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4節 反発係数

 

反発係数

 ボールの規格

衝突球の実験の説明

なめらかな床に,小球が斜めに衝突した場合

 

 

反発係数

衝突の際に経験的に成り立つ関係として,教科書では2つの場合が述べられている。1つは球と床(または固定された壁)との衝突,もう1つは一直線上をともに動いている球の衝突についてである。教科書p.29(26)が反発係数の一般的な定義であり,この式にv2=v2´=0を代入すると固定壁との衝突の際の式(p.28(25))が得られる。

また,平面内で異なる2直線を動いてきた2物体が衝突する場合の反発係数は,2物体の接触点における接線方向の力がないとき(摩擦がないとき),法線方向の衝突前後の速度成分の大きさの比で定義される。

 

 ボールの規格

プロ野球で使うボールの規格は,高さ13フィート(4.0m)の所からボールを大理石の床に落としたときに,4フィート7インチから4フィート9インチ(1.3961.447m)の高さまではね上がるものであり,反発係数で表すと,

0.41e0.44

の範囲に入るものということになる。

ほかの例では,バスケットボールだと,高さ1.80mの所から,コートの上に落としたときに,1.201.40mの範囲にはね上がるものを使うということで,この場合だと反発係数が

0.82e0.88

の範囲に入るものということになる。

 

衝突球の実験の説明

まず,静止している1つの球に,もう1つの質量の等しい球を速度vで正面衝突させた場合を考えよう。このとき,球の質量をm,衝突後のそれぞれの速度をv1´v2´とすると,

 

両式より,v1´0v2´v   となる(つまり,両者の速度が交換される)

これと同様に,複数個の等しい球が一直線上に並べられている場合,最初一番端の球に1つの球が速度vで衝突すると,隣り合った球の間で次々と速度が交換され,最後に反対側の一番端の球のみが速度vで進むことになる。見た目には完全に接触しているように見える各球の間にも,必ずわずかのすき間があり,隣り合った球のところで速度の交換が行われている。

もっとも,これは弾性衝突(e1)の場合の話であって,実際にはeはごくわずかにしろ1より小さいこともあって,完全な速度交換は行われない。

また,なめらかな等質量の2球が平面内で弾性衝突をする場合は,接触面に平行な方向の速度成分はそれぞれ保存され(v1x´v1x v2x´v2x),接触面に垂直な方向についてのみ速度成分が交換されることになる(v1y´v2y v2y´v1y)

このことを拡大解釈して,平面内衝突でも等質量の2物体の弾性衝突では速度が交換されると考える誤解がよくある。2物体の弾性衝突では速度が交換されるのは,話を単純化するために2球の衝突とすると,いわゆる「向心」衝突のときである。これは,一方の球に対する他方の球の相対速度の方向と,はたらき合う力積の方向が一致するということである。これは,相対的には一直線上の衝突であることから,教科書p.3018と同じ条件であることがわかる。このときには球の表面がなめらかであるという条件も不要である。

参考文献:大阪府高等学校理化教育研究会 理化紀要 第33(平成83)p.6769

2球の衝突における速度交換」

 

なめらかな床に,小球が斜めに衝突した場合

下図のように衝突したとき床はなめらかであるから,床に平行な方向には力ははたらかない。

∴ vx´vx vy´=−evy

ところで,vxvsinθvy=−vcosθvx´sinφvy´cosφであるから,

sinφvsinθcosφevcosθ

したがって, となる。

 

 

 

 

 








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