トップ理科総合B 改訂版2部 地球の誕生と地球の姿>第2章 惑星としての地球>第1節 地球と他の惑星

1節 地球と他の惑星

 

1 原始太陽系星雲から原始惑星の誕生

太陽系の誕生

地球の誕生

地球型惑星の共通性

水星

金星

火星

トピックス 火星に水がある

トピックス 月の起源

木星

土星

天王星

海王星

冥王星

太陽系の天体の新しい定義と名称

小惑星

彗星

地球型惑星と木星型惑星

月の公転周期と自転周期

ケプラーの法則

実習 月のクレーターを調べる

実習 惑星の共通性と多様性


 

   教科書の主な図の解説                           

1 原始太陽系星雲から原始惑星の誕生

 (a)は,回転する原始太陽系星雲の中心に原始太陽ができ,そのまわりを星間物質が回転しているようすを表している。(b)は,原始太陽の周りを回る星間物質が円盤状にさらに薄くなり,重い星間塵(固体微粒子)が集まり,それがバラバラに壊れて微惑星になって,その微惑星の衝突合体で原始惑星が形成された段階である。原始惑星のまわりには水素やヘリウムの星間ガスが残っている。この後,太陽近くのガスは吹き飛ばされ,太陽から離れたガスが残って木星型惑星にとらえられ,地球型惑星と木星型惑星の違いが生じた。

 

 

   教科書の内容の解説                           

星を大きく分けると恒星と惑星になる。恒星は核反応によってエネルギーを現在生成していたり過去に生成した天体である。一方,惑星はそうした恒星のまわりを回っている原子核反応を起こさない天体のことをいう。太陽のまわりには,9個の惑星があり,太陽からの引力によって太陽のまわりを回っている。これを太陽系というが,太陽系内での大きさの尺度としては太陽と地球の平均距離を用い,天文単位とよぶ。天文単位を用いることによって,太陽系内での特徴的な距離は,ほぼ1から10のオーダーの値で表現できる。太陽系内には惑星以外にも,火星と木星の軌道の間にたくさん存在する小惑星,惑星のまわりを回っている衛星やリング,離心率の大きな軌道をもつ彗星などが存在している。

 

太陽系の誕生

 46億年前,水素・ヘリウムを主成分とする星間物質の密度の高い部分(星間雲という)が収縮して中心部に原始太陽が形成された。原始太陽のまわりには円盤状の原始太陽系星雲が回転し,その中の固体微粒子が集まって,直径110kmくらいの微惑星とよばれる小天体が生まれる。これらが衝突合体を繰り返し,さまざまな大きさをもつ原始惑星ができる。

 太陽に近いところでは,微惑星の密度が大きく,衝突がさかんで,原始惑星の成長が速い。太陽から遠いところではゆっくりと大きな原始惑星ができる。この原始惑星がコアとなってまわりのガスを捕獲し巨大ガス惑星ができる。

 このようにして原始地球は他の惑星と共にできた。地球の誕生は,原始太陽系星雲ができて1000万年くらいしかたっていないときで,地球の誕生は4546億年前になる。

@ガスとダストからなる低質量円盤(原始惑星系円盤)の形成。

Aダスト成分が赤道面に沈降。

B微惑星が形成される。

C微惑星の集積合体により岩石質の固体惑星ができる。

D岩石コアにガスが流入。木星・土星の形成。

E残ったガス成分が散逸し,円盤が消失する。太陽系の完成

 

 

地球の誕生

 最近,地球・月・隕石中のウランやトリウムなどの放射性同位体の同位体比の研究から,いろいろな元素が生成されるまでには,地球誕生以前に約100億年の時間がかかったといわれるようになった。図Tに示すように元素のできる頻度はしだいに減ってきているが,約46億年前に,数千万年の間に激しい元素合成反応が起こったといわれる。これは,太陽系スパイクといわれている。このときに,現在,地球上や隕石中に存在しないヨウ素129(129I)やアルミニウム26(26Al)など,半減期の短い元素ができたという。太陽系スパイクは,後で太陽系になる星間雲の比較的近くで起こった超新星の爆発によるといわれ,その衝撃で原始太陽系の星間雲が収縮を始め,中央の原始太陽や,地球を含む惑星の形成となったという説もある。これが約46億年前である。

 

