トップ理科総合B 改訂版>第2部 生物の変遷と自然のつり合い>第2章 生物の変遷と多様性>第1節 生物の変遷

1節 生物の変遷

 

5 縞状鉄鉱層

最古の堆積岩

最古の生物化石

原核生物,真核生物

ストロマトライト

古細菌

6 生物の歴史と地球環境の変化

図8 エディアカラ動物群

先カンブリア紀からカンブリア紀の動物群

先カンブリア時代の自然環境

10 初期の陸上植物

図13 初期の陸上脊つい動物

酸素の増加と生物の上陸

最初の陸上脊椎動物のえさ

実験 紫外線の生物への影響

14 生物の変遷

大規模な絶滅

人類の進化

羽毛恐竜

白亜紀末の大絶滅

ウマの進化

生きている化石

古生代の区分

旧古生代の生物

新古生代の生物

中生代の区分

中生代の生物

新生代の区分

人類の出現と進化


 

 

A 初期の生物,B 光と光合成

   教科書の主な図表の解説                           

5 縞状鉄鉱層

 最古の縞状鉄鉱層は35億年前,堆積のピークは25-20億年前である。世界で利用される鉄鉱石の大部分はこの時代に形成されたものである。

<参考リンク>

●岐阜大学教育学部理科教育講座(地学)(縞状鉄鉱層)

http://chigaku.ed.gifu-u.ac.jp/chigakuhp/html/kyo/chisitsu/chisou/bif/index.html

 

 

   教科書の内容の解説                           

最古の堆積岩

 地殻表面で現在知られている最古の岩石は,カナダ北部に露出する40億年前の変成岩である。グリーンランド南部には約38億年前の礫岩や玄武岩質の枕状溶岩なども見られる。グリーンランドの西岸とその対岸のラブラドル(カナダ)に分布するアミトック(Amitsoq)片麻岩は,ルビジウム−ストロンチウム法による年代測定で36億〜38億年前という結果が出ている。この片麻岩の原岩は花こう閃緑岩で,測定された年代はこれが変成岩になった年代であるから,原岩は38億年より古いということになる。この片麻岩を囲んで26億〜28億年前の変成岩が分布している(図U)。これと同じくらい古い岩石は北アメリカのミネソタ州のモンティ・ヴィディオ(Monti vidio)片麻岩で,やはり38億年前頃を示している。

グリーンランド,イスア地域の約38億年前の堆積岩中には炭質物がみつかり,炭素同位体比から生物起源のものとされている。生物が合成した有機物に含まれる炭素同位体の比は,非生物起源のものと異なるためである。

 

最古の生物化石

 西オーストラリア,ノースポールの35億年前の岩石からみつかった。現在のシアノバクテリアとよく似てはいるが,化石の堆積環境は,光合成が可能な浅海ではないとされており,非光合成型の原核生物だと考えられている。

原核生物,真核生物

 現生の原核細胞は,ふつう大きさが5ミクロン以下,真核細胞は10ミクロンを超える。大きさから真核細胞と判断される最古の化石は,21億年前のものだが異論もある。一般的には真核細胞の起源は約20億年前と考えられている。核のような構造をもつ細胞の化石は世界各地の約10億年前の地層から見つかる。

ストロマトライト

ストロマトライトは35億年前の地層からみつかりはじめるが,確実に光合成生物であるシアノバクテリアが形成したとされるものは27億年前のものである。それより古いものは,その他の生物起源か,無機的に形成された可能性が指摘されている。

 

<参考文献>

●丸山茂徳・磯崎行雄,「生命と地球の歴史」,岩波書店(1998)

 

   トピックス                           

古細菌

 原核生物には真正細菌と古細菌の二系統があることがわかり,真核生物は古細菌から由来したことが明らかになっている。古細菌は,メタン細菌,好塩細菌,好高温好酸細菌などを含み,原始生命の姿を明らかにする鍵とも考えられている。

 

<参考文献>

●NHKビデオ 「生命」40億年はるかな旅 シリーズ 1.海からの創世

「地球の進化・生命の進化」遺伝別冊12,裳華房(2000)

 

<参考リンク>

●神奈川県立生命の星・地球博物館「自然科学のとびら」太古の地球への旅―西オーストラリアの地質調査―

http://nh.kanagawa-museum.jp/tobira/5-1/koide.html

●神奈川県立生命の星・地球博物館 展示ガイド「地球を考える:T地球誕生」

http://www.city.odawara.kanagawa.jp/museum/earth.html

●日本財団図書館ホームページ内「海洋科学から見る水惑星の多角的視点にたつ基盤研究」

http://nippon.zaidan.info/seikabutsu/2000/00824/contents/092.htm

 

C 地質時代と化石 D 水中の生物の多様化

 

   教科書の主な図表の解説                           

6 生物の歴史と地球環境の変化

 光合成による酸素発生が始まってから生物が上陸するまでには,20億年以上を要している。生物の上陸によって土壌形成が始まった。土壌は,風化した岩石と有機物が混ざったもので,有機酸や無機塩類を貯蔵するだけでなく,保水機能もある。土壌中の栄養は,川や海にまで供給され,水中でも生物の増加と多様化が促進された。教科書p.100-101の図14の景観変遷と対比するとよい。

 

