トップ理科総合B 改訂版3部 人間の活動と地球環境の変化>2章 課題研究のテーマ例テーマ例4 土壌微生物のはたらき

テーマ例4 土壌微生物のはたらき

 

準備上の留意点

方法上の留意点

結果

考察


 

   教科書の内容の解説                           

準備上の留意点

(1) 原理=土壌微生物はタンパク質であるゼラチンを分解する。一方,写真のカラーフィルムは,ゼラチンに混ぜられた感光物質が透明シートに3(赤青黄)に塗布されたものである。したがってフィルムを土壌中に放置すれば,微生物によってゼラチンが分解され,色素層が崩れる。この度合いを測れば,土壌中の微生物の活動程度が分かる。

ネガフィルムを露光させずに現像すると(またはポジフィルムを全面感光させて現像すると),赤青黄の色素がすべて固定され,黒っぽくなる。地中に放置後,色素層が分解された部分は透明になる。

 実験用フィルムは,上の現像済みフィルムを切って,スライドマウントにはさんだものを作る。フィルムの銘柄やASA感度は気にしなくてよい。

(2) 実験時期=土壌微生物の活動は気温の影響を受けやすい。実験に適しているのは510月,フィルムの放置期間は5〜7日である(地域によって多少の差があろう)。冬季に実験したいときは,室内で恒温器(25)を用いる。この場合,土壌が乾燥してしまわないよう,霧吹きで水分を与える。

(3) 調査地点=林の中など自然の残されている所や,学校のグラウンドなど人工的な場所が混在するように設定する。

 

方法上の留意点

(1) 実験用フィルムを用意する。

(2) 調査地点の土壌にフィルムをさし込む。回収しやすいように,マウントの一部が見える程度にしておくとよい(フィルム面はすべて埋没させること)

(3) そのまま5日程度放置する。

(4) その後フィルムを回収し,静かに水洗して,付着している土や,はがれかけの乳剤を取り除く(無理にはがさない)

(5) 透明になった部分の面積を,異なる調査地点で比較する。赤・青・黄色に見えるのは,3層の乳剤のうち,いずれかの層だけが分解された部分である。

(6) 分解面積を定量的に扱うには,フィルムをスライドプロジェクターで方眼紙に投影し,ます目をカウントするとよい。

 

結果

土壌微生物が感光物質を分解するとその部分の色が変化するので,その面積を調べれば微生物の存在程度がわかる。分解の程度によって赤,青,黄の色が表れたり,透明になったりする。

 

考察

自然状態に近い(視認できる生物の生息量も多い)地点の土壌ほど,分解者である土壌微生物が多い。

 

<発展1

土壌中の微生物で視認できるサイズのものを捕集するには,ツルグレン装置を用いるとよい。

準備 ツルグレン装置,バット,ピンセット,ルーペなど

方法 @ 林や草地の表層10cmの土壌を掘り出す

A 実験室でバットに土壌を広げ,ピンセットで比較的大型の動物を採集する。

B 土壌をツルグレン装置にかけ,より小型の動物を抽出する。

 

 

 次の方法で土壌条件を測定し,土壌動物の量との関係を考察してみよう。

@       pH=土壌(2030g)をビーカーに入れ,約2倍量の水を加え十分にかき混ぜる。上澄みにBTB試験紙を浸すか,pHメーターでpHを測定する。

A       含水量=残りの土壌は,そのままの質量(A)と,1055時間乾燥させた乾燥重量(B)とを測定し,土壌含水率〔(AB)/B×100()〕を求める。

B       有機物含有量=次に乾燥した土壌の一部をルツボに入れて,ガスバーナーで強く加熱する。加熱前(C)と加熱後(D)の重量をそれぞれ測定し,その差(C-D)を土壌有機物量として,有機物含有率〔(CD)/C×100()〕を求める。

<発展2

 ミミズは生態系内で分解者としてはたらいていることを次の方法で確かめる。

@ 野外や飼育箱からミミズのフンを採集する。

A 300ml用ビーカーを用いて次の実験群をつくる。

 A=蒸留水300ml+ミミズのフン1.0g

B=蒸留水300ml+ミミズのフン0.5g

C=蒸留水300ml+裸地の土1.0g

D=蒸留水300ml (対照)

B それぞれのビーカーにアオウキクサを10個体ずつ入れ,ウキクサの個体数変化を観察する。ミミズが分解者としてはたらいているなら,フンには植物の生育に必要な塩類が含まれており,Aのビーカーでウキクサは最もよく繁殖する。

 

《参考文献》

● 須永智「生態系の分解者の存在とその活動を調べる生徒実験法」,日本生物教

育研究会第43回全国大会研究協議レポート 日本生物教育研究会(1988)

● 中井一郎「写真用フィルムを用いて調べる微生物のはたらき」,新しい生物実験

の開発U 大阪府高等学校生物教育研究会(1999)

● 大阪府私立中学校高等学校理科教育研究会「理科教育研究会10周年記念・研究

集録」(1982)

 

<参考リンク>

埼玉県立自然史博物館.自然史だより 第7号 19887「ツルグレン装置による動物の落

ち方」

http://www.kumAgAyA.or.jp/~SizenSi/print/DAyori/07/07_3.Html

●栃木県総合教育センターホームページ内「環境学習:土壌微生物によるタンパク質の分解」

http://www.tochigi-c.ed.jp/cyosa/kankyo/chu-kou/pdf/3-2-9.pdf

 

 

 

 

 








本サイトに掲載された記事や画像の無断転載を禁じます。
Copyright(C) 2008 SHINKOSHUPPANSHA KEIRINKAN CO.,LTD. All rights reserved.