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5節 モーターと発電機

 

 磁石と磁気に関する歴史

棒磁石による鉄粉の模様

直線電流による磁界の模様

 電流の磁気作用の発見の意義

電流が磁界から受ける力の演示

 ロジェの振り子

いろいろなモーターと原理

クリップモーター

磁石が回転するモーター

簡易リニアモーター

鉄道のリニアモーター

電磁誘導の簡単な実験

自転車の発電機の構造

手回し発電機を用いた実験

スピーカーとマイクロホンの実験

誘導モーターの原理

電磁調理器の原理


 

 磁石と磁気に関する歴史

 磁石に関する知識はかなり古いもので,わが国の文献では続日本書紀に「和銅6(713)近江国より磁石を献ず」とあるのが最古のものである。ここにいう磁石とは,天然産の磁石で,磁鉄鉱(Fe3O4)のことであり,そのころには吸鉄性だけが知られており,それゆえに珍重されていた。この吸鉄性鉱石は,元来,中国で発見されたものと考えられている。マグネットという名称は,小アジアのMagnesiaというところで磁鉄鉱が発見され,ギリシア人がこれをマグネスとよんだことに起因する。磁石の指南・指北性は,ずっと後世になって知られたもので,中国において宋時代,すなわち12世紀のことである。

 磁石に関する近代科学的研究は,ギルバート(W.Gilbert1540-1603)1600年に発表した論文『磁石について』に始まる。この論文においてギルバートは,当時得られていた磁石についてのすべての知識を集め,それに,彼自身の行った多くの実験を加えている。ギルバートの功績の1つは,地球を1個の磁石と考えたことで,伏角に関する理論もこの中に含まれている。もう1つの功績は,磁石の分割に関する実験を行い,分割面には必ず一対の磁極が現れ,どんなに分割しても電気の場合のように単独の磁極をとり出せないことを発見したことである。

 磁気に関するクーロンの法則は,1785年にクーロン(C.A.Coulomb1736-1806)が電気に関するクーロンの法則に続いて,明らかにしたものである。

 

◆棒磁石による鉄粉の模様

 棒磁石の上に画用紙またはガラス板をのせる。鉄粉は直接まくよりも,網目の細かなふるいを用いて,濃くなりすぎないように,一様にまく。画用紙またガラス板を軽くたたくと,鉄粉は磁力線に沿って並ぶ。鉄粉が磁力線に沿って並ぶには,板がなめらかすぎないほうがよい。すりガラスのザラ面を用いる。発泡ポリスチレンの板でもよい。

 磁力線を描いた鉄粉を固定するには,ヘアスプレーを軽く吹きつけるのがよい。

 

◆直線電流による磁界の模様

 教科書p.2726(a)のように,鉄粉の模様をきれいに描かせるには,エナメル線で最小限50×40cmほどの長方形コイルをつくる。巻数は使用するエナメル線の太さによって異なるが,電流×巻数が2050Aになるようにする。鉄粉を一様に散布する板(たとえば発泡ポリスチレン板)は,下図のようにコイルの長辺の中央に設置する。コイルがあまり小さいと,他辺を流れる電流の影響を受ける。また,電流×巻数の値が小さすぎると地磁気などの影響を受けて図形がくずれる。なお,磁力線の方向を見るためには,板の上に方位磁針を置いてみればよい。電池を使用する場合は,蓄電池を用いるのがよい。

 

 ソレノイドによる磁界の鉄粉の模様を描かせる場合も同様で,エナメル線で直径5cm程度のコイルをつくり,電流×巻数の値が1020A程度になるようにすればよい。

 

 電流の磁気作用の発見の意義

 1785年のクーロンの法則の発見以後,磁気に関するみるべき発見はしばらくなかった。1800年にボルタの電池が発明され,電池が両極をもっている装置であることから,電池と磁石の類似を考えて,1800年代の初期に電池をつり下げて磁石のように両極が南北を指すかどうかを調べたり,電池に磁石を近づけて力がはたらくかどうかを調べた実験がある。

 1820年,エルステッド(H.C.Oersted1777-1851)は,磁針に平行に導線を張って電流を流すと磁針がふれ,電流を反対向きに流すと磁針のふれも反対になることを発見した。この直線電流による磁界の発見について,エルステッドは「電流は針金の中に閉じ込められていないで,同時に周りの空間に広がる」と述べている。エルステッドの発見は,電磁気学の歴史にとって画期的なことであった。それまで電気と磁気とはよく似ているが,あくまでも別々の現象であると考えられてきたのに対し,両者の間に密接な関係のあることを初めて明らかにしたからである。エルステッドの発表は,1820721日であったが,それがデンマークからパリに伝えられたのが同年911日であったから,当時としては異例の速さである。エルステッドの発見の報は,アラゴー(F.Arago1786-1853)らによって,各国でただちに追試された。同年918日には,アンペールが電流相互間の力を明らかにし,1030日には,ビオ・サバールの法則が発表された。