8 エディアカラ動物群

最古の多細胞動物群の化石は,先カンブリア時代末(5.7億年前)のオーストラリア産エディアカラ動物群のものである。動物の体制は放射相称が多く,運動性が低いこと,体を外敵から保護する殻のような構造がみられないことが特徴である。ドイツのザイラッハーは,エディアカラ動物群を再検討し,これらの動物が消化管をもたないエアマット状の生物で,体表から栄養を吸収したと考えられる特異な動物群であるとして,ヴェンドゾア生物(先カンブリア時代ヴェンド紀の生物)とよんでいる。ヴェンドゾア生物の世界は,大形肉食動物がおらず,「エディアカラの園」と表現されるような平和なものであった。

中国,貴州のドゥシャンツオなどから,エディアカラ動物群より2000~3000万年古い先カンブリア時代末からカンブリア紀の,卵割中の胚化石が報告されている。割球の大きさと配置から,左右相称動物のものと推定される胚もあった。先カンブリア時代末までには,左右相称構造を形成する遺伝的機構と発生過程を獲得した多細胞生物が誕生していたことがわかる。

 

   教科書の内容の解説                           

先カンブリア紀からカンブリア紀の動物群

 最古の多細胞動物群の化石は,先カンブリア紀末(6億年前)のオーストラリア中部のエディアカラ(Ediacara)丘陵(アデレードの北700km)で発見されたもので,エディアカラ動物群とよばれている。ここでは,少なくとも1500個体の化石が採集されており,クラゲやウミエラのなかまなど25種の動物が記載されている。これらの動物は130cmの大きさで,浮遊性のもの,着生のもの,砂中にひそむ内生のものなど,多様な生活様式や食性をしていたようである。動物の体制は放射相称が多く,運動性が低いこと,体を外敵から保護する殻のような構造が見られないことが特徴で,大型肉食動物のいない平和な世界であった。

   

 ▲ エディアカラ動物群

 

53千万年前の,カナダのバージェス頁岩動物群は,肉食動物アノマロカリスをはじめとする多様な生物群が突然出現したことで,カンブリア紀の爆発としてよく知られている。30門が知られているが,このうち現生種がいるものは11門のみである。この中には脊椎動物の祖先にあたる原索動物(ピカイア)も含まれる。バージェス動物群の研究で大きな成果をあげた,イギリスのウィッチントンは,平成13年度の国際生物学賞を受賞した。中国の澄江(チェンジャン)からもよく似た動物群が多数発見されている(写真)

   

 図 澄江動物群の化石(ミクロディクティオン)

 写真提供:西田 治文

 

先カンブリア時代の自然環境

先カンブリア時代初期の大気中には酸素が少なく,その後のいろいろな作用によって大気中に酸素が増加していったということは,堆積岩中の記録からも読みとれる。たとえば,南アフリカの24億〜25億年前に堆積した石英質砂礫岩は自然金や閃ウラン鉱を含む河川堆積性の大鉱床であるが,この中には,これらの鉱物といっしょに運搬され堆積した黄鉄鉱が入っている。このように黄鉄鉱を含む同じ時代の砕せつ性の堆積岩はカナダやブラジルなどでも知られており,当時の河川水の中には酸素がほとんど含まれていなかったことを示している。堆積物の中に黄鉄鉱にかわって酸化鉄が現れるのは,20億年前頃からであり,この頃には大気中にかなりの量の酸素が蓄積されていたことを示している。

 

教材>

●NHKビデオ 「生命」2.進化の不思議な大爆発

 

E 生物の上陸

 

   教科書の主な図表の解説                           

10 初期の陸上植物

クックソニアは,シルル紀(4.2億年前)の植物で,根・茎・葉が未分化で立体二叉分枝する軸状の体をもつ。イギリスをはじめ,北半球の各地から見つかっている。陸上植物の特徴である気孔やクチクラのある表皮,仮道管のような通道組織は,さらに古いオルドビス紀から見つかる。

 

 

▲リニア(デボン紀)の横断面図()と通道組織の縦断面()

横断面の直径約1.5mm,縦断面の中央黒い部分が通道組織で,

黒い部分全体の幅が約0.1mm。写真:西田治文

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

13 初期の陸上脊つい動物

イクチオステガは,グリーンランド産の最初期の両生類の1つである。脊椎動物は約3.7億年前のデボン紀末に上陸したとされるが,この時期にはすでにシダ植物の森林が形成されており,陸上の生態系は徐々に空間構造をもつ複雑なものへと変化しつつあった。植物の進出によって陸上に土壌が形成されたことで,陸から川や海へ多量の無機塩類や有機酸などの栄養分が供給されることになり,水中の生物量の増加と多様化も進んだ。

 

▲クックソニア(シルル紀)

 

   教科書の内容の解説                           

酸素の増加と生物の上陸

オゾン層の効果が得られる最低の酸素濃度は現在の1/10といわれ,この濃度に達したのは,古生物学的推定では約5.7億年前で,植物が上陸する少し前にあたる。酸素は,フラボノイドなどの紫外線吸収物質や,クチクラに含まれるクチンなどの乾燥耐性物質の化学合成にも必要で,酸素の増加はさまざまな点から生物の上陸を可能にした。

