トップ物理II 改訂版3部 原子・分子の世界>第3章 物質の性質と電子>2節 固体中での電子のふるまい

2節 固体中での電子のふるまい

 

電子の運動と電気抵抗

 超伝導

 超伝導

pn接合の働き

トランジスタ

トランジスタの特性曲線

太陽電池

集積回路(IC)

電界効果型トランジスタ

半導体の利用

 磁石の磁気が生じる原因

金属光沢

 

電子の運動と電気抵抗

金属は電気をよく通すが,これは金属に電場をかけると伝導電子が移動するためである。電場Eをかけると,伝導電子(質量m,電荷−e)の運動方程式は,

 

で表され,

 

で加速される。この式では電流は時間と共に増加していき,一定の電場で一定の電流が流れるというオームの法則は成り立たないことになる。オームの法則が成り立つのは,電場で加速された電子が格子振動により散乱される為である。散乱の影響を取り入れて式を書くと,

 

と表すことが出来る。右辺第2項が散乱の影響を表す項である。

時刻t0で電場をゼロにした場合を考えると

v (t)v (0)exp(t /τ)

となる。ここで v (0)は,t0における電子の速度である。この式は電場が0になった後の,電子の速度が0に減衰していく様子を表している。τは減衰の速さを決める時定数で散乱時間といわれる。

加速度dv/dt0となる条件はv=−eEτ/mとなりEに比例するvが決められる。この条件で電流も一定に保たれる。温度が上昇すると格子振動も激しくなり,電子が散乱される頻度が増える。その結果τの値が小さくなる。金属ではτは温度の逆数に比例する(低温では温度の5乗に比例する)ので,抵抗率は温度に比例して大きくなる。

半導体の場合も電気抵抗は,自由キャリアの移動によって決まる。自由キャリアによって電流が流れる状態は金属と同じである。しかし,半導体の場合はキャリアの密度が温度により変化するところが金属との違いである。キャリアは温度と共に増加するが出払い領域と呼ばれる温度領域では,電気抵抗はほとんど変化しない。出払い領域より高温(大体300K以上)になると,充満帯から電子が伝導帯に励起されるために,電子と正孔のキャリアが増加する。この温度領域を固有領域という。その結果,温度の上昇による格子振動による散乱のための電気抵抗率の減少よりも,キャリアの増加による抵抗率の増加の効果が上回り電気抵抗は減少する。

 

 超伝導

1908年に,オランダのカマリング・オンネス(K.Onnes)によってヘリウムの液化が成功すると,3K以下の極低温における現象の研究が活発に行われ,新しい現象が次々に発見された。その代表的なものが液体ヘリウムの超流動と金属の超伝導であった。1911年に,オンネスは水銀の電気抵抗が4.2K付近で完全に0になることを明らかにし,この現象を超伝導(superconductivity)と名づけた。

1933年,ドイツのマイスナー(W.Meissner)とオクセンフェルト(R.Ochsen-feld)は,超伝導体を磁場内で転移温度以下に冷却したとき,あるいは超伝導になってしまった物質に磁場を加えたとき,磁場は完全に超伝導体から排除されることを発見した。これをマイスナー効果(完全反磁性)という。

1935年,ロンドン(F.London)は,超伝導は,「巨視的な大きさまで量子力学が成立して顕在化している例」であることを示し,超伝導電子の運動が互いに相関関係をもつとした。また,1957年,バーディーン(J.Bardeen),クーパー(L.N.Cooper),シュリーファー(J.R.Schrieffer)らにより,超伝導現象が量子力学的に解明されるにいたった(BCS理論)。その結果,永久電流,マイスナー効果,磁束量子,ジョセフソン効果などの特異な現象が説明できるようになった。

1987年,ミュラー(K.A.Müller)とべドノルツ(J.G.Bednorz)は,金属ではなくセラミックスが超伝導を示すことを発見した。それが発端となって,高温超伝導の研究が進み,転移温度が液体窒素温度(77K)を超えた。液体ヘリウムの代わりに液体窒素を使えるようになり,実用化の気体が高まったのである。

 