原始太陽系中の星間雲の集団の1つが収縮して,原始地球が誕生した。星間雲は初めガス状であるが,しだいに数ミリメートル程度の粒子となり,さらにそれらの粒子が衝突したり合体したりして,原始地球や惑星になったといわれている。原始太陽系星雲から惑星ができるまでの時間は,力学的な計算によると,数百万年から数千万年程度の比較的短い間となる。

 

地球型惑星の共通性

 比較的太陽に近い4つの惑星が地球型惑星である。半径が小さい割に質量が大きく,密度が大きい天体である。岩石の表面があり,中心部には鉄の核があると考えられている。岩石の表面にはクレーターがあるが,各惑星によってその数や状態はかなり異なる。

 

水星

 水星の観測は,1974年から1975年にかけての惑星探査機マリナー10号によって行われた。月のように一面クレーターに覆われていて,水星誕生後間もない頃,激しい微惑星の衝突があったことがわかる。また,水星表面には,ベースンとよばれる盆地状の凹地や,リンクルリッジとよばれる高低差数km,長さ数百kmの断崖地形が数多く見られる。これは水星内部が冷却したとき,水星全体が収縮してできたと考えられている。

 大気はない。太陽に近いことと,半径が小さいため,地球や金星のように大気をもつことができなかったと考えられる。

 マリナー10号は,水星のまわりを6か月ほどの周期で回る軌道をもち,数回にわたって水星の磁気圏の観測も行ってきた。その結果,水星の磁場の強さは地球磁場の約1%ほどで,地球にくらべるときわめて小さいが,火星や金星にくらべるとはるかに強い磁場をもつことが確認されている。こうしたことから,水星は地球のように鉄を主成分とする核をもつと考えられるが,その平均密度などから,水星では核の部分が比較的大きく,水星の質量の80%ほどを占めていると推定される。しかし,水星の自転周期は約59日であるので,その自転速度は地球のそれにくらべてきわめて遅く,水星の磁場の発生する原因についてはよくわかっていない。

 

金星

 金星は,その大きさや太陽からの距離などから考えて,地球に似た条件の下に形成されたと考えられているが,地表のようすや大気組成は地球とはまったく異なっている。

 原始金星にも地球のように多量の水蒸気があり,海ができたかもしれないが,地球より太陽に近いため高温で,液体の水として安定して存在することができなかったと思われる。蒸発した水蒸気は強い紫外線で水素と酸素に分解されて,水素は宇宙空間に逃げてしまった。このように海が存在しない金星では,二酸化炭素が海水に溶けることなく,大気中に残り,大気の96%が二酸化炭素になっている。このために,太陽光は厚い雲に覆われて2%余りしか地表に達しないが,温室効果によって460℃の高温になっている。その他,金星の大気組成としては,N2O2SO2H2Oなどが数%を占めている。全体の大気量は地球よりはるかに多く,地表での大気圧は90気圧になる。

金星の大気は厚い雲におおわれていて,雲は急速な回転をしている。写真で見える上層雲はわずか4日間で自転している。この雲の色は黄色で,地球の雲とは異なっている。これは雲粒が硫酸滴からできているためといわれている。また,この雲の下では雷が起こっているらしいことを,ベネラ1112号が見いだしている。

 金星の表面は,硫酸の厚い雲のため可視光線での観測は難しい。金星表面の初めての観測は,1975年の旧ソ連の金星着陸機ベネラ9号によって行われた。これによると表面は玄武岩質の岩石で覆われている。

 1990年代前半にアメリカの金星探査機マゼランは電波で詳しく観測し,表面の95%の観測に成功し,金星の地形図を作成した。表面は地球に比べて平らで,平原が60%,高原が13%,低地が27%である。高原は北半球と南半球に1つずつあり,大陸とよんでいる。北の大陸はオーストラリアぐらいで,高さは平均3kmぐらいでいくつかの山脈をもっている。南の大陸はアフリカぐらいの大きさで山脈も高く起伏も大きい。両大陸にはカルデラの特徴をもった火山性地形もある。金星表面の年齢は5億年程度と考えられる。金星にもプレートテクトニクスに特徴的な地形や火山地形の存在があるにもかかわらず,表面に存在するクレーターの分布がランダムであることやその形状に変形が見られないという事実を説明する理論がいくつか提唱されている。

 金星の表面の岩石には比較的新しいと思われる溶岩もあり,火山活動も考えられる。プルームの上昇・下降のようなマントルの活動があるかもしれない。

 

