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2節 水の電離とpH

 

A 水の電離

水のイオン積

非常に鋭敏な計器を用いて水の電気伝導度を測定すると,純水の場合でもその値は0にならず,非常に小さい値ではあるが一定の伝導度になる。即ち,純水の中にも電流を運ぶイオンが存在し,このイオンの生成は水分子同士の衝突と陽子の移行によって起こるものと考えられている。

H2OH2OH3OOH-

この反応の平衡定数の値は,電気伝導度の正確な測定によって求めることができる。水の電離を表す式としては,一般にH2OHOH-が用いられ,これに質量作用の法則を適用して得られる式としては,次式が用いられる正確には濃度でなく活動度を用いる)。

 

純水,または希薄水溶液の中では,水分子の濃度[H2O](1Lの水分子の物質量)はほぼ次の値をとり,一定であるとみなせる。

 

 

そこで,[H] [OH-]constKw Kwを水のイオン積と称するようになった。

 

B pH

水素イオン指数pH
pHは水素イオン指数を表す記号で,ピーエイチと読む。

pHを測定するには,水素電極の電位差測定による方法と比色測定による方法がある。実際には,次の3つの方法がよく用いられている。

a)  pH試験紙pH指示薬をろ紙にしみ込ませたもので,標準色と試料水をしみ込ませた試験紙の示色とを比較する。誤差が大きく,pH0.2程度の差は普通である。緩衝能力の小さい溶液では,pH1程度も違ってくる。

b)  pH比色計pH指示薬を緩衝溶液に加えてアンプルに封入した標準色と,同量の指示薬を加えた試料水の示色とを比較する。比較的正確な測定ができて,誤差は普通,pH0.1以内である。

c)  ガラス電極pHガラス電極を用いて,溶液の水素イオンによる電極電位を測定する器機である。かなり精密な測定ができ,研究室等でよく用いられている。誤差は普通,pH0.1以下である。

 

C 指示薬とpH測定

酸塩基指示薬

pH指示薬,中和の指示薬,水素イオン濃度指示薬等とも呼ばれる。主なものの変色域とつくり方を次に示した。

(1) チモールブルー(略号TB)1.22.88.09.60.1gをエタノール20cm3に溶かし,水で100cm3とする。

(2) ブロモフェノールブルー(略号BPB):黄3.04.6青紫;0.01gをエタノール20cm3に溶かし,水で100cm3とする。

(3) メチルオレンジ(略号MO):赤3.14.4橙黄;0.1gを水に溶かして00cm3にする。

(4) メチルレッド(略号MR):赤4.26.2黄;0.20gをエタノール90cm3に溶かし,水で100cm3にする。

(5) リトマス:赤4.58.3青;0.5gをエタノール90cm3に溶かし,水で100cm3にする。

(6) ブロモチモールブルー(略号BTB):黄6.07.6青;0.1gをエタノール20cm3に溶かし,水で100cm3にする。

(7) フェノールレッド(略号PR):黄6.88.4赤;0.1gをエタノール20cm3に溶かし,水で100cm3にする。

(8) クレゾールレッド(略号CR):赤0.21.87.08.8赤;0.1gをエタノール20cm3に溶かし,水で100cm3にする。

(9)フェノールフタレイン(略号PP):無8.09.8赤;1gをエタノール90cm3に溶かし,水で100cm3にする。

(10) アリザリンエローGG(略号AY):黄10.012.1赤;0.1gを水に溶かして100cm3にする。

指示薬の呈色は,pHによりその構造が変化する為と考えられている。これは指示薬自身が弱酸や弱塩基であり,pHによって分子からイオンへ変化し,分子とイオンの濃度比で色相が変わる為と説明されている。例えば,指示薬を弱酸HAとすると,その電離は次式の様になる。

HAHA-

したがって,指示薬を酸に加えた時は,電離が抑制されてほぼ全部が分子HAとなり,分子の示す色(分子色)を呈することになる。これに塩基を加えていくと,まず酸が中和され,その後指示薬が中和されてA-が増えるので,イオンの示す色(イオン色)を呈する事になる。

これを電離平衡で説明すると,平衡定数は次式で表される。

 

したがって,分子色とイオン色がほぼ等しくなる時のHが変色域の中央にくると考えられ,Hが変化するにつれて分子色とイオン色の比も変化し,その比がある程度大きくなると肉眼でも色相の変化として認められる様になる。

チモールブルーの様に2段階に変色域をもつものは,構造が2段階で変化する事による。フェノールフタレインの場合も2段階に変色し,強塩基性の溶液では無色になる。

 

 

 








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