トップ物理I 改訂版>第3部 エネルギー>探究活動1 力学的エネルギーに関する探究

探究活動1 力学的エネルギーに関する探究

 

ねらい 振り子を傾けてはなすと,重力による位置エネルギーが減少し,運動エネルギーが増加する。空気の抵抗や摩擦力が無視できるとき,力学的エネルギーが保存されることを実験的に探究する。

準備・方法 あらかじめ30cm×30cmの板で図のような装置を班数分用意しておく。板には5cmごとに線を引いておくと,高さの測定が容易になる。

 おもりを2本の釣り糸でV字型につり下げるのは,振り子の振動面が速さ測定器を通過しやすくするためである。糸1本でつると,おもりが測定器にぶつかりやすくなる。また,V字型でつり下げてあっても,2本の糸がきちんと伸びていないと測定器にぶつかってしまう。ぶつかった衝撃で糸の長さが狂ってしまうこともある。ぶつかったときは,最下点の高さが変化していないか確かめる必要がある。

 おもりの高さは下端で測る。おもりの中心で測ると誤差が大きくなる。

 速さ測定器には時刻モードやスピード測定モードなど,計5種類のモードがあるので,スピード測定モードにするための方法をよく説明しておく。

 同じ高さで34回データをとる。ていねいに実験すれば,毎回ほぼ同じ値になるはずである。もし,大きく異なるデータが得られたら,糸の長さが実験途中で変わってしまったとか,高さの測定を間違えたとかなどの問題があったと考えられる。速さ測定器は教材会社より「ピースピ」の商品名で販売されている。

処理 連度計の表示はkm/hなので,m/sに直す必要がある。速度計は小数点以下2桁まで表示されるが,最後の桁はある程度の誤差を含む。

データ例  実験結果の例を下に示す。

考察 @縦軸に運動エネルギーKをとり,横軸に位置エネルギーUをとったグラフを描くと,データは原点を通る直線上にほぼのる。また,ほぼKUとなるので,力学的エネルギーが保存されていることがわかる。

A摩擦や空気抵抗があるため, KU となるはずであるが,実験結果はいずれもKU となっている。これは速度計の誤差と考えられる。この速度計は,元々は玩具であり,あまり精度は期待できない。それでも相対誤差はほぼ数%以内に収まっている。

参考文献:

「ピースピの授業への活用」馬目秀夫(物理教育通信)1997年,No.88p.12

「理科総合A実施報告」岸澤眞一(物理教育通信)2004年,No.117p.15

 

 

おもりの最下点の高さ  0.027m

おもりの高さ

速さ〔km/h

速さの平均値

速さの平均値

m

1回目

2回目

3回目

4回目

km/h

m/s

0.100

4.37

4.35

4.41

4.4

4.38

1.22

0.150

5.65

5.66

5.66

5.66

5.66

1.57

0.200

6.71

6.66

6.71

6.7

6.7

1.86

0.250

7.59

7.63

7.57

7.56

7.59

2.11

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おもりの質量 0.0283kg

おもりの高さの差hm

0.073

0.123

0.173

0.223

速さの実測値v1m/s

1.21

1.57

1.87

2.12

位置エネルギーUJ

0.020

0.034

0.048

0.062

予想される速さ v2m/s

1.20

1.55

1.84

2.09

最下点における運動エネルギーKJ

0.021

0.035

0.049

0.064

運動エネルギーと位置エネルギーの比K/U

1.05

1.03

1.02

1.03

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 








本サイトに掲載された記事や画像の無断転載を禁じます。
Copyright(C) 2009 SHINKOSHUPPANSHA KEIRINKAN CO.,LTD. All rights reserved.