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第3節 地球史の組み立て

 

 

整合と不整合

地層の対比

放射性年代

地質時代の区分

 

 

整合と不整合

 1つの堆積盆地が小休止しながらも,連続して沈降すると,盆地底で単層が順次重なりながら,ほぼ水平に近い地層が形成される。単層の境の面(地層面)は盆地の沈降の小休止や,堆積物の供給の一時的停止による水底面である。この小休止の時間の長さは,図でA層にC層が直接重なる部分と,その間にB層をはさむ部分とがある。このことはA層が定着して以後C層が定着されるまでにB層の定着されたできごとが記録されている右側部分と,欠けている左側部分があり,結局,地層面は単層がつくられる程度の時間の長さ(数年〜数千年)の小休止を表すものということができる。しかし,侵食作用はなく,いちど地層として定着したものはすべて保存されている。つまり,この地層面を境にして重なり合っている地層は整合である。

 一方,堆積盆地の沈降が中止し,逆に隆起運動が起こると,いままで堆積した地層は陸上に露出して削剥を受ける。この隆起運動は造陸・造山運動に関係して起こるので,地層が褶曲したり,断層で切られて後生構造ができることが多い。このような削剥面を境にして地層が上下に重なっている関係を不整合といい,この境する面を不整合面という。

単層の重なり方の例(整合)

 

 

地層の対比

 離れた地域の層序関係(上下関係)は,直接にはわからない。そのため,それらの地層を,いろいろな手段を用いて比較しておのおのの間の新旧を決める。この操作を地層の対比という。対比の方法は,ある地区ごとでできるだけ連続した露頭のあるルートに沿って地質柱状図を作成し,その中に記入した岩相や岩相変化の規則性,地質構造(特に不整合,および断層や褶曲などの変動の有無)や火成岩との関係,示準化石の産出位置などに注目して地層の同時性を確かめていく。調査地域が比較的限られた範囲の場合には,火山灰などのよく連続する特徴のある単層が層序関係を調べるのに都合がよく,鍵層といって対比の最も重要な役目を果たす。特に,火山灰は種々な環境のところに短時間内にいっせいに降下堆積するので,鍵層として有効である。

しかし,対比される地域が広がり,環太平洋全域とか全世界的になると,地殻変動や火成活動などでは,かなり長い時間の幅をもつため,地層を対比し同時性をくわしく決めるのに,満足な結果は得られにくい。そこで,一般には化石による対比が最もよく使われる。たとえば,フズリナ類(紡錘虫類)の化石は,古生代の石炭紀中期からペルム紀までの海成層には世界中のいたるところで発見され,地質時代とともに形態や構造が急速に変化する。したがって,古生代後期の地層の細分に重要な役割を果たしているので,地層の対比にはよく使われる。

 

 [古地磁気による地層の対比]  地層の対比において,最近,特に重要性を増してきたものに古地磁気によるものがある。地球磁場は過去に何回も反転しており,その歴史は火山岩には熱残留磁気として,また堆積岩中には堆積残留磁気として記録されている。地球磁場の反転現象は,地球の内部に原因するものであるから,全地球に同時に伝えられるものであり,火山岩層であれ深海堆積物中であれまったく同じものが記録されるはずである。したがって,これをもとに地球全体をとり巻く同時間面を設定することができ,古地磁気による地層の対比ができる。地磁気層序のデータの集積,浮遊性有孔虫・放散虫・ナンノプランクトンなど微化石層序の研究の進歩と相まって,その信頼度はきわめて大きくなっている。

 

放射性年代

 放射性同位体を使って岩石の年齢(放射性年代または絶対年代)を決める方法は,地質現象の進行を定量的にとらえるためにきわめて重要である。最近は質量分析法など研究方法の進歩にともなって,その結果には信頼できるものが多くなってきた。

 

[ウラン−鉛法による年齢決定]  238Uの1gは,原子崩壊して,1年間に76×108分の1g206Pbを生じることが知られている。それで,238Uを含む鉱石中の206Pbの量がわかると,その鉱石の年齢は,(206Pb/238U)×76×108として計算できる。しかしUには,普通,トリウム(Th)をともなうので,補正が必要である。したがって,鉱物ができてからの年齢t〔年〕は,次の式で示される。

  t{Pb/U+0.36Th}×76×108〔年〕

 ウラン・トリウムの原子崩壊は,次のような形式で進行する。

 238U206Pb+84He(8α粒子)+6β()    235U207Pb+74He(7α粒子)+4β()

