トップ理科総合B 改訂版1部 地球の誕生と地球の姿>第1章 地球の姿とその変化>第4節 さまざまな景観と変動の記録

4節 さまざまな景観と変動の記録

 

火山や地震活動がつくる景観

河川のはたらき

河川がつくる景観

氷河のはたらき

氷河がつくる景観

35 海岸段丘(千葉県千倉町)

41 不整合に重なる地層

河岸段丘 

リアス式海岸(沈水海岸)

断層

褶曲

不整合

観察 地層の観察


 

 

A.さまざまな景観

   教科書の内容の解説                           

 火山や断層は地球内部の熱の輸送に伴う現象で,プレートの動きや,地球内部の熱対流が原因で起こる。一方,河川や氷河のはたらきでできた地形は,地球表面の水の循環にともなってできたものである。水の循環は太陽のエネルギーを吸収して蒸発した水が再び海に戻る現象である。

 

火山や地震活動がつくる景観

 火山 地下から上昇してきたマグマのはたらきで溶岩や火山灰などの火山砕屑物によってできた地形。桜島は安山岩質の溶岩を流出したり,多量の火山灰を噴出したりする活発な火山である。

 

 断層崖 地震によってできた断層が地上に現れたもの。

 

河川のはたらき

  河川の侵食作用は流速の2乗に比例し,運搬作用も流速が速いほど大きいものを運ぶことができる。したがって,流速が弱くなると侵食力や運搬力は急に小さくなり堆積作用が起こる。侵食・運搬・堆積のはたらきと流水の流速の関係は,れき・砂・泥など粒径の大きさに関係している。最も侵食されやすいのは砂,最も遠くまで運ばれるのが泥である。

 上流での侵食作用と下流での堆積作用が進むにつれて,河川の縦断面が次第になめらかな曲線(平衡曲線)に近づく。このとき,河川の侵食作用と堆積作用が平衡し,運搬だけが行われるようになる。このような河川を平衡河川という。

谷が深くけずられると河川は平衡曲線に近くなって,下方侵食力が弱くなる。河川の縦断面が平衡曲線になると侵食は止まる。しかし,土地の隆起や海面低下が起こると再び侵食が起こり,深い谷や広い平野ができる。

 

河川がつくる景観

 V字谷 川の上流の流れの速いところで ,下方侵食によってできた谷。土地が隆起するところでは深いV字谷ができる。黒部渓谷は河川の下方侵食と隆起が重なってできたものであるが,ここでは侵食地形として扱う。

 

扇状地 河川が山岳地域から平地に出るところで急に流れが弱くなり,れきや砂が堆積してできた扇型の地形。三角州に比べて堆積物の粒径が大きい。地形の傾斜は30°を超えるものから10°以下の緩傾斜といろいろあるが,一般的に,川が小さく運搬物の粒子が粗いと急で,その反対はゆるい。扇のかなめの部分を扇頂,広がった先端部分を扇端,その中央部を扇央という。扇状地はほとんど砂礫層からなるため,水は表流水とならず,扇頂付近から地下にしみ込んで伏流水となる。扇端地域ではこの伏流水が地表へ湧出して湧水となったり,不透水層の下へ入って被圧地下水となり,井戸を掘ると,自噴水として湧出する場合もある。

 

三角州 河川が海や湖に流入する付近では,流速が急激に減少する。そのため,流水による運搬力が減少し,運搬されてきた土砂が堆積して河口を頂点とする扇状地形ができる。その形がギリシア文字のΔ(delta)に似ていることから,三角州またはデルタとよばれている。

 ナイル川・ガンジス川の三角州をはじめとして,大きな川はたいてい海岸付近に三角州を形成する。日本でも,信濃川・阿賀野川・石狩川・江戸川・利根川・荒川・木曽川・淀川・太田川など,その例は多い。また,三角州は古来,人間生活と密接な関係をもち,特に,ナイル川,ガンジス川,チグリス・ユーフラテス川の三角州などは,文明の発祥地としても名高い。それは,平たんなこと,水が豊富であること,農耕に適することなどが有利な材料となっているためである。