火星

 火星の大気は二酸化炭素が95%で,組成は金星とよく似ている。しかし,気圧は地球の約150分の1しかなく,温室効果も弱い。大気中のCO2の約20%は冬にはドライアイスとなり,極冠を発達させていて,このため夏と冬とで気圧変化が生じている。この気圧変化が大気の循環をひき起こしている。火星の大気は希薄であるが,大気中に凝縮雲と塵の雲がしばしば見られる。これらは水蒸気や二酸化炭素が凝縮してできたもの,あるいは地上の微小な粒子が強い風によって吹き上げられたものである。この塵の嵐はしばしば現れ,火星表面の大きな領域をおおう。気象現象も見られ,台風や砂嵐,雲や霧の発生などが確かめられている。

 1971年,マリナー9号は約1年間火星のまわりを回りつづけ,火星表面のほぼ全域の写真を撮影した。さらに1976年にはバイキング1号,2号が火星表面に軟着陸し,より詳細なデータを提供してくれた。

表面は地球と同じように変化に富んでいて,クレーター,火山,峡谷,水が流れたと思われる地形などがある。火星の北半球は,クレーターの密な部分と,比較的なだらかな平原の部分がある。

南半球はクレーターが多く,いくつかの大きな盆地がある。クレーターは火山性のものと隕石の衝突によるものとの2種類があり,南半球のクレーターは北半球のものより古い。これは北半球の火山活動が古いクレーターを消してしまったためと考えられる。火星にはタルシスとエリシウムとよぶ巨大な火山性の盾状地があり,流動性に富む溶岩流が広く分布している。タルシス盾状火山群の中のオリンポス火山は高さ25km,直径600kmにも及ぶ巨大な死火山で,頂上付近には直径80kmもあるカルデラが見える。この火山は地球で最大のマウナ・ロアの50100倍はある。一方,隕石の衝突によるクレーターも多い。微惑星の衝突によってできたクレーターが数多く残っているのは,地球より侵食作用が少なかったためであろう。火星の赤道の南側にある巨大なマリネリス峡谷は長さ4000km,幅100km,深さ7kmもある。

 現在の火星には液体の水はなく,氷と水蒸気だけである。しかし,峡谷付近の地形には,流水の侵食・堆積作用によって形成されたと思われるものが多数ある。また,河床地形も多い。河床地形には,水流河床・氾濫河床・蛇行河床があり,地球の流水による地形と非常によく似ている。かつてまだ火星が温暖であった頃,液体の水が存在していたと考えられる。この水が現在どうなったかはよくわからないが,氷として表層に残されているとか,マントル中に蓄えられているという説がある。

 

トピックス 火星に水がある

 NASA(米航空宇宙局)が打ち上げた火星探査機マーズエクスプロレーション・ローバ「スピリッツ」と「オポチュニティ」はそれぞれ約48700万km,45600kmを飛行し,200414日,125日に火星に到着した。マーズバスファインダ計画で使われたエアバック着陸システムが使われ,赤道付近のほぼお互いに反対地点に無事着陸し,2台のローバーがそれぞれの地点で火星の大地を動き回り探査をはじめた。

 その結果,同年3月に火星に水が存在する証拠が見つかったと発表された。その証拠というのは次のような岩石の分析からである。

 @ 硫酸塩を豊富に含む。(岩石が水中に長く浸かっていたことによる)

 A 鉄ミョウバン石が存在する。(岩石が水中に長く浸かっていたことによる)

 B 長さ約1cmの細長い空洞が数多くある。(水に溶けていた無機塩類が結晶化し,その後脱落した跡)

 C 岩石内の直径数mmの球体が多く見られる。(Bの空洞に再び水が浸入し無機物が雪だるま式に固まってできた。)

 D 鉱物の結晶が詰まった亀裂がある。(水分を含んだマグマが冷え固まるときに亀裂ができ,そこに水がたまって中の鉱物成分が結晶化した)

 

トピックス 月の起源

 月は最も近い天体であるが,その成因がわかってきたのはつい最近のことである。

 月の起源については,昔から3つの代表的な説があった。遠心力で地球の外層部がちぎれてできたとする親子説。地球の連星として地球と同時に微惑星からできたと考える兄弟説。地球のそばを通りかかったときに地球に捕まったと考える他人説(捕獲説)である。しかし,近年,月から持ち帰った岩石の年齢や,月の内部の研究などからどの説にも矛盾があることがわかった。

