トップ化学II 改訂版6部 課題研究>第2章 課題研究の実践>第2節 課題研究の展開例

2節 課題研究の展開例

 

●ダニエル電池

亜鉛板が浸されているZnSO4水溶液と,鋼板が浸されているCuSO4水溶液は,NH4NO3水溶液をU字管に入れて寒天で固めた塩橋で間接的につながれている。ダニエル電池は内部抵抵が大きい為,一般に大きい電流を取り出す事が難しいが,亜鉛板の面積を広くしたり,鋼板の代わりに銅線を数百回巻いたコイルを用いたりすると,豆電球を点灯できる。

 

◆課題研究 テーマI「電池の構造と起電力の関係の検証」

1.調査  教科書の展開例でいえば,(2)の段階の作業に相当する。この高校生は,(A)(C)3点を実験に先立って確認している。要約すると,

(A) 負極ではeを放出する酸化,正極ではeを受け入れる還元が起こり,起電力を生じる。即ち,一対の酸化還元反応の化学エネルギーが起電力の原因である。

(B) 両極の金属のイオン化傾向の差の大小が,起電力(電圧)の大小と相関する。

(C) 掲げたテーマには,ダニエル型電池での研究が最適である。詳しく調査をしていけば,更に次の(D)(F)の内容も予め知る事ができる。

(D) 負極材料について  今まで数多くの物質が負極活物質として検討されてきたが,現在実用化されている負極材料は,一次電池用には亜鉛とリチウムが殆どである。

一次電池においては亜鉛が負極材料として圧倒的に多く使用されるのは何故か。

亜鉛は弱酸性から塩基性に至る広範囲(pH316)の電解液の中で安定に存在できる(長時間安定に保つには,水銀アマルガム化等の処理が必要)。また,微量の鉛やカドミウムを添加した合金は加工性に富み,押し出し成形や深絞りが可能で使い易い。その上,亜鉛は安価で比較的毒性が低いという特長を持っている。

亜鉛はこの様に優れた負極材料だが,今のところ二次電池に実用されていないのは,充電し難いという短所をもつ為である。

(E) 正極材料について  正極活物質については,主なものだけでも,次の様な材料が実用化ないしは検討されている。

(正極活物質) MnO2HgOAg2OAgOAgClNiOOHPbO2(CF)n

正極活物質の主流である固体正極活物質について必要条件を考えると,次の項目が挙げられる。

1) 活物質上での電気化学反応速度が速い

2) 活物質表面に生じる反応生成物が速やかに表面から離脱・散逸する

3) 電子伝導性ができるだけ高い

4) 電解液との反応性ができるだけ少ない

5) 電解液に溶解しない

6) できるだけ高い電位を与える (酸化力が強い)

7) 長期間に亘って安定

8) 安価

9) 安全無害

(F) 電解液について  電解液の電解質には,次の様な物質が用いられている。

(電解質) NH4ClZnCl2,海水,KOHNaOHH2SO4LiBF4LiClO4

電解質に必要な条件として,次の各項目が考えられる。

1) イオン溶解性が高い

2) イオン伝導性が高い

3) 電子伝導性を持たない

4) 安定温度領域が広い

5) 分解電圧が高い

6) 安全無害

7) 安価

8) 活物質と反応しない

9) 腐食性が少ない

2.仮説  テーマの探究に関して,次の(A)(B)の仮説を立てた。

(A) 起電力は,電極に用いた金属のイオン化傾向の差に伴って大きくなる。

E(M1M2)E(M2M3)E(MlM3)の様な相加の関係があるのではないか。

(B) 電解液の濃度が起電力に関係する。これについて定量的な関係があるのではないか。

即ち,この仮説(A)(B)の当否を解明する事が,具体的なテーマになる。「1.調査(C)」で調べた様に,この仮説の解明にはダニエル型電池が最適である。

3.実験の計画  前述のテーマ・仮説を解明する上でポイントになる操作は何か。この点がはっきりしないまま実験を開始しても良い結果は得られない。実験を個人で行う時も,班で進める時にも,ここは十分に時間をとって実験計画を立てさせなければならない。追求するポイントが明確でないと,良い結果が得られないだけでなく,時間・薬品等が無駄になり,更には,化学的探究の面白さに触れずに化学嫌いの生徒をつくり出す事にもなりかねないからである。

