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6節 交流と電波

 

直流と交流の違いを調べる実験

オシロスコープによる交流の電圧波形の測定

交流の話題

交流発電機

送電はなぜ交流か

変圧器と電力輸送

空間を隔てて豆電球を点灯させる実験

エジソンと直流・交流

ヘルツの実験

電磁波の性質を調べる実験

電磁波の種類と性質


 

直流と交流の違いを調べる実験

(1) 発光ダイオードの実験

教科書の「やってみよう 発光ダイオードによる交流の観察」のように,発光ダイオード2個を,電流の流れる向きを逆にして並列に接続する。薄暗い部屋で,これに3V程度の交流をかけて左右に振る。そうすると,2個のダイオードが交互に点灯するので,2本の点滅した曲線が見える。これに3V程度の直流をかけた場合は,1つのダイオードが連続的に光るだけなので,点滅しない1本の曲線になって見える。このとき,ダイオードを保護するため,ダイオードに直列に10Ω程度の抵抗を付ける。

 もし,100Vの交流をそのまま用いる場合は,10kΩ程度の抵抗を直列に接続する。

なお,普通の発光ダイオードは2.5V以下では点灯しない。

 

 

(2) 食塩水を用いた実験

図のように,濃い食塩水にフェノールフタレイン液を混ぜ,この水溶液をしみこませたろ紙の上を,直流10Vを加えた2本の通電棒を滑らせながら引く。この場合,−極の通電棒の通った跡だけに赤い色の線が現れる。

 赤い色の線が−極のほうにだけつくのは,食塩水が電気分解されて,Na+イオンが−極の方に移動し,−極付近にNaOHができ,フェノールフタレイン液が赤色に変わるからである。

 

オシロスコープによる交流の電圧波形の測定

 交流の学習の導入で,オシロスコープを使って,身近に用いられている交流の電流や電圧が変動していることを観察させるとよい(教科書p.3434)

(1)通常,コンセントのアース側は穴の大きい左側だが,念のため検電ドライバーで確認しておく (誤って配線されていないかを確認する),(2)必ずオシロスコープのアース側とコンセントのアース(コールド)側をつなぐようにする(オシロスコープの筐体は端子のアース側と接続されているため,コンセントのホット側とオシロスコープのアース側をつないだ状態で筐体を触ると感電する)。このときには,図のようなプローブとテストリードを組み合わせるとよい。

 

 または,変圧器(トランス)を入れてコンセントとの直接的な接続を切り,交流波形の観察を行うと,より安全である(ただし,スライダックでは直接的な接続が切れていないので,このような変圧器は使わないこと)

 

交流の話題

 交流は,英語でalternating current(互に向きを変える電)というので。ACと略称する。

 日本では,図のように,交流の周波数が東日本と西日本では異なる(その境界は,ほぼ静岡県の富士川)。これは,電力会社が最初に輸入した発電機が,東日本ではヨーロッパからで,西日本ではアメリカからだったためである。

 

交流用同期モーターは,周波数に比例した回転数で回転するから,モーターを用いた電気器具の中には,周波数が異なると回転速度が変わってしまうものがある。たとえば,交流同期式シェーバーでは,西日本用のものを東日本で使うと,回転速度が下がり,スムーズにひげがそれなくなる。

 このほかにも,クッキングタイマー,洗濯機などの中に,交流同期式のものがある。これらを違う周波数の地域で使うときは,切り替えスイッチで対応周波数を切り替えたり,部品を交換しなければならない。

 東海道新幹線は,50Hz60Hzの両方の地域を通っているが,電線に流す電流は60Hzに統一されている。そのため,50Hzの地域では,周波数変換所が設けられている。

 モーター以外で周波数の影響を受けるものには,蛍光灯がある。60Hz用の蛍光灯を50Hzで使うと,回路に用いられている安定器のコイルのインピーダンスが小さくなって,電圧降下が小さくなり,ランプに大きな電圧がかかるようになる。このため,ランプの寿命が短くなったり,火事の原因になったりする。

 ただし,どちらの周波数でも使えるモーターであったり,回路が工夫されていて,どちらの周波数の地域でもそのまま使えるものも多い。

 

交流発電機

 電磁誘導を利用して,軸を機械的に回転させることによって電気を発生させる装置が発電機で,わが国における大規模な発電は,全て交流である。発電機自体の機械的エネルギーから電気的エネルギーへの変換効率は,大型機では90%以上に達する。