 これらの問題を解決できそうな説が1984年の「月の起源会議」で有力になった「巨大衝突説(ジャイアント・インパクト説)」である。これは,原始地球に火星くらいの他の原始惑星が衝突し,その原始惑星が破壊されてまき散らかされた破片の一部が原始地球の周りに土星のリングのような円盤をつくり,それが集積して月ができたと考える説である。現在ではコンピュータ・シミュレーションを用いて詳しく調べられるようになっている。

 

木星

 木星は地球型惑星と2つの点で大きく異なっている。1つはその化学組成で,平均密度1.3 g/ cm3太陽の平均密度(1.4 g/cm3 )に近い。化学組成も水素とヘリウムが主成分なので太陽と同じである。太陽と他の惑星は同じガスと塵から誕生したと考えられるので,木星のような大きな惑星は当初の化学組成をそのままもっているはずで,そういう意味からも太陽とほぼ同じ化学組成と考えられている。太陽と異なる点は,自らエネルギーを作り出さないので,内部までガスではなく,外側は気体で,内部になるほど圧力が強くなって液体水素から金属水素に変わっていく。金属水素は電気の良導体であり,これらが対流を起こすために木星の強い磁場が存在すると考えられている。中心部は,質量が地球の10倍程度の岩石と氷からなる核があると考えられている。

 もう1つは,木星内部の熱源である。惑星探査機の赤外線観測によると,木星が放射する赤外線は,木星が吸収する太陽のエネルギーの1.52倍にもなっている。したがって,木星は内部にかなりの熱源をもっていることになる。その熱源については十分な説明がなされていないが,木星が誕生した当時の熱が内部に閉じ込められそれが定常的に放出されているという考え方もある。

                                 

 

木星表面には赤茶色や白色の縞模様が見える1974年のパイオニア10号の観測によると明るい帯は暗い縞の部分より温度が低い。明るく見える帯は大気の上昇気流があり,アンモニアの雲ができ,太陽光を反射して明るく見える。暗い縞は,下降気流のため雲が薄く反射が弱いところと考えられている。大赤斑は,それよりさらに温度が低いので,もっと強い反時計回りの上昇気流の領域であると思われる。

 縞模様は動いていて,東西方向の風とほぼ同じ動きをしている。この風は風速50150 m/s で吹いていて,東風と西風がすれ違うところで大小さまざまな渦模様ができている。南半球にある大赤斑は直径26kmにも達し,300年以上存在している。

 木星の大気のようすは,1989年に打ち上げられ,1995年に木星に到達したアメリカの探査機ガリレオによって観測されている。厚い大気は主に水素からなり,その運動は,地球と異なっている。木星には,地球のように大気の動きに影響するような固体表面はない。したがって,極と赤道との間の温度差が少ない。また,地球の大気の動きのエネルギー源は太陽放射であるのに対し,木星では内部からの熱が太陽放射と同程度ある。さらに,自転速度が速く(周期10時間),そのための転向力も大きい。これらの要因により,木星での大気の循環は南北方向の流れはほとんどなく,東西方向の帯状の風が吹いている。木星の高圧域・低圧域における温度差がこの風の原因である。

 1979年,ボイジャー1号によって木星の表面から57000kmのところに薄いリング()のあることが確認された。このリングは非常にぼんやりしていて光に対してほとんど透明である。リングの内側には,さらにぼんやりした円盤状の雲の層があり,木星本体まで続いている。リングはオレンジ色で,半径4μmほどの小さな粒子からできていると考えられていて,その粒子は土星のリングのような氷状ではなく,岩石質の物質ではないかと思われている。

 

土星

 土星の構造も木星とよく似ていて,中心の岩石と氷の核のまわりに金属水素とヘリウムでできた領域があり,その外側を液体水素の層が取り巻いている。金属水素の層は土星半径の60%を占め,そこでの対流が土星の磁場を形成している。ハッブル望遠鏡の観測では両極にオーロラの発生が確かめられている。

 表面には木星ほどはっきりしていないが,縞模様があり,その数は30以上に達する。また雲状の模様もあるが,木星とくらべて数は少ない。木星同様,大気の東西の運動がある。