 

◆電流が磁界から受ける力の演示

(1) 磁界中に置いた導線ぶらんこ

 細いエナメル線またはビニル線を数回巻いて,10cm×15cm程度の長方形のコイルを作り,糸につるしてぶらんこにし,スタンドにとりつける。電源には6Vの蓄電池を用い,すべり抵抗器(5A)を直列につないで,電流の強さを調節する。磁石には,アルニコ磁石のようにできるだけ磁化の強いものを用いる。

(2) 電解質溶液が受ける力

 ペトリ皿に銅柱と銅環を入れ,図のように配線し,硫酸銅水溶液をペトリ皿に入れる。ペトリ皿の一部をU字形磁石の間に置くと,運動イオンが磁界から力を受けて回転する。硫酸銅溶液の表面にアルミニウム粉を浮かべておくと回転の様子がよくわかる。電流の向きを反対にすると,回転も逆になる。

 

 ロジェの振り子

 平行電流間の力を簡単に実験するのに昔から有名なロジェの振り子がある。図のようなつるまきばねの上端を固定し,下端を容器に入れた水銀にわずかに接触させる。ばねの上端と水銀の間に蓄電池(6V)をつなぐ。ばねに電流が流れると同じ向きに流れる電流間には引力がはたらくため,ばねは縮む。ばねが縮むと下端が水銀面から離れ,電流が流れなくなるため,ばねはもとに戻る。これがくり返され,ばねの伸縮による上下振動がつづくことになる。 このとき,火花とともに水銀の蒸気も出るので,吸わないように注意する。

 

いろいろなモーターと原理

 モーターにはいろいろな種類のモーターがある。電源で分類すれば,直流モーター,交流モーター,交直両用モーター(ユニバーサルモーター)に分けられる。

 また,回転の方法で分類すると,直流モーター,同期モーター,誘導モーターの3つが代表的なもので,その他,特殊モーターとして,静電モーター,超音波モーターなどがある。

 整流子とブラシが必要か否か,界磁に永久磁石を用いるか電磁石を用いるか,回転子に永久磁石を用いるか電磁石を用いるかによっても分けられる。

(1) 直流モーター

 代表的な直流モーターは,界磁が作る磁界中に置いた回転子(電機子)に直流電流を流し,電磁力によってコイルを回転させるものである。常に同じ回転の向きに力を受け続けるようにするため,整流子がある。整流子がブラシと接触しながら回転して磨耗するため,比較的寿命が短い。

 直流モーターは,安価でエネルギーの損失が少ないのが特徴である。

(2) 交直両用モーター(ユニバーサルモーター)

 界磁の磁石として永久磁石ではなくコイルを巻いた電磁石を用いた場合の直流モーターは,交流でも回転させることができる。これを交流電源に接続すると,各瞬間は直流モーターと同じ状態である。また,電流の向きが変わって界磁電磁石の作る磁界の向きが逆転すると,回転子の電流も逆転するので同じ回転の向きに力を受け続けることになり回転する。

 ユニバーサルモーターは起動トルクが大きく,高速回転が容易なので,真空掃除機,ミキサーなどに利用されている。

(3) 同期モーター(シナクロナスモーター)

 交流の周波数に同期して回転するモーターである。界磁(固定子)に交流を流して作られる回転磁界によって,回転子に固定された磁極に回転する力を加え,回転させるものである。回転磁界の回転する速さに同期して回転子が回転するので,回転磁界の速さ(電源周波数)を変えることで,モーターの速さをコントロールすることができる。

 回転子に永久磁石を用いたものと電磁石を用いたものがある。

 始動(回転を開始する)には,始動時のみ,誘導モーターになるようにするとか,交流の周波数を次第に大きくするなど,特殊な方法が必要である。

(4) 誘導モーター(インダクションモーター)

 誘導モーターは,移動する磁界中に導体を置いた場合,導体に誘導電流(渦電流)が流れ,誘導電流が磁界から受ける力により,導体が磁界の動く向きに力を受けることを利用するものである。

 界磁(固定子)に交流を流して回転磁界を作ることは同期モーターと同じであるが,回転子に固定された磁極がなく,回転子の導体やコイルに発生する誘導電流が磁界から受ける力を利用するものである。

