トップ新編理科総合A 改訂版1部 物質と人間生活>第1章 物質の構成と変化>第2節 原子の構造と物質の構成粒子

2節 原子の構造と物質の構成粒子

 

原子核

陽子と中性子を主に,他の素粒子からなる。原子の中心部にあり,原子自体の大きさに比べて極めて小さい。原子核の半径は,原子の質量数をAとすると,約1.5×3A×1013cmとなる。原子と原子核の大きさを,例えば2311Naで比べると次のようになる。

 

 

 

したがって,2311Naの原子核は2311Naの原子に比べて,半径で5万分の1,体積で100兆分の1となり,極めて小さい。

一方,原子の質量の大部分は,原子核に集中している。そこで,2311Naの原子核の密度を計算すると,極めて大きな値となる。

 

 

 

原子力(核エネルギー)は,原子核が分裂したり融合したりするとき,原子核の質量の一部を,エネルギーとして取り出すものである。

 

電子

負の電気素量をもち,静止質量9.1093826×1031kgの素粒子。電子が原子を離れて自由な状態で初めて見出されたのは,1859年,プリュッカーによって行われた真空放電実験における陰極線の発見だった。しかし,陰極線の発見を直ちに電子の発見と結びつけることは,少し飛躍がある。

電子がelectronという言葉で呼ばれるようになったのは,1891年,イギリスのストーニーによる。ストーニーは,新しい物理単位として,電気に最小の量(電気素量)があることを唱え,この素量に対してelectronという名を与えた。

電気素量の測定は,多数の人によって,いろんな方法で試みられた。ミリカンが1917年に行った油滴実験の測定結果が最も正しいとされていたが,現在では別の方法で求められており,その値は次のようになる。

e4.80321×1010esu1.60217653×1019C

 

陽子

正の電気素量をもち,その静止質量は1.67262171×1027kg1.00727646u(1u126Cの質量の12分の1)で,電子の1836.15倍である。中性子と共に,原子核の重要な構成要素である。また,原子核中の陽子数は,元素の種類を決め,その元素の原子番号になる。

 

中性子

電気的に中性なのでこの名が与えられている素粒子。その質量は陽子よりも僅かに大きく,1.67492728×1027kg1.008664910uである。中性子の存在は,1920年にラザフォードによって予想され,1932年チャドウィックによって確認された。

 

質量数

原子核中の核子(陽子と中性子)の数をいう。質量数は,原子質量単位で表した核種の質量に近い値となる。

質量数と原子質量単位で表した原子の質量が異なるのは,核エネルギーによる質量欠損の程度が核種により異なるためだが,原子の質量(u)質量数±0.1の範囲にあり,質量数を原子の相対質量と見なすことができる。

 

同位体

1906年にボルトウッドがイオニウムIoを発見したが,これはトリウムの同位体23090Thに相当する。その後,1912年,トムソンが放射能をもたないネオンに2010Ne2210Ne2種類があることを発見した。同位体は同位元素とも呼ばれていたが,現在では同位体の名称に統一されている。同位体は殆ど化学的性質が同じである。しかし,原子番号の小さい元素では,中性子の数の差が原子全体の質量に占める割合が大きく,化学的性質の差が多少大きくなる。

同位体を分離するには,質量の違いから生じる物理的性質の差を利用する。同位体の分離に初めて成功したのはイギリスのアストンで,気体拡散法によって1913年,20Ne22Neを分離した。235U238Uの大量分離にも,気体拡散法が使われている。これは,ウランの気体化合物をつくり,多孔質の隔膜中を拡散させ,化合物の質量の違いにより拡散速度が僅かに異なることを利用するものである。1回の操作で濃縮される量が極めて少ないので,同じ操作を何度も繰り返す必要がある。同位体の分離には,その他遠心分離法等も用いられている。

自然界では,同一元素の同位体の存在比はほぼ一定である。このことが,長い間,16O17O18Oの混合物である酸素の原子量を16として,原子量の基準にできた理由だった。しかし,詳細に存在比を追究すると,高精度でも存在比が一定であるケイ素のような元素と,産状によって存在比に差があるホウ素のような元素のあることがわかってきた。

 

1H43Tc元素の存在比() *印は,長寿命放射性同位体を示す

11H

99.9885

 

3216S

94.93

 

 

 

 

5426Fe

5.845

 

7935Br

50.69

2H

0.0115

 

33S

0.76

56Fe

91.754

81Br

49.31

32He

0.000137

34S

4.29

57Fe

2.119

7836Kr

0.35

4He

99.999863

 

36S

0.02

58Fe

0.282

80Kr

2.28

63Li

7.59

3517Cl

75.78

5927Co

100

82Kr

11.58

7Li

92.41

 

37Cl

24.22

5828Ni

68.076

83Kr

11.49

94Be

100

3618Ar

0.3365

60Ni

26.2231

84Kr

57.00

105B

19.9

38Ar

0.0632

61Ni

1.1399

86Kr

17.30

11B

80.1

 

40Ar

99.6003

 

 

 

