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C 酸素・硫黄とその化合物
酸素
►酸素(沸点−182.96℃,融点−218.4℃)
典型的な非金属元素である。原子の最外殻の電子配置は
で,分子をつくる
ときは最外殻の電子数が8個になる安定な化学結合をしており,0=0
で表
される。また,
や
の電子配置をとる状態も考えられる。これらの電子
配置は02がN2に比べて他の元素と反応しやすいことを説明するのに役立つ。
酸素は化学的に活発で,ハロゲン,希ガス,白金,金,銀以外の元素を直接酸化
する力をもつ。このとき,一般に発熱し,燃焼,爆発に至ることもある。
酸素は,主に液体空気の分留で得られ,液体や固体は淡青色である。液体酸素は
常磁性のため,ネオジム磁石(など強い磁石)に引きつけられる。
►オゾン(沸点−111.3℃,融点−193℃)
酸素の同素体で,空気または酸素中の無声放電で製造されている。
3O2=2O3−286kJ
気体は淡青色,液体は黒青色,固体は暗紫色で,特有の生臭いにおいをもつ。
酸素は常磁性体であるが,オゾンは反磁性体である。
オゾンは光,熱などで分解して酸素になり,強い酸化作用を示す。そのため,殺
菌,漂白などに用いられている。
►酸化物
酸素との化合物を酸化物というが,通常はOの酸化数が−2の化合物をいう。
したがって,OF2やO22−を含む過酸化物,O2−を含む超酸化物は,狭い意味の酸
化物から除外される。
酸素は電気陰性度が大きく,電気陰性度の小さいアルカリ金属やアルカリ土類金
属などの金属元素とはイオン結晶をつくる。これらは沸点が高く,水に溶けて塩基
性を示す。金属の電気陰性度が大きくなると,酸化物の共有結合性がしだいに強ま
り,水に溶けにくくなり,塩基性が弱まる。
電気陰性度の大きい非金属元素の酸化物は,一般に共有結合により分子をつくり,
これが水に溶けてオキソ酸となる。電気陰性度が小さい非金属元素の酸化物では,
酸の性質が弱くなり,巨大分子を生じて水に溶けにくくなる。
(1) 塩基性酸化物 酸と作用して塩をつくり,水に溶かせば塩基となる酸化物を
いう。金属の酸化物には塩基性酸化物が多く,CaO,FeO,Fe2O3などがその例
であり,一般に遷移金属の高酸化数酸化物を除いて塩基性酸化物となる。
(2) 酸性酸化物 酸化物のうちで,塩基と反応して塩をつくり,また水に溶ける
とオキソ酸をつくるものをいう。非金属元素の酸化物の大部分,及び遷移元素
の高酸化数酸化物がこれに属する。たとえばSO3,CrO3などで,水に溶けると
硫酸H2SO4,クロム酸H2CrO4または二クロム酸H2Cr2O7などをつくり,塩基性
酸化物MUOと反応して塩MUSO4,MUCrO4などをつくる。
(3) 両性酸化物 1つの酸化物で塩基に対しては酸性,酸に対しては塩基性を示
すものをいう。酸性,塩基性はともに弱い。たとえば,Al2O3は硫酸に対しては
塩基として作用しAl2(SO4)3を,水酸化ナトリウムに対しては酸として作用し
Na[Al(OH)4]をつくる。両性酸化物は,Al,Zn,Sn,Pb,As,Sbなどのように,
その性質が場合により金属元素とも非金属元素とも考えうるような両性元素の酸
化物であるか,あるいは遷移元素の中程度の酸化数の酸化物である。
►オキソ酸(酸素酸)
無機酸のうち,中心原子Xに結合している原子がすべて酸素であり,酸素の一
部または全部に水素が結合して-OH基となり,その水素が水溶液中で電離してH+
を生じ,酸性を表すものをいう。H2SO4,HNO3などがその例である。同一の中心
原子Xから数種類のオキソ酸を生じる場合,そのうちの1つを基準とし,それより
酸化の程度の高いものには「過」,低いものには「亜」,さらに低いものには「次
亜」を付して呼ぶ。また,基準のオキソ酸に「正」や「オルト」をつけることもあ
り,これより水分子1個が取れたものに「メタ」をつけて呼ぶ。

硫黄
►硫黄の単体
同素体では斜方硫黄Sαと単斜硫黄Sβがよく知られ,SαとSβは互いに変化する。
Sβを室温に放置すればSαに,Sαを融解して徐々に冷やすとSβになる。また,Sα
を95.5℃以上に保ってもSβになる。この温度を,
|
転移点(95.5℃) Sα(低温) |
硫黄の転移点という。
硫黄を熱すると119.6℃で融解して黄色流動性の液体Sλになり,さらに熱する
と黒褐色粘稠性の液体Sμに変わる。これは,445℃で沸騰して赤褐色の蒸気を出
す。Sμを冷水中に入れるとゴム状硫黄が得られる。
硫黄は水に溶けないが,アルコールには少し溶け,二硫化炭素にはよく溶ける。
ただし,ゴム状硫黄は高分子になっており,二硫化炭素にも溶けにくい。
水酸化ナトリウム水溶液や石灰水などのアルカリには,温めると溶ける。
6S+6NaOH→2Na2S2+Na2S2O3+3H2O
►二酸化硫黄
気体を亜硫酸ガスともいう。工業的には硫黄の燃焼,実験室では銅と濃硫酸で加
熱するか亜硫酸水素ナトリウムに強酸を加えて発生させる。無色で刺激臭の気体(融
点−75.5℃,沸点−10℃)。溶解度10.5g/水100g(20℃)。水溶液中には亜硫酸を含み,
還元性を示し,漂白に用いられる。
►三酸化硫黄
白金網を触媒として二酸化硫黄と酸素を直接反応させてつくる。絹系光沢のある
