ユーザーの広場ホーム物理II2 電気と磁気>第1章 電界と電位>3節 コンデンサー

3節 コンデンサー

 

 

QCVの説明

 コンデンサーを構成するのは,金属板である必要はなく,任意の形の導体でよい。

この2個の導体に蓄えた電荷を2倍にすると,導体を結ぶ電気力線の本数は2倍に

なり,導体間のどの場所の電界も2倍になる。したがって,導体間の電位差は2

になり,導体間の電位差Vは蓄えられる電荷Qに比例する。つまり,VQであ

る。これをQVと書き換えたときの比例定数が,電気容量Cである。

 平行板コンデンサーの場合は,教科書p.88の議論から,

     

を導き,コンデンサーによって決まる定数を改めてCとおき,QCV

具体的に示すこともできる。

 なお,類似の名称の物理量である熱容量が「その物体の温度を1K上げるのに

要する熱量」であったのに対し,電気容量は「そのコンデンサーの導体間の電位差

1V上げるのに要する電気量」である。

 

 コンデンサーの用途

 次のようなものがある。

(1) 高周波電流だけを通して,低周波を通しにくく直流を通さないという性質を利

用したもの(フィルター回路,直流阻止回路,高周波バイパス回路など)

(2) 共振回路用(テレビ・ラジオなどの同調用バリコン)

(3) 交流の位相調整回路用(電力用進相コンデンサー)

(4) エネルギー蓄積用(ライデンびん,ストロボフラッシュの電源など)

 

誘電体を入れたコンデンサーの電気容量

 教科書p.89では,電池から切り離したコンデンサーに誘電体を挿入した場合

を考え,誘電体を入れたコンデンサーの電気容量が大きくなることを導いているが,

電池につながれたままのコンデンサーに誘電体を挿入する場合を考察しても同じこ

とを導ける。その概略は次の通り。

 電池につながれたコンデンサーに誘電体を挿入しても,電池によって極板間の電

位差は一定に保たれ,極板間の電界の強さも変わらない。ところで,誘電体が挿入

された状態では,誘電体に誘電分極が起こり,その分極電荷によって極板上の電荷

がある程度打ち消されるはずである。分極電荷によるこのうち消しがあるにもかか

わらず,極板間の電界の強さが変わらないということは,電池が電流を流して極板

上の電荷を増加させたということである。したがって,CQ/Vにおいて,V

一定でQが大きくなり,電気容量Cが大きくなる。

 

 いろいろなコンデンサー

1.紙コンデンサー 紙コンデンサーは,2枚以上の薄い絶縁紙を重ねて誘電体と

し,金属箔を電極として巻いた無極性のコンデンサーで,金属または厚紙のケー

スに入れてパラフィン,クロールナフタリンなどの熱流動性の絶縁物を真空中で

含浸させたものである。歴史的に古く,生産実績もこれまでもっとも多かった。

 0.5μF以下のものは1巻きで,ケースが円筒状であるが,1mF以上のものは素

子が2個以上になるのでこれを並列にして角形のケースに入れたものが多い。こ

の他に,絶縁をよくし耐電圧を高めるために絶縁油を入れて密封したものがあり,

とくに油入りコンデンサーという。円筒形は0.0001mFから0.5mFぐらいで,

試験電圧は1000V,角形は1mFから10mFぐらいで試験電圧は10001500Vであ

る。とくに角形油入りでは耐電圧が数千Vのものもある。

  紙コンデンサーは,古くから多くの電子機器および電子応用装置に実装されて

きたが,最近はプラスチックフィルムコンデンサーに置き換えられ,現在ではそ

の生産量は激減している。

2.電解コンデンサー アルミ板2枚をホウ酸アンモニウム溶液中で向かい合わせ

て直流電圧を加えると,初めは大きい電流が流れるが,しだいに減少して最後に

はほとんど流れなくなる。これは,電解によって,陽極アルミ板の表面に非常に

薄い絶縁性の酸化アルミニウムの皮膜が生成したためである。この皮膜は質が緻

密で誘電率も大きく絶縁性もよいので,紙コンデンサーよりはるかに小さな面積

で大きな容量をもつコンデンサーをつくることができる。電解コンデンサーでは,

厚さ0.1mmぐらいで高純度(99.99)のアルミ箔を前述の方法で処理して皮膜をつ

くった陽極の両面に,ペーストをしみこませた和紙を重ね,これを陰極アルミ箔

2枚ではさみ,全体を巻き込んでつくってある。

3磁器コンデンサー(セラミックコンデンサー)  酸化チタンとチタン酸マグネ

シウムの混合物を固め,焼いて磁器としたものは質が緻密で,誘電率が90ぐら

いになるので,これの円筒形のものをつくり,内面と外面とに銀を蒸着して電極

とする。円筒磁器の寸法によって数〜数百pFのものがつくられ,高周波電圧に

対してエネルギー損失が小さいので,高周波回路に多く用いられる。チタン酸バ

リウム,チタン酸ストロンチウム,またはその固溶体からなるものは誘電率が数

千から1万にも達する。これを用いて数百pF0.01mFぐらいのコンデンサーが

つくられている。

 