62Ni

3.6345

8537Rb

72.17

126C

96.93

3919K

93.2581

64Ni

0.9256

87Rb*

27.83

13C

1.07

40K

0.0117

6329Cu

69.17

8438Sr

0.56

147N

99.632

41K

6.7302

65Cu

30.83

86Sr

9.86

15N

0.368

4020Ca

96.941

6430Zn

48.63

87Sr

7.00

168O

99.757

42Ca

0.647

66Zn

27.90

88Sr

82.58

17O

0.038

43Ca

0.135

 

67Zn

4.10

8939Y

100

18O

0.205

44Ca

2.086

68Zn

18.75

9040Zr

51.45

199F

100

46Ca

0.004

70Zn

0.62

91Zr

11.22

2010Ne

90.48

48Ca*

0.187

6931Ga

60.108

92Zr

17.15

21Ne

0.27

4521Sc

100

71Ga

39.892

94Zr

17.38

22Ne

9.25

4622Ti

8.25

7032Ge

20.84

96Zr

2.80

2311Na

100

47Ti

7.44

72Ge

27.54

93Nb

100

2412Mg

78.99

48Ti

73.72

73Ge

7.8

9242Mo

14.84

25Mg

10.00

49Ti

5.41

74Ge

36.28

94Mo

9.25

26Mg

11.01

50Ti

5.18

76Ge

7.61

95Mo

15.92

2713Al

100

5023V*

0.250

7533As

100

96Mo

16.68

2814Si

92.2297

51V

99.750

7434Se

0.89

97Mo

9.55

29Si

4.67

5024Cr

4.345

76Se

9.37

98Mo

24.13

30Si

3.0872

52Cr

83.789

77Se

7.63

100Mo

9.63

3115P

100

53Cr

9.501

78Se

23.77

43Tc

 

0

 

 

 

54Cr

2.365

 

80Se

49.61

 

 

 

5525Mn

100

82Se*

8.73

 

 



 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放射性同位体

放射能をもつ同位体をいう。88Ra92Uのように,天然に存在する同位体の全てが放射性同位体であるものもあるが,大部分の元素の天然に存在する同位体は,放射能をもたない安定同位体である。しかし,原子炉やサイクロトロン等を利用して,全ての元素について人工的に放射性同位体がつくられている。

放射性同位体は,極微量でも,検知器を使って検出することができ,その移動を追跡することができる。そこで,放射性同位体を含んだ化合物を使って化学反応を行わせると,原子の交換反応等が追跡でき,反応機構を明らかにすることができる。

いま,元素に少量の放射性同位体*を混ぜておくとする。化学反応や生物体の代謝でが移動したところには,必ず*を伴って移動するので,検知器や写真等で*を検出すれば,の行くえを追跡することができる。このような役割をする*を,追跡子(トレーサー)と呼んでいる。

天然放射性同位体を年代測定に利用することもある。例えば,146Cの量から炭素化合物の年代を知ることが,地質学,考古学等で行われている。

大気上層では,宇宙線中の中性子によって,窒素原子が核反応を起こして14Cがつくられている。14Cは,半減期5730bを放射して崩壊していく。

 

147N+10n ―→ 146C+11H

  (中性子)     (プロトン)

146C ―→147N+10e

            β線)

このような変化が,太古から同じ状態で続いていて,地表上の14Cの濃度は殆ど一定で,平衡状態になっていると考えられる。

14Cは,大気中の二酸化炭素とこれと短時間に交換できる炭素化合物,即ち生物体や海水中の炭素化合物中に広く分布しており,生存中の生物体内の14Cの濃度(A0)は太古から一定と考えられる。また石炭,泥炭,貝殻,骨,化石等の生物遺体中の14Cの濃度(A)は,14C崩壊のため,死骸が古い程少なくなる。したがって,A/A0の値から,死骸の生存年代を知ることができる。測定は,試量から分離した炭素の一定量から放射されるb線の量で行われる。

 

電子殻

ラザフォードとボーアの原子模型では,原子核の周囲を回る電子が一定半径の球殻面にあると考えて電子殻と呼んだ。内側からKLMN殻と名づけられているが,これは量子力学における原子模型で,主量子数n1234に対応する。各電子殻にはそれぞれ電子軌道があり,spdfと名づけられているが,これは方位量子数l0123に対応する。主量子数nの電子殻には,ln1までのn種類の電子軌道が存在する。また,方位量子数lの電子軌道は,磁気量子数mlによって更に2l1種類に分かれる。例えば,p軌道はl1に相当するから3(2×11)種類に分かれ,pxpypzのように区別される。そして1個の電子軌道は2個まで電子を収容できる。

したがって,主量子数nに収容できる電子数は次のようになる。

 

方位量子数

磁気量子数による軌道数 

収容電子数

l0

 

2×011

 

1×22

l1

2×113

3×26

 

 

 

ln-1

 

n-1+1=2n-1

 

2n-1×2=4n-2

n種類

 

合計 n2

 

計 2n2

 

