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B 2族元素とその化合物
2族元素の単体
►2族元素,アルカリ土類金属
2族元素は,以前はアルカリ土類金属と同義であったが,IUPACは無機化学命
名法においてCa,Sr,Ba,Raをアルカリ土類金属と呼ぶと定義したので,今日
ではBeとMgはアルカリ土類金属に含まれないことになった。BeとMgは,Ca,
Sr,Ba,Raに比べて塩基性(金属性)が弱く,12族のZn,Cd,Hgと似た性質があ
るので,このように区別して扱われる。
2族元素はイオン化傾向が大きいので,単体として産出しない。アルカリ金属に
次いで軽く軟らかい。原子価は2価で,金属性が一般的に強いので陽イオンになり
やすく,その水酸化物はアルカリ金属に次いで強塩基性を示す。アルカリ土類の
「土」には,水に溶けにくく,熱に強いという意味がある。
マグネシウムの製造は,カーナライトMgCl2 · KCl· 6H2O,マグネサイトMgCO3,
にがりMgCl2 · 6H2Oなどから純粋な無水MgCl2をつくり,これを融解し電気分解
する方法で行う。そのとき,融点を下げるため塩化ナトリウムを加える。
(鉄陰極)Mg2++2e-→Mg (炭素陽極)2Cl-→Cl2+2e-
カルシウムは,CaCl2の融解塩電解で製造される。
►2族元素の塩化物
塩化物はどれも水によく溶け,吸湿性がある。MgCl2 · 6H2Oは潮解性の結晶で,
苦味がある。加熱すると結晶水を失うが,一部は分解して塩基性塩となる。
MgCl2+H2O→MgCl(OH)+HCl
CaCl2 · 6H2Oも潮解性である。水に溶けるとき吸熱し(18kJ/mol),寒剤となる。
氷晶点−54.9℃のときの溶解度は,42.6g/水100gである。無水物は乾燥剤や吸
湿剤として広く用いられているが,エタノールやアンモニアとは付加化合物
(CaCl2 · 4C2H5OHやCaCl2 · 8NH3)をつくるので,これらの乾燥剤には用いられな
い。
►2族元素の反応
2族元素は,どれも標準酸化還元電位が水より低いので,水と反応できる。
M+2H2O→M(OH)2+H2
しかし,Be(OH)2やMg(OH)2は溶解度が小さく,これが金属表面を覆うので,Be
は実際に反応せず,Mgは加熱しないと反応しない。CaもCa(OH)2の保護膜をつく
るので,冷水での反応は穏やかであり,熱水では激しくなる。
アルコールに対する反応も水と同様である。
希酸とはどれもよく反応するが,Beは濃硝酸と反応せず,SrとBaは濃硫酸や濃
硝酸とは徐々に反応する。
空気とは,どれも表面が酸化され,熱すると燃焼して酸化物MOになる。こ
のとき,Mgでは明るい光を出す。また,同時に窒化物M3N2のできていることが
多い。窒化物の生成は,酸素量が少なくなるほど多くなる。
2M+O2→2MO,3M+N2→M3N2
Beは両性元素で,強塩基に溶けて水素を発生する。他の2族元素は塩基と反応
しない。
Be+2NaOH+2H2O→Na2[Be(OH)4]+H2
カルシウムの化合物
►2族元素の炭酸塩
炭酸塩は強熱すると分解するが,その同温での解離圧は原子番号が小さいほど大
きくなる。したがって,原子番号の大きいものほど高温にしなければ分解しない。
また,強酸と反応してCO2を発生する。
MCO3→MO+CO2
MCO3+2H+→M2++H2O+CO2
炭酸塩はどれも水に溶けにくい。ただし,BeやMgでは加水分解しやすい。
2MgCO3+2H2O
Mg2CO3(OH)2+H2O+CO2
アルカリ土類金属の炭酸塩は,過剰のCO2を含む水に炭酸水素塩となって溶ける。
MCO3+H2O+CO2
M2++2HCO3−
また,これらはアンモニウム塩などが存在すると,溶解度が増加する。
►2族元素の酸化物・水酸化物
酸化物はどれも融点が高く,結晶状にすると水と反応しにくくなる。BeOは水
に反応せず,結晶状のものは酸とも反応しにくい。MgOは水にほとんど溶けない
が,徐々に反応して弱塩基性を示す。アルカリ土類金属の酸化物は,水と激しく
反応して,水酸化物となり,酸ともよく反応する。
MO+H2O→M(OH)2,MO+2HCl→MCl2+H2O
水酸化物は,原子番号の小さいほど水に溶けにくく,Be(OH)2やMg(OH)2はほ
ぼ不溶であるが,Mg(OH)2はわずかに溶け,弱塩基性を示す。Be(OH)2は両性で,
酸とも塩基とも反応し,それ以外の水酸化物は酸と反応する。
水酸化物は強熱すると酸化物になる。
M(OH)2→MO+H2O
►2族元素の硫酸塩
硫酸塩は,原子番号が増加するほど水に溶けにくい。Be塩やMg塩はかなり溶
けるが,Ca塩では微量となり,Sr塩とBa塩はほぼ不溶である。BaSO4は懸濁液
として消化器のX線撮影に用いられている。
CaSO4は硬セッコウ,CaSO4・2H2Oはセッコウともよばれている。セッコウを焼
くと半水和物CaSO4・0.5H2Oの焼セッコウができる。これを水と練って放置すると
セッコウができ,陶磁器の型などに利用されている。
また,CaOとCaSO4の混合物に水を加えて反応させると,速やかに固化して,硬
くて水に安定な物質ができる。これはセッコウ及びCaCO3が生じるためである。こ
の混合物はセッコウモルタルといわれ,建築に用いられている。
実験12 塩化カルシウムと水を反応させてみよう