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第2節 運動エネルギー

 

エネルギーの概念

運動エネルギー

仕事と運動エネルギーの一般的な関係について

 


 

エネルギーの概念

 エネルギーの概念は,物理学およびその周辺の科学において,特別の重要さをもっている。いろいろの現象や現象の間の関係を記述するために,種々の概念や量が必要であることはいうまでもないが,1つの系でそのエネルギーの性質が与えられると,それから逆に系の性質が決まる。とくに力学系のような単純なものにあっては,系のエネルギーを知ることによって,その行動の大勢を決定することができる。つまり,エネルギーという量はほかの物理量に見られない一種の総合的な性格をもっているのである。それは,エネルギーなる量が,つねに保存という性質をもっていることに起因する。われわれは系のエネルギーを勝手に定義しているのではない。ある量をエネルギーとよぶ場合は,系の変化を通じてその量がつねに保存されるようにエネルギーを定義しているのである。だから,物理学におけるエネルギー概念の重要さは,その保存という性質にあるといってもよい。

 

運動エネルギー

 教科書の運動エネルギーの式を求める段階で,重要なことは,運動している物体にはたらく力の性質によって,はじめ速さv0の状態から物体が静止する状態までに,無数の多様な変化をなしうるにもかかわらず,その物体が他の物体にする仕事が初めの物体の運動状態だけで決まり,途中の変化には関係しないということである。

 運動エネルギーとは,運動している物体が静止するまでに他の物体にする仕事のことであるが,物体が運動している状態から静止の状態に変化する間にする仕事が,途中の変化のしかたに関係なく一定であることが,運動エネルギーを定義できる条件であることに注意しなければならない。

 

仕事と運動エネルギーの一般的な関係について

 平面上を運動する物体の運動方程式は,

 

となるから,これらの式のそれぞれにを掛けて,辺々加えると,

 

これを書きなおすと,

 

したがって,    

両辺を積分すると, 

 

すなわち,教科書p.135(7)が一般的に成り立つことがわかる。この関係式をエネルギーの原理ということがある。

 この式は,“外力がはたらいて物体が仕事をされると,その仕事に等しい量だけ運動エネルギーが増加し,逆に,物体の運動エネルギーが減少するときは,その減少量だけ物体は外部に仕事をする”ことを意味している。

 この関係において大切なことは,初めの速さv0の状態からvの状態になるまでに,物体にはたらく力の性質によって無数に多様な変化がありうるにもかかわらず,その間に物体になされる仕事は,v0vの大きさだけで決まるということである。逆にいえば,運動エネルギーは,運動する物体の途中での状態の変化のしかたには無関係に,vだけによって決まるということである。

 

 

 

 

 

 








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