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探究活動1 音の反射における疎密の変化と音速の測定

 

 

ねらい 1.管の中の気柱を伝わる音波は,開口部で外に出るだけでなく,その一部 は反射して再び管の中を逆向きに進む。開口端における反射音の有無を調べる。また,開口端における音の反射率は,閉端における音の反射率と比べてどれぐらい小さいかを調べる。

2.反射するとき,音波の位相はどう変わるか。閉端と開口端のそれぞれについて調べる。

3.空気を伝わる音の速さV m/sは,気温t〔℃〕によって決まり,

   V331.50.6t

で表せる。この式の正否を調べる。

 

準備・方法

 測定する音には,木槌にとり付けた非弾性ゴムボールでガムテープをたたいて出す打撃音を用いる。

 

 直接音と反射音を,同一のマイクで分離した音として捉えるためには,測定する音の持続時間は十分に短くなければならない。また,直接音と反射音の位相を比較するので,測定音の山谷の個数は2〜3個程度が望ましい。いくつか試した結果,非弾性ゴムボールとガムテープの組み合わせが,これらの条件を満たしていることがわかった。この音波をデジタルオシロスコープで調べてみると,音の持続時間はおよそ5ms(長さにすると約1.7m),山谷の個数が23個の波束であることがわかった。

 音を効率よくパイプの中に送り込むために,音を送る側のパイプの端には,メガホンをとり付ける。メガホンの口径は8.0cm16cm,長さは20cmである。

 打撃音を,上図のように,塩化ビニルパイプ(長さ200cm,内径8.0cm)の一端から送る。音はパイプの他端で反射して返ってくる。この反射音をマイクロホンで捉えてデジタルオシロスコープに記録する。デジタルオシロスコープには,ウチダ・パソコン計測システム「サイエンスメジャー」を使用した。この計測システムは,マイクロホンが捉えた音圧を,時間間隔0.5msで区切ってデジタル化し,表やグラフで表示する。


測定の例

図1 測定例1 閉端      室温30.3

 

(例1)パイプの端を閉じた場合 室温30.3

  左端の振動(810820ms)は,音源から出てすぐにマイクで捉えられた打撃音を示している。左から2番目の振動は,パイプの左端(閉端)で反射して返ってきた音波を示している。3番目の振動は,次のように解釈できる。マイクに2番目の振動をもたらした音波は,メガホンを通り外に出て観測者の身体に当たる。そこで反射して再びメガホンを通ってパイプの中に入り,パイプ左端で反射して返りマイクで捉えられて,3番目の振動を与える。4番目の振動も3番目と同様に解釈できる。

 次の表は山や谷の時刻を,計測システムの「数値読みとり」機能を用いてms単位で読みとったものである(サンプリングの時間間隔は0.5ms)

 

表1 測定例1 閉端      室温30.3

     

第1反射音

開始

811.0

開始

823.5

山@

811.5

山@

824.0

谷@

812.5

谷@

825.0

山A

814.0

山A

825.5

谷A

815.0

谷A

826.5

 

図2 測定例2 閉端      室温30.0

 

(例2)パイプの端を閉じた場合   室温30.0

(例3)パイプの端を開いた場合  室温30.0

図3 測定例3 開口端      室温30.0

 

(例4)パイプの端を開いた場合   室温30.0

  図4 測定例4 開口端      室温30.0

 

考察

仮説1の検証 

仮説1.管の中の気柱を伝わる音波は,開口端においても,閉端と同じ程度の強さで反射する。

 反射音の強さは直接音の強さに比べて弱くなる。そこで,反射音の第一極大の大きさは直接音の第一極大の大きさの何倍になるかを調べてみる。閉端の場合は,5つの測定例から,0.30.6倍の範囲にあることがわかる。開口端の場合は,3つの測定例から,0.20.3倍の範囲にあることがわかる。このように,開口端における反射波は閉端における反射波に比べると弱いが,音圧の極大値で比べると,前者は後者の1/2倍程度の大きさをもつ。こうして,仮説1の正しさは確認できる。

仮説2の検証

仮説2.@ 気柱の閉端で音波が反射するとき,音波の密は密で反射し,疎は疎で反射する。

A 気柱の開口端で音波が反射するとき,音波の密は疎で反射し,疎は密で反射する。

 仮説2が正しいことは,全ての測定例(12)について確認できる。

仮説3の検証

仮説3.空気を伝わる音の速さVm/sは,気温t〔℃〕を用いて,次の式で表せる。

   V331.50.6

 管内の空気を伝わる音の速さを求めるために,音が管に沿って1往復する時間を調べる。1往復の時間は,マイクが直接音を捉えてから反射音を捉えるまでの時間であるから,直接音と第1反射音の開始時刻や最初の山(山@),最初の谷(谷A)の時刻を調べる。

 測定例1の場合,表1より1往復の時間は12.5msとなる。マイクと反射板の間の距離は219cmであるから,音速Vm/s〕は 

V350m/s

音速の公式で,気温30.3℃の場合の音速を求めると

V331.5 + 0.61×30.3350.0m/s

両者は正確に一致するので,仮説3の正しさを確認できる。

  データの処理について,注意すべきことがある。測定例1の場合,第1反射音の山Aや谷Aは,音速を求めるためのデータとして採用すべきではない。第1反射音の山Aや谷Aは,第1反射音そのものを表してはいないと考えられるからである。第1反射音の山Aがマイクを通過する時刻には,第1反射音の先端部はメガホンを出て観測者の身体で反射し,再びマイクに到着していたと考えられる。すなわち,第1反射音の山Aや谷Aは2つの音波の合成波を表していると考えるべきである。直接音の山Aと第1反射音の山Aの時刻から音速を求めると

   V380m/s

となる。

 

 








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