 超伝導

超伝導の特徴は,永久電流,マイスナー効果,ジョセフソン効果,磁束の量子化である。超伝導体でつくった回路を臨界温度以下に冷やして電流を流しておくと,電流による発熱がなく永久に電流が流れる。コイルの電線に超伝導体を用いれば,大電流を流しても発熱がないので,非常に強力な磁場をつくることができる。このような超伝導磁石は,すでに加速器やNMR(核磁気共鳴nuclear magnetic resonance;磁場の中に置かれた原子核が特定の周波数の電磁波を吸収する現象で,物質中の原子の状況を調べる手段として広く利用されている)MRI(核磁気共鳴映像法magnetic resonance imagingNMRを利用して体のCT画像を得る方法)で用いられている。ただし,磁場が強くなると超伝導状態が壊れてしまう物質が多いので,現在実用化されているのは,ニオブとスズの合金かニオブとチタンの合金だけである。マイスナー効果は,超伝導体の上に置いた磁石が反発力で浮上する実験で示すことができる。また,ジョセフソン効果は,2つの超伝導体にはさまれた薄い絶縁体にトンネル効果による電流が流れ,電流が小さい領域では超伝導体間に電位差が生じない現象である。これは微小磁場の測定装置に用いられるSQUID(超伝導量子干渉素子superconducting quantum interference device)に応用されているし,スイッチ速度と低消費電力で超大型コンピュータへの利用が期待されるジョセフソン素子(ジョセフソン効果を利用したスイッチの組み合わせでつくるコンピュータの論理素子)の研究もされている。

なお,超伝導は,工学やマスメディアでは超電導と書かれることが多い。

 

pn接合の働き

p型半導体とn型半導体の接合部においては,n型からp型のほうへ伝導電子が拡散していき,p型からn型の方へはホールが拡散していく。したがって,初めは中性であったものが,n型半導体は正に,p型半導体は負に帯電し,接合部に正と負に帯電したドナー(Asのような5価の不純物原子)と,アクセプター(Gaのような3価の不純物原子)のイオンが,正負の電荷の二重層をつくる。

n型半導体とp型半導体間の電位差は,次のようにして定まってくる。伝導電子について考えると,n型からp型の方へ拡散するには,運動エネルギーがeV0より大きなものに限られるが,p型からn型へは障害もなく拡散することができる。V0がしだいに大きくなると,n型からp型へ移動する電子の数が減少するのに対して,p型からn型へ移動する電子の数は変わらないから,この両方の移動の数が等しくなると平衡状態が成り立つ。ホールの移動についても同様に考えることができる。そこで,逆方向の電圧を加えると,接合部の電位差はV0Eとなって,n型からp型へ移動する電子は運動エネルギーがe(V0E)より大きいものだけに限られ,その数は,電圧を加えない場合に比べて減る。しかし,p型からn型への移動は変わらないから,伝導電子は全体としてはしだいにn型のほうへ移動し,同様に考えると,ホールは全体としてはp型のほうへ移動することになる。順方向の電圧Eを加えたときには,n型からp型へ移動する電子の運動エネルギーはe(V0E)より大きければよいから,数が著しく増加することになる。このようにして,順方向電圧と逆方向電圧とでは,電流の値が著しく異なり,整流作用を示すことになる。

 

トランジスタ

トランジスタというのは.整流器の逆方向の電流を、何らかの方法で制御する装置である,ということができる。

いま,下図のpnp接合型のトランジスタの接合部分において順方向の電流が流れると,電気の運び手(キャリア)が流れ込んでくるのであるから,n型の部分にはホールが,p型の部分には電子が入ってくる。

図からわかるように,コレクタCの電流ICの変化の原因となっているホールは,エミッタEから流れ込むのであるから,コレクタ電流の変化ΔICは,エミッタ電流IEの変化ΔIEよりも大きくはならない。このことから,ベース接地の電流増幅率αは,

 

である。電流IEは,エミッタからベース(n型の部分)に注入されるホールによる電流IEPと,ベースからエミッタのほうへと運ばれる電子による電流IENとの和であるから,αIEPIEとの比であるγに比例する。また,ベースにはいったホールのうち,どれだけの数がコレクタに到達するかの確率βにも比例するから,αは,αβγ として表される。

