トップ理科総合B 改訂版3部 人間の活動と地球環境の変化>第1章 人間の活動と環境の課題>5節 環境への負荷の少ないエネルギー利用を探る 

5 環境への負荷の少ないエネルギー利用を探る

 

22 世界の人口とエネルギー消費量

21世紀の地球環境問題

各種クリーンエネルギーと化石燃料,原子力エネルギーとの比較

バイオマス資源

トピックス 燃料電池

測定 太陽エネルギーの測定


 

 

   教科書の主な図表の解説                           

22 世界の人口とエネルギー消費量

  化石燃料は石油,石炭,天然ガス,その他のエネルギーは,地熱,風力,太陽熱などである。

一人あたりの消費エネルギーを,1971年と2010年で比較すると,1971年の人口が38億,エネルギー消費量1,2010年の人口が68億,エネルギー消費量2.2であるから,

 

1.2倍になったと言える。

 

   教科書の内容の解説                           

21世紀の地球環境問題

21紀の地球環境問題としては,次のような諸問題があげられる。

@ 人口増加に伴う問題

 19世紀末の地球の人口はおよそ165千万人であったと推定されている。それが2005年には64億人に達し,毎年9千万人ほど増え続けている。このまま増え続ければ50年もたたない間に現在の2倍以上になってしまう。

 人口増に伴う最も大きな問題は食糧問題である。これに伴う農地拡大は森林破壊などの問題を引き起こし,二酸化炭素の増加や砂漠化などの原因になる。また,生活のために消費するエネルギーの総量も当然増加する。

A 化石燃料などの天然資源の枯渇問題

 化石燃料(石油,石炭,天然ガス)や金属資源の消費は急速に増大している。このために資源の枯渇が心配されている。

B 先進国と発展途上国の経済格差に伴う問題

 先進国が過去に経験してきた経済成長とそれに伴う環境問題が,現在,途上国で問題になり,環境保全の考え方や保全へのとり組み方にギャップが生じている。

C 地球温暖化(前節参照)

 

各種クリーンエネルギーと化石燃料,原子力エネルギーとの比較 

<太陽エネルギー>

長所・太陽エネルギーは無尽蔵で,枯渇する心配がない。

   ・環境負荷物質,放射性廃棄物の排出や騒音がない。

  ・電卓から発電にいたるまで利用範囲が広い。

  ・電力を利用する場所での発電が可能である。

  ・電池の寿命が長く維持費が安い。

短所・エネルギー密度が小さく,広い面積が必要。  

・日射量が安定せず,供給量が一定しない。

  ・発電コストが高い。

 

<風力エネルギー>

長所・二酸化炭素などの排出がまったくない。

  ・ランニングコストが安い。

短所・風の弱い日,強い日によってエネルギー供給量が一定しない。

  ・得られるエネルギー量が比較的少ない。

 

<地熱エネルギー>

長所・二酸化炭素などの排出がない。

  ・エネルギー供給量が安定している。

  ・ランニングコストが安い

短所・利用できる場所が限られている。

  ・得られるエネルギー量が比較的少ない。

 

バイオマス資源

バイオマス資源(教科書p.151 図24)とは,植物を栽培し,それを食料や家畜の飼料にしたり,加工してアルコールなどを製造して燃料などに利用するもの。アルコールなどはいろいろな分野で燃料や工業原料として利用できる。

 バイオマス資源には以下のような長所と短所がある。

 

<長所>

・植物をエネルギー源にするので,使用量を考えれば半永久的に利用できる。

・燃料として利用すると二酸化炭素は放出されるが,同等量の植林がされると光合成により吸収されるので,植林などを怠らない限り,バイオマス資源の利用によって二酸化炭素が増加することはなく,環境負荷が低い。

 

<短所>

・植物の成長が遅い。 

・植林に広大な面積が必要。

・石油・石炭に比べて熱効率が悪い。

・収穫する季節が限定される。

短所について解決する方法としては,成長の早い植物の利用,計画的な植林,発電方法の改良等が考えられる。また,バイオマス資源に適した植物の開発も考えられる。

 

   トピックス                           

燃料電池

<開発の歴史> 近年,クリーンエネルギーの一つとして燃料電池が注目され,実用化されつつある。

 燃料電池は,1839年にイギリスのグローブ卿によって発明された。水の電気分解の逆反応を利用したものであった。しかしその後,燃料電池に対する需要がほとんどなく,研究開発は進まなかった。

 1960年代に入って,アメリカの宇宙開発において燃料電池が注目され,開発が進められた。ジェミニやアポロなどの有人宇宙船計画では,宇宙船の電源として利用された。

<特徴> 火力発電の場合は,化学エネルギーを熱エネルギーに変えて発電機を回し,電気エネルギーを得る。そのため効率が悪く,上限は40%程度である。また,化石燃料の燃焼によって多量の二酸化炭素を放出する。これに対し,燃料電池の場合は,化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換するため,高い効率が得られる。また,二酸化炭素を放出しないため,クリーンエネルギーといえる。

<原理> 燃料電池は,天然ガスなどから取り出した水素と空気中の酸素を反応させ,水の電気分解と逆の反応で電気を作る装置である。

  

 

<燃料電池の種類> 電解質に何を使うかによって,いくつかの種類に分類できる(下表)

 

<参考リンク>

●燃料電池開発情報センター(FCDIC)  http://www.fcdic.com/

●燃料電池実用化推進協議会(FCCJ)  http://www.fccj.jp/index0.html

NEDO技術開発機構 新エネルギー技術開発部 http://www.nedo.go.jp/shinene/index.html

●独立行政法人 産業技術総合研究所 エネルギー技術研究部門 燃料電池グループ

http://unit.aist.go.jp/energy/fuelcells/

 

測定 太陽エネルギーの測定

◆方法の留意点

@ この測定の主な目的は,太陽エネルギーの量を正確に測定するのではなく,したがって,必ずしも受熱板を太陽光に直角に当てる必要はない(現在利用されている温水器や太陽電池も,いつでも太陽光に直角に向けられているわけではない)

A 測定に用いる水は気温と同じ程度の水温になったくみ置き水を使う。

B 水温は1分〜5分おきに測定し,温度上昇が止まれば測定をやめる。

C 電力への換算は,以下のようにする。

・水温の上昇から,1m2あたり1秒間に得られた熱量を計算し,単位を〔J/sW〕に直す。ただし,1cal4.2J

1m2あたり1秒間に得られるエネルギーがわかれば,100Wの電力を得るのに必要な面積がわかる。

 

<参考資料などの紹介>

●佐藤正和,蛭沢重信,「エネルギーと環境」,三共出版

●通産省工業技術院資源環境技術総合研究所,「エコテクノロジー最前線」,森北出版

 

 

 

 

 








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