 土星のリングは他の惑星のものより明るく,地球からでも観測できる。リングは内側からDCBAFGE7つに分けられている。最も外側のEリングは土星の半径の8倍まで広がっている。外側のAB環が明るく,その間はカッシーニの間隙とよばれている。B環の内側がC環であるが,半透明でAB環にくらべて目だたない。Cの内側にもD環があるが地球からは見えない。 

 リングの幅は非常に広いが,厚さは薄く,数十〜数百mしかない。このため横から見るとまったく見えなくなる。ABCリングを構成している粒子は主に氷からできていて,大きさは数cm〜数mといわれている。

 ボイジャーによって,土星のリングは小さな間隙で仕切られた何千もの小さな環の集合であることがわかった。また,カッシーニの間隙にも多数の小さな環が発見された。さらに地球から見えない,A環の外側にあるFGE環の発見など,土星のリングの構造の新しい発見は,ボイジャーの大きな成果の1つである。

 

 

天王星

 天王星や海王星の表面が青緑色に見えるのは,大気に含まれるメタンが赤系統の光を吸収するからである。天王星の大気も木星や土星と同じで,水素とヘリウムである。中心には岩石と氷の核があり,その外側が大気の層で,その厚さは木星や土星より薄く,核が占める割合が大きい。

 天王星の自転軸は98°も傾いていてほぼ横倒しになっている。これは惑星形成後早い時期に中心から外れたところに原始惑星の大規模な衝突があったためかもしれない。非常に遠い天体なので,19861月にボイジャー2号が接近するまでは表面のようすについてほとんどわかっていなかった。天王星の表面には,木星・土星と同様,雲が認められ,自転周期(17時間)よりやや速い速度で回転している。これは,天王星にも自転方向と同じ向きの風が吹いていることを示している。自転軸が横だおしになっているにもかかわらず,地球・木星・土星と同じような風が吹いていることは注目されるが,この大気の循環がどうして起こるのかについてはまだよくわかっていない。

 天王星のリングは,地上からも掩蔽(天体が他の天体の前を通過するため,後ろの天体がかくされる現象)を利用して5本発見されているが,ボイジャーの観測でさらに6本が見つかっている。これらは土星のリングと違って反射能が小さいため,非常に暗い。リングをつくっている物質が異なるのかもしれない。また,リングの幅も非常に狭く土星より細いものである。雲以外にも帯状の模様も見いだされているがはっきりしたことはわからない。

 

海王星

1841年,イギリスのアダムス(J.C.Adams)は,未知の惑星が天王星の運動に摂動を与えていることから,新しい惑星を予測した。しかし彼の成果は注目されなかった。1845年,フランスのルヴェリエ(U.Le Verrier)がアダムスと同じ結果を得て,それをもとに1846年,ドイツのガレ(J.Galle)とダレ(H.DArrest)により新しい惑星が発見された。

 海王星の表面も内部構造も天王星に似ていると考えられている。ボイジャーの観測では,木星の「大赤斑」に似た「大暗斑」があり,300 m/s もの速度で移動していることがわかった。しかし,1994年のハッブル望遠鏡の観測では,この大暗斑は消えていて,別の暗斑が見つかっている。他の木星型惑星と同じように東西の大気の動きがあり,その速さは400m/sに達している。内部に大きな熱源が存在するのではと考えられている。

 

冥王星

20世紀の初めには,ローウェル(P.Lowell)とピッカーリング(W.H.Pickering)が,天王星・海王星の運動に見られる摂動から,海王星の外側の惑星の存在を予言した。そして,1930年にトンボー(C.Tombaugh)によって冥王星が発見された。しかし現在では,冥王星の質量は小さく,天王星や海王星に摂動を与えることはできないことがわかっている。1978年,アメリカで半径約500km 冥王星の衛星(カロン)が発見され,質量が求められている。これによると,地球の400分の1ぐらいといわれ,,これから平均密度を求めると1.6g/cm3ぐらいになる。したがって大部分,氷のような物質からできていると考えられるようになっている。

 冥王星は木星型惑星とは違って非常に小さく(半径約1100km),厚い大気もない。日本のすばる望遠鏡の観測では,冥王星の表面には固体のエタンが,カロンの表面には氷が存在することがわかっている

 

太陽系の天体の新しい定義と名称

国際天文学連合(IAU)は20068月に開催された総会において,太陽系の天体に関する定義を決めた。これにより冥王星は惑星ではなく,冥王星型天体(下記)の代表として位置付けられることになった。