最初に上陸した生物が何かについてはいろいろな説が出されている。一般には,証拠がはっきりしているオルドビス紀からシルル紀の緑色植物の上陸を,最初の生物上陸として扱っており,ついで動物が上陸したとされる。最初の陸上植物は,陸上生活に適応した組織や器官をもっていること,陸上生態系の基礎生産は緑色植物が担っていることなどから,上記のような扱いがなされる。ただ,現在の陸上での植生遷移にもみられるように,地衣類が緑色植物に先立って陸上生活を始めた可能性や,バクテリアや菌類のマットが形成された可能性は充分ある。しかし,これを支持する明確な証拠はまだ無く,また,そのようなバクテリアや菌類がどの程度陸上環境に適応していたかも不明である。カナダのカンブリア紀〜オルドビス紀の堆積物から節足動物の足跡とみられる化石がみつかっており,この時代に節足動物が上陸した痕跡だとされている。もし,この生物が陸上生活に適応した形態をもっていたのなら,えさとして考えられるのは緑色植物より前に上陸した可能性のある菌類や地衣類などである。しかし,この節足動物の実体も不明である。

 

   トピックス                           

最初の陸上脊椎動物のえさ

現在の両生類が南米の1種のカエルをのぞいてすべて肉食であるように,最初に上陸した脊椎動物は,豊富な植物を食べることはまだできず,先に上陸した節足動物など無脊椎動物を食べていた。セルロースの消化に不可欠な腸内細菌との共生関係がまだ成立していなかったためである。最古の植物食脊椎動物は,石炭紀後期(3億年前)のは虫類である。

 

教材>                

●NHKビデオ 「生命」3.生き物たちの上陸大作戦

 

実験 紫外線の生物への影響

 

<指導目標>

傷んだバナナの皮が褐色になることは,ふだん体験するところである。これは,傷ついた細胞内で酵素作用がさかんになり,フェノール化合物が酸化されて褐色の物質に変化するからである。紫外線を照射したときにも同様の変化が見られる。そのようすを観察し,紫外線の生物体への影響を理解させたい。

<準備と留意点>

@ 紫外線源としては,殺菌灯の他に無菌箱に備え付けのランプなどが使える。紫外線源が手に入らないときは,太陽光を照射してもよい。その場合は,紫外線の強い6月頃で日中に34時間照射する。

A バナナは,若くて皮に傷のないものを用いる。

B 暗所に置く間,房の切り口に水を与えてやると,乾燥による変色を軽減できる。

C     実験者は,紫外線の直視や皮膚への照射を避けるよう心がける。

<方法と留意点>

紫外線照射後にバナナを暗所に置くのは,可視光線によって紫外線の作用がうち消されるのを防ぐためである。

<結果>

殺菌灯を23分,または太陽光を34時間照射したバナナは,25℃の暗所に置くと2日ほどで褐色に変色する。殺菌灯で1分以内の照射では変色は起こらず,気温が低くなると変色するまでの日数が長くなる。アルミフォイルを巻いた部分は変色しない。紫外線を照射した部分の細胞は,顕微鏡で観察すると褐色に変化している。特に気孔周辺の細胞で変化が明らかである。

<考察>

アルミフォイルを巻いて紫外線を照射しなかった部分では変色が起こらなかっ

たことから,紫外線には細胞を物理的に傷つけるのと同様の効果があるといえる。

 

<発展実験>

1バナナにいろいろな色セロファンや透明塩化ビニールを巻いたりスライドガラスを置いて太陽光を照射し,どのような波長の光が細胞を変色させるかを調べる。

実験結果は,赤・青・緑・黄のセロファンで覆った部分,およびスライドガラスを置いた部分はいずれも褐色に変化しないが,透明塩化ビニールで覆った部分は変色を示す。色セロファンの結果は,可視光線で変色が起こるのではないことを推測させる(たとえば,赤セロファンは赤色光だけを通す)

一方,透明塩化ビニールは200nmより短波長の光を透過させるが,スライドガラスは350nmより長波長の光を通さないことが知られている。これらのことから,バナナの変色を起こしたのは,波長350nm以下の紫外線だということがわかる。

2紫外線の損傷からの回復

 紫外線をあてたバナナに可視光線をあてると,紫外線の損傷から回復するかどうか調べる(酵母や大腸菌では,可視光線によって,損傷DNAが修復されることが知られている)

 バナナに2分間紫外線を照射し,その後4時間太陽光にあててから,暗所に置く。太陽光にあてる際,部分的に色セロファンを巻いておく。本来,紫外線によってバナナは褐色になるのだから,損傷からの回復が起これば,その部分ではあまり変色は起こらないはずである。

 結果は,赤・緑・黄のセロファンで巻いた部分は褐色になったが,透明・青のセロファンで巻いた部分では変色が見られなかった。つまり,透明・青のセロファンを通過した波長の光によって,損傷が軽減されたと考えられる。

 

<参考文献>

●松田仁志(1994)「生物に及ぼす紫外線の作用」,大阪と化学教育8(1994)

 

F 地球環境と生物の変遷,G 生物の進化

   教科書の主な図の解説                           

 

 

14 生物の変遷

多様性の増加や分類群の移り変わり,生物の上陸や大量絶滅など,さまざまな視点から生物の変遷を大きな流れとして跡づけ,景観と環境変化,人類の位置づけなどを考察させる。教科書p.96,図6の地質年代を参照するとよい。

 

番号

名前など

分 類

主に生存した時代

特徴など

1

クラゲの仲間

刺胞動物

カンブリア紀〜現在

 

2

ハルキゲニア

有爪(ゆうそう)動物?