4フイルム・コンデンサー アルミなど金属箔でできた電極の間に,絶縁を兼ね

た誘電率の高いプラスチック・フィルムをはさみ,熱処理をしてフィルムを融着

したもの,あるいはフィルムにアルミニウムや亜鉛を真空蒸着したものをぐるぐ

る巻きあるいは幾重ものサンドウィッチ構造にしたもの(教科書p.8617)

5超大容量(1F)の電気二重層コンデンサー 電解質と固体電極を接触させ,電

解電圧より低い電圧をかけると,電解液と電極の界面に正・負の電荷が相対する

電気二重層を生じる。この原理を応用したコンデンサーでは,1Fという大容量

も可能であり,コンピュータのメモリーのバックアップなどに使われている。耐

電圧はあまり高くできないが(5V10Vのものがある),この大きな電気容量

の特性を生かして,コンデンサーの基本的な性質の多くを手軽な実験で検証する

ことができる。

    参考文献:安田明「電気二重層コンデンサーの特性と利用」

                       (物理教育Vol.31No.41983)

 

耐電圧

 コンデンサーにかける電圧を大きくしていくと,ある値で極板間の絶縁が破れ,

極板間を電流が流れてしまい,コンデンサーの役目をしなくなる。この限界の電圧

をそのコンデンサーの耐電圧といい,極板間の距離や絶縁体の種類によって異なる。

 耐電圧よりも大きな電圧がコンデンサーにかかると,強い電界のため極板間の絶

縁体の原子から電子がはぎとられるのである。どのくらいの強さの電界によって絶

縁が破れるかは,物質によって異なり,その限界の電界の強さをその物質の誘電強

度という。以下にその例を示す。

 これより,空気に比べて固体の絶縁体は,誘電強度がずっと大きいことがわかる。

すなわち,同じ極板間距離のコンデンサーならば,固体の絶縁体を間に入れたもの

のほうが,極板間が空気のコンデンサーよりも耐電圧が高くなる。

 

 実験2 コンデンサーの電気容量

ねらい]コンデンサーに充電される電気量が,コンデンサーの電気容量と加える

電圧に比例することを確かめさせる。あわせて,コンデンサーに流れる充電電流が

時間的にどのように変化するかも確認させる。

原理]図の回路で,電池の起電力をE,電流をI,抵抗をR,コンデンサーの

電気容量をC,コンデンサーに蓄えられる電気量をqとする。キルヒホッフの法則

より,

 

  …………@

 

−方,…………A

 

@をAに代入して, 

両辺をtで微分して,

    

 

これを解いて,ただし,I0t0における電流,eは自然対数の底。

このように,充電電流は指数関数的に減少し,その減衰の速さはRCの横に比例

する。

準備]数百μFの電気容量をもつコンデンサーは電解コンデンサーであることが

多い。電解コンデンサーは極性をもつので接続の際に+−に注意すること。また,

電解コンデンサーは表示値に比較的大きな誤差を含む。容量Cと抵抗値Rの積が,

充放電が1/e(eは自然対数の底)になる時間(これを「時定数」という)を示すが,

試料を選ぶ際のめやすとして,RC20s程度が測定しやすい。

方法]教科書の図のように回路を組む。充電を開始して,5秒ごとの電流値を読

む。時計係,電流計係,記録係と分担して行うとよい。

 CVを何通りか変えて実験を繰り返す。一度充電したコンデンサーは,放電さ

せてから,次の実験を行なうこと。QCVに比例することを確かめる。1人で

全部行うのは大変なので,班で分担するとか,クラス全員のデータを集めてまとめ

る必要がある。

データ例]次ページの表およびグラフ(表計算ソフトによる)

考察]@ グラフの面積からQを求める。

A 容量が同じなら,VQが比例することがわかる。

B 加える電圧が同じなら,CQが比例することがわかる。

C 充電電流ははじめは急激に流れるが,やがて減少し,最終的にはゆっくりと0

に近づく,指数関数的な減少を示すことがわかる。

 

 

 

 

電気量と電圧の関係

 

 

* 表中の電気量は次のように計算した。

パソコンの表計算ソフトには,データから回帰曲線(近似曲線)の式を求める機能をもつもの

がある。実験結果のItのデータを,表計算ソフトで入力し,グラフを描かせて,指数関数近

似で回帰曲線の式を求めさせる。式は,のような形になるので,これより,

   