 

氷河のはたらき

 

高緯度地方や高山において,降雪量が融雪量より大きいところで,万年雪が圧縮されて氷になり,低いところに移動するようになったものが氷河である。南極大陸やグリーンランドなど陸地を広く覆う氷河を大陸氷河(または氷床),ヒマラヤやアルプスなどの高山の谷にあるものを谷氷河という。

 氷河の流れる速さは1年に数十〜数百m程度であるが,流水より侵食・運搬作用は大きい。侵食地形としては,馬蹄形にけずられたカール(圏谷)U字谷などがある。氷河による運搬作用は,流水のように粒径によって異なることなく,大きいものも小さなものも同じように運ばれるので,大きさの不揃いな砕屑物が氷河の両側や末端に堆積する。これをモレーンという。ただし,氷河の底では地熱のためにとけた氷が川をつくって流れることがあり,そこでは流水とまったく同じ運搬・堆積が行われる。氷河堆積物は河川の堆積物と違って角張っているものが多い。

 図Vは谷氷河の模式図で,高山の激しい機械的風化によって崩れ落ちた大小の岩片が,それぞれの氷河の両側に積み上がり側堆石となり,その下の氷を一時とかしながら氷河の底のほうに下がっていく。氷河は合流しても混じり合わないから図Vのように側堆石によってすじがつけられている。氷河の底に沈んだ岩片は底堆石となり,これらの岩片は氷河の移動につれて谷壁と谷底を削り,図の断面に見るようなU字谷をつくる。氷河の末端ではこれらの岩片が積み重なり,端堆石をつくり,氷河がとけ去っても氷河の達していた位置を示すことになる。

 

トピックス

迷子石 北ドイツ平原には,付近の基盤岩石とは異なった大きな岩石が見られる。これを迷子石とよぶ。これは過去の氷期に氷河によってスカンジナビアやフィンランドから運ばれてきた岩石と考えられている。このように氷河は河川では運ばれないような大きなものも運搬され,氷河が溶けてしまうとそのような石が取り残される。

 

氷河がつくる景観

U字谷 氷河の侵食地形で,氷河が溶けた後,U字形の谷が残される。日本でも氷河期には山岳地域に氷河ができてカールやモレーンのような氷河地形が残されているが,U字谷はない。

 

B.景観からわかる変動

   教科書の主な図の解説                           

35 海岸段丘(千葉県千倉町)

 過去の海底にできた平坦面が,海岸線に沿って階段状に分布する地形が海岸段丘で,海成段丘ともいう。段丘面は波食による場合と堆積による場合がある。

 この千倉町の海岸段丘は,地震による隆起がつくったものである。普段は波の作用などによって平坦面が形成され,それが地震の時に隆起して段丘になる。写真のCの段丘は1703年の元禄関東地震の時に56m隆起してできたものである。@の段丘は約6000年前の縄文時代の海がつくった平坦面で海抜25mである。したがって,過去6000年の間に4回の大地震が起こったことになる。

  海岸段丘はすべて地震でできたものではなく,土地が一定の速さで隆起している間に,海面変化が繰り返し起こってできると考えられている。

 

41 不整合に重なる地層

三重県紀宝町に見られる不整合。不整合面の下の傾いている地層は岩石になっているが,上の地層は新しく,まだ固結していない。不整合面のすぐ上はれき層であることが多く基底れき層という。この図のれき層のれきは丸く,流水で運ばれてきたものである。

 

 

   教科書の内容の解説                           

河岸段丘 

河床が侵食(下刻)を受け,もとの河床が現在の河床よりも高位に段状になって残存したもの。その平たん面を段丘面,段丘面を境する崖を段丘崖という。段丘面が何段も発達している場合,一般に高位のものほどできた時代が古い。河岸段丘は,その地域の地形発達史・地殻変動のようすなどをさぐる上で.重要な資料となる。

