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探究活動2 摩擦力の測定

 

 

ねらい 最大摩擦力が垂直抗力に比例し,接触面の大きさによらないことは,従来天下り的に公式を与えて結論づけるきらいがあった。静止摩擦係数が垂直抗力によらないことを精度よく実験的に確認することは難しいが,身近な現象でもあることから,探究活動としてとり組むには適当なテーマである。

 接触させる物体の組み合わせや接触面積の大きさ,面の状態など,条件を様々に変えて実験を行い,それらの実験結果をきちんと整理し,結論として何が言えるのかをまとめることをねらいとする。

<実験1> 物体を水平方向に引いて調べる方法

準備・方法 物体には何を用いてもよいのだが,ゴム板を用いると,接触面を彫刻刀で削ることによって接触面積を変えることが容易にできる。このとき,ゴム板にどの向きに溝をつけるかによって,静止摩擦係数が異なるかどうかを調べてみるとよい。実験を行うにあたって,ばねはかりを水平方向に引いて正しい目盛りを指すように調整することを忘れてはいけない。また,ばねはかりを水平方向にゆっくりと引くことができるかどうかが結果に大きく影響するので,何度か練習するとともに,一つの条件について複数回実験することが必要である。ばねはかりを直接手に持たずに,上部につけた糸をパイプに巻き付けていくようにすると,手の震えの影響が出ず,より精密な測定ができる。

処理 得られた結果から静止摩擦係数μを求めるには,最大摩擦力Fと垂直抗力Nの関係をF-Nグラフ(原点を通る比例のグラフ)に描き,そのグラフの傾きから求めるようにする。グラフが原点を通らないように思える場合には,それを考察の題材にすればよい。

データ例

 

 

考察 最大摩擦力が垂直抗力にほぼ比例すること以外に,静止摩擦係数の大きさに関して,次のような考察の観点がある。

・接触させる面の組み合わせの違い

・面の状態(乾燥,水で濡らす,潤滑油を塗る)による違い

・接触面の面積による違い

 グループごとに異なる観点について実験を行い,実験結果を報告し合うのもよい。場合によっては,教科書の記述と一致しない結果が得られることもあるが,その場合は生徒に自由に仮説を立てさせ,それを検証するような実験を考えさせるとよい。

 必要に応じてコンピュータ(表計算ソフト)を活用すれば,効率的に作業を行うことができる。

発展 動摩擦係数についても,垂直抗力に比例するという性質がある。最も単純な方法としては,物体をばねはかりで水平方向に引いて一定の速度で動かし続け,その時のばねはかりの目盛りから動摩擦力の大きさを知るという方法がある。他にも動摩擦係数を測定する方法を工夫し,測定してみるとよい。

 

<実験2> 摩擦角を調べる方法

準備・方法 実験1と基本的には同じであり,斜面の角度を変えていく際,できるだけゆっくりと変える。また,物体の上にのせたおもりが滑り落ちないように工夫しておく。

処理 得られた結果(角度q)から静止摩擦係数mを求めるには,mtanqの関係を用いる。

 

データ例

 

3       木−ゴム

おもり〔g

摩擦角〔度〕

静止摩擦係数

50

40

0.84

100

37

0.75

150

36

0.73

200

38

0.78

 

静止摩擦係数0.73

 

水平方向に引いた実験の結果

得られた静止摩擦係数0.78

 

考察 物体を水平方向に糸で引いた場合と比べて静止摩擦係数が一致しているかどうかを考察する。大きく違っているようであれば,その原因についても考察する。

 

 

 

 








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