トップ物理II 改訂版2 電気と磁気>第4章 電磁誘導と電磁波>4節 交流

4節 交流

 

 

交流発電機

抵抗を流れる交流と実効値

変圧器と電力輸送

コンデンサーやコイルを流れる交流

交流の消費電力

RLC直列回路

 

 

交流発電機

電磁誘導を利用して,軸を機械的に回転させることによって電気を発生させる装置が交流発電機で,わが国における大規模な発電は,全て交流である。発電機自体の機械エネルギーから電気エネルギーヘの変換効率は,大形機では90%以上に達する。しかし,火力発電で熱エネルギーを機械エネルギーに変換する部分の効率は,50%以下であるので,効率を改善する目的で,電磁流体発電などが研究されている。大容量の発電機として最も広く使用されているのは,回転界磁型発電機である。図のように誘導電流を得るための電機子コイルを外側に固定し,界磁石を回転させる構造になっている。界磁石のほうを回転させるのは,次の理由による。発電電圧は数千V以上であるので,電機子を回転させる場合は,高電圧に対する絶縁が必要になり,それを高速度回転すると壊れやすい。一方,磁場をつくる界磁石には電流を流すためのスリップリングが必要であるが,この電圧は100200V程度なので,絶縁も簡単で,回転させても故障しにくい。界磁石には外部から直流電流を流し励磁するが,そのために交流発電機と軸を共有する直流発電機を取り付けているものが多い。この直流発電機を励磁機という。

回転界磁型とは逆に,界磁石が固定されていて,電機子が回転する構造のものを,回転電機子型発電機という。回転界磁型発電機の説明で述べたように,電機子を回転させる場合,スリップリングの絶縁が困難になり,かつ大電流が流れるのでスリップリングおよびブラシが巨大になり,この部分が接触不良などの故障を起こしやすい。このため,小電力の発電機として用いられるだけである。

この他に,高周波発電機として用いられる誘導子型発電機がある。これは電機子,界磁石ともに静止し,ただ電機子コイルを流れる磁束だけが周期的に変化する。界磁石コイルは,1個の大きなコイルFで,これをまたぐ多くのU字形鉄心Cに電機子コイルが巻いてある。中心に誘導子とよぶ歯車状の鉄製の回転子Rがあり,これを回転すれば,電機子コイルを通る磁束が増減して交流起電力が生じる。誘導子Rは高速回転に耐え,また電機子コイルの数も多数にすることができるから,高周波発電機として用いられる。

 

 

 

抵抗を流れる交流と実効値

抵抗Rに交流電圧をかけた場合,各瞬間でオームの法則が成り立つので,電圧,電流の瞬間値をそれぞれviとすれば,vV0sinωtのとき,

 

となる。したがって,このとき,抵抗Rでの消費電力の瞬間値pは,

 

である。ここで,これを交流の1周期について平均すると,cos2ωtの平均は0となるから,pの平均は,

 

ここで,電流と電圧の実効値IVを,

 

とすれば,抵抗Rでの消費電力Pは,

 

となり,直流の場合と同じ式で表され,大変便利である。

 

変圧器と電力輸送

【変圧器】変圧器とは相互誘導を利用して,交流の電圧を変える装置である。図のように,鉄心の回りにコイルが巻いてあるものがふつうである。これは,鉄心中では鉄の透磁率μが大きいために,磁束密度BμHが大きくなることを利用するためである。電圧,電流,磁束の符号を図のように決める。また,鉄心の1回りの長さをlとすれば,磁束が外にもれないときは,電流i1i2がつくる磁束Φ1Φ2は,

 

となり,磁束Φは,ΦΦ1Φ2となる。

また,電圧v1v2

 

 

となり,電圧は巻数に比例する。

i20のとき,1次側のコイルには,励磁電流が流れている。この電流は自己誘導係数を大きくすることで小さくできる。i2≠0のときΦ2が発生するが,1次側の電圧v1i20のときと同じなら,Φも同じになるから,1次コイルにΦ2をうち消すような電流i1´が励磁電流につけ加わる。i1´がつくる磁束Φ1´Φ1´=−Φ2だから,

