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第2節 梅雨前線とオホーツク海高気圧

 

 

梅雨

梅雨と高層のジェット気流

 

 

梅雨

 北のオホーツク海高気圧から冷たい気流が北東の風となって日本付近へ流れ込み,南の太平洋高気圧からの暖かい湿った気流が南西風となって流れ込んでくるものと激しくぶつかり合うことによって梅雨前線ができる。この前線の北側は悪天で梅雨空となる。前線上には小さな低気圧が数珠つなぎになって東進し,前線を刺激して集中豪雨をもたらすときがある。梅雨現象が顕著なのは東北地方南部から九州までの地域で,東北地方北部や北海道でははっきりした梅雨現象が見られない。

 

[梅雨の雨]  梅雨の前期は,オホーツク海高気圧の勢力が強く,寒気団が日本を支配している。したがって,気温も低くてうすら寒く,雨もしとしと降り続く。梅雨の後期に入ると小笠原高気圧が強くなって,暖気団がしばしば日本に侵入してくるようになる。気温も上がり,むし暑さを感じさせる。また,前線上を東進する低気圧に吹き込む南風や,接近する台風の南風が暖気を前線に押し上げ,前線の活動を活発にさせる。そのため,局地的な豪雨をもたらすこともある。この現象を「低気圧が前線を刺激する」という。

 

[梅雨の中休み]  梅雨期間中,前線は1か所に停滞しているわけではない。つねにわずかずつオホーツク海高気圧が勢いを増したり,小笠原高気圧が勢いを増したりしていて,それにともなって前線の位置も,南下あるいは北上する場合がある。このとき,一時的に晴れ間がのぞくことがあって,これを梅雨の中休みとよんでいる。

 

[から梅雨と冷夏]  年によっては,はっきりした梅雨を見ないで夏に入る,いわゆるから梅雨となることがある。1つは,例年より小笠原高気圧が強く前線が弱かったり,いきなり前線が北に上げられるときで,最初から暑い日照りが続き,干ばつで水不足の恐れがある。

 もう1つは,例年よりオホーツク海高気圧が強くて,梅雨前線がはるか南方に押し下げられたまま季節が進み,やがてオホーツク海気団が変質して,小笠原気団と同化してしまい夏になるような場合である。このようなときは,オホーツク海気団による寒冷で多湿な気団が日本を支配し,雨量は少ないがすっきりしない,うすら寒い陽気となる。東北以北では冷害の恐れがある。このときの夏は,冷夏になることが多い。

 

梅雨と高層のジェット気流

 梅雨は,オホーツク海高気圧から吹き出す冷湿な北東気流と,小笠原高気圧から吹き出す高温多湿な南西気流とが衝突して日本の南岸沿いに梅雨前線を形成すること,およびこの前線上に小波動が発達して低気圧が梅雨前線をレールにして次々に日本にやってくることによって起こる。

 第2次大戦後,高層資料が世界的に整備されるにつれて,高層気象の立場から,あるいは地球的規模の大循環の変動の立場から,あらためて梅雨現象が見なおされるようになってきた。

梅雨期,日本付近の上層偏西風中には2本のジェット気流が認められるが,その1つは北緯30°付近を通っており,梅雨前線に沿って南西から北東に流れている。また,別の1つははるか北方,北緯5060°を通っており,両者はアリューシャン付近で合流している。

前者は亜熱帯ジェット気流であって,インド・ビルマ方面から,高温多湿な空気を日本付近に送り込む管のはたらきをしているものと考えられる。また,高緯度のジェット気流の一部は,本流から分かれて南下し,東シナ海で亜熱帯ジェット気流と一部合流していることが多く,これは北方から寒気を送り込むので大気は非常に不安定となり,梅雨前線を活発化させるのに役だっている。7月に入って,日本付近を通っていた亜熱帯ジェット気流がなくなり,北方のジェット気流1本になると梅雨が明ける。

 

 

 








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