 

ここで,IEPIENとは,エミッタおよびベースにある不純物の濃度PNによるものであって,IEP/IENP/Nが成り立つ。これに,IEIEPIENを考慮し,γIEP/IEを求めると,

 

となる。したがって,αを大きくするにはPN,すなわち,ベース部分の不純物濃度に比べて,エミッタ部分の不純物濃度をずっと大きくする必要がある。

ベース中にはいってきたホールは,ふつう,拡散によってコレクタに到達するものである。その拡散係数や,さらにホールの平均寿命,ベースの厚さ,および注入される電流波形によってβの値が決まる。このようなことから,αを大きくするには,ベース中でのホールの平均寿命を大きくする必要があるとともに,ベースの厚さを小さくすることが重要になる。

 

トランジスタの特性曲線

トランジスタの増幅回路の基本型には,下図のように3つの型がある。ベース接地型(a),エミッタ接地型(b),およびコレクタ接地型(c)である。

最も多く利用されているのが,エミッタ接地型増幅回路である。この場合のコレクタ電流・電圧の特性曲線は図(d)のようになり,ベース電圧に対しては図(e)ような特性曲線となる。

ベース接地型増幅回路には電流の増幅作用はなく,電流増幅率αΔIC/ΔIE1である。そこで,エミッタを接地し,ベース電流IBでコレクタ電流ICを制御するようにすると, IBIEICより,

 

だけの電流増幅率が得られる。たとえばα0.98のとき,という大きな値になる。

 

太陽電池

太陽が放射する全エネルギーは3.85×1026 Wで,そのうち地球全体にとどくエネルギーも1.73×1014 kWという膨大なエネルギーである。地球の大気圏外では,太陽光に垂直な単位面積当たり1.37 kWのエネルギーを受けている。この太陽からのエネルギーを利用して発電しようとするものの一つに太陽電池がある。

太陽電池はシリコン,ガリウムヒ素などの半導体で作られたpn接合に光を当てると電子とホール対が生じ,n型が負にp型が生に帯電し電気エネルギーが発生することを利用したものである。現在も変換効率を良くすることと製造コストを下げる努力がなされていて,変換効率が40%を超えるものも開発されている。

電卓,人工衛星,無人灯台,無線中継局,屋外時計等の電源として利用されているが,最近では太陽電池による電力を利用する家庭が増えてきている。クリーンなエネルギー供給源として利用が期待されている。

太陽のエネルギーの利用は直接利用としては,太陽光発電の他太陽熱発電や太陽炉などがある。また,クリーンエネルギーとしては風力発電や燃料電池の利用が進められている。

 

 

集積回路(IC)

複数の回路素子(トランジスタ,抵抗,コンデンサなど)を絶縁性の基板上,あるいはシリコンの中に集積して,ある回路機能をもたせたものを集積回路あるいはIC(Integrated Circuit)とよぶ。構成方法により,モノリシック集積回路とハイブリッド集積回路に分けられる。モノリシック集積回路は,1枚のシリコン基板内に立体的にいろいろな層構造をつくり,トランジスタやダイオードなどの能動素子だけでなく抵抗やコンデンサーなどの受動素子までを組み込み,高度な回路機能をもたせる技術である。ハイブリッド集積回路では,複数のトランジスタやモノリシック集積回路と複数の抵抗やコンデンサーを,小さな絶縁基板の上に組み込み配線する。

今日使われる半導体電子機器のほとんどすべてが,集積回路化されている。集積回路化が進んだ理由は,プリント基板上の長い配線や導線を使ったより長い配線を排除することで,小型化できるとともにコストが低減でき,さらに全システムの信頼性が大幅に向上できたことにあった。集積度が上がるにつれ,単独素子の組み合わせでは達成不可能な機能をもつ,新しい回路が設計されるようになってきた。