 回転子には,ショートしたコイルをかご型に配置するものが多い。

 誘導モーターは,安価で,ブラシや整流子がなく,永久磁石も使わないので故障が少なく耐久性にすぐれ,比較的小型で大パワーのモーターも作ることができる。そのため,誘導モーターは家電製品に幅広く利用されているだけではなく,最近の新幹線などの高速鉄道の車両のモーターなどにも利用されている。

 

 

 

(5) 回転磁界の作り方

 交流モーターでは,同期モーターも誘導モーターも,回転磁界が必要である。以下に回転磁界を作る方法を記載した。

() 三相交流を用いる方法

 三相交流の場合は,3つのコイルに位相が120°ずつずれた交流電流を流すことにより,回転磁界を簡単に発生させることができる。

() コンデンサーを用いる方法

 単相交流では,2つのコイルを直角に配置し,ひとつのコイルにだけコンデンサーなどを用いて位相のずれた電流を流すことにより回転磁界を作ることができる。

 

 

() くま取りコイルを用いる方法

 くま取りコイルを用いて単相交流で回転磁界を作ることもできる。界磁の主コイルを巻いた鉄心の一部に切り込みを入れ,そこに短絡したコイル(くま取りコイル)を取り付ける。くま取りコイルを流れる誘導電流は主コイルよりも位相が遅れることになり,くま取りコイルは主コイルよりも遅れた位相の磁界を作ることになる。そのため,くま取りコイルの部分には主コイルが作る磁界とくま取りコイルが作る磁界の合成磁界ができ,その磁界は主コイルが作る磁界よりも位相が遅れる。その結果,正確には回転するわけではないが,ほぼ回転する磁界を作ることができる。

 くま取りモーターは,構造が単純で安価であるが,出力が小さく効率も悪いので,扇風機などに利用されている。

 

 

 

() 電車のモーター

 日本国内の電車は,たいてい,発進時の力が強く,速度を広範囲に簡単に調整できる直流モーターを用いている。初期の新幹線車両や秋田新幹線の車両にも直流モーターが用いられている。交流を架線に流している最近の新幹線車両は,架線電圧を変圧器で降圧し,コンバータ(整流器)で一旦直流にして,それをさらにインバータ(逆変換器)で再度VVVF制御(可変電圧可変周波数制御,すなわち電圧や周波数を変えてモーターの回転数を変える)を行い,三相交流誘導モーターに交流電気を流して動かしている。誘導モーターは,整流子とブラシがなく,小型で耐久性が良いので,最近は誘導モーターをよく用いるようになった。

 

クリップモーター

(1)製作上のポイント

 エナメル線の一端はエナメルを全部はがし,もう一端は半分だけはがすことにより,整流子の役割をさせている。ただし,半周期しか電流が流れないので,通常のモーターよりも回りにくい。

(2)実験のポイント

 製作実験を行う前に,磁石を板や布で隠したものを見せると,コイルが回転する理由がはっきりせず,生徒の興味を引くことができる。

 コイルはフイルムケースや乾電池など,適当な円筒形のものに太目のエナメル線(直径0.40.6mm)を1020回程度巻きつけて形を作る。

 コイルの重さのバランスをとらないと,うまく回転しない。

 

 

磁石が回転するモーター

・回転軸用のエナメル線の片方の端のエナメルを全部はがし,他方は半分だけエナメルをはがす。

・回転磁石のN極またはS極が上にきたときに,回転軸のエナメルをはがした部分が接触しはじめるように,磁石を回転軸に固定する。

・乾電池などをしんにして,エナメル線を2050回巻いてコイルにし,台にセロハンテープで固定する。

・安全ピンのとめ金をラジオペンチでカットして,磁石を入れて台に固定する。

 

簡易リニアモーター

 板状のフェライト磁石を,同じ極が上を向くようにして板の上に何個も並べて固定し,それよりも高い位置に上端が来るようにしたレール(銅製かアルミニウム製か真ちゅう製)を,2本,磁石を挟むようにして平行に固定する。その上に,直径23mmの細い銅またはアルミニウム製のパイプを置く。蓄電池や手回し発電機で電流を流す。フレミングの左手の法則の向きにパイプが動き出す。

 アルミニウムパイプは表面が酸化しやいので,銅パイプの方がよい。

 実験のコツは,パイプの表面をスチールたわしなどで磨いて,電流を流れやすくすることと,動くパイプの高さが磁石よりもわずかに高い位置になるようにセットすることである。目の粗い紙やすりで磨くと,パイプの表面に傷がついてころがりにくくなる。