電池の構造と起電力の関係を調べる上でのポイント,言いかえると実験を効果的に進めるコツは,次の2点に要約されよう。

@ 正・負両半電池に用いる金属種の間のイオン化傾向の大きさの差と,生じる電圧(起電力)の大きさとの関係を調べる時は,両方の半電池を同時に変えたのでは解明したいポイントがはっきり出てこない。一方の半電池は固定しておき(電極の金属も電解液の濃度も変えない),他方の半電池だけを変えてみる事で仮説の(A)に迫る。

A 電解液の濃度と起電力の大小との関係をみる時も,@と同様である。この場合,両金属種は固定しておき,また,一方の半電池の濃度も一定にしておく。そして,もう一方の半電池の濃度だけを一定の規則に従って変えていく(例えば10倍ずつ濃度を小さくしていく)

以上の@・Aの意味を十分に確認してから実験計画を立てる様に指導する。生徒自身がこの事に気付くのが望ましいが,もし気付かなければ指導を加える事が必要である。

4.実験の計画と具体的操作

(A) ZnCuAgの半電池を仮説(A)の検証に選んでいる。電極に用いる金属板と電解液となる塩が,化学実験室で常備の物質であり入手し易かったからである。電解液は,実験中はもとより,短期間の保存中に空気の影響等で変化しては困る。ZnSO4CuSO4AgNO3は,その点安心して使用できる。標準的な電位を示す半電池としては,1mol/L水溶液を調製するのが望ましい。以上の計画に従って,次の操作を行った。

操作  ビーカーに1mol/L Mlmaqを取り,これに金属Mlを浸した半電池をMl/ Mlm(1 mol/L)と表す。次の(a)(c)の様に半電池を組み合わせてダニエル型電池をつくり,起電力を測定する。

(a) (負極側)Zn/Zn2(1mol/L) (正極側) Cu/Cu2(1mol/L)

(b) (負極側)Cu/Cu2(1mol/L) (正極側) Ag/Ag(1mol/L)

(c) (負極側)Zn/Zn2(1mol/L) (正極側) Ag/Ag(1mol/L)

(B) 電池の起電力は,電池内で起こる酸化還元反応が放出するエネルギーの大小の反映である。したがって,用いる金属種は変わらなくても電解液の濃度によって,負極の酸化反応や正極の還元反応の起こり易さは異なり,その結果,起電力の大小を生じる事になる筈である。

この様に考え,各半電池の電解質溶液の濃度を変えて実験を行ったのが操作である。既に1 mol/L溶液を標準濃度溶液として調製してあるので,に薄めた溶液の半電池をつくっている。濃度を10倍変えた半電池をつくろうとしているが,10 mol/L溶液は試薬の使用量も多くなり,現実的ではないので0.1mol/Lとしている。

操作  メスシリンダーを使って各電解液を10倍に薄め,0.1mol/Lにしたものをつくる。次の(d)(g)の様に半電池を組み合わせてダニエル型電池をつくり,起電力を測定する。

(d) (負極側)Zn/Zn2(0.1mol/L) (正極側)Cu/Cu2(1mol/L)

(e) (負極側)Zn/Zn2(1mol/L)  (正極側)Cu/Cu2(0.1mol/L)

(f) (負極側)Zn/Zn2(1mol/L)  (正極側)Ag/Ag(0.1mol/L)

(g) (負極側)Cu/Cu2(1mol/L)  (正極側)Ag/Ag(0.1mol/L)

操作共,次図の様に組み立てて起電力を測定する。

塩橋は以下の様に作成する。ポリエチレン製洗浄瓶に硝酸カリウム飽和溶液を満たしておき,これよりU字ガラス管に液を注ぎ込む。この時,液が溢れるまで入れ,両方の口を空気の泡が入らない様に止栓する。栓は,脱脂綿またはろ紙を液で濡らして軟らかくしたものを押し込めば十分である。実験の数だけつくり,その都度新しいものを用いる。U字管の数が少なければ,実験毎につくり直す。半電池の種類や濃度が変わった時,別の実験に用いた塩橋をそのまま用いるのは止めた方がよい。