モノリシック集積回路は,テキサスインスツルメンツ社のキルピー(J.Kilby)により1959年ごろ発明されたが,同じころにフェアチャイルド社のノイス(R.N.Noyce)が開発したプラナー技術により実用技術として急速に進歩してきた。シリコン基板の表面に酸化膜(SiO2)をつくり,その膜に写真焼付けの方法で複雑なパターンの窓を開け,開口部から3価あるいは5価のイオンをある深さまで拡散あるいは注入し,p型あるいはn型層をつくる。この基本プロセスを10回程度くり返し,数μm角のトランジスタや抵抗,コンデンサーなどを立体的(層状)につくる。素子を配線する導線部分も,同じようにしてつくられる。

モノリシック集積回路は,基本となるトランジスタがpn接合型か電界効果型により,バイポーラ型あるいは電界効果型とよばれる。バイポーラ型は回路構成により,TTL型やECL型などに分類できる。電界効果型は,トランジスタが接合型かMOS型かにより分類されるが,市販されている電界効果型ICのほとんどはMOS型である。モノリシック集積回路は,回路の規模により,大規模集積回路(LSI:トランジスタ数が1000以上),超大規模集積回路(VLSI:トランジスタ数10万以上)とよばれる。VLSIを超えた集積度をもつ回路を,超大規模集積回路(ULSI)とよぶこともある。

集積度の目安となるのが,シリコン中の各層の基本パターンとなる線幅で,現在は1µmを切っている。集積度の高さの最先端にあるのが,コンピュータの中央演算ユニット(CPU)とメモリーで,トランジスタ数が1000万を超えるものが実用化されている。

LSIは,もはや,個々のトランジスタや抵抗を集めた回路と考えることが不可能である。数µmの間にいろいろな素子が立体的に配置されており,素子相互の浮遊容量やシリコン内の線がもつインダクタンスなどが無視できなくなり,分布定数回路と考える必要がある。LSIの設計には,自動的に等価な回路を算出してくれる,高度な計算機プログラム(LSI設計支援プログラム)が不可欠となる。VLSIULSIとなると,最高速のワークステーションと,種々の測定データを集めたデータベースなどが必要となる。このようにして,VLSIが生みだした高性能の計算機が,さらに進んだ計算機を生み出すという,自己増殖的な情報革命が急速に進みつつある。

 

電界効果型トランジスタ

トランジスタは当初,点接触型トランジスタとして登場したが,やがて接合型トランジスタへと発展し,広く利用されるようになった。接合型トランジスタでは,pn接合が基本となり,電子もホールも電流に寄与する。すなわち,エミッタから流れ込んだキャリアが,ベース領域を通過しコレクタ領域に達する割合を,ベース領域に反対符号のキャリアを注入することで制御するのが,トランジスタの基本動作である。これはトランジスタ登場以前に使われていた真空管と,大きく異なる。真空管では電子しか電流に寄与しない(Unipolar)のに対し,接合型トランジスタでは,両極性(正負)のキャリアが電流を担う(Bipolar)。また,真空管では電圧が増幅され,入力側ではほとんど電流を必要としない(電圧あるいは電界型)のに対し,接合型トランジスタでは電流で増幅され,入力側もかなりの電力を必要とする(電流あるいは電力型)

多くの用途,特に低いレベルの信号や低雑音,低い消費電力では,電界型の方がすぐれていることが多い。この考えはトランジスタ発明の当初からあり,真空管と同じような原理で動作するトランジスタの原理が,発明直後に提案されている。これが電界効果型トランジスタで,その低消費電力性,回路設計の容易さ,VLSI化への適合性などから,接合型を抜いて,トランジスタの主役になっている。

 

電界効果型トランジスタの基本は,電極間(ソースとドレインとよぶ)の電子あるいはホールのどちらか一方(Unipolar)が 流れる道筋(シリコン中)の太さを,ゲートととよばれる電極に加える電圧(電界)により制御することにある。ゲートには電流がほとんど流れないため,入力側の電力消費はほとんどなく,1つの出力で,沢山の回路を並行して制御できることになる。

電界効果型トランジスタは,キャリアの通る道をシリコンと金属酸化膜近くの表面に選ぶか(MOSFET),シリコンの中に選ぶか(JTFET)により2種類に分けられる。MOSFETが,大量生産やVLSIに向いているため広く使われているのに対し,JFETはデジタル電圧計や低雑音回路の初段など,限られた用途に使われる。

