トップ物理I 改訂版>第3部 エネルギー>探究活動4 仕事による熱の発生

探究活動4 仕事による熱の発生

 

 

ねらい 物体が衝突して静止すると力学的エネルギー(直前の運動エネルギー)が失われる。一般的にエネルギー保存の法則が成り立つので,失われた力学的エネルギーは必ず別の形のエネルギーになる。この場合は熱エネルギーになるので,そのことを実験で確かめる。

準備・方法 粒状鉛は試薬の鉛粒を使う。温度計は0.1℃目盛りがあれば,その方がよい。

 当日,別のクラスなどで実験に使った鉛粒は,内部に熱が残っている場合があるので,使わないようにする。また,1日以上,室温で放置した鉛粒を使う。2回以上,同じ実験をしたい場合も,前日から放置してあった別の鉛粒を使う。温度計の目盛りが

熱平衡となって落ち着くまで,数分間待つ。

 ビニルテープは,鉛粒が飛び出さないよう,十字に一巻きする(教科書p.178の図参照)

 表面が軟らかいところではなく,固い床に落下させる。落下させる高さは11.5m程度,落下させる回数は50回程度がよい結果が得られるようである。

 鉛粒全体が一様な温度になるまで時間がかかるので,20秒ごとに5分間測定する。

処理 横軸に落下直後からの時間,縦軸に温度をとったグラフを描く。このグラフを外挿することによりn回落下させた直後の温度を推定する。

 n回落下させたことによる力学的エネルギーの減少EJ〕はE(m1m2)gh×nとなる。実験結果を代入してEを求める。ただし,m1は鉛の質量,m2はテニスボールの質量である。

 鉛の比熱はc0.129J(gK)である。発生した熱量は=1000 m1ct となるので(熱量の公式の質量mg単位であることに注意),この式に実験で求めた温度tK〕やm1kg〕を代入して熱量QJ〕を求める。

データ例 実験結果の例を以下に示す。

    h1.00mg9.8m/s2

    m10.78kgm20.0305kg

 鉛の比熱c0.129J/(gK)

落下回数

50

粒状鉛の温度

落下前〔

30.0

落下後〔

34.0

温度上昇〔K

4.0

発生した熱量〔J

402

重力がした仕事〔J

397

 

考察 発生した熱量と重力がした仕事はほぼ等しくなることから,失われた力学的エネルギーは熱に変わるという仮説が確かめられる。

 熱の実験は,外部との熱の出入りを絶つことが難しく,誤差が大きくなりがちである。鉛は比熱が小さいので,比較的温度が上がりやすく,誤差が小さめである。比熱の大きなものを使うと,温度がわずかしか上昇しないので,温度の読みとり誤差が大きくなったり,温度を上げるために落下回数を増やすと,実験にかかる時間が長くなり,熱の出入りが起こりやすくなったりして,誤差が大きくなる。

 

 

 








本サイトに掲載された記事や画像の無断転載を禁じます。
Copyright(C) 2009 SHINKOSHUPPANSHA KEIRINKAN CO.,LTD. All rights reserved.