電子殻と電子軌道,および収容電子数

電子殻

K

L

M

N

O

P

Q

電子軌道

1s

2s

2p

3s

3p

3d

4s

4p

4d

4f

5s

5p

5d

5f

5g

6s

6p

6d

6f

6g

6h

7s

電子軌道数

1

1

3

1

3

5

1

3

5

7

1

3

5

7

9

1

3

5

7

9

11

1

最大電子数

2

2

6

2

6

10

2

6

10

14

2

6

10

14

18

2

6

10

14

18

22

2

 

電子配置

一般に,原子番号Zの原子にはZ個の電子がある。これらの電子が,原子の各電子軌道にどのように配置されるかは,次のような原理や法則による。

まず,「1つの電子軌道には,2個の電子しか入ることができない」。これをパウリの原理という。量子力学によれば,電子のもつスピンに2種類あり,同一の電子軌道にはスピンの異なる電子が1対しか入れないという原理である。

更に,原子の最も安定な状態は,エネルギーの低い電子軌道から順に電子を満たした状態である。一般に,内側にある電子殻の電子軌道程エネルギーが低い。同じ電子殻では,方位量子数lの小さい程エネルギーが低く,spの順に電子が配置される。また,lの値が同じ電子軌道では,電子は異なる電子軌道から順に配置される。例えば,N原子の2p軌道の電子配置はpx1py1pz1となる。これは,同一の電子軌道に入るより電子間の反発が小さいためと考えられる。

次に,電子軌道も考えた1H20Caの電子配置の順を示す

 

最外殻電子と原子の性質

元素の化学的性質の類似性は,最外殻電子の配置の類似性から説明できる。即ち,反応に関係するのは最外殻電子であり,その配置が似ている元素は同様の性質を示す。どの元素が類似した性質をもつかを生徒に考えさせ,周期律の学習の準備としたい。

 

周期律

原子番号の順に元素を配列すると,周期的に性質の似た元素が現れるという内容の法則。原子番号と原子の電子配置との関係が明らかでなかった時代に,原子量の小さいものから順に元素を並べることにより発見された。原子番号の順と原子量の順が入れ替わっているのは,放射性元素を除いて3か所(18Ar39.94819K39.098327Co58.933228Ni58.693452Te127.6053I126.90447)である。これは後に,若い原子番号の元素に質量数の大きい同位体が多く含まれるためと説明され,矛盾は解決した。そして,1914年に発見されたモーズリーの法則により,原子番号の正確な意味がわかり,周期律は原子番号の順序で考えるべきであることが明らかにされた。

 周期律を示す事柄はいろいろある。マイヤーは融点や原子体積等の周期性を1869年に見出した。また,メンデレーエフは原子価,化合物の形式等の周期性を見出した。その他,イオン化エネルギーや,典型元素の単体の融点等もその例である。




メンデレーエフの周期律の長所

メンデレーエフの周期律は,ある形式の表をまとめたというだけでなく,表をつくる基本的な考え方において,彼の名を輝かしいものとした。その理由に,次の2点がある。

(1) 不正確な原子量を,表中の元素の縦・横の関係から訂正した。1863年に発見されたインジウムInは,当量が37.8とわかっていた。ところが,原子価が2価と考えられていた為に,原子量は37.8×275.6とされていた。彼は,周期表上の1価・2価の原子価の位置が,どこも既知元素で占められていることや,密度・融点・酸化物の性質等からIn3価ではないかと考え,37.8×3113.4を原子量とした。そうすると,ちょうどCdSnの間の空欄に当てはまった。

 

メンデレーエフの予測した元素と実際の元素との性質の比較

性質

エカアルミニウム

ガリウムGa

 

性質

エカボロン

スカンジウムSc

原子量

68

69.723

 

原子量

44

44.955910

比 重

6.0

5.907

 

比 重

3.0

2.989

融 点

低い

27.78°C

 

硫酸塩

Sc2(SO4)3

水に難溶

Sc2O3

水に難溶

空気中

の変化

変化しない

酸化され難い

 

酸化物

Sc2O3

Sc2O3

水との

反応

赤熱すると水

を分解

高温で水を分解

 

 

比重3.5

比重3.864

 

 

 

 

塩化物

弱塩基性

弱塩基性

化合物

一種のミョウ

バンをつくる

NH4Ga(SO4)212H2O

 

 

ScCl3

ScCl3

酸化物

Ga2O3

Ga2O3

 

 

昇華性固体

800°Cで昇華

塩化物

GaCl3

GaCl3

 

 

水に溶けて

分解

水に溶けて分解

 

同様の考察から,Ce92138に,U120240というように,数種の元素の原子量を訂正した。

(2) 当時,未発見の元素の性質を,周期表の縦・横の元素の関係から予測し,新元素発見の手がかりをつくった。上の表は,エカアルミニウム(後に発見されガリウムと命名)とエカボロン(後に発見されスカンジウムと命名)についての,彼の予測と実際のものの性質の対比である。