しかし,火力発電で熱エネルギーを機械エネルギーに変換する部分の効率は50%以下であるので,効率を改善する目的で,電磁流体発電などが研究されている。

大容量の発電機として最も広く使用されているのは,回転界磁型発電機である。図のように誘導電流を得るための電機子コイルを外側に固定し,界磁石を回転させる構造になっている。

界磁石の方を回転させるのは,次の理由による。発電電圧は数千V以上であるので,電機子を回転させる場合は,高電圧に対する絶縁が必要になり,それを高速度回転させると壊れやすい。一方,磁場をつくる界磁石には電流を流すためのスリップリングが必要であるが,この電圧は100200V程度なので,絶縁も簡単で,回転させても故障しにくい。界磁石には外部から直流電流を流し励磁するが,そのために交流発電機と軸を共有する直流発電機をとり付けているものが多い。この直流発電機を励磁機という。

 回転界磁型とは逆に,界磁石が固定されていて,電機子が回転する構造のものを,回転電機子型発電機という。回転界磁型発電機の説明で述べたように,電機子を回転させる場合,スリップリングの絶縁が困難になり,かつ大電流が流れるのでスリップリングおよびブラシが巨大になり,この部分が接触不良などの故障を起こしやすい。このため,小容量の発電機として用いられるだけである。

 この他に,高周波発電機として用いられる誘導子型発電機がある。これは電機子,界磁石ともに静止し,ただ電機子コイルを通る磁束だけが周期的に変化する。界磁石コイルは,1個の大きなコイルFで,これをまたぐ多くのU字形鉄心Cに電機子コイルが巻いてある。中心に誘導子とよぶ歯車状の鉄製の回転子Rがあり,これを回転させれば,電機子コイルを通る磁束が増減して交流起電力が生じる。誘導子Rは高速回転に耐え,また電機子コイルの数も多数にすることができるから,高周波発電機として用いられる。

 

送電はなぜ交流か

 歴史的には,直流送電の方が古く,1882年にエジソンがロンドンとニューヨークで始めたが,送電損失が大きく,数kmしか送れなかった。交流発電は,1885年にウェスチングハウスが実用的な変圧器を作り,1893年のシカゴの万国博覧会で25万個の電灯をともすことに成功し,広まった。

 交流送電が選ばれる理由は,まず第一に,発電所で直接得られるのは交流だということがある。ふつうの発電機は,電磁誘導を利用した交流発電機である(直流発電機というものもあるが,それは交流発電機に整流子をとり付けて脈流にしたものである)

 第二に,一般に電力輸送は高電圧で行うほうが送電線での損失が少ないが,交流は変圧器を用いることでわずかのエネルギーロスで変圧できることである。送電を高電圧小電流で行えば,送電線におけるジュール熱の損失が減るばかりではなく,電線の太さを細くすることができ,細ければ重さも減るから鉄塔も小さくすることができ,経済的である。発電機で直接得られる電圧は,絶縁性などの問題から2V程度が限界になるが,1つの送電経路の電圧の最大値は25Vとか50Vとかになる。

 第三に,実際の送電に使われる3相交流を用いると,回転磁界を簡単につくることができ,動力源として有用な交流モーターを効率よく回すことができる(単相交流ではコンデンサーなどの分相器が必要で,使い勝手が劣る)。誘導モーターは,直流モーターと異なりブラシや整流子が必要ではなく,小型で堅固に作ることができ,工場やエレベーターなどで広く用いられている。

 なお,交流送電の難点としては,複数の発電機を位相を一致させて運転させなければならないことや,電線が抵抗だけでなくリアクタンスをもち,長距離送電で同じ電圧をかけた場合,直流に比べて送る電力が少なくなってしまうことや,同じ電力なら交流電圧の最大値は直流の√2倍になり,ガイシなどの絶縁設備に経費がかかることなどがある。このため,大電力を遠くまで運ぶ送電や,海底ケーブルなどを用いる送電では,変圧器で高圧にした交流を直流に変換して送電し,消費地で再び交流に戻す直流送電が世界の多くの国で行われている。日本での直流送電経路には,44kmの海底ケーブルを含む本州と北海道を結ぶ168kmのものがある。

 

変圧器と電力輸送

(1) 変圧器とは相互誘導を利用して,交流の電圧を変える装置である。図のように,鉄心の回りにコイルが巻いてあるものがふつうである。これは,鉄心中では鉄の透磁率mが大きいために,磁束密度B =m Hが大きくなることを利用するためである。電圧,電流,磁束の符号を図のように決める。また,鉄心の1回りの長さをlとすれば,磁束が外にもれないときは,電流i1i2がつくる磁束F1F2は,

