ホーム新編化学I>第4部 有機化合物>第2章 酸素を含む脂肪族化合物A アルコールとエーテル

A アルコールとエーテル

 

 

アルコール

アルコール
 無色の化合物で,炭化水素の水素原子をヒドロキシ基で置換した構造をしてい
る。ただし,ベンゼン環にヒドロキシ基が直接結合したものはフェノール類であ
り,アルコールではない。分子中のヒドロキシ基の数が
1個のとき1価アルコー
ル,
2個のとき2価アルコール,多数のとき多価アルコールという。また,ヒドロ
キシ基の結合している炭素原子に,炭化水素基が
1個だけ結合し他は水素原子の
とき第一級アルコール,炭化水素基が
2個のとき第二級アルコール,すべて炭化水
素基のときは第三級アルコールという。
 低級な(炭素原子数の少ない)アルコールは特有の臭いをもち,水に溶けやすい
が,炭素原子数が多くなるにつれ溶けにくくなる。
ClC3のアルコールは,水と
任意の割合に溶ける。

主なアルコールの性質を下表に示す。

アルコールの性質

名   称

分子量

融点〔

沸点〔

密度〔g/cm3

水溶性

メタノール

32.0

97.78

64.65

0.79142

エタノール

46.1

114.5

78.32

0.79

1プロパノール

60.1

126.5

97.15

0.8035

2プロパノール

60.1

89.5

82.4

0.7864

1ブタノール

74.1

89.53

117.25

0.8095

7.1wt

2ブタノール

74.1

114.7

98.5(987hPa)

0.8029

7.5wt

エチレングリコール

62.1

12.6

197.85

1.12

グリセリン

92.1

17.8

154(7hPa)

1.2644

ベンジルアルコール

108.1

15.5

205.41

1.04156

アルコールの名称は,1価アルコールは,対応する炭化水素の末尾の-e-ol
に変えて命名する(置換名)ヒドロキシ基の位置を示す必要があるときは,炭
素原子の番号で示す。
2価,3価アルコールでは,末尾を-diol-triolのように
変える。また,基官能名では,炭化水素基名にアルコールをつけて命名する。慣用
名を使うこともある。

アルコールの名称

示 性 式

基官能名・慣用名

置 換 名

CH3-CH2-CH2OH

プロピルアルコール

1-プロパノール

CH3-CHOH-CH3

イソプロピルアルコール

2-プロパノール

CH2OH-CH2OH

エチレングリコール

12-エタンジオール

CH2OH-CHOH-CH2OH

グリセリン

123-プロパントリオール

C6H5-CH2OH

ベンジルアルコール

フェニルメタノール

 

メタノール
 最も簡単な構造のアルコールで,木材の乾留などで得られる(木精)。揮発性,可
燃性,刺激臭のある無色透明で有毒な液体。融点−
97.78℃,沸点64.65℃,密度
0.79142g/cm3(20),引火点16℃である。
 工業的には,
COH2の混合ガスを,ZnO-Cr2O3を触媒として,250000300000hPa
300400℃で反応させてつくる。
  
CO2H2CH3OH129kJ

エタノール
 
代表的なアルコールで,古くから酒として利用されてきた(酒精)。物理的性質は
融点
114.5℃,沸点78.32℃,密度0.79g/cm3(20)で,室温では液体である。
 
従来は,デンプンや糖蜜などを原料として発酵によってつくられていたが,近年
エチレンを原料として工業的に合成されるようになった。

硫酸法による合成では,濃硫酸とエチレンから硫酸エステルをつくり,これを加
水分解してエタノールを得る。このときジエチルエーテルが副生する。

   C2H4H2SO4C2H5OSO3H   C2H5OSO3HH2OC2H5OHH2SO4
 直接水和法は1947年以後工業化され,最近新設工場では,ほとんどこの方法に
よっている。触媒として,ケイソウ土にリン酸が含まれたものを用いる。

   C2H4H2OC2H5OH
 エタノールは,水と濃度95.6%で共沸混合物(沸点78.15)をつくる。したが
って,単純な蒸留法では無水物を得られないので,
CaOを加えて蒸留する。さら
に高純度にするには,マグネシウムリボンと少量のヨウ素を加えて加熱沸騰させた
後に蒸留する。
   2C2H5OHMg(C2H5O)2MgH2
   (C2H5O)2Mg2H2O2C2H5OHMg(OH)2

 

参考 多価アルコール

エーテル

エーテル
 エーテル結合-O-2つの炭化水素基が結合した化合物である。炭化水素基が
同じ場合を単一エーテル,異なる場合を混成エーテルという。エーテル結合を含ん
だ環をつくるときは,環状エーテルという。脂肪族エーテルは天然には産出しない。
芳香族エーテルには植物中に存在し,香料として用いられるものがある。

 一般に中性で快香のある揮発性の液体で,水にあまり溶けず,有機溶媒によく溶
ける。エーテル結合は比較的安定で,反応性に乏しく,酸により開裂を起こすだ
けである。この開裂も,酸の濃度が高く,反応温度も高い条件でないと起こりにく
い。
 脂肪族エーテルは,空気に接触させておくと徐々に過酸化物に変わる。過酸化物
は危険なので注意する。過酸化物の検出には
Fe2の塩を使い,チオシアン酸
カリウムで血赤色になれば
(FeV(SCN)n(3-n)が生成)その存在を確認できる。過
酸化物を除くには,
Fe2水溶液で洗って過酸化物を分解するなどの方法がある。
 主なエーテルを下表に示す。

エーテルの性質

名  称

分 子 式

融点

沸点

比   重

ジメチルエーテル

(CH3)2O

141.50

24.82

エチルメチルエーテル

CH3OC2H5

6.6

0.72

ジエチルエーテル

(C2H5)2O

116.3

34.48

0.71

エチルビニルエーテル

C2H3OC2H5

115.8

36.0

0.76

フェネトール

C6H5OC2H5

29.5

170.0

0.96

ジフェニルエーテル

(C6H5)2O

   26.90

259.0

1.07

 

ジエチルエーテル

 エチルエーテル,エトキシエタン,酸化エチルともいう。代表的エーテルであり,

単にエーテルともいう。甘味,刺激臭のある無色の液体で,揮発性があり引火しや

すく,空気との混合物は爆発を起こす。吸収麻酔薬や溶剤として広く用いられてい

る。

 工業的には,エタノール合成の副産物として得られている。

   2C2H5OHC2H5OC2H5H2O

 

 

 










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