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探究活動5 回折格子に関する探究

 

ねらい 回折格子を用いて簡易分光器を製作し,電灯や蛍光灯の光のスペクトルの観察や,放電管から出る光の線スペクトルの波長を調べ,試料元素を特定する。

実験1 簡易分光器の製作と格子定数の測定

準備 巻末付録の「簡易分光器 組立セット」の要領に沿って,生徒各自が1個ずつ製作する。また,予備の回折格子は,分光器の自作や干渉の実験に利用できる。ナトリウムランプの線スペクトルの観察は,簡易な暗室として使用できる実験室で行う場合,教室全体に1本だけのランプでも生徒はそれぞれの席から十分実験することができる。

原理 下図において,回折による干渉条件は,

 

 より,求める線スペクトルの波長は,

 (m=12,……)

 

で与えられる。市販の分光器ではm=1のスペクトル線しか見えないものが多いが,回折角を大きくとれるように箱を選べば,m=23のスペクトル線も観察できるようになる。入射光の両端でスペクトル線の位置を測定し,平均することで,目盛りのずれを補正できる。

データ例 @巻末の「簡易分光器 組立セット」

l=9.3cm=9.30×102m

水銀スペクトル線の位置x=7.19×102m

水銀スペクトル線の波長(緑色) λ=5.46×107m

より,格子定数dは,

   m

    ≒8.93×105m

と求められる。

 

実験2 簡易分光器によるスペクトルの観察

準備 試料元素入り放電管:水素のスペクトル管を用いるのが好ましい。後に水素原子の構造の話をするときに関連させることができるからである。ただ,輝度が弱いので,生徒を順番に管の近くに呼び集めなければならない。水銀灯は紫外線が出るので直接目に当たらないように注意する。

データ例 A試料元素の放電管の光の波長測定

スペクトル線の位置

波 長

x1=5.1×102m

λ1=4.3×107m  

x2=6.3×102m

λ2=5.0×107m

x3=10.2×102m

λ3=6.6×107m

 

 

 

 

 

 

 

装置のものさし部分を長くしたので,注意すれば,4本の輝線を見ることができる。その中心付近の位置を読みとる。付表より,

 Hα6.56×107mHβ4.86×107m

 Hγ4.34×107mHδ4.10×107m

であるから,上の測定値と比べて,

 λ1Hγλ2Hβλ3Hα

であると特定できる。よって,放電管中の試料元素は水素であると考えられる。

 ただし,この実験では,ものさしの目盛りの最小間隔がΔx=0.1cmであるから,Δx/l0.01で,相対誤差がかなり大きいといえる。

 

 

 

 








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