トップ物理II 改訂版1 力と運動>第2章 円運動と単振動>1節 円運動

1節 円運動

 

弧度法

向心加速度

向心力

曲線運動の運動方程式

 

 

弧度法

等速円運動における角速度と半径と速さの関係,向心加速度の大きさ,単振動の速度・加速度,単振り子での近似,交流の扱いなどにおいて,弧度法以外の角の表し方を用いると式が複雑となる。科学の世界では弧度法を用いることが多いが,数学で弧度法を末習の場合には,十分な指導が必要である。

平面角の単位ラジアン(記号rad)は,SIの組立単位の一つで,「1ラジアンは,円の周上でその半径の長さに等しい長さの弧を切り取る2本の半径の間に含まれる平面角である。」と定義されている。

したがって,扇型の半径をr,弧の長さをl,弧を見込む角をθrad〕とすると,

lrθ

 

 

この式から,radは無次元量であることがわかる。教科書p.3738(3)(5)(8)は,式の左右で次元が合っていないように見えるので指導が必要である。このとき,数学ではふつうradを省略することが参考となる。しかし,角速度ωの単位を1/s〕と表すわけではないことも注意しておきたい。弧度法と60分法との関係は,

360°=2πrad〕,α°=α/360°・2πrad〕,θrad〕=θ/2π360°

30°=π/6rad〕,45°=π/4rad〕,60°=π/3rad

90°=π/2rad〕,180°=πrad〕,270°=3π/2rad

などである。

弧度法を用いると,図の扇型の面積Sは,

S1/2 r2θ

と簡単に表されることも弧度法のメリットであろう。

 

 

ケプラーの法則において面積速度を表すときに重宝することになる。しかし,弧度法の最大の特徴は,三角関数の微分である。

(sinθ)cosθ(cosθ)=−sinθ

さらに,これをもとにθ<<1のとき,

sinθθcosθ1θ2/21tanθθ

といった近似式が説明できる。

数学で末習の場合は,その定義,代表的な角度と弧度,三角関数のグラフなどの

演習も行うことが望まれる。

 

 

向心加速度

教科書の説明は極限値の表現を避けているが,これはもちろん次の意味である。

 

向心加速度の向きについて,教科書p.382(b)から(c)に至る過程で,加速度の向きはの向きであることは容易に理解されるが,図2(c)で加速度の始点をの終点ではなくP(すなわちの始点)にとっているところに生徒は引っかかるのである (は瞬間の加速度であるから,物体の位置を始点にとるべきであることを説明するとよい。これはまた,運動方程式の力の作用点がP点に一致することに符合する)

を下のように作図すると,自然との始点はの始点に一致し,生徒は引っかからないと思えそうであるが,実はの始点はの始点にも一致していて,図2(c)のようなの始点(すなわちP)に一致している図に到達するには,やはり敷居がある。そもそも,図2(b)はホドグラフであり,の始点に物体があるわけではない。また,この作図では,Δv()|=θの関係を導くのに少し手間どる。

 

 

 

向心力

生徒は,糸の張力などの向心力の役目をしている力の他に,向心力という別の力がはたらいていると誤解しやすい。教科書p.39L.16p.40L.3で述べているように,どういう力が向心力というはたらき(役割)をしているのかという観点で,例を挙げて説明し,その考え方に慣れさせるようにしたい。

 

曲線運動の運動方程式

等速円運動で得られた結論をもとに,曲線運動全般に関わる運動の法則を扱うことができる。物体にはたらいている力を下図のようにその時刻における速度の向きと,それに垂直な向きに分解したとき,速度の向きの力の成分FVによって生じる加速度を接線加速度といい,軌道に対して垂直方向の力の成分Fnによって生じる加速度を法線加速度という。法線加速度とは,軌道のその点で曲率半径rで円運動するときの向心加速度のことである。運動方程式は,

接線方向:maVFV

法線方向:manFn すなわち, 

 

教科書p.39の向心力の式(9)は円運動の運動方程式であるともいえる。これらの式から,FVは物体の速さを変えるはたらきをもつが,運動の向きを変えるはたらきをもたず,Fnは速さを変えるはたらきはもたないが,運動の向きを変えるはたらきをもつことがわかる。

 

 

 

 

 

 

 








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