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資料2 試薬の調製

 

塩酸

塩化水素HClを水に溶かしたもので,塩化水素酸ともいう。工業的には,塩化ナトリウム水溶液の電解で得られる水素と塩素を直接反応させ,それを水に吸収させて製造している。市販の濃塩酸は,12mol/Lが一般的である。強い刺激臭のある無色透明の液体で,多くの工業原料として広く利用されている。

 

硫酸

H2SO4の化学式で表される純物質又はその水溶液を硫酸という。100%硫酸に三酸化硫黄SO3を溶かしたものを発煙硫酸という。また,通常90%以上のものを濃硫酸といい,これよりずっと低濃度のものを希硫酸という。市販の濃硫酸は98(密度1.83g/cm3 18mol/L)が一般的である。

100%の純硫酸は無色粘性の油状液体で,密度1.834g/cm3(25),融点10.36℃。熱濃硫酸(加熱した濃硫酸)は酸化作用が強く,イオン化傾向の小さい銅や水銀,銀,更に炭素や硫黄等の非金属とも反応し,二酸化硫黄SO2を発生する。

濃硫酸を水に溶かすと多量の熱を発生して溶ける。希硫酸は強酸であり,硫酸は化学工業を始め,広く用いられている。

工業的な硫酸の製造では,硫黄や硫化鉄鉱を燃焼させてSO2とし,これを触媒を用いて酸化しSO3にする。SO39798%の濃硫酸に吸収させて更に濃い濃硫酸(又は発煙硫酸)にした後,希釈して9598%の濃硫酸にする。この方法を接触法という。

接触法で触媒を用いるのはSO3の生成速度が小さい為である。触媒は,過去には白金石綿(白金塩をアスベストにしみ込ませて焼いたもの)が使われていたが,現在では酸化バナジウム(V) V205(V205K2SO4SiO2等が含まれており,V20559%,K2O 913%,Na2O 15%,SO31030%,その他はSiO2の組成)が用いられている。

V2O5SO2―→V2O4SO3

V2O42SO2O2―→2VOSO4(硫酸バナジル)

2VOSO4―→V2O5SO2SO3

硫酸の製法にはこの他,酸化窒素を触媒とする硝酸法(鉛室法)もあるが,接触法の方が高純度・高濃度の硫酸が得られるので,今では殆ど接触法によりつくられる。硝酸法の主反応は次の様になる。

SO2H2O―→H2SO3   H2SO32HNO2―→H2SO4H2O2NO

4NOO2―→2N2O3   2H2SO4N2O3―→2NOHSO4H2O

NOHSO4H2O―→HNO2H2SO4

 

硝酸

硝酸は,無色・揮発性の刺激臭の強い液体で,熱や光の為に分解してNO2ができ,これが硝酸中に溶けて黄味を帯びる。特に,熱すると分解し易く,酸素を発生する。室温でも還元剤の共存で容易に分解する。

4HNO3―→4NO22H2OO2

工業的には,硝酸は,アンモニアの酸化でNOをつくり,これがO2H2OによってHNO3に変わるので,結局,空気と水から硝酸が得られることになり,化学工業界で画期的な改革がなされた。

硝酸は濃度70%に共沸点(121)があるので,オストワルト法で得られた希硝酸から蒸留法で濃硝酸をつくることができない。それで,濃硫酸や硝酸マグネシウム等の脱水剤を加えて蒸留し,9899%の濃硝酸を製造している。

純硝酸は吸湿性の強い発煙性液体で,融点は−42℃,沸点は83,比重は1.5で重い。市販の濃硝酸は69(16mol/L)が一般的である。

純硝酸にNO2を溶かしたものは発煙硝酸と呼ばれる。濃硝酸は強酸であり,また強い酸化剤でもあるので多くの金属を溶かすが,FeCrNiAlは不動態を形成してそれ以上反応しない。

 

酢酸

エタン酸に当たるカルボン酸で,刺激臭と酸味のある無色透明の液体。純度の高いものは冬期に氷結するので氷酢酸と呼ばれる。水やアルコール,エーテル,ベンゼン等に溶け,水溶液は弱酸性を示す。気体状態でも水素結合によって二量体を形成していると考えられている。多くの工業原料として広く利用されている。

濃原液に触れると火傷の様になり,希薄液でも長期間繰り返し触れると皮膚を侵す。蒸気を吸入すると鼻や喉,気管支を害する。火気を避けて暗所に密封保管する。

 

フェノールフタレイン

無水フタル酸とフェノールの結合によって得られる白色の固体で,水には溶け難いがアルコールには溶ける。酸塩基指示薬としてよく用いられ,酸性では無色でラクトン型,変色域では赤紫色でキノン型,強塩基性では無色でカルビノール型の構造になる。

 

ブロモチモールブルー

酸塩基指示薬として用いられる無色の固体。130135℃で熱分解する。エタノールやエーテルには溶けるが,ベンゼンには溶けない。

 

ニンヒドリン

フタル酸ジメチルと酢酸エチルを結合後,加水分解と脱炭酸し,更にニトロ化,臭素化して得られる物質を熱分解すると得られる,淡黄色の固体。光で分解する。水やアルコールには溶けるが,エーテルには溶け難い。

ニンヒドリン反応は,アミノ酸やタンパク質の濃度が%程度の溶液でも呈色を示すほど鋭敏である。

 

 








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