カンブリア紀

教科書p.90参照

3

アノマロカリス

不明

カンブリア紀

体長約50p,肉食,教科書p.90参照

4

三葉虫

節足動物

カンブリア紀〜ペルム紀

教科書p.90参照

5

グラプトライト(筆石)

筆石類

カンブリア紀〜石炭紀

浮遊性,固着性など,原索動物に属すると考えられている

6

ウミサソリ

節足動物広翼類

オルドビス紀〜ペルム紀

体長3mに達した最大の節足動物

7

ウミユリの仲間

棘皮動物ウミユリ類

カンブリア紀〜現在

 

8

カイメンの仲間

海綿動物

カンブリア紀〜現在

 

9

ヘミキクラスピス

脊椎動物無顎(がく)

シルル紀

体長約10p,顎を持たない魚類

10

ドゥンクレオステウス

脊椎動物板皮類

デボン紀

体長6-8m

11

クラドセラケ

脊椎動物軟骨魚類

デボン紀

体長約1m,サメの仲間

12

エウステノプテロン

脊椎動物硬骨魚類肉鰭類

デボン紀

体長約50p,両生類の祖先に近縁

13

イクチオステガ

脊椎動物両生類

デボン紀

体長約60p,最初期の両生類,教科書p.91参照

14

サソリの仲間

節足動物クモ形類

シルル紀〜現在

 

15

カブトガニの仲間

節足動物剣尾類

カンブリア紀〜現在

体長最大60p

16

アンモナイトの仲間

軟体動物頭足類

デボン紀〜白亜紀

現生のオオムガイに近縁,教科書p.94参照

17

シーラカンスの仲間

脊椎動物硬骨魚類肉鰭類

デボン紀〜現在

アフリカ南東部とインドネシアに現生,教科書p.94参照

18

エリオプス

脊椎動物両生類

ペルム紀

体長約1.5m

19

エダフォサウルス

脊椎動物は虫類

ペルム紀

体長2-3m,哺乳類型は虫類

20

メガネウラ

節足動物昆虫類

石炭紀

翅の開長約70p,大型のトンボ類

21

ゴキブリの仲間

節足動物昆虫類

デボン紀〜現在

 

22

最初期の哺乳類

脊椎動物哺乳類

三畳紀

ネズミ程度の大きさで食虫性

23

プレシオサウルス類

脊椎動物は虫類

三畳紀〜白亜紀

鰭竜,体長12mを超えるものも

24

イクチオサウルス類

脊椎動物は虫類

三畳紀〜白亜紀

魚竜,体長3mに達する

25

ランフォリンクス

脊椎動物は虫類

ジュラ紀

翼竜,翼の開長約60p,長い尾がある

26

()テラノドン

脊椎動物は虫類

白亜紀

翼竜,翼の開長約6m

27

竜脚類の恐竜

脊椎動物は虫類

三畳紀〜白亜紀

体長25m以上,体重100トンに達した

28

始祖鳥

脊椎動物鳥類

ジュラ紀

最初の鳥,カラス程度の大きさ,教科書p.93参照

29

鳥脚類の恐竜

脊椎動物は虫類

ジュラ紀〜白亜紀

イグアノドンなど,草食

30

カルノサウルス類

脊椎動物は虫類

三畳紀〜白亜紀

大型の獣脚類恐竜,体長12mに達した,肉食

31

ディノニコサウルス類

脊椎動物は虫類

ジュラ紀〜白亜紀

中小型の獣脚類恐竜,鳥の祖先も含む,肉食

32

トリケラトプス

脊椎動物は虫類

白亜紀

角竜,体長約8m,草食

33

スミロドン(剣歯トラ)

脊椎動物哺乳類

更新世

食肉類,ライオン程度の大きさ

34

ブロントテリウム

脊椎動物哺乳類

漸新世

奇蹄類の草食動物,肩の高さ約2.5m

35

ナウマンゾウ

脊椎動物哺乳類

更新世

長鼻類,30万〜2万年前に生息,肩の高さ2-2.7m

36

コウモリの仲間

脊椎動物哺乳類

始新世〜現在

翼手類,化石は少ない

37

リスやネズミの仲間

脊椎動物哺乳類

暁新世〜現在

齧歯(げっし)

38

クジラの仲間

脊椎動物哺乳類

始新世〜現在

鯨類,原始的有蹄類から約5000万年前に分化

39

アウストラロピテクス

脊椎動物哺乳類

鮮新世

400-500万年前の猿人,

1

ストロマトライト

原核生物ラン藻類

先カンブリア代〜現在

教科書p.88参照

2

初期の陸上植物

緑色植物

シルル紀〜デボン紀

教科書p.90参照,クックソニア,リニア,プシロフィトンなど

3

トクサ類

維管束植物トクサ類

デボン紀〜現在

石炭紀には高さ20mを超す木になったものもある

4

初期のリンボク類

維管束植物ヒカゲノカズラ類

デボン紀後期

デボン紀後期には木本性のヒカゲノカズラ類が出現

5

シギラリア(封印木)

維管束植物ヒカゲノカズラ類

石炭紀

高さ20m程度,幹の表面の模様は上下が平らな六角形

6

プサロニウス

維管束植物シダ類

石炭紀

石炭紀のシダ類,高さ10m程度

7

リンボク(鱗木)

維管束植物ヒカゲノカズラ類

石炭紀

高さ40mに達したものもある,幹の表面の模様は菱形

8

コルダイテス

維管束植物裸子植物類

石炭紀〜ペルム紀

絶滅した裸子植物,球果(針葉樹)類に近縁

9

シダ種子類

維管束植物裸子植物類

デボン紀後期〜石炭紀

絶滅した初期の裸子植物,石炭紀に多様化した

10

ゼンマイの仲間

維管束植物シダ類

ペルム紀〜現在

ウラジロの仲間とともに,現在のシダ類では最も原始的

11

球果(針葉樹)

