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付録3 実験の基本操作

 

参考 有機化合物の分離

有機化合物の混合溶液から,各化合物を分離するには,これらの化合物の酸・塩基との反応性と有機溶媒や水に対する溶解性を十分に知っておく必要がある。また,これらの化合物を確認する方法も,同時に知っておかねばならない。トルエン,フェノール,安息香酸,アニリンのエーテル混合溶液から,これらの化合物を11つ分離し,確認する実験操作を例示しておく。

試料は,各物質1gずつの混合物を15cm3のエーテル(ジエチルエーテル)に溶かしたものを用いる。

操作(1) エーテル溶液を100cm3の分液漏斗に入れ,2mol/L HCl 20cm3を加えてよく振った後静置し,下層の水溶液を試験管に流し出す。

C6H5NH2HCl―→C6H5NH3Cl

この試験管に6mol/L NaOH10cm3を加えてしばらく静置すると,上層に油状物質が遊離する。

C6H5NH3ClNaOH―→C6H5NH2NaClH2O

この油状物質の1滴をさらし粉溶液に加えると,赤紫色に呈色する事から,この物質がアニリンと確認できる。

操作(2) 操作(1)の分液漏斗中の上層の部分に,水15cm3を加えてよく振り,残っているHClを洗い流す。続いて,1mol/L NaHCO3 15cm3を分液漏斗に入れ,(1)と同様の操作を行う。

C6H5COOHNaHCO3―→C6H5COONaCO2 H2O

下層部を流し出した試験管に2mol/L HCl 10 cm3を,溶液が溢れ出さない様に少量ずつ加えると,固体が析出する。生じた固体を吸引ろ過し,少量の純水で洗う。

C6H5COONaHCl―→C6H5COOHNaCl

操作(3) 操作(2)の分液漏斗に残っている上層の部分に,6mol/L NaOH 10cm3を加えてよく振り,(1)と同様の操作を行うと,次の反応が起こる。

C6H5OHNaOH―→C6H5ONaH2O

下層部を流し出した試験管に6mol/L  HCl 15cm3を加えると,油状物質が上層に遊離する。

C6H5ONaHCl―→C6H5OHNaCl

この油状物質の1滴を塩化鉄(V)溶液に加えると,紫色に呈色する事から,フェノールを確認できる。

操作(4) 操作(3)の分液漏斗に残っている溶液をビーカーに移し,エーテルを蒸発させる。残ったビーカー中の物質の臭いから,この物質がトルエンである事が判る。

 

 

 








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