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第1節 地球の運動

 

 

地球の自転

地球の公転

 

 

地球の自転

 地球が自転していることは,回転系にのったときに現れる転向力(コリオリの力)という慣性力の作用を測定することで見いだすことができる。慣性力は加速度運動系で現れる力であるので,静止系から観測すると慣性力は消えてしまう。したがって,静止系で運動を考えたとき,その運動は力の作用しない方向では変化が起こらない。たとえば,フーコーの振り子では,振り子の振動面に垂直な方向には力が作用しないので,振動面は静止系(遠方の星)に対して変化しない。一方,地球の上の観測者は,静止系に対して回転しているので,振り子の振動面は回転していくように測定される。

 

[地球自転の乱れ] 最近の位置天文学観測の精度の向上や,原子時計の発明によって,角度の102秒,1日について104秒程度の変化を検出できるようになり,地球の自転軸のゆれ動きや,自転の速さの変化がわかるようになった。自転の乱れの原因は不明な点も多いが,月・太陽との距離の変化にともなう引力の変化,地球の核の流体運動,マントル対流,大陸移動,気圧分布,偏西風の季節変化,海水の運動,巨大地震にともなう地球のゆがみ,などが考えられる。

 

 地球の自転の乱れとして,自転周期の変化,章動,極運動の3つがあげられる。自転周期の変化は,季節変化・永年変化・不規則変化の3つがある。季節変化は偏西風が冬に強く夏に弱くなるための年周期変化と,太陽の赤道面からの高度が変わるため,地球潮汐が半年ごとに変わることに基づく半年周期変化が原因である。永年変化は,潮汐力によって生じる海水の運動による摩擦のため自転がしだいに遅くなっていく現象で,その大きさは100年に0.0016秒くらいである。不規則変化は,地球の流体核が不規則に運動するためと考えられている。

 極運動は,地上の北極の位置が半径数mの円を描きながら移動していく現象をいう。大気圧の変動や巨大地震,マントル対流などが原因と考えられている。

 章動は,地球の自転軸が空間に対してゆっくりと動く現象であり,主に月・太陽の引力の作用によって生じる。歳差は章動の1種で最も大きな動きである。周期は25800年で,現在自転軸はこぐま座α星の方向を向いているが,6450年後にはケフェウス座α星,さらに6450年後にはこと座α星の近くに移動する。この運動にともなって春分点・秋分点も黄道上を1年に約50秒ずつ移動する。歳差以外の章動のほとんどは,月・太陽の引力の微妙な周期変化によってひき起こされる数多くの周期成分の集まりである。そのなかでは1745年にブラッドレー(J.Bradley)によって発見された18.6年周期の章動が最も大きい。

 

地球の公転

 よく知られているように,地球が太陽のまわりをまわっていることが近代科学として主張されたのは,コペルニクス(N.Copernicus)が,従来のプトレマイオスの地球中心説に基づく惑星運動の複雑な解釈に代わるものとして提唱したことに始まる。もちろん,コペルニクスの太陽中心説でも惑星運動を説明するには,プトレマイオスと同じように周転円を必要としたが,地球中心主義から地球が単なる1つの天体であることを認める立場は,現在の宇宙論における宇宙の一様等方性を述べた宇宙原理のもとになる重要なものである。このコペルニクスの学説は,ブルーノ(G.Bruno)やガリレイ(G.Galilei)に受け継がれ,ケプラーがその3法則を発見することで定量的な裏づけをすることによって自然科学的には確立した。

 ただ,地球が公転していれば,その運動を直接的に観測することが原理的に可能なはずであり,それは恒星の天球上での年周運動として測定できる。しかし,恒星は非常に遠方にあるので,恒星の年周視差は角度にして秒かそれ以下になってしまう。そのため,恒星の年周視差は,恒星の位置を秒以下の精度で測定できる技術が発展するまで観測できなかった。

 地球の公転速度は秒速約30km程度である。この速度は地球上で簡単に利用できる速度としては最大のものである。実際,アインシュタインの特殊相対論の基本的な仮定の1つである「光速度不変の原理」の最初の測定は,光の速度と地球の公転速度の和と差の測定を試みたものであった。

 

 

 








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