維管束植物裸子植物類

三畳紀〜現在

ジュラ紀には現生の科が出そろう

12

ソテツ類

維管束植物裸子植物類

ペルム紀〜現在

イチョウ類も同時期に繁栄した

13

キカデオイデア

維管束植物裸子植物類

三畳紀〜白亜紀

絶滅した裸子植物,外見はソテツに似る

14

被子植物

維管束植物被子植物類

白亜紀〜現在

被子植物の祖先はまだ不明,単子葉類も白亜紀前期には出現

 

   教科書の内容の解説                           

大規模な絶滅

 古生代以降5回の大量絶滅があった。単一の原因で説明しようとせず,さまざまな側面から生物変遷の過程や環境変化との関連を考えるきっかけにする。

 

 

表 5大絶滅と主な環境変動

大量絶滅の年代

(百万年前)

絶滅した生物の例

推測される

主な環境変動

白亜紀末  (65)

中生代終わる

恐竜など大型は虫類,アンモナイト

小天体衝突,寒冷化

三畳紀末  (205)

腕足類,両生類,ほ乳類型は虫類

海水準低下,気候変動

ペルム紀末 (250)

古生代終わる

海産無脊椎動物の96%,ほ乳類型は虫類

海中無酸素事変,寒冷化,小天体衝突

デボン紀後期 (360)

三葉虫,板皮類(魚類),腕足類,コノドント

海水準低下,氷河発達,無酸素事変

オルドビス紀末  (438)

フデイシ,オウムガイ類,サンゴ

氷河発達

 

<参考文献>

●「遺伝」199812号,特集「生物の大量絶滅」,裳華房

 

 大量絶滅の時期は,年代区分の末期に一致する。古生代ペルム紀末には,大きな環境変化が起きたと考えられるが,その原因は現在のところよくわかっていない。

中生代白亜紀末には,巨大な隕石が落下・衝突したため,気候,環境が急変し,大量絶滅が起こったと考えられている。また,その他の原因として,火山活動,気候の激変,海水準の変動,大気や海水の成分の急変なども考えられ,さまざまな原因が論議されている。

大量絶滅が起きると,その後新しい型の生物が次々と出現するので,生物界は急激に変化する。過去に栄えた生物が絶滅した時期と一致し,その後全く異なる種類の生物が現出するのも,大量絶滅の特徴といえるかもしれない。こういった大量絶滅の積み重ねによって,生命が進化してきたといっても過言ではないだろう。

今後こういった大量絶滅を引き起こす可能性のある時期として,次の氷期が考えられている。

 

人類の進化

人類が属する霊長類の祖先は,ネズミのような形をした小形の食虫類である。白亜紀の後期に最初の原始的な霊長類が分化し,樹上生活を始めた。現在の猿のような形態は,新生代になってから出現する。

類人猿を含むヒト上科は,約3000万年前の中新世に出現し,テナガザル,オランウータン,ゴリラ,チンパンジーの順に分化した。ヒトに最も近い類人猿である,チンパンジーやボノボの仲間からヒト科が分かれたのは約700500万年前である。分子系統解析,化石記録によるヒト科の分岐順序はほぼ一致している。

最も古い化石人類はアフリカのチャドで発見された約700万年前のトゥーマイ猿人である。直立二足歩行した証拠はないが,脳容積は350cm3あった。人類はアフリカで多様化し,ヒト属(Homo)最初の種(原人)である240万年前のホモ・ハビリスでは,脳容積が600cm3に達した。100万年前には,ホモ・エレクトゥスがアフリカからアジア,ヨーロッパに拡散を始めた。ジャワ原人,北京原人,ネアンデルタール人(旧人)などである。ヒト(ホモ・サピエンス)の祖先は,これらの原人や旧人とは別に,約2015万年前にアフリカで新たにホモ・エレクトゥスから起源し,世界に広がったとされている。

ヒトの遺伝子多様性をチンパンジーの地域集団と比べると,チンパンジーの各集団間での違いのほうが大きい。このことは,ヒトという種が,遺伝的にはまだ高い均一件を保っていることを示している。

 

羽毛恐竜

 1980年代から中国遼寧省を中心として,次々と羽毛を持つ恐竜化石が発見され,鳥類の祖先が肉食の小型恐竜であることがはっきりした。前期白亜紀の化石なので,最初の鳥であるジュラ紀の始祖鳥よりも時代は新しいが,恐竜と鳥の関係を否定するものではない。これらの恐竜は飛ぶことはできず,羽毛は保温に役立っていた可能性などが示唆されている。復元図や解説はインターネット上でいろいろ捜すことができる。

 

   サイエンスBOXの解説                           

白亜紀末の大絶滅

一般にK/T絶滅とよばれる白亜紀末の大絶滅は,1980年にアルバレスらが提唱した巨大隕石の衝突が主な原因とされている。隕石の衝突による大規模な環境破壊により,まず植物などの一次生産が短期間強く阻害され,それによって生態系の食物連鎖で上

位にいる生物が順次影響を受けたとする考えが一般的である。一方で,隕石の衝突以外にも原因を求める説も出されているが,いずれも大規模な現象を説明する証拠が不十分であるか,絶滅に影響したとしても副次的な効果であったと考えられるものである。

 

