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第2節 気体の状態の変化

 

ボイルの法則,シャルルの法則

熱力学第1法則

定圧変化

定積変化

等温変化

断熱変化

 


 

ボイルの法則,シャルルの法則

容器に閉じこめた空気は,その体積を小さくすると圧力が大きくなり,逆に体積を大きくすると圧力は小さくなる。ボイルは,気体の圧力と体積の間の数量的関係を実験によって調べ,その単純な法則性を初めて認識した(1662)。同じ法則は,フランス人マリオットによって独立に発見され,『空気の性質に関する論文』(1676)の中で一層明晰な形に言い表された3)

 容器に閉じこめられた空気は,熱せられると,その圧力が大きくなったり,あるいは膨張したりする。このことはすでに古代にも知られており,へロンはその著書の中で,これを利用した多くの気体装置を紹介した1)。ガリレイは,ヘロンの著作を研究していたころ,空気の熱膨張を利用した温度検器(または温度())1597年以前に製作したが2),やがてそれは空気寒暖計に改良された。

 シャルルは,気体の圧力と温度との関係を実験によって調べ,次の法則を発見した5)(1787)。すなわち,「容器に気体を閉じ込め,その体積は変えずに温度を上げる。そのとき,気体の圧力は,温度がl上昇するごとに,0における圧力の1/273だけ増加する」。

 われわれがシャルルの法則とよんでいる法則は,ゲー・リュサックが1802年に実験によって初めて発見し,その後,ルードベリやマーグメスの実験によってより正確に述べられた法則である4)。すなわち,「容器に気体を閉じ込め,その圧力は変えずに温度を上げる。そのとき,気体の体積は,温度がl上昇するごとに,0における体積の1/273だけ増加する(ゲー・リュサックの法則)」。

 ゲー・リュサックの法則は,シャルルが発見した法則とボイルの法則を組み合わせると出てくる。そこで,われわれはゲー・リュサックの法則をシャルルの法則とよんでいる5)

 

参考文献:

1) ダンネマン『大自然科学史』安田徳太郎,加藤正訳 第一巻p.298p.307三省堂

2) ダンネマン『大自然科学史』第三巻p.120p.122

3) ダンネマン『大自然科学史』第三巻p.357p.361

4) ダンネマン『大自然科学史』第六巻p.237,第七巻p.97

5) ランドスベルグ『物理学の基礎』宮原将平/監修 中川毅/訳 第二巻p.56p.87理論社

 

熱力学第1法則

 熱力学第1法則を,

   ΔUQw

と表した書物もある。この表現では,仕事wは外部から気体にする仕事であり,教科書とは仕事Wの定義が異なっている。教科書の表現と比較すると,

   気体が外部にする仕事W

      =−(外部から気体にする仕事w)

ということである。仕事は教科書p.128にもあるように負の値をとることもあり,正,負はエネルギーの流れの向きを表すと考えられる。熱力学第1法則においては,Qにも正,負を考え,気体から熱量qを奪うときは,

  気体に加える熱量Q=−(気体から奪う熱量q)

と扱う。ΔUもまた,正しくは内部エネルギーの変化であり,

   内部エネルギーが増加するときは,ΔU0

   内部エネルギーが減少するときは,ΔU0

である。

 

定圧変化

 大気中で,ピストンが自由に動けるようにして気体を変化させると,圧力が大気圧とつり合って一定に保たれ,定圧変化となる。したがって,定圧変化は,実際にもよくある変化である。

 体積を一定に保って加熱すると圧力が上昇してしまうので,加熱して定圧変化になるようにするには,気体の体積が増加するようにしなければならない。したがって,定圧変化では,加熱すると否応なく気体は外部に仕事Wをすることになる。気体には,気体の温度を上げるために必要なエネルギーΔUにプラスして,気体がする仕事Wの分も,熱量Qとして気体に加えなければならない。このことを生徒によく理解させたい。

 

定積変化

 定積変化では,気体のする仕事W0になる。単純な変化で理解しやすいと思われる。

 定積変化は,固体や液体に熱を加えた場合とほぼ同じで,加えた熱Qがすべて内部エネルギーの増加ΔUとなり,内部エネルギーが増加するから温度も上昇するという単純な関係が成り立つ。

 

等温変化

 等温変化では,生徒は温度が変わらないということで,固体,液体と同様に,熱の出入りがないと単純に判断してしまい,気体の変化が理解できなくなることがある。この等温変化は,生徒の常識に反するので,逆に,温度の変化がないにもかかわらず,体積が膨張するときは気体が仕事をすることになり,その分,熱を加える必要があることを納得させて,熱力学の第1法則,エネルギー保存の法則をふまえた気体の変化のより深い理解に導きたい。

 

断熱変化

 一般に,ある系の状態が変化するとき,外部との熱のやりとりを行わない場合, この変化を断熱変化という。いま,1molの理想気体が準静的かつ断熱的に変化するとしよう。熱力学第1法則により

QΔUpΔV

ところで,断熱変化の場合,Q0であるから,

ΔU=−pΔV  ……………@

すなわち,ΔV0ならばΔU0。つまり,断熱圧縮するときは内部エネルギーは増大し,気体の温度は上昇する。

 ところで,CvΔU/ΔTより,ΔUCvΔT  ……………A

   @Aより,ΔT  ……………B

一方,理想気体の状態方程式は,pVRT  ……………C

であるから,Δ(pV)RΔT

     ∴ ΔpVpΔVRΔT  ……………D

BをDに代入して,ΔpVpΔV

  ∴ 

 

ところでであるから,

      ∴ 

両辺を積分して,logp=−γlogV+定数

または,logpVγ=定数 すなわち,pVγ=一定  ……………E

CとEより,TVγ-1=一定  ……………F

 一般に,2γ1であるから,断熱変化の場合,Eにより,p-V曲線は,等温変化の場合よりも急減少であることがわかる。

 

 

 

 

 








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