 冥王星は1930年にアメリカのクライド・トンボーによって発見された。当初は地球よりも大きな質量をもつと考えられていたが,1978年に発見された衛星カロンの観測から,地球の質量の1/400(月よりも小さい)に過ぎないことがわかった。

1992年に新天体1992QB1が発見されてから,冥王星のように海王星の外側を通る軌道をもつ天体が数多く発見されるようになった。これらの発見の背景には暗い天体(明るさの乏しい天体)や大きさの小さい天体を検出する観測技術の向上がある。これらの天体は,軌道長半径が海王星のそれより大きいのでTNO(trans-Neptunian objects),あるいはその存在を推定した2人の研究者の名からエッジワース・カイパーベルト天体などとよばれてきた。1990年代の終わりには,冥王星に小惑星番号10000番をつけるという提案がIAU内でなされたが,大多数に支持されることはなかった。

2000年代に入り,海王星以遠の領域には次々と比較的大型の天体が見つかり始めた。ついに,2005729日,後にエリスと名づけられた天体2003 UB313は冥王星より大きいことが発表された。そして,2年近い討議と特別委員会での検討をふまえ,2006年のIAUの総会で,惑星の定義を含めた太陽系内の天体についての決議が行われた。

日本学術会議では,研究者・学校教育関係者・社会教育関係者・報道関係者など20数名からなる小委員会をもうけて,新しい太陽系の天体に関する概念について検討を重ね,その成果を3つの報告にまとめた。それによると,太陽の周りを回る天体は次のの3つに分類されることになる。(ただし,衛星は除く。)

1.惑星 (planet):次の3つの条件を満たす天体。

(a)太陽のまわりを公転している,(b)自己重力が他の力を圧倒するほど質量が大きいため,流体力学的平衡状態の形状(ほぼ球形)になっている,(c)その軌道の近傍には同じくらい大きな質量をもつ他の天体が存在しない。

これにより,太陽系の惑星は,水星・金星・地球・火星・木星・土星・天王星・海王星の8つになる。(冥王星は惑星ではなくなるが,その名称は変わらない。)

2.準惑星 (dwarf planet):惑星の条件の(a)(b)は満たすが(c)を満たさず,(d)衛星でない天体。

200710月現在,冥王星,エリス,ケレス(セレス)の3つ。準惑星の判定が難しく,定義に検討の余地があること,また高校までのレベルを超えることから,日本学術会議ではこの概念の使用を推奨していない。

3.太陽系小天体 (small solar system bodies):太陽のまわりを公転している他の天体。

惑星,準惑星,衛星以外の太陽系のすべての天体。すなわち,ケレス(セレス)を除く小惑星,冥王星とエリスを除く太陽系外縁天体(次の項を参照),彗星がこれに含まれる。

 

 そして,日本学術会議の小委員会は,さらに次の2つの用語を設けて,冥王星が準惑星として定義されたことよりも,太陽系の概念が広がったことの重要性を強調している。

4.太陽系外縁天体 (trans-Neptunian objects):外縁天体と略称。海王星を超えて非常に遠くまで分布する多数の小天体のグループで,冥王星もその一員である。1992年以降すでに1000個以上発見され,TNO,エッジワース・カイパーベルト天体などともよばれてきた。

5.冥王星型天体 (英語名称は未定):太陽系外縁天体でもあり準惑星でもある天体。すなわち外縁天体の中で大きなものに対応する新しい天体カテゴリーである。英語名称はなお検討中だが,日本での名称は「冥王星型天体」とすることを,日本学術会議の小委員会では決定した。200710月現在,冥王星とエリスの2つだけだが,増えていくと考えられている。

 

 

 

 

 今回の決議に対して,冥王星は惑星から外されたという報道が目立ったが,そこでとどまってしまうと,太陽系の果ては海王星になってしまう。ところが実際には,太陽系外縁天体の中には軌道が冥王星軌道のはるか外側まで広がっているものもあり,今後もたくさん見つかるはずである。また長周期彗星の軌道分布から,海王星軌道の1000倍以上の広大な領域にも多くの天体があり,太陽系を雲のように囲んでいるのではないかと考えられている。この仮想的な雲をオールト雲といい,太陽系外縁天体の広がりはオールト雲まで続いている可能性もある。