ウマの進化

 始新世は温暖で,熱帯雨林もこのころ成立した。漸新世になると全地球の平均気温が約10度下がった。教科書p.105の図のような進化は北米大陸で起こったが,ウマは北米ではいったん絶滅し,アジアやアフリカでその後発展した。南北アメリカ大陸へは欧米人が持ち込むまでウマはいなかった。

<参考文献>

●コルバート,「脊椎動物の進化」(4),築地書館(1994)

 

<参考>ゾウの進化  ゾウの祖先は古第三紀のフィオミア(Phiomia)とパレオマストドン(Paleomastodon)2属とされている。新第三紀に栄えたゾウはマストドン(Mastodon)のなかまである。長顎マストドンは,あご・鼻・上くちびるなどが長くのび,牙は上あごのものは長くのびて下に向い,下あごの牙は短い。日本でこのなかまに属するものとしてはゴンフォテリウム(Gomphotherium)がある。短顎マストドンは首や下あごが短くなり,下あごには牙がなく,上あごの牙は太く大きく,上に曲がって前に突き出し,鼻と上くちびるはたれ下がっていて,現在のゾウに似ている。

アジアに多いステゴドン(Stegodon)といわれるゾウもこのなかまに近い。日本のステゴドンとしてはアカシゾウ(Stegodon akashiensis,約100万〜200万年前),トウヨウゾウ(Stegodon orientalis20万〜50万年前)などがある。第四紀には現在のゾウ,エレファス(Elephas)のなかまが栄える。マンモス(Mammuthus)や,日本の更新世後期の地層から多く産するナウマンゾウ(Elephas (Palaeoloxodon) naumanni)もこのなかまである。しかし,更新世の終わりに大部分が滅びてしまい,完新世にはインドゾウ(Elephas maximus)とアフリカゾウ(Loxodonta africana)2種だけになった。

 

 

生きている化石

シーラカンス 総鰭類に属する魚類。デボン紀以降化石が発見され,白亜紀に絶滅したとされていた。1938年に南アフリカで,現生属ラチメリアがみつかり,1998年にはインドネシアでも別の種が発見された。

カブトガニ 鋏足類に属する原始的な節足動物で,アジアの熱帯と北米東岸に生息する。日本の瀬戸内海や北九州沿岸の種は,アジアの北限種。化石はオルドビス紀以降。

オオムガイ イカやタコと同じ頭足類に属する軟体動物。化石は,カンブリア紀以降。近縁のアンモナイトとは,殻の構造などに違いがある。なぜアンモナイトが滅び,オオムガイが生き残ったか謎である。

カモノハシ 卵生だがほ乳し,は虫類とほ乳類の中間的な原始形質をもつ。ほ乳類の単孔類に分類されている。オーストラリアに生息。

イチョウ イチョウ型の葉は白亜紀以降みつかる。かつては種数も多く,世界中に分布した。現在は1種のみがすべて栽培で生き残っている。

メタセコイア 1941年に三木茂が化石に対して命名し,同年中国で生きたものが発見された,針葉樹。イチョウと同様,日本では一度滅び,再度中国からヒトが導入した。アケボノスギともいう。

 

<関連リンク>

インターネット自然史博物館 http://www.museum.fm/

大阪市立自然史博物館・化石からたどる植物の進化

http://www.mus-nh.city.osaka.jp/tokuten/2002plantevo/virtual/index.html

 

   発展                           

古生代の区分

 古生代は6つの紀に区分されるが,その名称の由来などを概略すると次のようになる。

@)カンブリア紀(Cambrian Period54300万年前〜5億年前);ウェールス地方のケルト人の古称,Cambriaをもとにシジュイック(Sedgwick)1836年に命名。

A)オルドビス紀(Ordovician Period5億年前〜43500万年前);ウェールス地方のケルト族の別称Ordvicesに基づいてラプワース(Lapworth)1878年に命名。

B)シルル紀(Silurian Period44000万年前〜41000万年前);ウェールス地方に,ケルト族以前に住んでいたシルル族(Silures)にちなんで,マーチソン(Murchison)1831年に命名。初めはシルル紀の中にカンブリア紀・オルドビス紀も含まれていたが,後に,それぞれ別の紀として独立されるようになった。シルル紀の代わりに,ゴトランド紀Gotlandian Period(バルト海のゴトランド島による)が使われていたこともあるが,1961年の国際地質学会議でシルル紀を正式に使うことになった。

C)デボン紀(Devonian Period41000万年前〜36000万年前);イギリスのデボン州(Devonshire)によく分布するので,1839年にシジュイックとマーチソンが与えた名称。

D)石炭紀(Carboniferous Period36000万年前〜29500万年前)carboniferousは石炭を多く含むという意味。1822年にコニベア(Conybeare)とフィリップス(Phillips)により,イングランド・ウェールスの夾炭層とその下位に続く地層に対して,石炭系の名が与えられた。

E)ペルム紀(二畳紀Permian Period29500万年前〜25100万年前):ドイツでは,石炭を含む地層の上にロートリーゲンデス(Rotliegendes)累層とツェヒスタイン(Zechstein)累層の2つの地層群がのっているのでこれをDyasとよんでいた。このDyasという語が明治の頃日本にもたらされ,二畳紀とよばれるようになった。しかし,マーチソンはウラル山脈の西側にあるフズリナなどの化石を豊富に含む地層に基づいて,ペルム紀(この地方の地名Permによる)の名を1841年に与え,現在はPermianが国際地質学連合で公認されている。したがって日本ではPermianに対してペルム紀と二畳紀の2つの語があてられているが,ペルム紀に統一されつつある。

