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2節 放物運動

 

空気の抵抗力がはたらくときの放物体の軌道

放物運動

サルとやしの実

 

 

空気の抵抗力がはたらくときの放物体の軌道

実際の放物体の運動は,空気の抵抗があるため,教科書で求めた放物線の式からずれたものとなる。

一般に,空気の抵抗が無視できるときは,図(a)の破線のような軌道となるが,空気の抵抗があると,図(b)の実線のようになる。これは,抵抗があると速さは遅くなるが,下向きの加速度はほぼ同じであるため,真空中よりも大きく曲がることによる。

なお,空気の抵抗がないときには,仰角が45°のとき最大の到達距離が得られるが,空気の抵抗があると,それより少し小さい角度で最大到達距離となる。陸上競技の円盤投げでは,仰角が40°ぐらいがよいとされている。バドミントンのシャトルでは30°くらいである。*

*阿部邦昭,村田浩「シャトルコックの運動」(物理教育Vol.37 (1989)No.4p.281)

 

放物運動

教科書p.128(b)およびp.1410(b)は,時間Δtの間の,速度ベクトルの変化と加速度ベクトル(×Δt)の関係を示している。これは,平面内の運動の速度と加速度の関係を示したp.106(b)を,落体の運動について示したものである。各時間帯の[加速度ベクトル×Δt]がすべて同じ向きを示しており,これらの運動が,加速度ベクトルが鉛直下向きに一定の運動(等加速度運動)であることを示している。したがって,これらの運動を鉛直方向と水平方向に分解すると,鉛直方向には等加速度運動であり,水平方向には加速度0(等速度の)運動であることがわかる。

教科書では,ストロボ写真により,位置の変化を鉛直方向と水平方向に分解して,運動を調べたのであるが,このように(位置ベクトルの変化から求めた)速度ベクトルから運動を調べることもできる。

以上のことは少し理解が難しいかもしれないが,生徒の実状によっては,理解を深める材料となる。

 

サルとやしの実

Oからサルのいる点に向けて,やしの実を初速度で投げつけると同時に,サルがから自由落下したとすると,やしの実は点Tで必ずサルに捕らえられる。

時刻tのときのやしの実,サルの位置をそれぞれPQとする。いま,重力がないとすると,やしの実は等速度運動をして,O上の点Rに達する。

ORv0tである。実際は重力があるために,やしの実は点Rの鉛直真下の点Pの位置まで落下している。やしの実が鉛直下方にRPだけ落下する間に,サルはQだけ落下する。RPQ1/2gt2また,RP// Oである。よって,サルには,やしの実がつねに図の角θ方向からv0の速さで自分に向かってくるように見え,やしの実は必ずサルに捕らえられる。

このことを従来は「モンキー・ハンティング」といっていたが,動物愛護の立場から,アメリカでの表現を借りて,「サルとやしの実」とした。

 

 

 








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