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第1節 恒星の光

 

恒星の明るさと等級

発展 絶対等級を求める式

恒星の連続スペクトルと色

発展 恒星の放射に関する法則

恒星のスペクトル型

 

 

恒星の明るさと等級

 ヒッパルコス(Hipparchos)は,最も明るい約20個の星を1等星とし,肉眼で見える一番暗い星を6等星として,その間を5等分するような等級を用いた。19世紀になってハーシェル(J.F.Hershel)は,1等星の明るさは6等星の明るさの約100倍にあたること,また等級が等差数列であるのに対して,明るさは等比級数となっていることを明らかにした。現在使われている星の等級は,等級の差が5のとき,明るさが100倍になるように定められている(ポグソンの定義)。すなわち1等級の明るさの差は倍である。等級m1m2の星の明るさをL1L2とすると,

 今日では,星の明るさは光電装置や写真乾板を用いて測られるが,同じ星でも,測定手段によって等級は異なる。人間の目による等級を実視等級とよび,一般には人間の目に近い色感度をもった測光系で測られることが多い。

 

[恒星までの距離] 

 

  三角視差

 

恒星までの距離を求める直接的な手段は,年周視差すなわち三角視差による方法である。年周視差"の恒星までの距離をr,地球と太陽の平均距離をaとすると,

  

 角θが非常に小さいとき,sinθ≒θの関係が成立する(θ;ラジアン)。"をラジアンに換算すると,/206265となる。したがって,

  

となる。ここでa1〔天文単位〕を代入すると

またaを光年で表して,

  〔光年〕

 

を代入すると

が得られる。また,年周視差が1"のときの距離が1パーセクなので,上の式に代入すると,1パーセク=3.26光年が得られる。このことから,上の式をパーセク単位にすると,

という式が成立する。

 太陽に最も近いケンタウルス座α星C(プロキシマ)の年周視差は0.75"であり,この恒星までの距離は約4.3光年,または1.3パーセクとなる。

 年周視差の測定精度は1/100秒程度なので,この方法で距離を測定できる恒星は,数十パーセクの範囲内にあるものに限られ,それより遠い星については,別の間接的な方法で求めざるを得ない。

 

発展 絶対等級を求める式

 恒星を年周視差0.1",すなわち10パーセクの距離においたときの見かけの等級を絶対等級といい,これに対応する明るさを絶対光度という。いま,m等級の恒星の見かけの明るさをLm,その絶対等級をM,絶対光度をLMとすると,明るさと距離の関係から

さらに,明るさと等級の関係から

となり,この2式より

すなわち

  mM5log10r5 または mM=−55loglO

となる。ここでは角度の秒で表した年周視差である。この,mMを距離指数とよび,この値が大きいほど距離が遠い天体になる。

 太陽の絶対等級Mは,m=−26.8

を代入すると, M4.7となる。

 

恒星の連続スペクトルと色

 恒星の連続スペクトルは,黒体放射と一致していない。水素の連続吸収や吸収線などによって,黒体放射から少しずれている。

 恒星の連続スペクトルをすべての波長にわたって測定する必要がない場合,目的に応じて適切な波長域を選び,その波長域での光の強さを測定するものにジョンソンの3色測光がある(表T,図U)。U等級は,水素の連続吸収波長域にあり,そのための減光を反映する。これらの等級間の差,BVUBを色指数といいBVは恒星の色・温度を示す指標になる。BVUBは,ともに表面温度104Kの白い星(A0型)でその値がちょうど0になる。ここでの温度は恒星を黒体となした場合の温度に相当し,星の有効温度とよばれる。星の色は,色指数の小さいものほど青く,色指数の大きなものほど赤い。

 

U-V-B等級

有効波長:測定される波長域のうち

最も有効に感じる光の波長

 

 

発展 恒星の放射に関する法則

外部から入射する電磁波を,あらゆる波長に渡って完全に吸収し,また放出できる物体を黒体という。黒体からは,その温度のみによって定まるスペクトルをもった電磁波が放出される。この電磁波を黒体放射といい,そのスペクトルを黒体放射分布とか,最初にこの分布を導いたブランク(M.Planck)の名をとってプランク分布という。完全な黒体は現実には存在しないと言われているが,恒星から出る光はほぼ黒体放射と考えてよい。

黒体放射分布の特徴は,温度と波長(あるいは振動数)を指定すると強度が一意的に定まることである。この分布を全波長領域で積分すると,放射の全エネルギーEが絶対温度T4乗に比例するというシュテファン・ボルツマンの法則()が導かれる。また微分して,強度が最大になる波長を求めると,Tに反比例するというウィーンの変位法則()になる。

 

 

恒星のスペクトル型

 スペクトルの分類は,19世紀末〜20世紀初めにかけて確立されたハーバード分類を基礎にしている。初めはバルマー線の強さをもとにAB……などの記号を用いたが,後になって,恒星の表面の温度に対応していることがわかり,スペクトル型を温度に対応させて次のように並べた。

スペクトル型の中で,高温側にあるスペクトル型を早期型,低温側を晩期型という。このスペクトル型はさらに09の数字により細分され,A0A1,……A9のように表される。数字の小さいほうが高温側である。早期型の星は一般に青っぽく,晩期型になるほど赤っぽく見える。

 

 

一般にある状態の元素がつくる吸収線の強さは,ある温度で極大になる。その温度より高温では元素が電離しやすくなり,低温ではより低いエネルギーレベルになっているので弱い吸収線になる。一方,電離は温度だけではなく,自由電子の数密度にも関係する。すなわち,同じ温度では圧力(電子圧)が小さいほうが電離しやすくなる。これは,吸収線の強さが,温度だけではなく,圧力の影響も受けているることを示している。巨星などは電子圧も小さいため,同じ温度の主系列星にくらべて吸収線の強さも異なってくる。

 

表 恒星スペクトルの分類

 

 

 

 

 








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