トップMaster化学I>第3部 無機物質>第1章 非金属元素>第1節 周期表と元素の性質

第1節 周期表と元素の性質

 

A 単体の性質

元素の性質の周期性

  周期性の例として,融点・沸点〔°C〕,原子半径〔×1010m〕,電気陰性度,固体の密度〔g/cm3〕のグラフを示す。

融点・沸点を見ると,各周期において典型元素では14族付近に極大があり,18族で極小になる事が判る。これは,各周期の単体の結合方式を反映しており,周期の初めに金属,中間に共有結合性物質,終わりに分子性物質がくる為である。遷移元素の融点・沸点は比較的高い。

原子半径のグラフは,希ガスはファンデルワールス半径,非金属は共有結合半径,金属は金属結合半径で示した。各周期では,アルカリ金属が極大となり,次第に減少する形となっており,周期が進むにつれて大きくなっていく事がよく解るグラフである。各周期の遷移元素では,ほぼ似た値を示し,隣り合う元素の性質が似ている事がよく解る。

電気陰性度は,ポーリングによるデータを示した。各周期では原子番号と伴に次第に増加し,ハロゲンで極大となる関係がよく解る。

固体の密度は,融点・沸点とよく似たグラフとなり,その周期性の要因が結合の種類による事を示している。

B 第3周期の元素

2・第3周期の金属元素の単体

 単体の反応性は金属性が強い程大きく,第3周期でいえばNaが最も激しく反応する。例えば水とは,Naは室温で,Mgは熱水で,Alは高温水蒸気で,それぞれ反応する。

 

2周期・第3周期の金属元素の単体

単体

融点
〔℃〕

沸点

密度
(
固体)

結晶

種類

電気
伝導

反応性

その他

Li

 180.54

1347

0.534

金属

200℃で燃焼,水と反応

軽い,比熱大

Be

1282

2970

 1.8477

金属

室温で酸化膜,両性元素

有毒

Na

   97.81

883

0.971

金属

空気酸化,水で発火

Mg

 648.8

1090

1.738

金属

室温で酸化膜,熱水と反応

Al

 660.32

2467

 2.6989

金属

室温で酸化膜,両性元素

 

同周期元素の単体の状態と反応性

周期表の左側の金属元素は金属結合による単体,右側の非金属元素は共有結合による分子性の単体を作る。両者の境界付近の元素では共有結合により結晶をつくる。このような化学結合の違いにより,融点・沸点は,金属元素が比較的高く,非金属元素が比較的低く,両者の境界で非常に高くなる。したがって,同周期元素の融点・沸点は,原子番号が大きくなると次第に高くなるが,途中からまた低くなっていく。

単体の反応性は,金属性が強い程,また非金属性が強い程大きい。両者の中間の単体は反応性が低く,18族の希ガスは殆ど反応しない。したがって,第3周期でいえば,NaCl2が最も激しく反応する。例えば水との反応は,Naは室温で,Mgは熱水で,Alは高温水蒸気で,Cl2は室温で反応するが,SiPSは通常反応しない。

 

 

2周期元素の単体の性質 *は気体で,単位はg/dm3

単体の化学式

融点

°C

沸点

°C

密度

(固体)

g/cm3

結晶

種類

電気

伝導

 

反応性

その他

Li

180.54

1340

0.534

金属

200℃で燃焼,

水と反応

軽い,比熱大

Be

1282

2970

1.8477

金属

空温で酸化膜,

両性元素

有毒

B

2300

3658

2.34

共有

300°Cで酸化,

少し両性

硬度9.3,半導体

C(黒鉛)

2.26

共有

450°Cで酸化

硬度12

C(ダイヤモンド)

3.513

共有

700°Cで酸化

硬度10

N2

-209.86

-195.8

1.2506*

分子

安定

02(酸素)

-218.4

-182.96

1.429*

分子

多くの気体と反応

03(オゾン)

-193

-111.3

2.141*

分子

02に分解,

酸化力大

特異臭,有毒

F2

-219.62

-188.14

1.696*

分子

酸化力特大,

反応性大

特異臭,有毒

Ne

-248.67

-246.05

0.8999*

分子

殆ど反応しない

 

3周期元素の単体の性質 *は気体で,単位はg/dm3

単体の化学式

融点

°C

沸点

°C

密度

(固体)

g/cm3

結晶

種類

電気

伝導

 

反応性

その他

Na

97.81

883

0.971

金属

空気酸化,

水で発火

Mg

648.8

1090

1.738

金属

室温で酸化膜,

熱水と反応

Al

660.32

2467

2.6989

金属

室温で酸化膜,

両性元素

Si

1410

2355

2.3296

共有

SiF4

塩基と反応

半導体

P4(黄リン)

44.2

280

1.82

分子

りん光,

34°Cから発火

有毒

P(赤リン)

2.2

共有

260℃で発火

S8(斜方)

112.8

444.674

2.07

分子

高温で燃焼

S8(単斜)

