばれている。

同じ物質については,電気分解において析出(または溶解)する物質量は,通じた電気量に比例する。

電気分解では電子1molあたりの電気量9.6485×104C/molを単位に用い,これをファラデー定数という。この法則は,電気分解において変化する物質の量と電気量の関係が,電解質・電極の種類や量,溶液の温度や濃度に無関係であることを示している。

 

ファラデー

イギリスの化学者,物理学者。1791922日生,1867825日没。1813年,デービーH.Davyの助手として王立研究所に入り,1833年に同研究所の化学教授となる。同年電気分解の法則を導く。他にも多くの業績がある。ベンゼンの発見(1825),ナフタレンスルホン酸の発見(1826)等は化学上のものだが,塩素の液化(1823),電磁誘導現象の発見(1831),電場・磁場の概念の確立(1837),真空放電におけるファラデー暗部の発見(1838),反磁性物質の発見(1845)等,物理学の上での功績が大きい。

 

 

 








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