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テーマ例1 台風と台風災害

 


台風による災害 

台風の被害を少なくする

台風の恩恵


 

   教科書の内容の解説                           

指導目標〉

(1) 自分たちの住んでいる地域の過去の台風災害について調べさせる。

(2) 前年度に発生した台風について,その進路,被害などについて調べさせる。

(3) 台風の被害を小さくするためにはどのようなことができるかを考えさせる。

(4) 台風の恩恵について考えさせる。

 

〈資料の収集〉                           

@ 資料

●国立天文台編,「理科年表」,丸善

●日本気象協会,「気象年鑑」,大蔵省印刷局

A インターネット

●気象庁 http://www.jma.go.jp/

()気象業務支援センター http://www.jmbsc.or.jp/

●ウェザーライン http://www.wline.co.jp/

●その他「天気」,「気象」,「台風」などで検索。

 

〈考 察〉

台風による災害 

(1) 月別台風発生数・接近数および上陸数の平年値(1961年〜1990)

 

)上陸数:台風の中心が北海道・本州・四国・九州の海岸線に達した台風の数。

  接近数:台風の中心が日本の海岸線から300km以内に入った台風の数。なお,同じ台風が2つの月にまたがる場合は,それぞれ1個として考える。

 

(2) 地域別台風接近数の平年値(1961年〜1990)

 

(3) 台風の強さおよび大きさの階級分け(気象庁)

@強さの階級分け

 

A大きさの階級分け

 

(4) 台風の風 台風は,中心付近の最大風速を強さの基準にしている。しかし,中心付近では台風の目とよばれる比較的風の弱い部分がある。目のすぐ外側付近が最も風の強い領域で,台風の進行方向右側の方が強いのがふつうである(下図)

 

   また,下表は風速とその状況を表している。風速は10分間の平均風速で,最大瞬間風速は平均風速の1.52倍に達することもある。

 

 風速〔m/s

     状況

10

  傘がさせない

15

  看板やトタン板が飛び始める

20

  小枝が折れる

25

  瓦が飛び,テレビアンテナが 倒れる

30

  雨戸がはずれ,家が倒れることがある

 

(5) 高潮

 海面は,月や太陽の起潮力によって1日に12回の割合で周期的に満潮と干潮を繰り返している。しかし,台風が接近すると風や気圧の影響で,潮位が以上に高くなることがある。これを高潮とよび,大きな被害をもたらすことがある。

 風による高潮は「吹き寄せ効果」とよび,強い風が沖から海岸に向かって吹くときに起こる。たとえば,大阪湾,伊勢湾など南に開いた湾では,南風が吹くときに「吹き寄せ効果」が起こる。台風が大阪湾や伊勢湾の西側を通過すると,強い南風が吹き高潮が起こりやすい。1959年の伊勢湾台風は,紀伊半島を縦断して伊勢湾で高潮が起こった。

 気圧の影響は「吸い上げ効果」といい,気圧が低くなって海面が持ち上がる現象である。気圧が1hPa下がると海面は約1cm上昇する。

 「吹き寄せ効果」と「吸い上げ効果」が大潮の満潮時に重なると,潮位は最も高くなる。過去,潮位が1m以上高くなった高潮はほとんど東京湾,伊勢湾,大阪湾,瀬戸内海,有明海の遠浅の南に開いた湾で発生している。

 

(6) 高波

 風が吹くと波が発生する。風が吹く場所で発生する波を風浪という。また,風浪が他の場所に伝わったり,風が収まった後に残された波をうねりといい,風浪とうねりを合わせて波浪という。 

 風による波は,風が強いほど,長時間吹き続けるほど,吹く距離が長いほど高くなる。台風はこの3つの条件を満たしているので,10mを越える高波になることもある。台風の中心付近で発生したこれらの高波は,うねりとして遠くまで伝わり思わぬ災害をもたらすこともある。夏から秋にかけて太平洋岸で見られる「土用波」とよばれる波は南の海の台風域で発生した波が伝わってきたものである。

 台風の高波と高潮が重なると海面は一層高くなる。

 

(7) 大雨

 台風が近づいてくるときに,日本付近に秋雨前線などが停滞していると,台風が遠くにあるときから,しめった南風が前線に流れ込んで大雨になることがある。さらに台風が近づくと,台風のまわりの雨雲による雨が降り,長時間にわたって激しい雨が降るため,洪水や土砂災害が起こりやすくなる。

 

台風の被害を少なくする

(1) 台風情報

 台風が日本付近に近づくと,一般向けに台風情報がテレビなどで流される。台風情報は,台風の位置,中心気圧,進行方向と速さ,最大風速,暴風域や強風域,予報円などである。下図で示す暴風域は,平均風速が25m/s 以上の範囲で,実線の円で表示される。予報円は台風の中心が到達すると予想される範囲を破線の円で表している。この円内に台風の中心が入る確率は70%である。暴風警戒域は台風の中心が円内に進んだ場合に暴風域に入るおそれのある範囲で,予報円に予想される暴風域の半径を加えた実線の円で表す。

 

(2) 台風対策

 台風の被害は主に強風,大雨,高潮による。したがってこれらに対する準備が必要である。強風に対しては家屋の補強や家のまわりの樹木の倒木防止等が考えられる。大雨や高潮については国や都道府県の治水対策や防波堤建設などが必要になる。

 また,地震対策と同じように,避難場所の確認や非常時の持ち出し品の準備が必要である。

 

台風の恩恵

  8月は雨が少なく水不足になることが多い。したがって,治水対策がしっかりしておれば,8月に近づく台風によるまとまった雨は貴重な水資源になる。

 

<参考文献および参考リンク>

気象庁パンフレット「台風に備えて」

●気象庁リーフレット 「新しい台風情報〜台風情報の充実と新しい表示〜」

http://www.jma.go.jp/jma/kishou/books/typh_info/index.html

文部科学省パンフ「防災について考えよう」

東京大学社会情報研究所 廣井研究室

http://www.hiroi.isics.u-tokyo.ac.jp/index-genzai_no_sigoto-kisho_joho-kaizen2.htm

 

 

 

 








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