 

リアス式海岸(沈水海岸)

  起伏の大きい海岸が,土地の沈降や海面上昇によって海面下に沈んでできた,出入りの激しい海岸地形。スペイン北西部の大西洋岸に発達し,スペイン語の湾の呼び名「リア」に由来している。

 

断層

地殻に大きな力が加わって,岩石や地層が破壊されると地震が起こる。この破壊面が断層で,図30は,断層が地上に現れたもので地震断層という。また,第四紀に生じた断層で,これからも動くと思われる断層を活断層という。

 断層は,そのずれ方によって,正断層,逆断層,横ずれ断層に分けられている。その地域にどのような力が加わったかによって,異なったずれ方をする。

 

褶曲

 造山運動に伴う圧縮力によって生じる地層の変形で,褶曲の山の部分を背斜,谷の部分を向斜という。圧縮力を受けた岩石や地層は断層ができることもあるが,次のような場合は褶曲することが多い。

@その場所が深く,まわりの圧力が高い。

A温度が高い

B力が長期間ゆっくり作用し続ける。

 

不整合

 ある地層が堆積後,または火成岩や変成岩が形成後,その場所が隆起し,陸上で侵食作用を受け,その侵食面の上に新たな地層が堆積したとき,侵食面を境として上の地層と下の地層や岩石の関係を不整合といい,侵食面を不整合面という。不整合面のすぐ上の地層はれき層であることが多く,このれき層を基底れき層(基底れき岩)とよぶ。

 地層どうしの不整合は,2つの地層間にはっきりとした堆積作用の中断がある。

 これに対して,2つの地層間に侵食面がなく堆積が連続しているときは,2つの地層は整合であるという。

 不整合は教科書の図41のように,不整合面を境にして上下で地質構造が違う傾斜不整合と,上下の走向・傾斜が同じ平行不整合がある。

 

観察 地層の観察

〈準備〉

 ハンマー,たがね,クリノメーター,地図(25千分の1または5万分の1),色鉛筆,油性ペン,カメラ,巻き尺,ルーペ,手袋,採集袋など

〈観察上の留意点〉

(1) 場所を地図で確かめ,地図上に観察番号を記入してから地層全体の観察を始める。

(2) クリノメーターで走向・傾斜を測定する。

(3) 岩質,地層の厚さ,堆積構造(級化成層,斜交葉理,底痕,れん痕など)など

を調べる。

<地層の走向・傾斜とクリノメーターの使い方>

   下図()のような傾いた地層において,地層が下ちている方向が傾斜方向で,それに直角な方向が走向である。また,地層面と水平面とのなす角が傾斜角で,傾斜方向と傾斜角を合わせて地層の傾斜という。地層の走向を測定するときは,(a)図の@のように,傾斜角を測定するときはAのようにクリノメーターを置く。

走向・傾斜を測定し,地図や地質図上に記入するには,下図IXのような記号を用いる。長い線が走向を表し,短い線が傾斜方向を表している。長い線に付けられた数字は北からのずれの角度を表し,短い線に付けられた数字は傾斜角を示している。

 

<地質柱状図>

 地層や岩石の層序,規模をはっきり示し,それらの間の関係や岩相の特徴,産出化石などを示す。

 地質柱状図には,岩石が連続して露出するような谷や道路に沿って調査し,地層の上下関係を決定し,それを柱状に重ねて層序関係を示す各個柱状図と,調査地域内でつくられたいくつかの各個柱状図を1つにまとめて,地層の厚さや岩相の変化などを表現できるように考えられた総合柱状図がある。

<教材・参考資料など>

●地学事典

地学団体研究会 平凡社

●岩波講座

 

地球科学9 「地質構造の形成」

地球科学10 「変動する地球T」

地球科学12 「変動する地球V」

地球科学16 「世界の地質」

地球惑星科学10 「地球内部ダイナミクス」

 

 

 

 

 

 








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