トップ理科総合B 改訂版2部 地球の誕生と地球の姿>第2章 惑星としての地球>第2節 地球の進化と生命の誕生

2節 地球の進化と生命の誕生

 

10 原始地球の成長

11 マントルと核の分離

14 ミラーの実験

原始大気の形成

マグマオーシャン

地球の進化

原始海洋の形成とはたらき

地球環境

惑星大気

生命の誕生

生命の誕生と地球環境の変化

先カンブリア時代


 

   教科書の主な図の解説                           

10 原始地球の成長

 微惑星の衝突合体でできた原始地球は現在よりかなり小さかったと考えられている。原始地球の重力でまわりの微惑星が次々と地球に落下し,次第に原始地球は大きくなっていった。

 その微惑星の衝突の際,微惑星の中の水や二酸化炭素などの揮発成分が蒸発分離して,原始大気を形成した。したがってこのときの大気の組成は水蒸気,二酸化炭素,窒素などであったと考えられる。

 微惑星の衝突や,原始大気の温室効果で,表面の温度が上昇し,地球は表面から溶けてマグマオーシャンをつくったと考えられている。

 

11 マントルと核の分離

 原始地球の表面のマグマオーシャンは次第に内部にまで及び,その中で重い鉄などは内部に沈み,軽い岩石と分離していった。マグマオーシャンの底の鉄はさらに内部の軽い物質と入れ替わって核を形成する。このときの重力エネルギーによって内部の温度が上昇した。

 

14 ミラーの実験

 ミラーの実験は,化学進化を証明する実験の1つである。ミラー(S.L.Miller)はユーリー(H.C.Urey)が唱えた原始大気(メタン,アンモニア,水素,水蒸気)に放電エネルギーを与えてアミノ酸の合成に成功した。上部の電極のあるフラスコは原始大気と同じ混合気体が入っていて,放電火花は雷を想定したものである。下部のフラスコは水が入っていて原始海洋を模したものである。

 

   教科書の内容の解説                           

原始大気の形成

隕石にはH2OCSなどの揮発性物質が含まれている。微惑星が隕石物質と同じ組成だと考えると,これらの揮発成分は,原始地球への衝突によってガスとして解放される。この過程を衝突脱ガスとよぶ。たとえば,衝突速度が2km/s以上になるとH2Oの脱ガスが始まり,4km/s以上では完全に脱ガスしてしまう。微惑星中にはこのような揮発成分は0.1%以上含まれていたと考えられているので,脱ガスによってできる原始大気はかなり多い。未分化の原始地球からの脱ガスはこの過程で,原始地球が現在の直径の5分の1くらいになると脱ガスが起こりはじめる。

 

マグマオーシャン

微惑星の衝突によって,微惑星のもつ重力の位置エネルギーが解放されて地球は高温になり,大気中のH2Oの温室効果のため,この熱が宇宙空間に放出されず,原始地球の表面の温度はしだいに上昇する。一説によると,原始地球の大きさが現在の直径の2分の1程度になると原始地球の表面がとけはじめ,マグマオーシャンが形成される。

 マグマオーシャンの深さは衝突する微惑星中のH2Oの量によって決まる。H2Oが多いと,原始大気中のH2Oも多くなり保温効果は強くなる。微惑星中のH2O0.1%であれば,マグマオーシャンの深さは数十kmであるが,2%あれば1000km以上にもなる。

 

地球の進化

 マグマオーシャンの中では重い鉄分は内部に沈み,それより軽い岩石成分は表面へ移動する。中心部はまだ溶けた状態ではないので,その外側の鉄分より密度が小さく,次第に鉄と入れ替わっていく。中心を構成して鉄と入れ替わった固体成分も,鉄と岩石に分離し,主に鉄でできた核と,そのまわりの岩石でできたマントルに分離する。

 やがて,微惑星の衝突も少なくなってくると,表面の温度が下がり,表面のマグマが固まり原始地殻をつくった。また,大気中の水蒸気が凝結して原始海洋が誕生した。グリーンランドで発見された38億年前の岩石には,れきや枕状溶岩(水中に玄武岩質の溶岩が流れ出してできたもの)が含まれていて,そのころには海が存在していた証拠とされている。海の誕生は,大気の組成や地表の気温に大きな影響を与えた。大気中の二酸化炭素は海に溶け,カルシウムイオンと反応して石灰岩をつくり,大気中の二酸化炭素はどんどん減少し,その温室効果も弱くなって気温が下がっていった。

 

原始海洋の形成とはたらき

 微惑星の衝突が減少すると,表面の温度が下がり,大気中の水蒸気が雨になって降り,原始海洋を形成した。地表の水は岩石中の水に溶ける物質を溶かし,大気中の二酸化炭素も溶かしていった。水に溶けた二酸化炭素は,カルシウムイオンと反応し,水に溶けない炭酸カルシウムとして海底に固定され,大気中の二酸化炭素はますます減少していった。

 

地球環境

 地球には大気が存在する。大気が存在するための条件は,ガスの種類,地表の温度と重力の大きさをきめる天体の質量・大きさによる。重力が小さな天体が大気をもてるのは,地表温度が低く,重いガスの場合で,土星の衛星タイタンや海王星の衛星トリトンが大気を持っているのはこのためである。