 

 

となり,磁束F は,F =F1 + F2となる。

 また,電圧v1v2

    

 

 

となり,電圧は巻数に比例する。

 

 

i2=0のときにも,1次側のコイルには,励磁電流が流れている。この電流は自己誘導係数を大きくすることによって小さくすることができる。i20のときF2が発生するが,1次側の電圧v1i2=0のときと同じなら,Fも同じになるから,1次コイルにF2をうち消すような電流i1¢ が励磁電流につけ加わる。i1¢ がつくる磁束F1¢F1¢=F2だから,

    

 

したがって,励磁電流を無視できるときは,i1i1¢となり,

    

 

となる。

 実際の変圧器では,コイルの抵抗のために生じるジュール熱と,鉄心の磁化におけるヒステリシス損失のために,必ず電力の損失がある。

(2) 電力輸送

 発電機のつくる交流の電圧は,3300V18000Vで,このままの電圧で遠くまで送電すると,ロスが大きくなる(損失の割合は発電所を出るときの電圧の2乗に逆比例する)。そこで変圧器で電圧を154000V50Vにまで高めて送っている。発電所からの長距離大容量送電には275000V,あるいは50Vという超高圧送電設備が利用されている。

 東京電力では,新しい電気の道づくりとして,送電損失の少ない100V送電線を建設しており,新潟県から山梨県にある東山梨変電所までが完成している。しかし,実際に100Vでの送電が実施されるのは2005年頃と見込まれている。100V設計のものは,直径38.4mm8本の電線が直径1mの円筒状に等間隔に配置されたものが1組となっている。それを支える鉄塔の高さは110mある。

 

空間を隔てて豆電球を点灯させる実験

準備

1次コイル:(Nakamura二重コイルCW-G型)

 直径1mmの銅線を1000回巻いたもの,コイルの長さは13cm,外径は7.5cm,鉄心入り,自己インダクタンス 9.0×102H,内部抵抗3.9Ω,リアクタンス34Ω(60Hz)

2次コイル:直径0.4mmのエナメル線を50回巻いたもの,コイルの外径8.0cm,内径7.6cm,内部抵抗1.82.0Ω,リアクタンス0Ω(60Hz)

豆電球(2.5V- 0.3A) 1個,交流電流計1個,交流電圧計2個,単巻変圧器

 

1.豆電球の明るさとコイルの間隔

  1次コイルに3.0A(60Hz)の交流を流して変化する磁界をつくり,2次コイルに発生する誘導起電力で豆電球を点灯させる。使用した1次コイルに3.0Aの交流を流すには,100Vの電圧が必要であった。また,豆電球は(2.5V- 0.3A)の規格のものを用いた。

  1次コイルに流す電流 3.0Aに保ち,1次コイルと2次コイルの間の間隔dを徐々に大きくしながら,豆電球のあかりの明るさと2次コイルの電圧2 を調べた。

  2次コイルを1次コイルに接触させる程に近づける(d0cm)と,豆電球は明るく点灯する。2次コイルを1次コイルから離していくと電球のあかりは暗くなる。コイルの間隔d2cmにすると,豆電球はフィラメントの1点で微かに点灯するほどの明るさになり,間隔d3cmにするとあかりを確認することはもう難しい。これは,コイルの間隔dの増加とともに2次コイルに発生する誘導起電力が減少し,豆電球に加わる電圧が減少するからである。2次コイルの端子電圧2 とコイルの間隔dの関係は,表1と図2のグラフで示した。また,豆電球のあかりの明るさと間隔dの関係は表1にまとめた。

 

 表1 コイルの間隔と2次電圧2 ,電球の明るさ

(1次電流  3.0A,1次電圧 100V )

 [cm]

   0

  1.0

  2.0

  3.0

  4.0

  5.0

2

[V]

   1.36

  0.92

  0.60

  0.35

  0.18

  0.10

電球の明るさ

明るい

(強くはない)

暗くはない 

フィラメントの1点が点灯

部屋を暗くすれば,点灯を確認できる

点灯を確認できない

点灯を確認できない

 

 

間隔d2cmに保って,暗くはないほどの明るさにするには,1次電流 4.0A (1次電圧 123V)にしなければならなかった。   

 

2.豆電球を明るくするために

  1の装置において,1次電流を3Aに保ち,2次コイルを1次コイルから2cmほど離すと,2次コイルに発生する誘導起電力は豆電球を微かに点灯させるだけの小さな起電力になる。この実験を効果的に演示するためには,コイルの間隔を大きくしても豆電球が明るく点灯するように,工夫が必要である。