 

5.実験の結果  温度は25℃。測定した起電力を次に示す。

番号

負極側半電池

正極側半電池

起電力V

 

(a)

Zn/Zn2(1 mol/L)

Cu/Cu2(1 mol/L)

1.10

(b)

Cu/Cu2(1 mol/L)

Ag/Ag(1 mol/L)

0.46

(c)

Zn/Zn2(1 mol/L)

Ag/Ag(1 mol/L)

1.56

(d)

Zn/Zn2(0.1 mol/L)

Cu/Cu2(1 mol/L)

1.13

(e)

Zn/Zn2(1 mol/L)

Cu/Cu2(0.1 mol/L)

1.07

(f)

Zn/Zn2(1 mol/L)

Ag/Ag(0.1 mol/L)

1.50

(g)

Cu/Cu2(1 mol/L)

Ag/Ag(0.1 mol/L)

0.40

6.実験の考察   イオン化傾向は,ZnCuAgの順である。操作の結果を比較すると,イオン化傾向の差の最も大きい(ZnAg)の起電力が1.56Vと最も大きくなっている。また, (a)(b)の起電力の和は1.56V(1.10V0.46V)となり,(c)の値と等しくなっている。したがって,仮説(A)で予想した通り次式の関係が成立している事が判る。

E(Zn-Cu)E(Cu-Ag)E(Zn-Ag)

以上より,ダニエル型電池の起電力は,半電池の金属の種類で決まり,イオン化傾向の差に伴って大きくなる事が結論できる。特定の金属(例えばCu)を基準に,他の金属との起電力を測定しておけば,この測定値を用いて任意の金属間の起電力を求められる。

 操作の測定値を基準にして,電極の種類は同じで電解液濃度が異なる操作の測定値を比較すると次表の様になる。

 

負極

正極

記号

液濃度の減少

起電力の差

起電力増減

(1)

Zn

Cu

(d)(a)

負極側電解液

1.13V1.10V

0.03V 増

(2)

Zn

Cu

(e)(a)

正極側電解液

1.07V1.10V

0.03V 減

(3)

Zn

Ag

(f)(c)

正極側電解液

1.50V1.56V

0.06V 減

(4)

Cu

Ag

(g)(b)

正極側電解液

0.40V0.46V

0.06V 減

したがって,負極側の電解液濃度を減少させると起電力は増加し,正極側の電解液濃度を減少させると起電力は減少する事が判る。

また,電解液の濃度が1/10になった時の起電力変化は,Zn2Cu2(即ちM2)では共に0.03Vであり,Ag(M)ではその2倍の0.06Vになっている。この違いは,陽イオンの価数の相違と考えられるが,より詳しくは更に続けて行うべき探究課題になる。

 

参考 標準水素電極

教科書の展開例の考察では,Cu/Cu2の半電池を基準にE(Zn-Cu)E(Cu-Ag)E(Zn-Ag)となる事を確かめている。化学電池に関するこの考察は,学術的には標準水素電極の電位を0として行われる事が多い。標準水素電極と他の半電池との組み合わせで電池をつくって実験しても,上記の考察と同じ結論が得られる。

次図左側は,水素イオンを含む溶液に白金板を入れ,その表面に水素ガスを送り込んだもの,右側は銅(II)イオン溶液に銅板を入れたもので,これらを塩橋でつなぐと電池ができあがる。左側の部分は,25℃で,水素イオン濃度が1mol/L,これと接する水素の分圧が1.0×105Paの時,標準水素電極と呼ばれる。25℃の時,図の電池の場合,銅(II)イオン濃度が1mol/Lの時には,+0.34Vの起電力を示す。即ち,この場合,次の銅(II)イオンの還元反応@が,水素イオンの還元反応Aよりも0.34V分だけ起こり易い事を示している。

Cu2

2e

―→

Cu

…@

2H

2e

―→

H2

…A

 

 

この様にして,一般に,標準水素電極と組み合わせた電池の起電力の値によって,その電極での還元反応の起こり易さを定量的に表す事ができる。次表の標準電極電位E°は,この様にして種々の分子・イオンの還元反応の起こり易さを表したものである(「標準」の意味は,例えば水溶液中のイオンの場合にはその濃度が1mol/L,気体の場合にはその分圧が1.0×105Paの場合である事を示す)

