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C アルミニウム・亜鉛とその化合物
アルミニウム
►アルミニウム
銀白色の軟らかい軽金属(密度2.7g/cm3)で,展性・延性に富む。地殻の構成成
分として,酸素,ケイ素に次いで第3位であり,金属としては第1位を占める。主
要鉱物には長石,雲母,氷晶石などがあり,酸化物鉱物としてコランダム,サファ
イア,ルビーなどがあげられ,宝石として珍重されるものも多い。鉱石としてはボ
ーキサイト,カオリンが重要で,工業的には氷晶石とアルミナの溶融塩電解で製造
する。融点660.4℃,電気伝導性は銀,銅に次いでよい。
空気中に放置すると,酸化物の被膜を生じ光沢を失うが,内部まで侵されにくい。
酸には溶けてそれぞれの塩をつくるが,濃硝酸には不動態をつくるので比較的侵さ
れにくい。
アルマイトは,工業的にAlの表面にAl2O3の耐錆性被膜をつくったものの商品名
である。アルミニウム板を陽極とし,シュウ酸や硫酸などの溶液の中で電解すると,
表面に酸化物の被膜ができる。この被膜は硬くて丈夫であり,電気絶縁性がよい。こ
れをさらに過熱水蒸気で処理して緻密にする。電解に際して,直流のみでなく交流を
併用すると,被膜の性能がいっそうよくなる。
Alを強熱すると,白光を放って燃え,多量の熱を発生する。
4Al+3O2→2Al2O3+3350.6kJ
この性質を利用して,炭素で還元しにくい金属酸化物をAl粉末と熱して還元する。
これをGoldschmidt法といい,Cr,Mn,Co,Vなどの冶金に用いられる。また,Fe2O3
粉末とAl粉末の混合物をアルミノテルミットという。点火すると2500℃の高温を生
ずるので,レールの修理などに使用された。
Alは,工業用及び家庭用の器具の製作,銅の代わりに電線,電気器具にも用いられ
る。Al粉は塗料,火薬,花火に,Al箔はスズ箔の代用にする。また,アルミニウムは
いろいろな合金の原料として用いられる。
アルミ銅は,Al10%,Cu90%の合金,ジュラルミンはAlにCu3〜4.5%,Mg0.3〜1
%,Mn0.5〜1%を加えた合金である。
なお,アルミニウムをつくるため多量の電力を消費しているので,アルミ缶は回収
して再生利用するのが望ましい(原料からアルミニウムをつくるのに比べてわずか3%
程度のコストで再生できる)。
►酸化アルミニウム
アルミナまたはバン土ともいう。天然には鋼玉(コランダム)として産する。微量の
Cr2O3を含むものは紅色を呈し,紅玉(ルビー)と呼ばれている。TiO2を含むものは青
色で青玉(サファイア)という。色の美しくないものは金剛砂といい,研磨剤として用
いる。Al(OH)3を電気炉内で熱し,半融解したものをアランダムという。耐火性が強
く,硬度が高いので,るつぼその他の耐火器具及び研磨剤に用いられる。
►電解工業
電気分解を利用して物質を製造したり,材料を加工したりする工業を電気分解工
業という。物質製造で大規模に行われているのは,アルミニウム製錬,食塩電解,
亜鉛製錬,銅精製などである。そのほか,フッ素,カルシウム,ナトリウム,リチ
ウム,塩素酸ナトリウムなども,電解法で製造されている。
技術的には,他の製造法でも製造できるが,製品純度などの問題で,電解法で製
造しているものもある。たとえば,二酸化マンガン,クロムなどである。
そのほか,めっき,電着塗装なども行われている。
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電気分解による製造物質 |
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分 野 |
製 造 物 質 |
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水電解 |
H2 |
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食塩水電解 |
NaOH,Cl2,H2 |
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無機電解酸化 |