 すぐにできる対策として,1次電流を大きくすることが考えられるが,そうすれば1次コイルの単位時間当たりの発熱量も大きくなる。1次コイルが高温になることから,1次電流は4A ほどが限界である。

2次コイルの巻数を増やすと,コイルの間隔は同じにしても,誘導起電力が大きくなるので豆電球のあかりも明るくなる。試しに,2次コイルの巻数を,図2に示したように2倍にしてみよう。すなわち50回巻きの2つのコイルを直列に接続して重ね合わせ,100回巻きの2次コイルとする。コイルの間隔のそれぞれについて,豆電球にかかる電圧とそのあかりの明るさを調べる。これらの結果を,50回巻きの2次コイルについての結果と比較して,表2にまとめた。

2次コイルに鉄心を挿入すると,効果はさらに上がる。直径1.6cm,長さ20cmの鉄心4本を1つに束ねて,2次コイルに挿入してみた。このとき,鉄心は2次コイルを突き抜けないようにし,鉄心の左端と2次コイルの左端を揃えた。

 

 表2 コイルの間隔と2次電圧2 ,電球の明るさ  (1次電流  3.0A,1次電圧 100V )

  d   [cm]

  1.0

   2.0

   3.0

   4.0

2 [V]  (50回巻)

電球の明るさ

  0.92

 暗くはない

   0.60

フィラメントの1点が点灯

   0.35

部屋を暗くすれば,点灯を確認できる

   0.18

 点灯を確認できない

2 [V] (100回巻)

電球の明るさ

  1.5

 明るい

   0.92

 暗くはない

   0.56

フィラメントの1点が点灯

   0.30

点灯を確認できない

 

 

エジソンと直流・交流

 エジソンは,どんなことにも興味を示し,よく観察する好奇心旺盛な子供で,いろいろなことをためしていた。小学校に入学しても,自分が納得できるまでしつこく先生に聞いて先生を困らせた。自由奔放に育てられたエジソンは厳格な学校生活になじめず,小学校をすぐに中退し,中学校や高校には行かなかった。母親が本を買い与えて教育し,自分で地下室で実験をした。

 12才で列車の新聞売りとなって親から独立し,図書館で片っ端から貪欲に本を読んで勉強した。さらに,勉強したことを家の地下室や走る列車の中で実験して確かめた。

 その後,全米一の電信技師となり,高速度電信装置,多重電信機,株式相場表示機を発明し,万能印刷機を改良,自動電信機の改良,謄写版印刷機の発明,無線通信の実験,電話機の改良,蓄音機の発明,白熱電球の改良などを行った。

 そして,白熱電球を使った照明を,各家庭にまで行き渡らせるため,電灯会社を設立し,発電所から直流送電で電力を供給する事業を開始した。しかし,交流送電で電力を供給するライバル会社が登場し,激烈な競争が始まった。ここで,エジソンは直流送電にこだわり続け,交流システムに異常とも見られる反論を開始した。

 それで,交流システムが危険であることを示すため,犬や猫を1000ボルトの交流で感電させる実験を公開して見せたり,ライバル社で発生した感電事故を毎日公示したりした。交流の危険性をPRするための実験に使われる犬や猫を,125セントでエジソン研究所が買い上げたため,周辺では,その数が半減するほどに犬や猫が捕獲されたと言われている。エジソンを尊敬し,エジソンのところにいたテスラも,あきらめてライバル会社に三相交流システムの特許を売り込んだりした。エジソン陣営の中にいる人たちも,エジソンをいさめる人もいたが,エジソンは頑として直流にこだわり続け,とうとう敗北したのである。会社名も『エジソン・ジェネラル・エレクトリック社』から『ジェネラル・エレクトリック社』に変わってしまい,エジソンは自分で築き上げた会社から,事実上,締め出されてしまうことになった。

 その後も,蓄音機の改良や活動写真の発明,アルカリ蓄電池の発明など,たくさんの発明・改良を繰り返し,選鉱機や巨大な岩石粉砕機の発明と鉄鉱山会社の経営,巨大なセメント製造装置の製作とセメント工場の経営などで失敗と成功を繰り返し,84歳で生涯を閉じた。

参考文献:図説エジソン大百科,山川正光著,オーム社,1997

 