 

であるから,I0λがわかれば,上式でQが得られる。

 生徒の数学の進度にもよるが,パソコンを利用したデータ処理の一例とすることも可能であ

る。

 

 コンデンサーが蓄えるエネルギーの実験

 極性に注意して,容量10002000mF程度の電解コンデンサーを4050Vで充

電し,電源からコンデンサーをはずし,コンデンサーの両端子をドライバーでショ

ートさせると,パチッという音がして,火花が飛ぶのが見られる。

 これと同様な実験をより簡易に行うには,使い捨てカメラを利用する。使い捨て

カメラの外箱を取り,ストロボのスイッチに相当する接点をつないでコンデンサー

に充電する。まず,ストロボを光らせて,その光のエネルギーが電源である乾電池

から直接得られるものでなく,コンデンサーに蓄えられていたことを示す。この際,

ストロボランプに乾電池を直接つないでも光らないことをあらかじめ示しておくと

なおよいであろう。そして,充電したコンデンサーの両端子をドライバーなどでシ

ョートさせると,やはり大きな音と火花が出る。

 また,バンデグラフ起電器などの静電起電器で,ライデンびんに充電し,放電さ

でショートさせると,かなり大きな音と火花が出る。

 また,容量100mF程度のコンデンサーを150200Vで充電し,電源からはず

し,両端に蛍光放電管(100V用,1020W),電球(100V用,25W)をつなぐ

と,瞬間的に発光する。

 

 やってみよう 手回し発電器による大容量コンデンサーの充電

 1Fコンデンサーは,耐電圧が5V程度しかないものが多く,また,極性を持つ

ために,充電するときは注意が必要である。まず,手回し発電器を電圧計に接続し,

回転速度がどのくらいなら出力電圧が5V程度になるかを確認しておくこと。また,

どちら向きに回せばどちらの端子がプラスになるかも確認しておく。

 極性を間違わないように手回し発電器を1Fコンデンサーに接続し,出力が5V

を上回らないようにゆっくりとハンドルを回していく。はじめのうちは回す手応え

が重い。これは手がする仕事で充電していることを示す。回していくうちにだんだ

んと手応えが軽くなる。十分手応えが軽くなったところで,接続をはなし,1Fコ

ンデンサーを豆電球やモーターにつなぎ変える。

(1) 放電電圧は最大5V程度になるので,豆電球は3.8V球以上を用いること。3.8V

球だと,始めの一瞬は明るく輝き,だんだん暗くなる。目で見て消えるようにな

るまで,30秒ほどかかる。6.3V球だと,始めから暗い光が長く持続し,45秒ほ

ど点灯するのが確認される。

(2) 小型のマブチモーターなら高速て回転し,10秒程度で止まる。太陽電池用の

モーターなら,ゆくっりとした回転を6分間ほど続ける。

(3) 手回し発電器は,手で回したのと同じ向きに,1分間ほど回り続ける。これも

コンデンサーからの放電電流によるものである。

  しかし,なぜ,放電しているのに同じ向きに回り続けるのだろう? 放電電流

は充電電流と逆向きに流れるから,逆方向に回転してしかるべきではないか?

 実は,電流の向きが逆転するからこそ,始め回した向きに回るのである。

  充電しているときは回す手応えが重かった。これは,発電器内で回転子の磁石

が電流から受ける力が,ハンドルを回す向きと逆向きであることを示す。一方,

放電時は電流の向きが逆転するために,回転子の磁石が電流から受ける力の向き

も逆転し,もとの回転方向に力が働くためである。

 

 コンデンサーの接続の実験

 充電した2つのコンデンサーを並列に接続した場合の電圧の変化や,直列に接続

した2つのコンデンサーのそれぞれにかかる電圧を投影用メーターで測定し,計算

どおりになっているかどうかを確かめることができる。

 用いるコンデンサーは,耐電圧25V程度で電気容量1000mF程度の電解コンデ

ンサーがよい。コンデンサーの容量は,表示より相当違っている場合や絶縁不良の

場合があるので,あらかじめ調べておいたほうがよい。また,投影用メーターは,

内部抵抗が15Vレンジで数十kW程度なので,電圧を測定するために,長い時間

コンデンサーに接続していると,電流が流れて蓄えていた電荷がなくなるので注意

する。入力抵抗を高くしたもの(超高入力抵抗電圧計)があれば問題はない。

 コンデンサーを充電するとき,電流容量の小さい電源で行うと,電源装置のヒュ

ーズが飛ぶことがある。そのような場合は,適当な抵抗を通してゆっくり充電する

とよい。

 








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