アスベスト状のb型(融点32.5℃)とコロイド状のa型(融点62.4℃)の混合物が市販品。
気体ではSO3分子が存在しSを中心とする正三角形型構造。
►セレン,テルル
セレンとテルルは硫黄によく似た性質を示す。同素体に金属性のものがあり,こ
れは半導体となる。ともに有毒である。
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セレン,テルルの単体の性質 |
||||||
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元 素 |
セレン Se |
テルル Te |
||||
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同素体 |
無 定 形 |
結 晶 |
金 属 |
無定形 |
金 属 |
|
|
形・結晶 |
粉 末 |
ガラス状 |
単斜晶系 |
六方晶系 |
— |
六方晶系 |
|
色 |
赤 |
暗褐(黒) |
赤 |
灰 黒 |
灰 |
銀 灰 |
|
密度〔g/cm3〕 |
4.26
|
4.28 |
4.4 |
4.79 |
6.02,6.24 |
6.236 |
|
融点〔℃〕 |
ガラス化 |
— |
144 |
217 |
— |
449.5 |
|
沸点〔℃〕 |
684.9
|
684.9 |
684.9 |
684.9 |
— |
989.8 |
|
水・塩酸 |
不 溶 |
不 溶 |
不 溶 |
不 溶 |
不 溶 |
不 溶 |
|
硝酸 |
溶 |
溶 |
溶 |
溶 |
溶 |
溶 |
|
CS2 |
溶 |
不 溶 |
不 溶 |
溶 |
— |
— |
►硫酸
H2SO4なる化学式で表される純物質またはその水溶液を硫酸という。100%硫酸
に三酸化硫黄SO3を溶かしたものを発煙硫酸という。また,通常90%以上のもの
を濃硫酸といい,これよりずっと低濃度のものを希硫酸という。
市販の濃硫酸は96%(密度1.84g/cm3,約18mol/l)が普通である。
100%の純硫酸は無色粘性の油状液体で,密度1.826g/cm3(25℃),融点10.36
℃である。熱すると,約290℃でSO3を放って分解し始め,317℃で共沸混合
物(濃度98.5%)となる(共沸点338℃というデータもある)。
濃硫酸を水に溶かすと多量の熱を発生して溶ける。希硫酸は強酸であり,硫酸は
化学工業をはじめ広く用いられている(1998年の生産高約673.90万t)。
►硫酸の製法
工業的な硫酸の製造では,硫黄や硫化鉄鉱を燃焼させてSO2とし,これを触媒
を用いて酸化しSO3にする。SO3は98〜99%の濃硫酸に吸収させて,さらに濃い
濃硫酸(または発煙硫酸)にした後,希釈して95〜98%の濃硫酸にする。この方法
を接触法という。
接触法で触媒を用いるのはSO3の生成速度が小さいためである。触媒は,過去
には白金石綿(白金塩をアスベストにしみこませて焼いたもの)が使われていたが,
現在では五酸化バナジウム(V) V205(V205とK2SO4,SiO2などが含まれており,V205
5〜9%,K2O 9〜13%,Na2O 1〜5%,SO310〜30%,その他はSiO2の組成)が用
いられている。触媒の反応機構は次のように考えられている。
V2O5+SO2→V2O4+SO3
V2O4+2SO2+O2→2VOSO4(硫酸バナジル)
2VOSO4→V2O5+SO2+SO3
硫酸の製法には,このほか酸化窒素を触媒とする硝酸法(鉛室法)もあるが,接触
法のほうが高純度・高濃度の硫酸が得られるので,最近ではほとんど接触法により
生産されている。硝酸法の主反応は,次のようになる。
SO2+H2O→H2SO3 H2SO3+2HNO2→H2SO4+H2O+2NO
4NO+O2→2N2O3 2H2SO4+N2O3→2NOHSO4+H2O
NOHSO4+H2O→HNO2+H2SO4
►参考実験 硫酸の製造(接触法)
【目的】簡単な装置で,接触法により硫酸ができていることを供覧する。
【準備】NaHSO3とH2SO4による二酸化硫黄発生装置,広口ガラスびん,硬質ガ
ラス反応管,二連球,白金石綿(白金懐炉用),濃硫酸,塩化バリウム水溶液,リ
トマス紙
【操作と結果】(1) 下図のように装置を組み立て,二酸化硫黄を送りこむ。

(2) 二連球から空気を送り,乾燥したSO2とO2の混合気体を白金石綿を入れた反
応管中に送る。このとき,SO2と空気の体積比は1:2くらいが適当であるので,
洗気びん中のガラス管から出る泡の量を見て調整する。
(3) 反応管を加熱し,白金石綿が赤く光る状態を保つ。この程度に加熱しないと
SO2とO2の反応は進まない。反応管から出る気体(白煙)を試験管の水に通す。
(4) 試験管中の液にリトマス紙をつけて赤くなることを見る。また,少量分けとり,
塩化バリウム水溶液を加え,BaSO4の白い沈殿が生成することを確かめて硫酸
ができたことを知る。
►硫化水素(融点−85.5℃,沸点−60.7℃)
無色・腐卵臭の悪臭をもつ気体。分子は二等辺三角形で∠H-S-Hは92°。水に約
3容溶けて硫化水素水となる。硫化水素水は弱酸で,電離度は約0.07%である。
H2