 真ちゅう製のパイプの場合,順調に動いているときの電流は700mA1A程度,摩擦等で引っかかって動けない状態では11.5A程度である。手回し発電器がなければ,新品の単一アルカリ電池を2個直列にしてもよい。しかし,手回し発電器を用いると,回す手ごたえから「電流を通じて仕事をしている」という実感があるのでよい。パイプがはずれて電流が断たれると,急に手ごたえが軽くなり,エネルギー保存の法則がよくわかる。

 

◆鉄道のリニアモーター

 鉄道車両などに利用されているリニアモーターはもう少し複雑である。現在,大阪の地下鉄などで実用化しているものは「車上1次リニア誘導モーター」とよばれ,交流誘導モーターを直線状に展開したような形のものである。すなわち,

@ 車両下部にコイルが取り付けられ,線路間にリアクションプレート(金属板)が設置されている。

A コイルに交流を流すとリアクションプレートに誘導電流が流れる。

B コイルによる磁界と誘導電流の相互作用で推進する。

 実験中の磁気浮上式リニアモーターカーは「地上1次リニア同期モーター」とよばれ,軌道側面の超伝導コイルによる磁界と同期させて推進する。なお,浮上用には,別途軌道上に設けられた浮上用コイルがあり,これに誘起される誘導電流による磁界と超伝導コイルとの反発力で浮上する。

 

電磁誘導の簡単な実験

 以下,電磁誘導を利用した簡単な実験の例である。

(1) スピーカーをアンプに接続して拡声する。

(2) 2台のスピーカーを直接長い電気コードで接続し,一方をマイク,他方をスピーカーとして用いて,糸電話のような使い方ができる。

(3) コイルを2個用意し,一方のコイルAを音楽を流しているヘッドホンステレオのイヤホン端子に接続し,他方のコイルBをラジカセのマイク端子に接続する。2つのコイルを接近させて並べて配置すると,電磁誘導により,ラジカセから音楽が聞こえてくる。音が小さいときはアンプなどで増幅する。コイルBは釘に巻くと感度が上がる。コイルAは,長い導線を用いて,教室一杯にコイルAを広げるとダイナミックな実験ができる。

(4) 数百回巻いた鉄心入りコイルA(市販の変圧器実験用コイル,または電磁力測定器用のコイルに直径1cm程度の鉄のボルトを数本入れたものなど)に交流電流を流す。2030回巻きのコイルBに豆電球を取り付け,コイルAに近づけると豆電球が点灯する。コイルABの間に紙やプラスチックや手などを入れてさえぎっても豆電球が点灯するのを見せると効果的である。

 (5) エナメル線を400500回巻いたコイルに発光ダイオードを接続し,コイルに強力な磁石を出し入れすると発光ダイオードが点灯する。

(6) エレキギターの原理を示す装置を作成する。

1m程度の板に釘を2本離して打ち,一方の釘にギターの弦(鉄線)の一端を固定する。他端をもう一本の釘に引っ掛けて,弦をピンと張る。

 ピックアップとして,別の釘にエナメル線を数十回〜数百回巻いたコイルを用いる。釘の上端には,強力磁石(ネオジム磁石がよい)をとり付ける。コイルの端はクリスタルイヤホンに接続する。弦を振動させ,ピックアップを近づけてイヤホーンで音を聞く。

 あらかじめ,エレキギターのピックアップに向かって大声を出しても拡声されないのに,弦を弾くと大きな音が出ることを確かめると効果的である。

 ピックアップの原理を理解させるには,強力な棒磁石にエナメル線を2030回巻いたコイルを検流計に接続し,棒磁石の近くで鉄片を激しく動かすと検流計がわずかに振れることで確認することができる。

 エレキギターの弦はしっかり固定し,かなり大きな張力をかける。弦を弾いてからピックアップのコイルを弦に近づけていくと,弦から直接出る音だけでなく,拡声された音が聞こえるので分かる。できれば,イヤホンではなくギターアンプに接続し,音をアンプ側で歪ませておくと,エレキギターらしい音が聞こえる。

 

自転車の発電機の構造

 実際の自転車の発電機の場合,ふつう電球につながる導線は1本であるが,それは自転車の金属製車体を導線として利用しているためである。

 なお,自転車で発電機を回してランプを点灯して走るとペタルが重くなるが,それは発電機を回すのに仕事が必要なためである。生徒は回転子とタイヤの摩擦が原因であると思っている場合が多い。手回し発電機を用いた実験により,負荷がある場合とない場合の発電機を回す手ごたえを実感させたい。