  地球の大気の組成は金星や火星と異なっている。しかし,地表付近に存在する揮発成分をすべて大気に戻して考えると,水以外はよく似たものになる。地球上の石灰岩中のCO2成分を大気中に戻すと,大気の98%は二酸化炭素になる。これは金星(96),火星(95)とほとんど同じである。したがって液体の水の存在がその後の大気組成に影響を与えていると考えられる。

 液体の水が存在するかどうかは地表の温度による。地表の温度は太陽からの距離と大気のようすで決まる。地球に海が誕生した頃,液体の水が存在できる惑星の条件は,太陽から0.651.25天文単位の範囲であったという。これから考えると,金星にはかつて海があった可能性はある。しかし,その後太陽は明るくなりその範囲は外側に移っていったと考えられる。

 

惑星大気

主な惑星の大気の化学組成は,次の表Uのようになっている。これによれば,惑星には3つのタイプの大気があることがわかる。1つは木星のようにH2Heからなる大気,2つ目は金星・火星のようなCO2を主成分とする大気,3つ目は地球のN2O2を主成分とする大気である。これらの大気の違いは惑星大気の進化と深い関連がある。原始太陽系は,濃い星間ガスの中でガスと固体物質の集積によってできた。原始太陽が生まれて約107年後には現在より103105倍も強いエネルギーを放出する時期(おうし座T型星段階)に達し,このときの強い紫外線や太陽風によって太陽系内の多量の星間ガスは散逸してしまったと考えられる。

この時期,木星より太陽に近い惑星はほぼ成長を完了していた。惑星の誕生時の大気は,当然,星間ガスすなわち太陽と同じ組成をもっていたはずであるが,太陽強い放射によって,太陽に近い惑星の大気はすべて消失したと思われる。したがって,大気の散逸がなかった木星は当時の原始大気の組成をそのままもち続けているが,地球・火星・金星の大気は,その後2次的にできた大気であると考えられる。これらの惑星では,その後の火山活動による脱ガス作用により内部からCO2や水蒸気(H2O)が多量に放出されたと考えられる。このうちの水蒸気は,地球では冷えて水になり海をつくった。金星でも一時的に海ができたかも知れないが,気温が高いため蒸発し,さらには紫外線によって分解して水はほとんどなくなってしまった。

 また火星では水は凍結してほとんどが氷になってしまっている。したがって,地球だけが海をもち,大気中の二酸化炭素が多量に水に溶け,現在では石灰岩中に固定されている。また,海で発生した生物によりつくられた酸素が増加し,現在の大気になったと考えられる。

 このように各惑星の大気は見かけ上異なっているが,これらの違いは,各惑星の太陽系内の位置の違いによって異なった進化をしたことが1つの大きな原因となっている。

 

生命の誕生

 原始大気のような簡単な物質から,最初の生命らしい形のものができる過程を化学進化といい,生命が誕生してから現在に至るまでの進化をダーウィン進化とよぶ。

 ミラーの実験における原始大気の組成は,メタン,アンモニア,水素などであったが,現在の地球形成論では,原始大気は二酸化炭素,一酸化炭素,窒素,水蒸気であったと考えられている。そして,このような大気でもわずかであるがアミノ酸の形成が確かめられている。

 生命のもとになる物質の誕生の場として,最近,深海の熱水噴出孔環境が注目されている。

 熱水噴出孔環境の特徴は,まず第一に高温(200350),高圧(200300気圧)で,有機物を合成するエネルギーが十分にあることである。第二に,熱水孔からメタン,水素,アンモニアなどアミノ酸を合成しやすいガスが出ていることである。第三に,化学進化において重要な役割を果たす金属イオン濃度が高い環境であることである。

 このような熱水噴出孔の環境でアミノ酸が生成することは,実験でも確かめられている。

 生命のもとになる物質が宇宙からやってきたという説もある。有機分子は宇宙空間にもたくさん存在していて,観測によりメチルアルコール,エチルアルコール,アセトアルデヒドなどの存在が確かめられている。したがって,アミノ酸の存在の可能性もある。また,1969年オーストラリアに落下したマーチソン隕石からアミノ酸が検出されている。

 

生命の誕生と地球環境の変化

(第2部第2章第1節参照)

 現在までに発見されている最も古い化石は,35億年前のラン細菌(シアノバクテリア)と考えられているものである。これは光合成をして酸素を作り出す。当時,海洋にも大気中にも酸素はほとんど存在しなかったが,海洋で生まれた生物の光合成で次第に酸素が増加し,海洋では鉄イオンと反応し,縞状鉄鉱層ができた。今からおよそ25億年前である。それ以後,大気中の酸素が次第に増加して陸上生物が現れた4億年前には現在と同じくらいの酸素量になった。

 

先カンブリア時代

地学I 第2部第2章第1節参照)

 

<参考リンク>

●生命の星・地球博物館 展示ガイド

http://nh.kanagawa-museum.jp/tenjiguide/museum1.html

小田原市にある生命の星・地球博物館の展示ガイド。地球誕生から生命誕生などの各テーマについて,隕石や最古の堆積岩などの写真とともに見ることができる。

 

 

 

 

 

 








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