 

旧古生代の生物

 カンブリア紀からシルル紀までを旧古生代といい,この時代は主に水中生物の栄えた時代である。カンブリア紀には原生動物・海綿動物・腔腸動物・節足動物・軟体動物・腕足類・棘皮動物・原索動物など脊椎動物以外のすべての動物の部門や,海藻など水中生活をする生物のほとんどが出現している。

 カンブリア紀の動物化石を多く含む地層としては,カナダのロッキー山脈地域に分布するバージェス頁岩(Burgess shale)が有名である。この地層は約5億年前の閉じた潟のようなところに堆積した地層で,その中にはサンヨウチュウ(三葉虫)・甲殻類・海綿など,70130種の動物化石が知られている。アノマロカリス(Anomalocaris)は最初の肉食生物で,サンヨウチュウなどを捕食していたものと考えられている。

 サンヨウチュウはカンブリア紀の初めに出現した水中生活の節足動物で,現在のクモ類に近いが,かたい殻をもっていたので化石としてよく残されている。大きさは数mmのものから大きなものでは50cmくらいに達するものもある。カンブリア紀・オルドビス紀には種類も特に多く,時代を細かく分けるときの示準化石となっている。サンヨウチュウは新古生代には衰え,ペルム紀にはほぼ絶滅している。

 フデイシ(筆石)はカンブリア紀に出現し,オルドビス・シルル紀に栄えた動物で,小さな羽根をゴムにさして逆さにしたような形をしている。この羽根状のものが泥岩の中にちらばって化石となっている。オルドビス紀・シルル紀の地層を細分するよい示準化石である。脊索動物の先祖に近いものとされている。

 クサリサンゴ(Halysites)はシルル紀のサンゴで,くさり状をしている。

 カンブリア紀から出現し,オルドビス紀に多くの種類が現れたものに,オウムガイのなかまがある。これは頭足類で,貝の中に入ったイカやタコのようなものである。貝の内部はセプタとよばれる隔壁によっていくつもの部屋に分かれているが,貝の形はまっすぐのものから,しだいにカーブして巻貝のような形をとってくる。

現在の海にすむオウムガイ(ノーチラス)は,この子孫である。

 オルドビス紀の中頃に魚類が出現したことは特筆される。シルル紀からデボン紀には,カッチュウ魚のような外骨格をそなえたものが出現し,デボン紀の海でさらに栄えるようになった。オルドビス紀からシルル紀には,淡水生の緑藻類から最初の陸上植物が分化した。シルル紀のクックソニアは,最古の陸上植物とされている。

 

新古生代の生物

 オルドビス紀に出現した魚類はシルル紀から発展し,デボン紀に大繁栄した。そのため,シルル紀後半からデボン紀にかけてを魚類時代ともいう。両生類は魚類のなかから進化したもので,グリーンランドの上部デボン系から発見されたイクチオステガ(Ichthyostega)は,最古の両生類のひとつである。

 陸上に動物が上がったのは,その前に陸上に植物が茂り,動物が生存していくために必要な食料が豊富になってきたからである。植物は,デボン紀から石炭紀にかけて,シダ植物に多くの種類が現れている。それらは現在見られるシダのように小形のものだけではなく,巨大なものでは高さ30m,根元の直径1mに達するものもあった。ロボク(Calamites)・リンボク(Lepidodendron)・フウインボク(Sigillaria)などは,これらシダの大木のなかまである。このようにシダの大木が繁茂したのは,石炭紀の気候が一般に暖かかったためであるが,石炭紀後半から次のペルム紀(二畳紀)になると寒冷化してきたため,それらは絶滅していく。石炭紀はじめは,二酸化炭素濃度が現在の10倍程度あり,温暖であったが,植物の光合成によって二酸化炭素が急減したために寒冷化が進んだと考えられている。光合成産物の一部は膨大な量の石炭となった。石炭紀は酸素濃度も高かった。石炭紀のシダの森林の間を,羽を広げると1mもあるような大きなトンボなど,昆虫が飛びまわっていた。ペルム紀になると木本性シダ植物は衰退し,石炭紀に多様化を始めていた裸子植物が森林を形成し,繁栄した。

[紡錘虫の進化] フズリナ(Fusulina)は原生動物有孔虫のなかまである。有孔虫のなかには,ときどきその殻の構造が複雑になり,大きさも大形化するものが現れている。古生代の石炭紀からペルム紀にかけてのフズリナ科のもの,中生代白亜紀のオルビトイデス(Orbitoides),新生代のカヘイ石(Nummulites)やレビドシクリナ(Lepidocyclina)・ミオギプシナ(Miogypsina)などはそれであり,いずれも進化の速度が速く,それぞれの種の生存期間が短いため,地層を細分・対比するときに役だつ示準化石になっている。

 

 

()アルカエオプテリス カナダのデボン紀から発見された化石。最初の森林をつくったシダ植物のひとつ。

▲ ()() 石炭紀の森林を形成した高さ20-30mにもなるシダ植物。中はリンボク,右はロボク

出典 ロボク(カラミテスCalamites

 Hirmer M. Handbuch der Palaeobotanik. R. Oldenbourg Munchen 1927.

p.443 fig. 537.