 

手回し発電機を用いた実験

(A) 材料

・手回し発電機・・・『ゼネコン』の商品名で中村理科工業から市販されている。

・豆電球・・・手回し発電機は,早く回すと10V程度の電圧が発生するので,1.5V用や2.5V用の豆電球ではすぐに切れてしまう。68V用の豆電球を用意するとよい。

(B) 実験のポイント

 早く回しすぎたり手ごたえがある状態で無理な力を加えて回すと,手回し発電機内部のギアがプラスチックなので簡単に欠けてしまう。実験前に十分注意する必要がある。

(1) 豆電球をつけないときは摩擦に逆らう仕事をするだけでよいが,豆電球をつけると電気エネルギーも生み出さなくてはならない。そのため,豆電球をつけたときの方が手ごたえは大きくなる。

(2) 豆電球にかかる電圧を一定に保った場合,流れる電流が大きいほど消費電力も大きくなり手ごたえも大きくなる。同じ豆電球を2個直列につないだときは,豆電球1個で同じ速さで手回し発電機を回したときに比べて,流れる電流が少なくなり手ごたえは小さい。また,2個を並列につないだときは,流れる電流が多くなり手ごたえも大きくなる。発展としては,豆電球をつけているときに手回し発電機のクリップを接触させてショートさせてみる。急に手ごたえがとても大きくなる。

(3) 手回し発電機を2台使えば,100Vの電球を光らせることもできる。もちろん,台数が多い方が楽に明るくつけることができるが,何台もつないだときは感電しないように十分注意する必要がある。

  また,発展として,手回し発電機で1Fの大容量コンデンサーを充電し,その電気エネルギーで豆電球をつけたり,ブザーを鳴らしたり,手回し発電機を回したりする実験もおもしろい。

 

スピーカーとマイクロホンの実験

(A) ダンボール箱でスピーカーを作ろう

(1) 材料

・ラジカセ,強力な磁石,エナメル線,ラジカセ接続用プラグ

・ダンボール箱,その他の振動板・・・アルミニウム缶やガラスでは,高音が強調された音になる。手の平に直接コイルと磁石を置いても,かすかに音は聞こえる。机などの大きなものを用いてもおもしろい。

(2) 実験のポイント

 強力な磁石は,ラジカセの磁気ヘッドやテープに近づけないように注意する。

 

(2) スピーカーの構造

  図に示すスピーカーが,最も広く使われているダイナミック・スピーカーである。磁石の両極は,一方がコイルを取り巻く部分で,もう一方がコイルの中にある円柱部分(センターポールという)であり,実際のスピーカーでは,永久磁石が一部で残りは鉄製の磁路(磁力線が通る道)である。磁石の磁力線はセンターポールに対して軸対称で放射状になり,コイルと直交するので,コイルに働く力の方向は図のコーン紙の振動方向になる。

 

(3) スピーカーをラジカセのマイク端子につなぐと,マイクのはたらきをする。声を録音させるのもよい。教科書p.32のような手作りスピーカーを用いると,原理が分かりやすいのでよい。

 

誘導モーターの原理

 本ページ中の「いろいろなモーターと原理」の項を参照。

 

電磁調理器の原理

 1974年に商品化された電磁調理器は,調理器内部のコイルに流す交流電流によって変動磁界をつくり,金属の鍋に誘導電流(渦電流)を流して,発生するジュール熱によって加熱するものである。IH調理器ともいう。IHは誘導加熱(induction heating)の略。

 同じ原理の誘導炉は,低周波のものが大量の融解用に,高周波のものは融解のほか,焼きなましや鋼の表面焼入れなどを目的として工業用に利用されている。

 家庭用電磁調理器の上に乗せる鍋や焼肉のプレートなどは,底が平らで,鉄・ステンレス・鋼板ほうろうなどの強磁性体の材質のものを用いる。磁力線が多く鍋・プレート自体を貫き通り,たくさんの渦電流が流れるようにするためである。また,使用されているコイルはソレノイドではなく,調理器の面に平行な磁力線が生じるように,図のような渦巻状のものである。

 電磁調理器は,ガスコンロと比べて,立ち消え・ガス漏れ・引火の心配がなく,燃焼ガスによる空気の汚れもないので安全性が高い。また,電気コンロに比べて,鍋そのものが発熱するため熱効率が高く(定格1200Wのもので電気コンロが約56%なのに対して電磁調理器は約83%),電流による温度調節を細かく行うことができる利点がある。

 なお,発生させる変動磁界は,大きな誘導電流を得るため,2060kHzという高周波である。

 








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