NaClO3,KMnO4,MnO2,PbO2,NaClO4 |
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金属電解精製 |
Cu,Pb,Au,Ag,Ni,Fe,Bi,In,Sn |
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金属電解採取 |
Zn,Cr,Mn,Ni,Co,Ga,Te,Cd,Tl |
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溶融塩電解 |
F2,Al,Mg,Ca,Na |
►アルミニウムの製造
アルミニウムは地殻に非常に多く,約8%(地殻構成元素順位3番目)含まれてい
るが,すべて化合物となっている。ケイ素,酸素と化合した長石のように,複雑な
ケイ酸塩をつくり岩石や土壌を形成している。これらの量は多いが,それからアル
ミニウムを取り出すことは困難である。アルミニウム製造に用いる主な原鉱は,ア
ルミナを主成分とするボーキサイトである。この製造方法を工業化することに成功
したのは,1886年にアメリカのホールHall(1863〜1914年)とフランスのエルーHeroult
(1863〜1913年)が偶然同じ年に発見した方法によった。
それまでは,アルミナは融点が高く,炭素で還元しにくいため,塩化アルミニウ
ムをナトリウムやカリウムで還元してつくっていた。
AlCl3+3Na→Al+3NaCl
しかし,ホールたちが氷晶石Na3AIF6を約1000℃に熱してとかし,これに
アルミナを加えて融解させ,電解してアルミニウムを製造するという方法を考え出
してから,急にアルミニウムの製造量が増加した。
アルミナの電解を行うと,電解槽の内壁が陰極となり,Al3+が放電して,アルミ
ニウムが析出して底にたまる。陽極ではO2−が炭素と反応して一酸化炭素や二酸化
炭素を生じて,陽極を消耗する。したがって,アルミナの電解反応は次のようにな
る。
(陰極)Al3++3e−→Al
(陽極)2O2−→O2+4e−,O2+C→CO2,CO2+C→2CO
(全体)2Al2O3+3C→4Al+3CO2,Al2O3+3C→2Al+3CO
電解に用いるAl2O3は純粋でないと上の反応がうまく進行しない。それにはボー
キサイトを加圧下で水酸化ナトリウム水溶液と熱する。すると,酸化鉄などの不純
物は溶けないで残る。溶液となったアルミン酸ナトリウムを加水分解すると水酸化
アルミニウムが沈殿する。これを熱して純粋な酸化アルミニウムを得る。したがっ
て,アルミニウムの製錬は2段階に区別でき,酸化アルミニウムを得る方法をバイ
ヤーBayer法,アルミナの電解法をホール・エルー法という。
最近,電解にかわる方法として溶鉱炉法が開発され,注目されている。これはボ
ーキサイトから直接アルミニウムを取り出す方法であり,電力不要の点から今後の
工業化に期待がよせられている。
►溶融塩電解
化合物を融解して電解する方法で,融解塩電解ともいう。アルミニウム製錬が代
表例で,イオン化傾向の大きい金属などの製造法である。
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溶融塩電解 |
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生成物 |
陰極 |
陽極 |
電 解 液 |
温度〔℃〕 |
電圧〔V〕 |
副生物 |
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F2 |
Ni,C |
Fe |
HF,KF |
80〜108 |
8〜12 |
H2 |
|
AI |
C |
C |
Al2O3,Na3AlF6 |
960〜980 |
4.04〜4.20 |
CO2 |
|
Mg |
C |
Fe |
MgCl2,CaCl2,KCl,NaCl |
660〜720 |
5〜10 |
Cl2 |
|
Na |
C |
Fe |
NaCl,CaCl2 |
590 |
6.9 |
Cl2 |
|
