ホーム>新編化学I>第1部 物質の構成>第3章 物質の量>E 化学変化の量的関係
E 化学変化の量的関係
►化学変化の量的関係の計算の原則 化学変化の係数の比は,反応物と生成物の
物質量の比に相当する。したがって,「物質をすべてmol単位に換算し,それを係
数に比例させて計算するのが量的関係の原則である」と指導することが望ましい。
mol単位で解を求めた後,題意に応じて質量なり体積なりに換算すればよい。この
ような方法をとれば,化学変化の量概念を正確にとらえることができ,複雑な反応
についても十分理解できる。
aA+……→bB+……の化学変化で,Aの量からBの量を求める手続きを,次
に簡単に示す。Vは標準状態の体積,Mは式量である。
►原子説と分子説
物質が粒子から構成されているという考えは,古代ギリシアの時代から始まって
いる。しかし,それらは哲学的な思索によるもので,実証的なものではなかった。
むしろ,アリストテレス達による,物質構造の連続説が中世ヨーロッパを長く支配
し,粒子説は日の目を見なかった。しかし,18世紀になると,いろいろな実験事
実が積み重ねられ,物質観もそれらの基盤の上に立つようになった。特に気体の化
学反応の研究が進み,その量的な関係についての法則が数多く発見されるにいたっ
て,粒子説が連続説にとって代わるようになった。
《定比例の法則》 天然にはクジャク石として産し,また銅の緑青として知られて
いる水酸化炭酸銅CuCO3・Cu(OH)2をプルーストは研究していた。彼はこれを加熱
すると,まず水が得られ,強熱すると二酸化炭素が得られ,後に酸化銅(II)が残る
ことを知った。プルーストはこれらを正確に分析して,天然のものでも人工のもの
でも,組成は全く同じであることを発見した。
《倍数比例の法則》 ドルトンは,メタンCH4とエチレンC2H4について研究して
いるとき,一定量の炭素に結合している水素の量が2:1になっていることに気づ
いた。その後,炭素・硫黄・窒素の酸化物についても検討し,倍数比例の法則を導
き出したといわれている。この法則は,定比例の法則とともに,物質構造の不連続
性を示しており,ドルトンは,これらを背景として原子説を提唱することになった。
《気体反応の法則》 ゲーリュサックの第二法則ともよばれ,実験的に導き出され
たものである。反応に関係する物質がすべて気体でなくても,反応に関係する気体
の相互間にあてはまる。たとえば,Fe2O3+3CO→2Fe+3CO2の反応において
COとCO2の間には,体積比が1:1であるという気体反応の法則があてはまる。
気体反応の法則を原子説で説明しようとすると矛盾につき当たる。このため,ド
ルトンは気体反応の法則を否定したといわれている。しかし,この矛盾は後にアボ
ガドロによって見事に解決され,原子説・気体反応の法則のいずれにも矛盾しない,
分子説がうち立てられることになった。
《アボガドロの法則》 アボガドロは,原子説と気体反応の法則を結びつける試み
として,分子仮説を提唱した。たとえば,水素や酸素の単体では,2個の同種原子
が結合して1分子ができるとした。しかし,化学結合の考え方がまだ定着していな
かったため,2原子が結合する必然性が説明できなかったので,この仮説は当時な
かなか認められなかった。彼の死後,1860年になって,弟子のカニッツァローが
再びこの説を提唱し,実験事実を満足に説明できるただ一つの考え方として,よう
やく認められるようになった。


本サイトに掲載された記事や画像の無断転載を禁じます。
Copyright(C) 2007 SHINKOSHUPPANSHA KEIRINKAN CO.,LTD. All rights reserved