トップ地学I 改訂版>第3部 大気・海洋と気象>第3章 日本の天気>第3節 北太平洋高気圧

第3節 北太平洋高気圧

 

 

 

 

 梅雨が明けると,小笠原高気圧が南方からはり出して日本をおおい,日本の気候を支配する。気圧配置は,南に高く北に低圧部が横たわる南高北低型で,これが夏の代表型である。この型の一種として,「くじらの尾型」がある。太平洋を渡ってくる高温多湿の南西風のため,日本の夏はむし暑くしのぎにくい。

 年によっては小笠原高気圧が北に片寄りすぎ,勢力が異常に強いことがあるが,そのような年には晴天が続いて雨が降らず,水ききんを生じ,農作物に大きな被害を受けることがある。逆に小笠原高気圧が発達しないで,オホーツク海高気圧の勢力が強いと東北地方や北海道ではいつまでも低温が続き,稲作などの大減収をもたらすことがある。

 

[雷 雨]  強い日射のために,陸上では日中積乱雲が発達し,それにともなって夕立ち,雷雨が見られる。雷雨は,山岳方面で顕著で,特に多い地方は北関東の山沿いから中部山岳部,鈴鹿山脈付近,九州の日田盆地である

 

[夏の台風]  夏の台風は東シナ海から日本海にぬけるものが多い。盛夏に台風が通りぬけた後に小笠原高気圧がさらにはり出してきて,夏型の気圧配置は安定し,むし暑い晴天が続く。小笠原高気圧のはり出しが北に片寄り,東高西低型になると,赤道前線も北上してくるので,日本の南方海上で豆台風がたくさん発生しやすくなる。夏も終わりに近づく頃,台風が日本付近を通過すると,シベリア高気圧が引き出されて南下し,日本は涼しく急に秋らしい陽気になることもある。

 

[台風の進路]  台風の進路は大別して2つの場合がある。1つは南洋で発生して西または西北西に進み,フィリピンを襲って南シナ海にぬけるもので,他の1つは発生してから西北西に進み,その後転向して日本付近を通過するものである。ときにより不規則な曲線を描きながら異常進路をとるものもあるが,南洋付近で発生した台風は初め西北西に進み,しだいに進路を北に向けて,北緯25°付近で進路を北から北東に変えながら放物線軌道を描くことが多い。

 台風は,発生後,低緯度上層の偏東風ないしは太平洋高気圧の周辺に沿って流れる大気の大きな流れ(一般流)にのって北上し,中緯度上層の強い偏西風に流されて向きをしだいに北東に変える。この場合,放物線の頂点を転向点という。転向点は普通北緯2230°の間にある。転向後は急に速さを増し,遅いものでも毎時40kmぐらい,早いものでは毎時100kmに達することがある。一般に,秋遅くなってからの台風は移動速度が大きい。台風が南洋で発生してわが国に到達するまでには1週間ぐらいかかるのが普通である。

 

 後退していく小笠原高気圧とオホーツク海高気圧,あるいはシベリア高気圧との間の停滞前線が,再び日本付近にとどまるようになり天気はぐずつく。梅雨の場合は,前線帯の北上にともなって南から北に移っていったが,秋の場合は前線帯の南下にともなって,北から南に移っていく。移動性高気圧と低気圧が交互に通過するため天気変化が速く,春に似た天気となる。さらに,台風が日本を襲うようになるのも秋の特徴である。

 

[秋の長雨]   秋は北高型の天気になりやすい。北高南低型になると,停滞前線(秋雨前線)が日本列島南岸に停滞して梅雨に似たぐずついた天気が続く。これを秋の長雨とか秋霖とかいう。そのため,9月ごろから10月の半ばまでは天気は不安定である。ただ梅雨ほど明瞭ではなく,年による違いは大きい。ときには,春と同じ移動性高気圧→低気圧の周期的な天気変化を示す。

 

[秋晴れ]  1010日頃を過ぎると,それまでの変わりやすい天気も,前線が南下し移動性高気圧がすっぽりと日本をおおうようになるので秋晴れの日が多くなる。低気圧が後に続いてくると天気が崩れるが,春ほど発達せず,すぐ第2の高気圧によって回復する。また,しばしば帯状高気圧型となって移動性高気圧が東西に連なるので晴天が長続きする。1120日頃には,低気圧の通過後大陸の高気圧が南下してきて季節風第1号が吹き,初雪や初霜,初氷などが見られ冬のはしりを経験するが,まだ本格的でなく長続きしない。

 

 

 








本サイトに掲載された記事や画像の無断転載を禁じます。
Copyright(C) 2009 SHINKOSHUPPANSHA KEIRINKAN CO.,LTD. All rights reserved.