Li |
C |
Fe |
LiCl,KCl |
400〜420 |
8〜9 |
Cl2 |
|
Ca |
C |
Fe |
CaCl2 |
780〜800 |
17〜30 |
Cl2 |
►アルミニウム化合物
アルミニウム化合物の中で,生産量(1998年)の多いのは硫酸アルミニウム約
95.05万t,ポリ塩化アルミニウム約58.49万tなどである。
Al2(SO4)3は硫酸バン土ともよばれ,製紙のサイジング(インキの滲み止め加工),
染色の媒染剤,水の浄化剤,皮なめしなどに利用されている。約50%が製紙用,
約35%が水処理用である。AlK(SO4)2 · 12H2O(ミョウバン)も同様の目的で利用され
ている。
ポリ塩化アルミニウムとは[Al2(OH)nCl6−n]m(n≒3,m≦10)の組成の塩基性塩化
アルミニウムの液で,浄水剤として用いられている。多核錯イオンの機造をもつた
め,Al2(SO4)3より凝集力が大きく,また中和剤や助剤が不要のため最近需要量が
増加しつつある。
無水塩化アルミニウムAlCl3は,フリーデル-クラフツ反応(アルキル化,アシ
ル化),クラッキング反応などに触媒として用いられる。結晶は180℃で昇華し
Al2Cl6の分子になる。880℃ではAlCl3分子になり,440〜800℃では2つの分子が
共存する。
実験13 アルミニウムの反応を調べてみよう
亜鉛
►亜鉛
天然に単体で産出することはないが,地殻中に広く分布している。主要鉱石は閃
亜鉛鉱ZnS,菱亜鉛鉱ZnCO3である。硫化物は焼いて酸化物とし,これを炭素と混
ぜて熱すると亜鉛が蒸発して出てくる。精製は蒸留,電解によって行う。青みを帯
びた銀白色の金属光沢がある。融点419.58℃,沸点907℃,密度7.13g/cm3。室温で
はややもろく,加工しにくいが,100〜115℃で展性・延性が著しく増大するので,
薄板や線に加工できる。200℃以上でまたもろくなり,粉末にすることができる。
湿った空気中で塩基性炭酸亜鉛の被膜を生じ,内部を保護する。酸素または空気
中で高温に熱すると光を出して酸化物になる。赤熱状態で水と反応し,分解して水
素を発生する。乾いたハロゲンとは室温で反応しないが,水分があれば容易に侵さ
れる。希酸及び濃アルカリ溶液と反応し,水素を発生して塩を生じるので,希酸あ
るいは濃アルカリ溶液とともに還元剤として用いることができる。アンモニア水,
シアン化カリウム水溶液には,水溶性錯塩をつくって溶ける。
トタン板,電池の製造のほか,黄銅,洋銀など重要な合金の材料となる。
►亜鉛化合物
熱した亜鉛に水蒸気を通じると,水素を発生して酸化亜鉛を生じる。また,空気
中で強熱しても酸化亜鉛となる。
Zn+H2O→ZnO+H2 2Zn+O2→2ZnO
酸化亜鉛は水に溶けないが,酸やアルカリにはよく溶ける。
ZnO+2H+→Zn2++H2O
ZnO+2OH-+H2O→[Zn(OH)4]2-
ZnOはまた,亜鉛華,亜鉛白ともよばれる。昇華点1725℃で,1300℃から昇華
し始める。毒性がないことと,硫化水素で黒変しないなどの特徴から,白色顔料と
して鉛白(塩基性炭酸鉛)に代わって使用されたが,現在ではTiO2が主として用い
られている。現在では,ゴムの加硫促進剤,ガラス,ほうろう,陶磁器の上薬,医
薬,顔料などに用いられている。高純度のものは,紫外線吸収能が高く,光半導性
があり,絶縁性も高いので,樹脂安定剤,電子写真感光材料,蛍光体などに利用さ
れている。
水酸化亜鉛Zn(OH) 2も両性化合物で,酸やアルカリと反応する。また加熱すると,
125℃で分解する。 Zn(OH)2→ZnO+H2O塩化亜鉛ZnCl2(融点283℃,沸点732℃)
は潮解性の無色粉末結晶で,金属酸化物を溶解する性質がある。これは,[ZnCl4]2−
を生じるためで,亜鉛やスズめっきの前処理や,ハンダづけのときに金属面をきれ
いにするのに用いられる。また,歯科用セメントは,ZnCl2の濃溶液にZnOを加え
てつくり,充填用としている。これは,塩基性塩化亜鉛ZnCl(OH)が生じて硬化す
る性質を利用したものである。
ZnCl2+ZnO+H2O→2ZnCl(OH)
硫酸亜鉛ZnSO4