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第2節 加速度

 

加速度

等加速度直線運動

加速度が負の運動


 

加速度

 「単位時間あたりの位置の変化」が速度であるのに対して,「単位時間あたりの速度の変化」が加速度であるから,その定義式も速度にならって定義できるわけである。すなわち,

 時刻t1の瞬間の加速度  

 

 このような抽象的な定義は,単純明解であるが,初学者には理解しにくい。速さが変わるならそれをどう表すとよいかと考えさせたり,車の出足のよさ,ブレーキの効き具合いなど,日常生活上の体験を思い出させて理解させるとよい。とくに,車に乗っているときに感じる力(後で学ぶ慣性力)が加速度に関係していることを述べ,加速度を体感していることを強調するなどして,親しませるとよい。

 速度と加速度の混乱は生徒によくあることなので,新幹線と通勤列車との比較などから,速度の大きい運動が加速度が大きいということではないことを理解させる(教科書p.612)

 加速度が負であるとはどんな場合であるかについても,説明をしておくべきである。速さが増えているのに,加速度は負という場合(例:v1=3m/sv2=5m/s)もあることなどを説明しておくとよい。

 加速度の単位m/s2は生徒には理解しにくい単位であるから,その成り立ちを説明しておくとよい。

 

等加速度直線運動

 なぜ教科書p.6415の方法を使うのか。変位を求める方法がこれまでに確立しているのは,等速直線運動の場合だけである。そこで,所要時間を微小な時間ごとに区切り,それぞれの時間内では等速直線運動をしていると考えるのである。

    

         

 より正確に求めようとすれば,より微小な時間に区切る必要がある。このとき,変位を表す図形(近似したv-tグラフ)は正確なv-tグラフに近づいていく。このことから変位はv-tグラフの下の面積で与えられるとわかる。

 

 

これを区分求積法という。これを一般化した計算方法が積分である。

 

 等加速度直線運動での変位xを求める方法として,よく知られた方法に,

平均の速度  を用いて,

 


 

と求める方法があるが,この「平均の速度」はp.54で述べた意味での「速度の時間的平均」ではなく,初速度と最後の速度の単純平均(個数平均)にすぎないことに注意しなければならない。ただ等加速度のときは両者は一致するだけのことである。

 

加速度が負の運動

 加速度にも速度と同様に向きがあり,直線上の運動では,向きが符号で表されることを学んだ(教科書p.62)。しかし,教科書p.6516のような,加速度の向きが初めの速度の向きとは逆向きである運動は現象的にも複雑であり,また数式の扱いも初学者にとってやさしいものではない。

 よって,加速度が負の等加速度直線運動については,x-tグラフ,v-tグラフを含めて丁寧に扱っておくことが望ましい。また,等加速度直線運動を表す3つの式が,この場合(加速度が負)でもそのまま使えることは重要であり,現象・グラフ・数式の3つの面から総合的に理解を深めておきたい。

 ただし,中学校で2次方程式の解の公式を学んでいないことに注意し,数式の扱いについては生徒の実状を十分に踏まえることが必要である。

 

 

 








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