119.0

444.674

1.957

分子

高温で燃焼

Cl2

-101.0

-33.97

3.214*

分子

反応性大,

酸化力大

刺激臭,有毒

Ar

-189.3

-185.8

1.65

分子

殆ど反応しない

空気に0.934

 

 

2・第3周期の非金属元素の単体

単体の反応性は,18族の希ガスを除き,非金属性が強い程大きい。したがって,同周期ではハロゲンが最も激しく反応する。例えば水との反応は,Cl2は室温で反応するが,SiPSは通常反応しない。

                                                                                         

2・第3周期の非金属元素の単体 *は気体で,単位はg/dm3

単体

融点

沸点

密度

(固体)

g/cm3

結晶

種類

電気
伝導

反応性

その他

B

2300

3658

2.34

共有

300℃で酸化,少し両性

硬度9.3,半導体

C黒鉛

2.26

共有

450℃で酸化

硬度13

Cダイヤモンド

3.513

共有

700℃で酸化

硬度10

N2

209.86

195.8

1. 2506*

分子

安定

O2酸素

218.4

182.96

1.429*

分子

多くの気体と反応

O3オゾン

193

111.3

2.141*

分子

02に分解,酸化力大

特異臭,有毒

F2

219.62

188.14

1.696*

分子

酸化力特大,反応性大

特異臭,有毒

Ne

248.67

246.048

0.8999*

分子

殆ど反応しない

Si

1410

2355

2.3296

共有

SiF4,塩基と反応

半導体

P4黄リン

44.2

280

1.82

分子

りん光,34℃から発火

有毒

P赤リン

2.20

共有

260℃で発火

マッチ箱

S8斜方

112.8

444.674

2.07

分子

高温で燃焼

S8単斜

119.0

444.674

1.957

分子

高温で燃焼

Cl2

101.0

33.97

3.21*

分子

反応性大,酸化力大

刺激臭,有毒

Ar

189.3

185.8

1.784*

分子

殆ど反応しない

空気中に0.9341

 

 

同周期非金属元素の化合物

非金属元素の酸化物は,元素の非金属性が強い程酸性が強い。したがって,同周期では原子番号が大きくなる程,酸性の強い酸化物になる。水酸化物やオキソ酸も同様の性質を示す。

 

2・第3周期非金属元素の化合物

元素

水素化合物

酸素化合物

水酸化物・オキソ酸

水を含む反応

5B

B2H6分子性

B2O3

H3BO3 弱酸性

2H3BO3―→B2O33H2O

6C

CH4分子性

CO2

H2CO3 弱酸性

CO2H2O―→H2CO3

7N

NH3分子性

N2O5

HNO3 強酸性

N2O5H2O―→2HNO3

80

H2O分子性

9F

HF分子性

OF2

14Si

SiF4分子性

SiO2

H4SiO4 弱酸性

H4SiO4―→SiO22H20

15P

PH3分子性

P4O10

H3PO4 中程度の酸性

P4O106H2O―→4H3PO4

16S

H2S分子性

SO3

H2SO4 強酸性

SO3H2O―→H2SO4

17Cl

HCl分子性

Cl2O7

HClO4 強酸性

Cl2O7H2O―→2HClO4

 

2・第3周期の金属元素の化合物

金属元素の酸化物は,元素の金属性が強い程塩基性が強い。したがって同周期では,原子番号が小さくなる程塩基性の強い酸化物になり,非金属元素との境界付近に存在する元素の酸化物は両性を示す。水酸化物も同様の性質を示す。

 

2・第3周期の金属元素の化合物

元素

水素化物

酸化物

水酸化物

水を含む反応

3Li

LiH イオン性

Li2O

LiOH 強塩基性

Li2OH2O―→2LiOH

4Be

BeH2 イオン性

BeO

Be(OH)2 両性

Be(OH)2―→BeOH2O

11Na

NaH イオン性

Na2O

NaOH 強塩基性

Na20H2O―→2NaOH

12Mg

MgH2 イオン性

MgO

Mg(OH)2 弱塩基性

Mg(OH)2―→MgOH2O

13Al

AIH3 分子性

Al2O3

Al(OH)3 両性

2Al(OH)3―→Al2O33H2O

 

両性,両性化合物

周期表で,非金属元素と金属元素の境界付近に存在する元素には,非金属性や金属性の曖昧なものが存在し,場合により両方の性質を示す。両性とは,単体や化合物の酸・塩基に対する性質が,典型的な金属元素や非金属元素とは異なり,酸に対しては塩基として,塩基に対しては酸としてどちらとも働く性質をいう。AlZnSnPb等は,単体が強酸・強塩基のどちらとも反応する。また,酸化物や水酸化物が弱い酸・塩基の両方の性質をもち,塩基・酸のどちらとも反応する。したがって,これらは両性化合物をつくる元素である。両性化合物をつくる元素には,その他,BeCdBGaInSiGeAsSbBi等がある。

 

 

 








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