族の名称

1(Hを除く)はアルカリ金属,2族のCaRaはアルカリ土類金属,17族はハロゲン,18族は希ガス(不活性気体)とよばれる。3族では,第6周期のLaLuをランタノイド,第7周期のAcLrをアクチノイドとよぶ。また,3族全体,あるいはこれからアクチノイドを除いて希土類とよぶこともある。

典型元素

典型元素とは,遷移元素に対してつけられた名称で,一般に周期律に従って,典型的に周期性を示す元素である。典型元素では,最外殻の電子数が族番号の一の位の数と一致しており,価電子を除いた内側の電子殻は,s2p6の希ガスの電子配置か,s2p6d10の電子配置をとる。例えば,第3周期元素では,ネオンの電子配置(1s22s22p6)の外側の電子殻(3s3p)に電子が順次入っていく。

典型元素に属する金属元素では,化合物は一般に無色のものが多く,単体は融点が低く,あまり硬くない。これらは,遷移元素との際立った相違点である。非金属元素は,全て典型元素に属する。

遷移元素

「不完全に電子が満たされたd軌道をもつ元素,またはそのような陽イオンを生じる元素」と定義され,周期表の311族の元素をさす。

遷移元素の電子配置の特徴は,原子番号の増加と伴に,それまで空席のまま残されていた内殻のd軌道またはf軌道に電子が順次入っていくことである。

このように電子の充填の順序が逆になるのは,電子軌道のエネルギーの高低と関係がある。例えば,21Scから29Cuまでの元素の電子配置については,K殻・L殻を除いて下表のようになる。このような電子配置になるのは, 3d軌道の方が4s軌道よりエネルギーが高いからである。即ち,低エネルギーの軌道から電子が順に満たされる原則に従い,まず4s軌道,次に3d軌道に電子が満たされていく。

尚,電子軌道のエネルギー準位は,実際には固定したものではなく,原子番号の増加につれて下の電子軌道のエネルギー変化の図のように変化する。

12族の30Zn 48Cd80Hgは,厳密には遷移元素ではないが,電子配置や化学的性質が遷移元素に似ており,従来は遷移元素に含めて扱ってきた。

4周期遷移元素の電子配置

原子
番号  

元素  

M 殻

N 殻

3s

3p

3d

4s

4p

21

Sc

2

6

1

2

 

22

Ti

2

6

2

2

 

23

V

2

6

3

2

 

24

Cr

2

6

5

1

 

25

Mn

2

6

5

2

 

26

Fe

2

6

6

2

 

27

Co

2

6

7

2

 

28

Ni

2

6

8

2

 

29

Cu

2

6

10

1

 

 

 

電子軌道のエネルギー変化

 

 

遷移元素の化学的性質と電子配置の関係

周期表の同族元素の化学的性質が類似しているのは,最外殻電子の配置が類似していることによる。遷移元素では,最外殻の電子配置は,同族即ち縦のグループよりも隣り合う横の元素とよく類似しているので,その化学的性質の類似性は,隣り合う同周期元素の方が大きい。

 

金属元素と非金属元素

周期表で,ホウ素とアスタチンを結ぶ線の,左側が金属元素,右側が非金属元素である。但し,Hも非金属元素である(教科書表見返し参照)

金属元素は一般に陽性で,共有結合をつくり難く,非金属元素とイオン結合性の化合物や塩をつくり易い。金属元素の酸化物や水酸化物は塩基性を示し,酸と反応し易い。単体は金属の性質を示す。一方,非金属元素は,単体が室温で気体のものが多く,化学結合をつくり難い希ガスを除き,一般に陰性で,非金属同士で共有結合して分子性化合物をつくり易い。非金属元素の酸化物や水酸化物は酸性を示し,塩基と反応し易い。

 

メンデレーエフ

18341907年。シベリアのトボルスクの中学校長を父として,14人兄弟の末子に生まれた。幼くして父を失い,生活の苦労を味わいながら成長した。科学は,シベリアへ追放中の政治犯から初めて教わった。母はメンデレーエフの素質を見抜き,彼に最高の教育を受けさせるため,首都のペテルスブルグに引越した。しかし,大学の学区制のため,シベリアで教育を受けた彼は,ペテルスブルグ大学に入学できなかった。

母の努力により,結局彼は教育大学に入ったが,間もなく肺結核にかかった。幾度も医者に見放される状態だったが,入院や転地療法により次第に健康をとり戻すことができた。

その間も彼は熱心に勉強を続け,25才のときには憧れのヨーロッパ留学が認められた。フランスとドイツで2年間を過ごした後,かつて入学を許されなかったペテルスブルグ大学で化学を教えることになった。

講義用教科書を書き始めた彼は,大きな問題にぶつかった。当時,60種程の元素が知られていたが,それらを体系的に取り扱う理論が欠けていたのである。原子量が1つの鍵になると思われた。ベルセリウスらの努力により,原子量はかなり正確に決められていた。彼は,元素を原子量の順に並べてみた。他にもこのような試みをした化学者はいたが,彼の考えは一歩進んでいた。原子量の小さい元素から順に左から右へ配置し,しかも原子価の同じ元素が上下に並ぶように,何段にも重ねて並べた。こうして化学のバイブルといわれる「周期表」の最初の形ができた。彼はこの周期表を,1869年に口頭で,1871年に化学学術雑誌Liebig’s Annalenに掲載した。