 

したがって,励磁電流を無視できるときは,i1i1´となり,

 

となる。

実際の変圧器では,コイルの抵抗のために生じるジュール熱と,鉄心の磁化におけるヒステリシス損失のために,必ず電力の損失がある。

 

【電力輸送】発電機のつくる交流の電圧は,3300V18000Vで,このままの電圧で遠くまで送電すると,ロスが大きくなる(損失の割合は発電所を出るときの電圧の2乗に逆比例する)。そこで変圧器で電圧を154000V50Vにまで高めて送っている。発電所からの長距離大容量送電には275000V,あるいは50Vという超高圧送電設備が利用されている。

東京電力では21世紀の,新しい電気の道づくりとして,送電損失の少ない100V送電線を建設しており,新潟県から山梨県にある東山梨変電所までが完成している。しかし,実際に100Vでの送電が実施されるのは2005年頃と見込まれている。100V設計のものは,直径38.4mm8本の電線が直径1mの円筒状に等間隔に配置されたものが1組となっている。それを支える鉄塔の高さは110mある。

 

コンデンサーやコイルを流れる交流

コイルに,交流電圧vV0sinωtを加えると,

 

これより,

 

 

次に,コンデンサーに同様の電圧を加えると,

 

 

交流の消費電力

抵抗にかかる電圧VVV0sinωtとすれば,抵抗では電圧と電流で位相の差がないので流れる電流III0sinωtとなる。よって,抵抗での消費電力Pは,

 

となる。1周期で時間平均をとるとcos2ωtの平均は0となるから,平均の消費電力は,

 

となる。

コイルの場合は,電圧よりも電流の位相がπ/2だけ遅れるから,電流I

 

となる。したがって,消費電力Pは,

 

となる。1周期で時間平均をとるとsin2ωtの平均は0となるから,平均の消費電力

0となる。

コンデンサーの場合は,電圧よりも電流の位相がπ/2だけ進むから,電流I

 

となる。したがって,消費電力Pは,

PI0V0sinωtcosωtI0V0sin2ωt

 

となる。1周期で時間平均をとると,sin2ωtの平均は0となるから,平均の消費電力は0となる。

抵抗・コイル・コンデンサーの混ざった回路でも,抵抗・コイル・コンデンサーのそれぞれに注目すると,電圧と電流の位相の関係は単独の場合と同じである。よって,1周期で時間平均すると,電力を消費するのは抵抗のみである。

 

RLC直列回路

直列回路では,抵抗,コイル,コンデンサーに流れる電流は共通だから,その電流の瞬時値III0sinωtとすると,抵抗の電圧の瞬時値VRはオームの法則より,

VRRI0sinωt

となる。コイルの場合,自己誘導の関係 より,コイルの電圧の瞬時値VLは,

VLωLI0cosωt

となる。コンデンサーの場合,電流Iと電気量qの関係より,dq/dtとなるから,qIdt,また,コンデンサーの電圧の瞬時値をVCとすると,電気容量の式より,qCVC,これらより,時間的に変動しない電圧がない場合,

 

電源の電圧の瞬時値Vは,VVRVLVCだから,

 

 

合成関数の公式を用いると,

 

ここで,である。

 

これより,とすると,最大値に関してV0ZI0が成り立つ

 

ことが分かるよって,実効値にも同様の関係VeZIeがなりたつ。

オームの法則VRIと比較すると,Zがインピーダンスを表すことが分かる。

また,電圧に対する電流の位相の遅れθは,次式で表される。

 

なお,cosθR/Zである。

次に,RLC直列回路の消費電力Pを考えてみよう。

 

1周期にわたって時間平均をとるとcos(2ωtθ)0となる。抵抗の電圧の実効値をVReとすると,VReRIeだから,平均の消費電力は,

 

すなわち,RLC直列回路でも,時間平均をとると電力を消費するのは抵抗のみであることがわかる。

 

 

 








本サイトに掲載された記事や画像の無断転載を禁じます。
Copyright(C) 2009-2012 SHINKOSHUPPANSHA KEIRINKAN CO.,LTD. All rights reserved.