トップ理科総合B 改訂版3部 人間の活動と地球環境の変化>第1章 人間の活動と環境の課題>4節 大気汚染を探る

4節 大気汚染を探る

 

19 葉状性地衣類と固着性地衣類

汚染度の生物学的調査方法と化学的調査方法

準備上の留意点 

方法上の留意点 

結果

考察


 

A 墓石につく地衣類による大気汚染の調査

 

   教科書の主な図表の解説                           

19 葉状性地衣類と固着性地衣類

地衣類は生活型によって,「葉状性」と「固着性」に大別でき,葉状性のものほど汚染に弱い。ウメノキゴケは比較的わかりやすいが,他のものの種名同定は非常に難しい。

 葉状性地衣類とは,葉のように平たく,はがすことのできるもので,そのうち葉状体の裏側が淡褐色で無毛のものがウメノキゴケ,それ以外のものはその他の葉状性地衣類である。固着性地衣類は,石の模様のようで,はがそうとするとばらばらになるものである。

 なお地衣類とは,菌類と藻類が共同体をなす植物群である。門と門の共生である点や,菌・藻単独では作らない有機酸(地衣酸とよぶ)を作る点で特異的であり,独立したグループとして扱われる。

 

   教科書の内容の解説                           

汚染度の生物学的調査方法と化学的調査方法

生物学的方法とは,環境汚染に敏感な生物(指標生物とよぶ)の生息状況をもとに汚染状況を判断する方法で,長期的な環境変化を知ることが出来る。化学的方法とは,大気を採取して含まれる汚染物質の濃度を試薬などで調べるもので,直接的だが,一時的・部分的な変化を測定してしまう(大雨の後に濃度が低く測定されるなど)短所ももつ。ここで紹介するのは前者である。

 

準備上の留意点 

@調査場所を選ぶ:墓地は大気以外の環境条件がよく似ており,調査地として適している。学校や自宅近くで,比較的大きい墓地を地図を利用したり近所の人に尋ねたりして見つける。古くて地衣類が付着している墓石(50年以上前:戦前)10基以上ある場所が必要である。

A調査用具としては,被度測定のための餅焼き網,巻尺,筆記用具,記録用紙などを準備する。

 

方法上の留意点 

@墓地に着いたら,調査対象の墓石を選び,地衣類の種類ごとに被度を測定する。

A調査対象の墓石は,墓地中心部(周囲の道路を走行している自動車の影響が少ない)から,同心円状に10基を選ぶ。全体としては汚染度の小さい墓地でも,道路際では排気ガスの影響を測定してしまう恐れがある。

B墓石を選ぶ際には,最近の機械で磨いた花崗岩には地衣類は付着しないので除外し,また,清掃したばかりのものも省く。墓石の建てられた年代が,原則として明治・大正年間のものと,昭和の初期(戦前)のものが対象となる。

C被度を測定するのは,被葬者氏名や「○○家之墓」と書かれている四角い石の四面を対象とし,その4面の平均被度を計算する。この場合,被度が大きい場合は10%きざみでおおよその値を判定すればよい。被度が小さいときは,金網を墓石にあてて,次の計算により求める。  被度=(地衣類が付着している部分のます目数)÷(墓石の全表のます目数)

D実際の調査には半日〜数日を要するので,休暇中などに行うのが適している

 

結果

 下の参考リンクの各ページを参照のこと。

 

考察

清水市で行った調査例では,地衣類の中で最も大気汚染に弱いウメノキゴケが,SO20.04ppmを越えるとまったく生育できなくなることがデータに明らかに表れた。教科書図20の大阪府のデータは,固着性地衣類を含む全地衣類についてのものであるが,その被度とSO2濃度には高い相関が認められる。すなわち,地衣類は大気汚染の指標となること,都市部ほど大気汚染が進んでいることが確認される。

 なお大阪府での調査では,固着性の地衣類はSO2がかなり高濃度だと被度は低くなるものの,まったく見られない地点は,大阪市内の一部だけだという結果が得られた。葉状性地衣類の方が,大気汚染に弱いことと矛盾しない結果である。

 

<参考リンク>

・埼玉県立自然史博物館,自然史だより 第1号 1985.8 

「ウメノキゴケとコケオニグモ」吉田考造

http://www.kumagaya.or.jp/~sizensi/print/dayori/01/01_03.html

・生物による大気汚染観察マニュアル

http://www.iphes.pref.hyogo.jp/taiki/nakagawa.htm

・ウメノキゴケで空気のよごれを調べよう(対象年齢:小学校高学年以上) http://www.asahi-net.or.jp/~EP3N-KIZM/asobo/umenoki.htm

・福島県立湯本高等学校地学部による「いわ木市における地衣類の分布」調査報告http://homepage1.nifty.com/albedo-kobayashi/tiirui-2.htm

・上記ホームページ内 キウメゴケ(写真)

http://homepage1.nifty.com/albedo-kobayashi/lichenflora-kiumenokigoke.htm

・神戸市による「身近な生き物調査」

http://www.city.kobe.jp/cityoffice/24/kyouiku/job5/ikimono8/umenoki.html

 

 


 








本サイトに掲載された記事や画像の無断転載を禁じます。
Copyright(C) 2008 SHINKOSHUPPANSHA KEIRINKAN CO.,LTD. All rights reserved.