<参考>

 太陽系天体の名称等に関する検討小委員会

  http://www.scj.go.jp/ja/info/iinkai/bunya/buturi/wakusei.html

 第二報告:新しい太陽系像について−明らかになってきた太陽系の姿−

  http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-20-t39-3.pdf

 

小惑星

ボーデの法則によると,火星と木星の間に他の惑星が存在することになる。そのため,1800年からシュレー夕ー(J.H.Schroter)を中心とする天体捜索隊が組織され,新しい惑星を捜索した。そして1801年,ピアッツイ(G.Piazzi)が初めて小惑星ケレス(セレス)を発見した。1898年までは,小惑星は火星と木星の間にしかないと考えられていたが,その年に火星よりも内側の軌道をもつエロスが発見され,その後,次々と小惑星が発見された。1932年には地球軌道を横切るアポロが見つかっている。1996年6月までに軌道が確定し登録された小惑星は7000個以上ある。小惑星は,原始太陽系内に多数存在した微惑星と同じものではないかと考えられている。

 

彗星

 彗星の軌道はおよそ楕円・放物線・双曲線のいずれかであるが,つねに一定ではなく,木星や土星などの大惑星の影響で大きく変化することがある。たとえば,オテルマ彗星は周期8年であったものが,木星に近づいたとき軌道が変わり,19年周期になってしまった。また,彗星の周期はまちまちで,1973年に現れたコホーテク彗星は100万年もの周期をもつと考えられている。彗星のうち典型的なものは頭と尾の部分で構成され,頭はさらに核(彗星の本体)とそのまわりのコマに分けられる。たとえばハレー彗星の核は16km×7km×7kmのじゃがいも型で,球ではなかった。その反射能は非常に小さく,4%しかないため黒い物体に見える。また,核は周期53時間で公転面に直角な軸のまわりを回転している。

彗星が太陽に近づくにつれて,核のガス成分が気化し,ガスと塵の雲が核のまわりをほぼ球形にとり巻くようになったのがコマである。彗星の尾は,このコマの一部が太陽風などによって吹き飛ばされたものである。教図7のへールボップ彗星では2つの尾がはっきりわかる。一方はプラズマの尾で,直線状に1000万〜1億kmの長さをもち,青い光を出している。これをタイプTの尾という。この尾の中のプラズマは,電子と原子分子のイオンからできており,コマの一部が太陽風によって吹き飛ばされたものである。他方,黄色に光る尾は,太陽の反射光で光っており,ダスト(塵)の尾またはタイプUの尾とよばれている。この尾はタイプTの尾とくらべてやや短く,湾曲していることが多い。小さな固体粒子が太陽の放射圧によって吹き飛ばされたものと考えられている。ハレー彗星の塵は,その大きさが0.1/μm以下のものが多く,多量の有機物を含んでいる。すなわち予想よりはるかに多くの炭素を含んでいた。また,コマをつくっているガスでは,H2Oが多く,次いでCOという結果が出ている。

 

地球型惑星と木星型惑星

 地球型惑星と木星型惑星の基本的な違いは,その大きさと密度である。しかしこれらの違いの原因は,太陽からの距離の違いにあるといわれている。地球型惑星は,太陽に近く,強い太陽放射のためHHeなど軽い元素が飛散し,木星型惑星では太陽から遠いためそれらの元素が残っていると考えられるからである。したがって,木星型惑星は太陽の化学組成に近く,また原始太陽の物質をそのままもっているともいえる。表Tに,これらのタイプの惑星の主な相違点を示す。

 

   発展の解説                           

月の公転周期と自転周期

月の公転周期が自転周期と同じになっている原因は地球の潮汐力にある。月は地球の潮汐力により,やや細長く地球の方向に延びた形になっている。極端にいえばラグビーボールの長軸が地球に向いていると考えればよい。そのため,長軸が地球からぶれると月に働く地球の引力がそのぶれをなくすように働くので常に同じ向きを向いているのである。

 

ケプラーの法則

ケプラーは,チコ・ブラーエの膨大な観測結果の解析から,惑星と太陽の関係に関する3つの法則を見いだした。第1,第2法則は1906年発行の「新天文学」,第3法則はその10年後に「世界の調和」で発表されている。第1,第2法則は,個々の惑星と太陽の関係を示した2体問題であるが,第3法則は太陽のまわりを公転するすべての天体について成立する法則であり,前者とは趣を異にする。いずれも観測結果の作図などから導出された経験則であり,理論的に証明したのはニュートンである。

