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C 溶液の濃度

 

溶解の機構

イオン結晶の溶解 塩化ナトリウムは水によく溶けるが,ベンゼンには溶けない。塩化ナトリウムの結晶中では,Na+Clが静電気力で強く結ばれている。これに対して,Na+Clとベンゼン分子との間にはこのような力は働かない。そのために,結晶から溶液中へこれらのイオンが移るのは容易でない。一方,これらのイオンが水の中に入ると,イオンの静電気力によってイオンの周りに水分子が強く吸引される(水和)。そのためにこれらの結晶は水によく溶ける。

一般に,ある物質が1つの液体によく溶けるかどうかということを考えるには,次の点に基づかなければならない。

(1) 溶質物質の粒子間に働いている力

(2) 溶媒分子間に働いている力と溶媒の液体構造

(3) 溶質粒子と溶媒分子の間の力

分子結晶の溶解 ナフタレンのような固体がベンゼン等に溶ける無極性物質相互の溶解の場合には,固体内の分子間の力,固体の分子が液体中に溶けたときの溶質分子と溶媒分子の間の力,および溶媒分子間の力は,同じような性質のもので同程度の大きさである。このような場合には,分子がよく混じり合って乱雑さの大きい状態に移っていこうとするのでよく溶ける。

 

溶液の濃度の表し方

目的により,いろいろな表し方がある。

(1)  

 

直観的にわかるので便利だが,化学変化の量的関係を考えるには不向きである。

水溶液では無水物の溶質について示す。

(2)               

 

体積モル濃度ともいう。cmol/L〕の溶液がVmL〕あれば,溶質はcV×10-3mol〕存在することになるので,溶液に関する化学反応では量的計算を行うときモル濃度を用いると便利である。

 

参考 その他の濃度の表し方

(1) ppm  微量の成分を体積や質量の百万分率で示す濃度である。

      

 

ppmparts per millionの略記号。mg/kgcm3/m3等の単位で示すこともある。他に千分率(パーミル0/00),十億分率(ピーピービー, ppb)等も特別な場合に用いられる。

 

(2) 

 

温度により値が変わらないので便利である。

溶媒の質量をその分子量で割れば溶媒の物質量が求められるから,この濃度表示は溶質〔mol〕/溶媒〔mol〕と考えることもでき,換言すれば,溶質粒子の個数/溶媒分子の個数 ということもできる。もし,溶媒の物質量に対し溶質の物質量が極めて小さく,溶媒〔mol〕≒溶液〔mol〕とみなせるときは,次に示すモル分率と同じ意味になる。     

(3) モル分率  溶質の物質量を溶液全体の物質量で割ったものを,モル分率という。無名数で単位はない。液体同士や気体同士の混合物を表すのに用いられる。         

  

 

(4) 

 

当量濃度,規定濃度ともいう。酸・塩基,酸化・還元等で用いられ,化学反応の量的関係を表すのに便利なのでSI単位ではないが,化学の世界ではまだ根強く用いられている。

 

 

 

 








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