周期表をつくってみて,表にいくつかの空席ができることに彼は気づいた。この空席には未発見の元素が入ると考え,彼は1875年,未発見元素の性質を予言した。1875年,ボアボードランにより発見されたガリウム,1879年,ニルソンによるスカンジウム,そして1886年,ウインクラーによるゲルマニウムは,その性質が彼の予言とほぼ同じだった。ここに,彼の名声は不動のものとなり,古代からの「元素とは何か」という大問題の解決に,周期表は大きな役割を果たすことになった。

彼の実験上の主な功績に溶液の化学,液体-蒸気系の研究,石油の性質と成因の研究がある。彼は,政治的出版物に自由主義的見解を述べた為,王立学士院会員に選ばれなかった。1893年以後はロシアの度量衡標準局長になり,そこで研究を続けた。

 

イオン化エネルギー

気体状態の単原子または分子の基底状態,即ち最もエネルギーの低い状態から,電子1個を無限大の距離に引き離して陽イオンにするとき必要なエネルギーを,原子または分子のイオン化エネルギーという。

このエネルギーを電子ボルト単位(eV)で示して,イオン化ポテンシャルと呼ぶこともある。また,これを第一イオン化エネルギーといい,更に電子を次々に引き離していくとき必要なエネルギーを,第二イオン化エネルギー,第三イオン化エネルギー,とよぶ。第一イオン化エネルギーは,元素の周期律を考察するよい例である。

 

イオン化エネルギー(eV) 1eV23.06036kcal/mol96.48455kJ/mol
III…は,第一イオン化エネルギー,第二イオン化エネルギー・・・を示す。

原子

番号

元素

I

II

III

 

原子

番号

元素

I

II

III

 

1

H

13.598

 

 

 

36

Kr

13.999

24.359

36.95

2

He

24.587

54.416

 

 

37

Rb

4.177

27.28

40

3

Li

5.392

75.638

122.451

 

38

Sr

5.695

11.030

43.6

4

Be

9.322

18.211

153.893

 

39

Y

6.38

12.24

20.52

5

B

8.298

25.154

37.930

 

40

Zr

6.84

13.13

22.99

6

C

11.260

24.383

47.887

 

41

Nb

6.88

14.32

25.04

7

N

14.534

29.601

47.448

 

42

Mo

7.099

16.15

27.16

8

0

13.618

35.116

54.934

 

43

Tc

7.28

15.26

29.54

9

F

17.422

34.970

62.707

 

44

Ru

7.37

16.76

28.47

10

Ne

21.564

40.962

63.45

 

45

Rh

7.46

18.08

31.06

11

Na

5.139

47.286

71.64

 

46

Pd

8.34

19.43

32.93

12

Mg

7.646

15.035

80.143

 

47

Ag

7.576

21.49

34.83

13

Al

5.986

18.828

28.447

 

48

Cd

8.993

16.908

37.48

14

Si

8.152

16.345

33.492

 

49

In

5.786

18.869

28.03

15

P

l0.486

19.725

30.18

 

50

Sn

7.344

14.632

30.502

16

S

l0.360

23.33

34.83

 

51

Sb

8.641

16.53

25.3

17

Cl

12.967

23.81

39.61

 

52

Te

9.009

18.6

27.96

18

Ar

15.760

27.629

40.74

 

53

I

10.451

19.131

33

19

K

4.341

31.625

45.72

 

54

Xe

12.130

21.21

32.1

20

Ca

6.113

11.871

50.908

 

55

Cs

3.894

25.1

 

21

Sc

6.54

12.80

24.76

 

56

Ba

5.212

10.004

 

22

Ti

6.82

13.58

27.491

 

57

La

5.577

11.06

19.175

23

V

6.74

14.65

29.310

 

58

Ce

5.539

10.85

20.20

24

Cr

6.766

16.50

30.96

 

59

Pr

5.464

10.55

21.62

25

Mn

7.435

15.640

33.667

 

60

Nd

5.525

10.72

 

26

Fe

7.870

16.18

30.651

 

61

Pm

5.582

10.90

 

27

Co

7.864

17.06

33.50

 

62

Sm

5.644

11.07

 

28

Ni

7.635

18.168

35.17

 

63

Eu

5.670

11.25

 

29

Cu

7.726

20.292

36.83

 

64

Gd

6.150

12.1

 

30

Zn

9.394

17.964

39.722

 

65

Tb

5.864

11.52

 

31

Ga

5.999

20.51

30.71

 

66

Dy

5.939

11.67

 

32

Ge

7.899

15.934

34.22

 

67

Ho

6.022

11.80

 

33

As

9.81

18.633

28.351

 

68

Er

6.108

11.93

 

34

Se

9.752

21.19

30.820

 

69

Tm

6.18

12.05

23.71

35

Br

11.814

21.8

36

 