 

実習 月のクレーターを調べる

〈指導目標〉

(1) 月のクレーターの大きさを推定して,地球の地形と比較させる。

(2) 月のクレーターの形の特徴を考えさせて,地球の火山や山脈を形成する山と比較させる。

〈方法上の留意点〉

  月の上弦〜満月〜下弦の写真をコピーして生徒の数だけ用意する。半月より大きいものでないと直径が測りにくい。

  月の半径は約1740 kmである。クレーターの直径は,窪地の直径を測定するのか裾野を入れて測定するのかによってかなり異なる。どちらかに統一して測定させる。

〈考察〉

@ 月面のクレーターの大きさは,大きいものでは 直径が1000 kmを越えるものもある。地球では阿蘇山のカルデラ大きさが南北25 km,東西18 kmであるので,月の大きなクレーターは地球の火山よりかなり大きいといえる。この実習で測定できるのは中型以上のクレーターで,直径が数10kmより大きいものである。

A 月のクレーターは,窪地を持ったものばかりで,地球のカルデラ型火山に似ている。しかしカルデラの規模は地球のものよりかなり大きい。地球にも大きな隕石の衝突クレーターがあり,この規模は火山に比べてかなり大きい。

 

実習 惑星の共通性と多様性

〈指導目標〉                              

(1) 惑星についての特徴を調べさせ,惑星は地球型惑星と木星型惑星の2つに分類できることに気づかせる。

(2) 個々の惑星の特徴を調べさせて,その惑星固有の特徴と共通した特徴を考えさせる。

 

〈準備と留意点〉

・理科年表,惑星の写真集など

・インターネットを利用する場合は,水星,金星など惑星名で検索すると,詳しいデータが得られる。

 

〈考察と留意点〉

太陽からの距離が短いほど公転周期が長いので,この関係を次のようにして調べさせるとよい(下表)

 

惑星

平均距離(a)

公転周期(p)

 a3/p2  

水星

0.39

0.24

1.03

金星

0.72

0.62

0.97

地球

1.00

1.00

1.00

火星

1.52

1.88

0.99

木星

5.20

11.9

0.99

土星

9.55

29.5

1.00

天王星

19.2

84.0

1.00

海王星

30.1

164.8

1.00

 

これによって,a3/p21の関係,すなわち「ケプラーの第3法則」がわかる。

また,赤道半径は太陽に近い4つの惑星は小さく,太陽から遠い4つの惑星は地球などに比べて非常に大きいことがわかる。

    密度は逆に,太陽に近い4つの惑星は,木星などと比べて大きく,惑星には,地球のような比較的小さいが密度が大きいグループと,木星に似た大きくて密度の小さい惑星の2つのグループがあることがわかる。

 (1) 太陽に近い4つの惑星と,太陽から遠い4つの惑星の性質が違うことに注目させる。

(2) 密度の違いから,惑星の構成物質の違いに気づかせる。

 

〈データのグラフ化〉

(1) 教科書の<参考>は,太陽からの距離と平均密度の関係を示し,さらに大きさを加えたものであるが,平均密度と太陽からの距離の関係だけでもよい。

(2) 太陽からの距離は対数目盛にする方がよい。

(3) 質量と半径のグラフでも2つのグループがはっきりする(下図)

 

<参考資料および参考リンク>

●岩波講座 地球惑星科学1 地球惑星科学入門

地球惑星科学12 比較惑星学

●太陽系ガイドブック 寺門和夫 丸善

●惑星学が解いた宇宙の謎 井田茂 洋泉社

Newton別冊 太陽系全カタログ ニュートンプレス

日本惑星協会 http://www.planetary.or.jp/ 

惑星や彗星の解説,太陽系探査の歴史など。「こども宇宙教室」では宇宙について学べる。

すばる望遠鏡 http://subarutelescope.org/j_index.html

ハワイ島マウナケア山頂にあるすばる望遠鏡の最新情報他。

宇宙航空研究開発機構(JAXA) http://www.jaxa.jp/

2003年に,航空宇宙技術研究所(NAL),宇宙科学研究所(ISAS),宇宙開発事業団(NASDA)が統合されてできた。宇宙開発の最新情報を掲載。

●国立天文台 http://www.nao.ac.jp/

最近の天文現象や天文学のプロジェクトについて

 

 

 

 








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