 

中生代の区分

 中生代は,トリアス紀(三畳紀)・ジュラ紀・白亜紀の3つの紀に分けられる。それらの名称の由来などは次のようである。

@) トリアス紀(三畳紀Triassic Period25100万年前〜21000万年前) 1834年にアルベルティ(von Alberti)が南ドイツでBuntsandstein(非海成)Muschelkalk(海成・石灰岩)Keuper(非海成)3累層が重なっていることからTriasと名付けたものであり,三畳紀の訳語はこれによる。二畳紀をぺルム紀とよぶように,これも本来はトリアス紀としたほうがよいと思われる。

A)ジュラ紀(Jurassic Period21000万年前〜14500万年前);フランス・スイス国境のジュラ山脈によく発達し,多くのアンモナイトの化石を産する。ブロニアール(A.Brogniart)1829年に命名。

B)白亜紀(Cretaceous Period14500万年前〜6500万年前);英仏海峡両側に広く発達するチョーク(chalk,白亜。白墨のようなやわらかい石灰岩で有孔虫・ナンノプランクトンなどの石灰質の微化石を多量に含む)に基づいてダロア(d'Halloy)1822年に命名。

 

中生代の生物

中生代は,は虫類とアンモナイトの時代といわれる。アンモナイトは中生代を代表する海生の軟体動物頭足類で,オウムガイ類と同じく,イカやタコが貝殻の中に入っているようなものである。貝の内部が隔壁(セプタ)によっていくつもの部屋に仕切られているが,オウムガイと違って,これらのセプタが貝殻と接する部分,すなわち縫合線がきわめて複雑な曲線を描いている。

アンモナイトはすでにシルル紀に現れているが,古生代のアンモナイトの巻き方は比較的単純であったが,中生代のものになるとしだいに複雑になり,特にジュラ紀・白亜紀になるときわめて複雑になった。また,貝の大きさも大きくなった。アンモナイトの分類と進化をみるときに縫合線の描く模様はきわめて重要であり,これによって種を区別し,さらに地層を細分し対比することができる。白亜紀の末期になると,殻の巻き方に変則的なものも現れる(下図V)。進化の過程で,このような変則的なものが現れるようになると,そのなかまは衰亡に近づいたことを物語っているという説もある。事実アンモナイトは白亜紀の終わりに完全に絶滅してしまったが,その原因は恐竜の絶滅同様,いろいろと推測されている。

 

鳥のなかまもジュラ紀に現れた。は虫類のなかまにも翼をもつプテラノドン(Pteranodon)などがあるが,ドイツ・ババリアのゾルンホーフェンの石版石採掘場で発見された始祖鳥(Archaepterix,ジュラ紀)は,はっきりした羽(羽毛)をもっている。最近,中国から鳥類の起源にかかわる多くの化石が発見され手いる(後述)。中生代には,古生代型の裸子植物やシダ植物にかわってソテツモドキ(キカデオイデア:Cycadeoidea,ニルソニア:Nilssonia)などの中生代型裸子植物や,イチョウやソテツ,針葉樹類などの現在もみられる裸子植物,クラドフレビス(Cladophlebis)などのシダ類,が栄えた。

 エントモノチス(Entomonotis,トリアス紀),イノセラムス(Inoceramus,白亜紀),トリゴニア(Trigonia,三角貝,ジュラ紀・白亜紀)は,中生代の二枚貝の代表的な示準化石である。

[恐竜] は虫類,特に巨大な恐竜も中生代の代表的な生物である。最近,日本でも恐竜化石の発見が相次ぐようになった。特に福井県・石川県で多い。ディノサウルス(恐竜)という名は,イギリスの解剖学者リチャード・オーウェンが1841年に造語したものである。それまでみつかっていた化石を解剖学的に調べなおし,それまで知られていた爬虫類とはまったく異なる化石種であることをつきとめた。それらはいずれも非常に大きく,身体の下に太い脚をもつ陸上動物であった。そこでオーウェンは,ギリシア語のディノス(恐ろしい)とサウロス(トカゲ)を合わせて恐竜と名づけた。現在,恐竜は次のように分類され,腰の骨の構造の違いからは大きく2つに分けられている。

 

新生代の区分

 新生代(新しい生物の時代)は中生代がは虫類の時代といわれるのに対して,哺乳類の時代といえる。ほぼ6500万年前に始まる新生代は,古第三紀,新第三紀・第四紀に大分され,さらに細分されている。1819世紀初めにかけて第一紀・第二紀に続く名として使われていたものであり,いまでは第一紀は先カンブリア時代と古生代,第二紀は中生代となり,第三紀と第四紀だけが新生代の中の紀として残されている。第三紀は古第三紀(Paleogene Period)と新第三紀(Neogene Period)にわけられるが,一括して第三紀とよぶ場合もある。その場合にはこの2つを亜紀としている。第四紀は第三紀に続き,平野などのできた時代として提案され,人類の時代ともいわれている。

 

人類の出現と進化

 地学I 第2部第2章第2節参照

 

<参考文献・引用文献>

●小嶋 稔 岩波新書「地球史」岩波書店

●岩波講座 地球科学6「地球年代学」岩波書店

●浅野 清・松本達郎ら「地史学」上・下 朝倉書店

●湊 正雄「日本の第四系」築地書館

●川井直人・池辺展生ら ブルーバックス「人類の現われた日」講談社

●埴原和郎 中公新書(増補版)「人類進化学入門」中央公論社

●大森昌衛 朝日小事典「古生物学」朝日新聞社

●小畠郁生 カラー自然ガイド「失われた生物」保育社

●堀江正治「琵琶湖底深層1400Mに秘められた変遷の歴史」同朋舎出版

 

 

 








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