 

標準電極電位(25)

電極反応

標準電極電位

E°V

H2O2

2H

2e

―→

2H2O

 

 

1.763

MnO4

8H

5e

―→

Mn2

4H2O

1.63

Cl2

2e

 

 

―→

2Cl

 

 

1.396

Cr2O72

14H

6e

―→

2Cr3

7H2O

1.36

NO3

4H

3e

―→

NO

2H2O

0.957

Ag

e

 

 

―→

Ag

 

 

0.799

Fe3

e

 

 

―→

Fe2

 

 

0.771

O2

2H

2e

―→

H2O2

 

 

0.695

Cu2

2e

 

 

―→

Cu

 

 

0.340

Sn4

2e

 

 

―→

Sn2

 

 

0.15

2H

2e

 

 

―→

H2

 

 

0(基準)

Pb2

2e

 

 

―→

Pb

 

 

0.126

Sn2

2e

 

 

―→

Sn

 

 

0.138

Ni2

2e

 

 

―→

Ni

 

 

0.257

Fe2

2e

 

 

―→

Fe

 

 

0.44

Zn2

2e

 

 

―→

Zn

 

 

0.763

Na

e

 

 

―→

Na

 

 

2.714

Ca2

2e

 

 

―→

Ca

 

 

2.84

K

e

 

 

―→

K

 

 

2.925

 

上の標準電極電池を用いて計算すると,

() Zn|Zn2(1mol/L) ||Cu2(1mol/L) |Cu()

の起電力は E(Zn-H2)E(H2-Cu)=−(0.76)0.341.10V〕=E(Zn-Cu)

また,()Zn|Zn2(1 mol/L) ||Ag(1 mol/L) |Ag()の起電力は,

E(Zn-H2)E(H2-Ag)=−(0.76)0.801.56V〕=E(Zn-Ag)

となり,教科書の表の結果とよく一致している。

 

参考 ネルンストの式

電極電位は温度や反応に関わるイオン等の濃度によって変化する。一般に電極

反応を次の様に書く時,

OxneRed (Oxは酸化剤,Redは還元剤)

この電極電位(25)は,次式によって表される事が知られている。

 

ここで,E°は標準電極電位(25)で,[Ox] [Red]Ox 或いはRedのモル濃度(厳密には活量と呼ばれる量で,溶液の場合には近似的にモル濃度の値に等しく,純粋な固体の活量は1)である。この式をネルンストの式という。

0.1 mol/L ZnSO4Znを浸した半電池の電極電位EZnは,

Zn22eZn

なので,

 

よって,() Zn|Zn2(0.1mol/L) ||Cu2(1mol/L) |Cu()の起電力は,

0.34(0.79)1.13V

同様に,0.1 mol/L CuSO4Cuを浸した半電池の電極電位ECuは,

 

よって,() Zn|Zn2(1mol/L) ||Cu2(0.1mol/L) |Cu()の起電力は,

0.31(0.76)1.07V

また,0.1 mol/L AgNO3Agを浸した半電池の電極電位EAgは,

 

よって,()Zn|Zn2(1 mol/L) ||Ag(0.1 mol/L) |Ag()の起電力は,

0.74(0.76)1.50V

もっと複雑な酸化還元反応を用いて,上と同様の化学電池を構成しても電気エネルギーを取り出す事ができる。例えば,次図の様に,1 mol/Lヨウ化カリウム水溶液50mLを容器A,硫酸酸性1 mol/L過マンガン酸カリウム水溶液50 mLを容器Bに入れ,各々の容器に白金電極を挿入し,両容器の溶液同士を塩橋でつないで化学電池をつくると,0.89Vの起電力が得られる。

ここで,標準水素電極に対する標準電極電位は,硫酸酸性のKMnO41.51VI20.62V。したがって,理論値も1.510.620.89V〕となる。

 