 232Th208Pb+64He(6α粒子)+4β()

 それぞれの半減期(もとのUThの量の半分がPbの原子に変わるのに要する時間)は,238Uでは4.5×109年,235Uでは7.0×108年,232Thでは1.4×1010年であり,これが年齢決定の基準となる。UThPbを使って鉱物の年齢を知る方法をウラン−鉛法,または単に鉛法という。

 

[ルビジウム−ストロンチウム法による年齢決定] ルビジウムには、85Rb72.15%)と87Rbとがあるが,そのうち87Rbはβ線を放出して87Srに変化し,その半減期は4.8×1010年である。これを用いて鉱物の年齢を決める方法も,ウラン-鉛法と併用してしばしば用いられている。

 

[カリウム−アルゴン法による年齢決定] カリウムには,3つの同位元素39K40K41Kがあり,その天然における割合は39K93.08%,40K0.0119%,41K6.91%ある。このうち40Kは放射性で,2種類の原子崩壊を行い,87.8%はβ線の放出によって40Caに変わり,12.2%は電子捕獲とγ線の放出によって安定な40Arに変わる。

 40Caのほうは普通のCaと区別が困難なので,年齢測定ではとり扱われない。40K40Arのほうは,その半減期が1.3086×109年である。こうしてできた40Arは鉱物の結晶格子の中に入っているので,簡単には外に逃げ去ってしまわない。この方法で利用される鉱物は,黒雲母・白雲母・カリ長石・海緑石(海成の堆積岩中にある)・イライト(海成の泥岩に多い粘土鉱物)などである。いずれも,岩石中に普通に見られる鉱物であり,ウランやルビジウムよりも利用価値が大きい。

 最近は質量分析器の進歩で40Arがきわめて精密に定量できるようになり,この方法によって年齢決定された試料が多くなってきている。しかしこの方法によると,しばしば地質学的方法で決められた時代よりはるかに若い年齢を示すことがある。これは,岩石ができた後の地殻変動などの影響で,40Arの一部が逃げ去ったためであるともいわれている。

 

[放射性炭素による年齢決定] 空気中にはCO2が存在するが,この中には14Nに宇宙線の中性子が衝突してできた14Cが,きわめて微量であるが12Cと一定の割合でCO2の中に入っている。そして14Cは放射性であってしだいに崩壊して14Nにもどり約5730年ほどで半減する。

 植物はCO2を同化して体内にCをたくわえるが,その中には14C12Cが一定の割合で混在している。いま,植物が枯れて同化作用が止まると12Cの量はそのまま増減しないが,14Cはしだいに壊変して量が減ってくる。そのため,地層中の炭質物から純粋にCをとり出し,その中の14C12Cの割合を精密に測ると14Cの減った量がわかり,その値から植物の枯死してからの年数が計算される。したがって,その炭質物を含む地層の古さも推定できる。ただ,この方法は微量かつ精密な測定が要求されるので,3万年前ぐらいまでしか測れないが,最近では,古墳や貝塚などの古さを決める考古学方面や,第四紀層の研究に利用されている。

 

地質時代の区分

 生物の進化は長い時間を要するので,日常経験で進化による種・属の変化を直接に見る機会はない。しかし,数十万年とか数百万年を単位とする地質学的時間で見るとき,生物の種属は種類によって長短さまざまの生存期間を示しながらめまぐるしく変化している。このような時間尺度で起こる地殻変動が,生物の進化に著しい影響を与えているためである。地面の上昇や潮流・気候の変化は,生物の生活環境をきわめて不安定にするが,これによって進化を促進されるものや,滅亡に向かうものなどがある。そのため,大きな地殻変動を境にして,生物相の一変する傾向が認められる。

18世紀以来,ヨーロッパ地域を主とした地層の層序的研究が進められ,その中の化石が研究されると,一連の地層の間に大きな間げきがあり,それを境に地層の構造も化石内容も著しく変化する現象が見られた。この関係は世界のどこでも共通して観察される場合も多く,それによって大区分の境を決定するとともに,より詳細な観察から,おのおのをさらに地層の不連続面や化石層の内容から細分できることがわかった。地質時代の区分は,このような示準化石をもとにして区分されたものである。

 

 

 

 








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