 

半導体の利用

半導体は現在の生活を支えている最も重要なものの一つである。携帯電話もテレビもコンピュータもいろいろな半導体素子の利用を機能利用して作られており,警備用センサーにも半導体は利用されている。

コンピュータではいろいろな半導体素子が利用されているが,代表的なものとして頭脳の働きをする中央演算処理装置(CPU),電源が切れると記憶情報が失われる素子(DRAMSRAM)や電源が切れても記憶が消えない(ROM)等がある。また,ディスクからの情報の読み取りには,半導体レーザーが利用されている。

携帯電話には情報の書き換えの出来るフラッシュメモリが使われ,スーパーのレジでバーコードを読み取る機械には固体撮像素子(CCD)が利用されている。

半導体技術の進歩は,1948年にショックレー(1910-1989),バーディーン(1908-1991),ブラッタン(1902-1987)によるトランジスターの発明から始まった。

1958年にはキルビーが集積回路(IC)を発明し電気機器の小型・軽量・高性能化に道をつけた。一つのチップに千個以上の素子を集積したものをLSI(Large Scale Integration)10万個以上のものをVLSI(Very Large Scale Integration),百万個以上のものをULSI(Ultra Large Scale Integration )という。これらのICは円筒状のシリコン単結晶を輪切りにした後,表面を鏡面に仕上げて厚さ約0.5mmのウェハーにする。これにフォトリソグラフィ等のプロセスを用いて,多くのLSI1枚のウェハー上に作成する。これを1個ずつにカットし接点等を取り付け完成品にする。

従来はこの様にして作られた,いろいろなはたらきをもつIC(CPUとかRAM)をシステムボードの上で結線して,システムとしての機能をもつものを作っていたが,現在はSoC(System on a Chip)化が行われ,性能の向上やシステムの小型化が進んで

いる。

 

 磁石の磁気が生じる原因

磁石の磁気の原因は材料を構成している11つの原子のもつ磁気に由来する。そして,原子の磁気の主な原因は電子であり,原子核の周りを円運動しているための効果(軌道角運動量)と静止していても電子自身がもつ効果(スピン角運動量)2種類がある。しかし,多くの物質ではこの原子の磁気は向きがばらばらで,全体として磁気を示さない。ところが,鉄やニッケル,コバルトなどいわゆる強磁性体とよばれる物質では,原子の磁気が平行にそろって並ぶという性質をもっているため磁石となる。

それでは,同じ鉄といっても永久磁石になっているものと,そうでないものがあるのはなぜだろうか。これを理解するには,磁区というものを考えなくてはならない。原子の磁気がそろうのは,磁区とよばれる1100ミクロンくらいの大きさの領域内だけであり,鉄はこの小さな磁区が集まった構造をしている。そしてそのおのおのの磁区どうしは,自然にはばらばらの方向を向いているので,全体としてはやはり磁気を示さない。これが普通の鉄である。このような材料を強い磁場の中に置くと磁区間の壁が移動し,その磁場と平行な磁区だけが成長してその向きが優勢となる。こうして,全休としても磁気を帯びるようになる。永久磁石につけたままの針がそれ自身磁石になっているのは,この状態である。次に,加えた磁場を取り去ると再び磁区の壁が移動して元に戻ろうとするが,完全には戻らず全体の磁気が残る。これが永久磁石である。針のような軟鉄よりも焼き入れした硬い鋼の方が磁区が移動しにくいため,元に戻りにくく,強い永久磁石となる。

 

金属光沢

金属が特有の光沢をもつのは,金属には自由電子があるからである。光は電磁波であるので,光が金属表面に入射すると自由電子が移動して,金属内の電場がゼロになるように反応し光の侵入を妨げる。電磁波によってエネルギーを得た自由電子は,このエネルギーを電磁波として放出する。このとき放出される電磁波()の波長は入射波と同じになる。われわれは,この光を反射光として認識する。

金属による光の反射は,入射光の電場が自由電子による電流を生じ,それにより反射が起きるので,ガラスの反射とは理由が異なる。

 

 

 

 








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