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4節 コンデンサー

 

QCVの説明

 コンデンサーの用途

誘電体を入れたコンデンサーの電気容量

 いろいろなコンデンサー

耐電圧

 

 

QCVの説明

コンデンサーを構成するのは,金属板である必要はなく,任意の形の導体でよい。この2個の導体に蓄えた電気量を2倍にすると,導体を結ぶ電気力線の本数は2倍になり,導体間のどの場所の電界も2倍になる。したがって,導体間の電位差は2倍になり,導体間の電位差Vは蓄えられる電気量Qに比例する。つまり,VQである。これをQVと書き換えたときの比例定数が,電気容量Cである。

平行板コンデンサーの場合は,教科書p.97の議論から,

 

を導き,コンデンサーによって決まる定数をあらためてCとおき,QCVを具体的に示すこともできる。

なお,類似の名称の物理量である熱容量が「その物体の温度を1K上げるのに要する熱量」であったのに対し,電気容量は「そのコンデンサーの導体間の電位差を1V上げるのに要する電気量」である。

 

 コンデンサーの用途

コンデンサーの用途には,次のようなものがある。

(1) 高周波電流だけを通して,低周波を通しにくく直流を通さないという性質を利用したもの(フィルター回路,直流阻止回路,高周波バイパス回路など)

(2) 共振回路用(テレビ・ラジオなどの同調用バリコン)

(3) 交流の位相調整回路用(電力用進相コンデンサー)

(4) エネルギー蓄積用(ライデンびん,ストロボフラッシュの電源など)

 

誘電体を入れたコンデンサーの電気容量

教科書p.9899では,電池から切り離したコンデンサーに誘電体を挿入した場合を考え,誘電体を入れたコンデンサーの電気容量が大きくなることを導いているが,電池につながれたままのコンデンサーに誘電体を挿入する場合を考察しても同じことを導ける。その概略は次の通りである。

電池につながれたコンデンサーに誘電体を挿入しても,電池によって極板間の電位差は一定に保たれ,極板間の電界の強さも変わらない。ところで,誘電体が挿入された状態では,誘電体に誘電分極が起こり,その分極電荷によって極板上の電荷がある程度打ち消されるはずである。分極電荷によるこの打ち消しがあるにもかかわらず,極板間の電界の強さが変わらないということは,電池が電流を流して極板上の電荷を増加させたということである。したがって,CQ/Vにおいて,Vが一定でQが大きくなり,電気容量Cが大きくなる。

 

 いろいろなコンデンサー

1.紙コンデンサー 紙コンデンサーは,2枚以上の薄い絶縁紙を重ねて誘電体とし,金属はくを電極として巻いた無極性のコンデンサーで,金属または厚紙のケースに入れてパラフィン,クロールナフタリンなどの熱流動性の絶縁物を真空中でしみこませたものである。歴史的に古く,生産実績もこれまでもっとも多かった。

0.5μF以下のものは1巻きで,ケースが円筒状であるが,1mF以上のものは素子が2個以上になるのでこれを並列にして角形のケースに入れたものが多い。この他に,絶縁をよくし耐電圧を高めるために絶縁油を入れて密封したものがあり,とくに油入りコンデンサーという。円筒形は0.0001mFから0.5mFぐらいで,試験電圧は1000V,角形は1mFから10mFぐらいで試験電圧は10001500Vである。とくに角形油入りでは耐電圧が数千Vのものもある。

紙コンデンサーは,古くから多くの電子機器および電子応用装置に実装されてきたが,最近はプラスチックフィルムコンデンサーに置き換えられ,現在ではその生産量は激減している。

2.電解コンデンサー アルミニウム板2枚をホウ酸アンモニウム溶液中で向かい合わせて直流電圧を加えると,初めは大きい電流が流れるが,しだいに減少して最後にはほとんど流れなくなる。これは,電解によって,陽極アルミ板の表面に非常に薄い絶縁性の酸化アルミニウムの皮膜が生成したためである。この皮膜は質が緻密で誘電率も大きく絶縁性もよいので,紙コンデンサーよりはるかに小さな面積で大きな容量をもつコンデンサーをつくることができる。電解コンデンサーでは,厚さ0.1mmぐらいで高純度(99.99)のアルミニウムはくを前述の方法で処理して皮膜をつくった陽極の両面に,ペーストをしみこませた和紙を重ね,これを陰極アルミニウムはく2枚ではさみ,全体を巻き込んでつくってある。

3磁器コンデンサー(セラミックコンデンサー)  酸化チタンとチタン酸マグネシウムの混合物を固め,焼いて磁器としたものは質が緻密で,誘電率が90ぐらいになるので,これの円筒形のものをつくり,内面と外面とに銀を蒸着して電極とする。円筒磁器の寸法によって数〜数百pFのものがつくられ,高周波電圧に対してエネルギー損失が小さいので,高周波回路に多く用いられる。チタン酸バリウム,チタン酸ストロンチウム,またはその固溶体からなるものは誘電率が数千〜1万にも達する。これを用いて数百pF0.01mFぐらいのコンデンサーがつくられている。

4フイルム・コンデンサー アルミニウムなど金属はくでできた電極の間に,絶縁を兼ねた誘電率の高いプラスチック・フィルムをはさみ,熱処理をしてフィルムを融着したもの,あるいはフィルムにアルミニウムや亜鉛を真空蒸着したものをぐるぐる巻きあるいは何重ものサンドウィッチ構造にしたものである。

5超大容量(1F)の電気二重層コンデンサー 電解質と固体電極を接触させ,電解電圧より低い電圧をかけると,電解液と電極の界面に正・負の電荷が相対する電気二重層を生じる。この原理を応用したコンデンサーでは,1Fという大容量も可能であり,コンピュータのメモリーのバックアップなどに使われている。耐電圧はあまり高くできないが(5V10Vのものがある),この大きな電気容量の特性を生かして,コンデンサーの基本的な性質の多くを手軽な実験で検証することができる。

参考文献:安田明「電気二重層コンデンサーの特性と利用」

(物理教育Vol.31No.41983)

 

耐電圧

コンデンサーにかける電圧を大きくしていくと,ある値で極板間の絶縁が破れ,極板間を電流が流れてしまい,コンデンサーの役目をしなくなる。この限界の電圧をそのコンデンサーの耐電圧といい,極板間の距離や絶縁体の種類によって異なる。

耐電圧よりも大きな電圧がコンデンサーにかかると,強い電界のため極板間の絶縁体の原子から電子がはぎとられるのである。どのくらいの強さの電界によって絶縁が破れるかは,物質によって異なり,その限界の電界の強さをその物質の誘電強度という。以下にその例を示す。

これより,空気に比べて固体の絶縁体は,誘電強度がずっと大きいことがわかる。すなわち,同じ極板間距離のコンデンサーならば,固体の絶縁体を間に入れたもののほうが,極板間が空気のコンデンサーよりも耐電圧が高くなる。

 

 

 

 

 








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