ヘルツの実験

 イギリス,エディンバラ生まれの物理学者マクスウエルは,33歳の1864年頃,ファラデーの電磁界に対する考察を数理的にまとめ,4つの電磁気学の基礎方程式を確立した。彼は数学的理論に堪能な人であったから,この方程式に簡単な操作を加えると電界と磁界それぞれについての波動の式が得られることに気がついた。このように波動の式が得られるということは,空間を波動となって伝わる電界と磁界の波が存在し得ることを示す。これが,彼が電磁波の存在を予言したといわれるところのものである。この波動の式の理論的研究から,電界と磁界の波は互いに直交する平面内の振動であり,波の進行方向はの方向となるから横波であり,進行速度はであること,ならびに,この速度は光の速度cに等しいことがわかった。こうした経過から,電磁波と光は本質的に同じものではないかとの議論が始まることとなった。

 この電磁波の存在を実験的に確認したのがハンブルグ生まれで30歳のヘルツであった。これについての論文は18871890年に発表されており,どの論文をもって電磁波の存在が確認されたかについては,研究者によって見解の相違がある。

 初め,彼は図のような装置で火花間隙に高い電圧をかけて放電を起こさせることによって電磁波を発生させた。左右の端にある四角い導体板は電圧が上昇するにしたがってそれぞれ正負に帯電し,火花間隙間には大きな電圧がかかる。

 

 

これは電気容量Cの存在を意味する。十分高電圧になって放電が始まると,火花放電の状態ではその部分の空気の電気抵抗は十分に小さいので大きな電流が瞬間的に流れ,このとき電流の回りには磁束線が生じる。これは短い直線状の回路にもインダクタンスLがあることを意味し,このLCで決まる振動数の電気振動が起こり,電磁波が発生する。しかし,蓄えられた正負の電荷は放電により速やかに消滅するので,この電気振動は1回の放電の持続時間だけで終わる。次に再び充電が始まり同じことが繰り返される。

 ヘルツは,マクスウエルの予言から,この電磁波は光の性質をもつものと期待し,放物面鏡で反射させて平行光線(平面波)を作り,反射,屈折などの実験を試みたが,初期の実験では波長が長すぎて(45m)成功しなかったようである。そこで,彼は装置の寸法を小さくして,教科書のような装置を組み立て,直進,反射(2m四方の金属板を用いて),屈折(辺の長さ1.2m,頂角30度のピッチでできたプリズムによる),偏り(縦横2m8角形枠に銅線を3cm間隔で多数平行に張ったものを用いて)などを確かめた。この場合は,電磁波の波長は最初の実験の10分の1以下であったと述べられている。このような一連の実験により,電磁波の存在が確認されたということができる。

 

電磁波の性質を調べる実験

最近は,マイクロウェーブ級の電波(3cm)を,実験室内で手軽に送受信できる装置が市販されるようになった。この装置を利用して,電磁波の反射,屈折,回折,干渉,偏りに関する実験を行い,電磁波の波動としての性質を理解させる。

 (1) 電磁波の反射

送信器,反射板(金属製),受信器の検出部を図のように配置し,反射板を鉛直軸の周りに回転させて,入射角と反射角の関係を確かめる。

 

 

 (2) 電磁波の屈折

パラフィンを正三角柱の形に固めたプリズム (または,透明なプラスチック板で作った箱に流動パラフィンを入れたもの)を送信器の右側に置き,プリズム通過後の電波強度を調べる。

 (3) 電磁波の偏り

送信器と受信器を対向させ,その間に金属すだれを置く。

(a)図のように,電界Eが金属棒に平行に入射するように金属すだれを置くと,金属棒中の自由電子は,電界Eおよび磁界Hの作用により,金属棒に平行な電気力を受ける。そのため,電子は金属棒中を振動し電流が流れる。その電子は入射電磁波と同じ振動数の電磁波を発生させ,金属板に電磁波が入射したのと同様に,電磁波を反射する。したがって電磁波は透過することができない。(b)図のように,金属すだれに対して電界が垂直に入射する場合は,すだれ内部の電子はほとんど動けないため電流は流れず,電磁波も発生しない。そのため,入射電磁波はすだれから影響を受けることなく受信器に到達できる。

 

 

(4)電磁波の複スリットによる干渉

光のヤングの干渉実験に相当する実験をすることができる。3枚の金属板を用いて複スリットをつくり,電磁波の検出器を移動させてスリットを通り抜けた電磁波の強度を測定すると,ヤングの干渉縞に相当する電波の強弱が観測される

 

 

電磁波の種類と性質

 

 

 

 

 








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