70

Yb

6.254

12.17

25.2


尚,溶液中で金属が陽イオンになるときは,イオン化エネルギーの他に,金属から原子を引き離す昇華熱や溶媒和のエネルギーも関係してくるので,金属のイオン化傾向とイオン化エネルギーを混同しないよう注意が必要である。

イオン結合

電荷Q1C〕をもつ陽イオンと電荷Q2C〕をもつ陰イオン間の引力は,イオン間距離をrとすると,クーロン力Q1Q2/r2またはポテンシャル(エネルギー)Q1Q2/rに比例する。また,イオンが相互に接近し過ぎると,原子核間の反発力が目立ってくる。この反発ポテンシャルは,ber /aの形で表される(abは定数)。したがって,引力と反発力の和を計算すると,イオン結合のポテンシャルエネルギーが求められる。

気体状のNaCl分子についてポテンシャルエネルギーを計算すると,下図のようになる。図の曲線の極小点が,安定な核間距離を表す。共有結合によるポテンシャルエネルギーも同時に示したが,その値はイオン結合より大きく,イオン結合の方が安定であることがわかる。

NaCl分子のポテンシャルエネルギー(ムーア著,新物理学より)

 

イオン結晶のイオンのつまり方

イオン結晶では,陽イオンと陰イオンが規則的に配列され,クーロン力で結合している。各イオンは,反対電荷をもつイオンに囲まれている。この取り囲むイオンの数を配位数といい,主として陽イオンと陰イオンの半径比によって決まり,結晶型も変わってくる。

(1) NaCl型結晶 NaClの結晶は, Cl-がつくる面心立方格子の八面体間隙にNaが配置された構造をしており,それぞれのイオンは異なる6個のイオンに取り囲まれ,配位数は6である。この構造でCl-が互いに密着しているとするとき,Cl-がつくる八面体間隙よりNaが小さいときは,Naは全てのCl-と密着できず,不安定となる。したがって,安定な結晶をつくるには,Cl-に対してNaの半径が一定以上の大きさでなければならない。

NaCl型結晶の陽イオン半径をr,陰イオン半径をrとして,r/ r -限界値を計算すると,三平方の定理より,

(2 r -)2(rr -)2×2

2 r -=√2(rr -)

したがって, r/ r -=√210.414

つまり,r/ r -0.414であれば,NaCl型結晶は安定となる。

(2) セン亜鉛鉱ZnS型結晶

S2-が面心立方格子をつくり,その四面体間隙の半分(8個のうち4)Zn2が配置された構造である。それぞれのイオンは4配位で,SZnを区別しなければダイヤモンドと同じ構造となる。

NaCl型と同様の考え方で,半径比を考えると,

 rrr

したがって,r/ r -10.225

つまり,r/ r0.225であれば安定となる。

(3) CsCl型結晶  Cl-が単純立方格子をつくり,その立方体の中心にCs1個が配置される構造である。それぞれのイオンは8配位である。

NaCl結晶型と同様に半径比を考えると,

したがって,10.732

つまり,0.732であればCsCl型結晶は安定となる。

ここまで説明した3つの結晶型以外にもいろいろな結晶型があり,配位数にも212までいろんなものがある。そして,それぞれに適当な半径比がある。

ここで説明した3つの結晶型について考えると,r +/ r -の半径比の値で可能な結晶型は次のようになる。

半径比0.2250.414  ZnS

半径比0.4140.732  ZnS型,NaCl

半径比0.732以上   ZnS型,NaCl型,CsCl

また,イオン結晶では,配位数の多い程安定である。したがって,半径比が0.732以上では,ZnS型やNaCl型の結晶型も可能だが,配位数の多い方が安定であり,CsCl型となる。勿論例外もあるので,単純には結晶型が決まるものではない。実際に,r +/ r -を計算してみる。

NaCl  NaCl

CsCl  CsCl

 

イオン結晶の格子エネルギー

イオン結晶のイオン間の結合エネルギーは格子エネルギーとよばれ,結晶1molをばらばらの構成イオンにするとき必要なエネルギーで表される。

格子エネルギーの大きさは,当然,結晶の融点に関係する。下表にその値を示し,格子エネルギーの比(NaCl1とする)を示す。

イオン結晶の溶解熱は,その結晶の格子エネルギーとイオンの水和熱の差として,大まかな値を知ることができる。

 

 

格子エネルギー〔kJ/mol〕と融点〔°C 全てNaCl型結晶

化合物

イオン

イオン半径

中心間距離

格子エネルギー

とその比

融点

°C

〔×10-1nm

〔×10-1nm

NaCl

Na+
Cl-

1.16
1.67

2.827

771

1

801

KCl

K+
Cl-

1.52
1.67

3.138

701

0.909

770

NaI

Na+
T-

1.16
2.06

3.421

697

0.904

651

MgO

Mg2+
O2-

0.86
1.26

2.016

3760

4.877

2826

CaO

Ca2+
O2-

1.14
1.26

2.330

3371

4.372

2572

BaO

Ba2+
O2-

1.49
1.26

2.738

3019

3.916

1918

 

