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探究活動2 熱量保存に関する探究

 

ねらい  熱量の保存の関係から,熱した金属を水に入れたときの温度を予想する。

準備・方法 金属球を湯で熱するときは,湯が沸騰して水温が一定になっても,金属球の中まで温度が均一になるように,しばらく加熱を続けるとよい。その際,金属がビーカーの底に触れないように気をつける。

 金属球を湯から上げたとき,よく湯を切ることと,すばやく熱量計の中に入れることが重要である。湯の比熱は大きいので,金属球に付着した湯のもつ熱量は無視できない (付着する湯の量は12g程度である) 。また,すばやく熱量計に入れないと熱が逃げてしまう。この2点が実験の誤差の大きな原因になる。

処理 金属の質量をm1,比熱をc,銅製容器,かくはん棒の質量をそれぞれ,m2m3,銅の比熱をc1,水の質量をm4,比熱をc0初めの水温をt1,金属の温度をt2かくはん後の推定水温をtとすると,

  

 

より,予想水温は次式により与えられる。

   

  

データ例  下の表は,水の比熱c0=4.179J/(gK) (25℃のときの値),銅の比熱c1=0.385J/(gK) (25℃のときの値)を用いて計算したものである。

 

 

金属の種類

金属の比熱

cJ/(gK)

金属の

質量

m1g

銅製容器と

かくはん棒の質量

m2+m3g

水の質量

m4g

初めの水温

t1〔℃〕

金属の

温度

t2〔℃〕

かくはん後の

水温

t3〔℃〕

推定水温
t〔℃〕

アルミニウム

0.877

100.1

108.0

231.5

24.3

100.0

30.1

30.4

0.385

100.1

108.0

220.0

23.8

100.0

26.7

26.7

0.437

96.2

108.0

158.6

24.5

100.0

28.7

28.8

室温 26

 

 

考察 @上の表のように,計算値と実測値がほぼ一致することから,熱量保存が成り立っていることがわかる。

A 水熱量計の中に入れる水は,金属球を入れたとき,金属球がちょうど水につかる程度にする。多すぎると水の温度上昇が小さくなり誤差が大きくなる。また,金属球が水面より上に出ると,金属球から湯が蒸発し誤差が大きくなる。

B 初めに水熱量計に入れる水の温度は,室温よりも若干低めがよい。これは金属球を入れたときに,最初は周囲から熱入り,後半では温度が上昇して熱が逃げていき,最終的に熱の出入りが相殺されるようにするためである。ただし,水道の水は室温よりも低いことが多いので,あまり神経質になる必要はない。

 誤差の原因のなるものとして,次のようなことが考えられる。なお,かっこ内の+は熱を余分に受け取ることを,−は熱が逃げていくことを示す。

(1) 温度計の熱容量()

(2) 容器から逃げる熱量()

(3) 金属球を熱量計に入れるまでに逃げる熱量()

(4) 金属球に付着していた湯()

(5) 水のかくはんの不十分さ(±)

(6) 計測時の測定誤差(±)

 

 なお,この実験は従来のように比熱を測定する実験と置き換えて実施してもよい。

 

 










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