◆テーマII プラスチックの製品の科学的識別1

●調査

1SPIコード,(2)現在の日本の材質マーク,(3)リサイクルの方法,(4)識別実験の−般的な方法について調査を行っている。材質マークは,日本プラスチック工業連盟がアメリカプラスチック工業協会(SPI)SPIコードに準拠する形で付け始めた。しかし,SPIISO規格に準拠したコードへ改訂を進めた為,日本でもSPIコードの普及は取り止めとなった。その後,資源有効利用促進法により,既に容器包装リサイクル法により材質表示義務があったPETボトル(SPIコード1に準拠したマーク)を除き,他のプラスチックには“プラ”マークを付ける事になり,同時に,容器包装用の紙類には“紙”マークを付ける事が義務づけられた。“プラ”マークは,その下に材質を略号でPP等の様に入れる事もできるが,義務ではない(この事はPET以外のプラスチックのマテリアルリサイクルを断念した事を意味するのだろうか)。この為,材質マークによって識別できないプラスチックも多く存在する。

●仮説

調査による−般的な識別方法から,燃焼試験とバイルシュタイン法で,多くのプラスチックが識別できると考えた。

●実験1

@燃焼試験 融けたプラスチックがピンセットに付着し易いので,先端にアルミニウム箔を巻きつけておく。実験後は,アルミニウム箔ごと不燃ごみとして処理できる。熱するプラスチックの小片の下には,垂れ落ちてもよい様に水を入れたバット等を置いておく。バーナーは手で持って,斜め横から炎を当てる。使用するプラスチックは,できるだけ小さく切り,十分に換気しながら実験する。また,すすが発生した場合は,直ちに火を消す。

Aバイルシュタイン法 銅線に付着させるプラスチックは少量でよい。実験中は十分な換気を行う。

●結果と考察

@燃焼試験 仮説とは異なり,PETではすすがあまり見られない。また,LDPEHDPEPPの飽和炭化水素系プラスチックは,殆ど区別できない。文献によっては,燃焼後の臭いで識別できるとしているものもあるが,実際は困難である。

Aバイルシュタイン法 PVC製品の他,ポリ塩化ビニリデン製の食品用ラップも反応を示す。また,プラスチック消しゴムの主成分もPVCである。

●調査2(仮鋭2)

実験を行うと,結果が仮説通りにならない場合もある。その場合は,失敗の原因について考察し,新たな仮説を立て,実験を計画する。この生徒は,燃焼試験による識別が困難であると判断し,分子構造の違いから生じる密度2の僅かな差に注目した。

●実験2

密度の異なる液体ごとに,浮くプラスチックの種類をまとめると次表2の様になる。

液 体

密度(20℃)

浮くプラスチック

酢酸エチル

0.90g/cm3

PP

酢酸メチル

0.93g/cm3

PPLDPE

1.00g/cm3

PPLDPEHDPE

10%食塩水

1.07g/cm3

PPLDPEHDPEPS

密度試験に用いるプラスチックは,ある程度厚みのあるものがよい。発泡しているもの,多量の充填物・添加物を含むものは適さない。

また,LDPEHDPEPPは,酢酸エチルや酢酸メチルとの密度差が小さいので,プラスチック試料と液体を入れた試験管を氷水で冷やし,浮上してくるかどうかで調べる。PSは,酢酸エチルや酢酸メチルに溶けるので水で識別し,これらの液体には入れない様に注意する。有機溶媒は,実験後回収して再利用する。

●結果2とその考察

教科書の様に,容器包装用プラスチックの多くは密度によって識別できる。

●結論と課題

識別実験の結果から,容器包装用のプラスチックの性質と用途の関係について,考察を深めたい。これらのプラスチックは,その物理的な特徴(可塑性,軽さ,強さ,柔軟性,疎水性等)を生かして利用されている。本文に記したフィルムケースや電子レンジ使用可の食品保存容器の例以外にも考えられる筈である。例えば,使い捨てのコップや食品容器には透明(中身が見える)で安価なPS,透明で強度が要求される飲料容器等にはPSより高価だが丈夫なPETが用いられる等,適材適所でプラスチックが活用されている事が見えてくる筈である。

 

1守本昭彦・梶山正明,「化学と教育」,44112(1996)

2国立天文台編,「理科年表」,丸善,p.602(2001)

 

 








本サイトに掲載された記事や画像の無断転載を禁じます。
Copyright(C) 2008 SHINKOSHUPPANSHA KEIRINKAN CO.,LTD. All rights reserved.