共有結合

H2分子が形成されるとき,H原子は電子を1個しかもたない1s電子軌道を互いに重ね合わせて,2個のH原子間で電子の行き来ができるようになる。このようにして,2個のH原子はより安定なH2分子をつくる。この際,原子が結合して生じる安定な分子の結合や性質を解明する為に原子間に跨った分子軌道を考える。電子は分子軌道に従って両原子の間を行き来し,原子同士を結び付ける。このように,電子を共有することによってできる結合が共有結合である。

水素分子の解離エネルギーは436kJ/molであることが知られている。

H2()2H()436kJ

2個のH原子が完全に離れているときのポテンシャルエネルギーを0とすると,この2原子が互いに近寄って共有結合を形成する場合のエネルギー変化は下図のようになる。2つの原子核間の距離がr(0.074nm)になったとき,2原子は最も強く結合して安定になっていることがわかる。この場合,H2原子が完全に離れているときに比べ,D (436kJ/mol)だけエネルギーを放出している。H原子の共有結合半径と呼んでいる。

 

分子軌道が形成される場合,その形と電子密度の関係をH2分子について考えてみる。Heの電子配置は1s2である。1s軌道の形は球状で,下図(A)のようになっている。原子核を通る直線を横軸に,直線に垂直な面内の電子密度を縦軸にとって図示すれば,図(a)のようになる。そこで,Heの原子核を二分し,それぞれの+eの電荷を少しずつ離していくと考える。+e2つの核が十分に離れた状態では,2個のH原子が離れて存在しているのと同じ状態と見なすことができる。そのような状態になるまでの軌道の形は,下図の(A)→(B)→(C)→(D)を辿る。実際のH2分子の核間距離は0.074nmであり,この場合の分子軌道は(C)に相当する。この分子軌道は元々1個のHe原子核を包んでいた1s軌道だから,2個の1s電子は2個の核電荷から同じ影響を受けている。

1sの電子配置のH原子2個が,(D)の孤立した状態から近づいて接触した場合,2つの1s軌道は単に重なり合うだけでなく,436kJ/molもの熱を放出することによる安定化で大きな影響を受ける。(C)の状態では,どの電子がどの核に所属するかが決められなくなっている。即ち,2個の電子は2個の原子核に一様に束縛されている。これが分子を安定にしている主要な原因と考えることができる。即ち,2個の電子は2個の原子核に共有され,2つのH原子は共有結合によって強く結び付けられている。

2分子の分子軌動

 

分子の構造と結合  主な分子の構造定数を次に示す。

H2

直線形

H-H 0.07414nm

 

CO2

直線

C-0 0.11600nm

 

H2O

折線

0-H 0.09579nm

HOH 104.50°

NH3

三角錐形

N-H 0.1012nm

HNH 106.7°

O2

直線形

0-0 0.12075nm

 

N2

直線

N-N 0.10977nm

 

 

金属結合

ナトリウムを例に,金属結合を考えてみる。隣接するNa原子2個の間では,それぞれの3s軌道から分子軌道2個がつくられる(一般に,分子軌道は用いられた原子軌道の数だけできる)。そして,それぞれの3s軌道の電子は対となって,エネルギー準位の低い分子軌道に入る。更にNa原子が増えて3個,4個,5個,となると,Na原子の3s軌道からつくられる分子軌道の数も345と増加する。そして,Na原子の3s軌道の電子は,エネルギー準位の低い分子軌道から順に2個ずつ配置される。

ナトリウムの単体1molでは,原子の3s軌道から6.02×1023個の分子軌道がつくられ,その数が多いので各エネルギー準位の間隔は極めて小さくなり,事実上連続した帯のようになる。このような帯をエネルギー帯やバンドとよんでいる。エネルギー帯を構成する全ての分子軌道は,全原子に行き渡っている。したがって,どの電子も特定の原子に属することはないので,金属結合は,全原子が全電子を共有する1種の共有結合であるといえる。

ナトリウムでは,3s軌道から構成されるエネルギー帯の半分が空なので,電圧を掛けると電子は容易に移動し,電流が通じる。Mg3s軌道に2個の電子をもち,3s軌道から構成されるエネルギー帯に電子が充満するので,Naとは電気伝導の仕組みが異なる。この場合は,3p軌道から構成されるエネルギー帯の一部が3s軌道によるエネルギー帯と一部重なり,電子は空の3p軌道を使って移動でき,電気が流れる。

 

参考 半導体(金属・不導体・半導体)

原子の中の電子のもつエネルギーは不連続であり,価電子を上のエネルギー準位に上げるのにエネルギーが必要である。原子が多数集まって結晶をつくるときは,原子が互いに作用し合う為,多くのエネルギー準位が密に集まって,帯のように幅のあるエネルギー準位が形成される。これをエネルギー帯とよび,原子にいくつかのエネルギー準位があるように,エネルギー帯にも幾つかの段階がある。エネルギー帯とエネルギー帯の間に,電子の存在することができないエネルギーの範囲があるとき,これを禁制帯とよんでいる。

