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B 酸素を含む芳香族化合物
フェノール類
►フェノール類
ベンゼン環などの芳香族性の環にヒドロキシル基が直接結合した化合物の総称を,
フェノール類という。ヒドロキシル基の数が,1個,2個,……のとき,1価フェ
ノール,2価フェノール,……,多価フェノールという。フェノール類は,アルコ
ールと異なり弱酸性を示すが,カルボン酸に比べて弱い。一般に無色の結晶で,水
にいくらか溶ける。主なフェノール類の性質を次表に示す。
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フェノール類の性質 |
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名 称 |
示 性 式 |
融点〔°C〕 |
沸点〔°C〕 |
水溶性 |
Fe3+反応 |
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フェノール |
C6H5OH |
41 |
182 |
可 |
紫 |
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o-クレゾール |
o-CH3C6H4OH |
31 |
191 |
可 |
青 |
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m-クレゾール |
m-CH3C6H4OH |
12 |
203 |
可 |
青 |
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p-クレゾール |
p-CH3C6H4OH |
35 |
202 |
可 |
青 |
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1,3,5-キシレノール |
1,3,5- (CH3)2C6H3OH |
68 |
220 |
微 |
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1-ナフトール |
1-C10H7OH |
96 |
288 |
不 |
紫 |
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2-ナフトール |
2-C10H7OH |
122 |
296 |
難 |
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カテコール |
o-C6H4(OH)2 |
105 |
245 |
溶 |
紫 赤 |
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レソルシノール |
m-C6H4(OH)2 |
116 |
281 |
易 |
紫 |
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ヒドロキノン |
p-C6H4(OH)2 |
174 |
285(97,325Pa) |
可 |
青 |
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ピロガロール |
1,2,3-C6H3(OH)3 |
133 |
309 |
溶 |
褐 色 |
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フロログルシノール |
1,3,5-C6H3(OH)3 |
219 |
昇華分解 |
微 |
青 |
►フェノール
石炭酸ともいう。石炭・木材・石油などの分解生成物中に存在する。室温では白色
結晶,融解すると無色になる。融点41°C,沸点182°C,密度1.07g/cm3(25°C)で,水と
は互いに溶け合わず2層に分かれ,65°C以上では任意の割合で混合する。広く有機合
成化学工業の原料となり,強力な消毒・殺菌剤にも利用される。フェノールは弱酸で,
アルカリ溶液を作用させると,フェノキシドをつくって溶解する。しかし,フェノー
ルの解離定数1.51×10−10mol/lは炭酸の解離定数4.47×10−7(mol/l)2より小さいので,フ
ェノキシド溶液に二酸化炭素を通じると,フェノールが遊離してくる。
C6H5OH+NaOH→C6H5ONa+H2O
2C6H5ONa+CO2+H2O→2C6H5OH+Na2CO3
►フェノールの製造
フェノールの工業的合成法は多数あるが,教科書に示したクメン法が大部分を占
める。
(1) クメン法 ベンゼンとプロピレンからまずクメンをつくる。この反応は,フ
リーデル‐クラフツ型のアルキル化反応であり,AlCl3の触媒を用いる液相法と,
リン酸系触媒を用いる気相法とがある。次にクメンを酸素で酸化してクメンヒド
ロペルオキシドとし,これを硫酸で分解して,フェノールとアセトンにする。
C6H6+C3H6→C6H5CH(CH3)2 (気相法,触媒H3PO4,250〜350°C,30,000hPa)
C6H5CH(CH3)2+O2→C6H5C(CH3)2OOH (アルカリ水溶液,90〜130°C)
C6H5C(CH3)OOH→C6H5OH+(CH3)2CO (1%硫酸,60〜90°C)
アセトンは反応熱により蒸発還流して分離され,フェノールは精留,抽出で不
純物(アセトフェノン,メチルスチレンなどの副生物)を除き,製品とする。
(2) スルホン化法 ベンゼン,硫酸,水酸化ナトリウムを原料として,次のよう
な反応でフェノールを合成する。
C6H6+H2SO4→C6H5SO3H+H2O (98%硫酸,100〜150°C)
2C6H5SO3H+Na2SO3→2C6H5SO3Na+SO2+H2O
C6H5SO3Na+2NaOH→C6H5ONa+Na2SO3+H2O (約350°Cで溶融する)
2C6H5ONa+SO2+H2O→2C6H5OH+Na2SO3
(3) 塩素化法 ベンゼン,塩素,水酸化ナトリウムを原料として,次のような反
応でフェノールを合成する。
C6H6+Cl2→C6H5Cl+HCl (触媒FeCl3,60〜80°C)
C6H5Cl+2NaOH→C6H5ONa+NaCl+H2O (300,000hPa,360〜395°C)
C6H5ONa+HCl→C6H5OH+NaCl
►ナフトール
ナフタレンの置換反応は,普通1の位置(a 位)に起こるが,濃硫酸によるスル
ホン化では,低温では1位置,高温では2位置に起こる。ナフタレンスルホン酸を
アルカリ溶融すると,ナフトールが得られる。

►クレゾール
メチルフェノール,オキシトルエン,クレゾール酸ともいう。コールタールから
分留により得られ,消毒剤,防腐剤,合成樹脂の原料などに用いられている。メタ
体は淡褐色で融点が最も低く,オルト体,パラ体は無色結晶である。消毒力は,メ
タ体が最も強く,水に溶けにくいので,セッケン液に溶かして用い,これをクレゾ
ールセッケン液またはクレゾール水という。
芳香族カルボン酸
►芳香族カルボン酸
芳香族カルボン酸は,ベンゼン環に結合したメチル基を酸化して製造されている。
触媒としては,CoとMnの酢酸塩に臭化物を加えたものなどがある。
安息香酸は,トルエンを原料として,150〜250°C,2000〜25000hPaの条件で空気酸
化を行い,製造される(触媒はCo,Mnの酢酸塩と臭化物)。
2C6H5CH3+3O2→2C6H5COOH+2H2O
テレフタル酸の製造法にはいくつかの方法がある。MC法(Mid-Century社法)
では,160〜250°C,10000〜25000hPaの条件下で,溶媒に酢酸,触媒にCo,Mnの酢酸
塩-臭化物を用い,p-キシレンを空気酸化する。帝人法や東レ法では,90〜160°C,
1000〜20000hPa,酢酸溶媒,Co酢酸塩触媒で,空気酸化を行う。
p-C6H4(CH3)2+3O2→p-C6H4(COOH)2+2H2O
イソフタル酸m-C6H4(COOH)2,トリメリト酸1,2,4-C6H3(COOH)3,トリメシン
酸1,3,5-C6H3(COOH)3などは,テレフタル酸のMC法と同様に合成できる。
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芳香族カルボン酸と誘導体の性質 溶解度は水100gに対するg数 |
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名 称 |
示 性 式 |
融点〔°C〕 |
溶 解 度 |
解離定数K1 |
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安息香酸 |
C6H5COOH |
123 |
0.29(20°C) |
1.00×10-4 |
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フタル酸 |
o-C6H4(COOH)2
|
234 |
0.72(25°C) |
1.1×10-3 |
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テレフタル酸 |
p-C6H4(COOH)2
|
300(昇華) |
0.07(100°C) |
3.1×10-4 |
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イソフタル酸 |
m-C6H4(COOH | |||