結晶中の電子は,エネルギーの低いエネルギー帯から順に配置され,価電子はエネルギーの大きい部分に配置される。価電子が入るエネルギー帯は,特に価電子帯とよばれている。そして,電子が全部エネルギー帯に配置されたとき,電子が入っていない部分との境界になるエネルギーをフェルミエネルギーという。

 

金属とは,図(A)のように,フェルミエネルギーが価電子帯の中にくる結晶である。この場合,価電子帯のフェルミエネルギーより上の部分は空だから,結晶に電圧を掛けると,フェルミエネルギーの値に近い電子から次々とこの空の部分に移動し,電流が流れる。これが,金属の電気伝導現象で,このとき電子が移動できるエネルギー帯を伝導帯とよんでいる。

不導体は,図(B)のように,価電子帯に電子が充満した結晶である。伝導帯は,禁制帯を挟んだ直ぐ上のエネルギー帯になり,フェルミエネルギーはこの禁制帯にある。したがって,結晶に電圧をかけても,電子の運動エネルギーが増すだけで,電子は容易に伝導帯に移動することができず,電流は通じない。

半導体は,図(C)のようなエネルギー帯をもち,その基本構造は不導体と同じである。ただ,価電子帯と伝導帯とのエネルギー差が不導体よりは小さいので,より少ないエネルギーで電子が価電子帯から伝導帯に移動することができ,ある程度電流が流れる。

ケイ素やゲルマニウムに少量のリンやヒ素を加えると,電気伝導率が大きくなる。これは,禁制帯の途中に不純物のエネルギー準位ができ,そこに存在する電子が比較的容易に伝導帯に移動できるためである。このような不純物半導体をn(negative)半導体という。一方,ホウ素やアルミニウムを少量加えると,同様に禁制帯にエネルギー準位ができ,ここに価電子帯から電子が容易に移動するので,価電子帯に電子の存在しない部分ができる。これを正孔といい,正孔が移動して電流を通し,電気伝導率が大きくなる。このような不純物半導体をp(positive)半導体という。

 

金属の結晶構造

(1) 面心立方格子(面心立方構造,立方最密構造)

大きさの同じ球を,なるべく密に規則正しく並べる方法の1つに下図のような方法がある。第2段の球Bは,第1段の球Aがつくるくぼみに1つおきに入る。第3段の球Cは,球Bが埋めた球Aのくぼみのうち,残ったくぼみの真上にくるように配置される。第4段は,第1段の上にくる。このようにABCの順に次々と球を重ねた構造が面心立方格子である。単位格子を構成するのは,第1段のA1個,第2段のB6個,第3段のC6個,第4段のA1個の14個の粒子で,2個のAを結ぶ線が格子の対角線にあたる。BCの球は,それぞれ3個が格子の頂点,残りの3個が格子の面の中心に配置される。

この構造では1個の球は12個の球と接し,球は空間の74%を占めて最密構造となる。

面心立方格子の球の詰まり方

 

(2)  六方最密構造

上図で,第3段を第1段と同じ位置に配置したのが六方最密構造である。単位格子は,第1段および第3段の球A4個,第2段の球B1個で構成される。

この構造も,球は他の12個の球と接し,球は空間の74%を占めて最密構造となる。

六方最密構造の球の詰まり方

 

(3)  体心立方格子(体心立方構造)

下図のように,同じ大きさの球をABの順に次々と積み重ねた構造が体心立方格子である。ABの球は接しているが,A同士やB同士の球は接していない。したがって隙間が多く,球は空間の68%を占める。1つの球は8個の球と接し,次に近い球は6個である。

体心立方格子の球の詰まり方

 

単位格子の大きさと,粒子半径,体積比,密度

半径r,質量mの粒子を,互いに接するようにして単位格子に配置したときの,格子の辺の長さや粒子の占める体積,物質の密度との関係を示す。acは結晶格子の辺の長さである。

 

(1) 体心立方格子

粒子数=8×(頂点)1(中心) =2()

 

(4r)2=a2(a)2 より,a=4 r/

単位格子の体積=a3=64 r3/3

粒子1個の体積=4πr3/3

 

(2) 面心立方格子

粒子数=8×(頂点)(中心) =4()

 

(4 r)2=2a2 より,a=2r

 

(3) 六方最密構造

 

 

    =2()

  

六方最密構造のcの長さは,球4個がつくる正四面体の高さの2倍に等しく,acの比は,

 

 

単体の状態

単体の状態は,その結合の種類に関係しており,室温で気体のものは,全て分子性物質である。高融点・高沸点の単体は,共有結合性物質や自由電子の多い金属である。各単体を,融点・沸点の低いものから並べると,次のようになる。

室温で気体(沸点の順)2HeH2NeF2U2N2O3ArKr
                      <XeCl2Rn
 室温で液体(融点の順) HgBr2
 室温で固体(融点の順) FrCsGaRbP4KNa(100°C)
          <S8I2SeInLi(200°C)<・・・・・・・・・・
               <(3000°C)OsReWC3530°C

 

 

 








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