トップ化学II 改訂版6部 課題研究>第1章 化学の探究方法>第3節 化学的探究の進め方

3節 化学的探究の進め方

 

◆テーマの設定

広く自然界において,或いは身近な身辺で起こる種々の事象やその変化について,関心がなければ探究のテーマは出てこないだろう。絶えず未知のものに興味と関心をもち,情報を集める気持ちがあって初めて疑問が生まれる。そして,その疑問を解決する為に,あたかもクモが巣に網を張って獲物を狙う様に,集中的に情報を集める仕事を始めた時「テーマが設定」されたといえる。“偶然は準備のない人を助けない”(パスツール)のである。

ラボアジエは,燃焼についての自分の経験からフロギストン説を疑った。そして,これを実証的に検討する事を始めた。これが,彼にとって化学探究の1つのテーマだった。

 

◆実験の計画

自然科学において,論証して他者を説得できるのは事実だけである。したがって,自分の立てた仮説を実証する事実を実験から導き出さなければならない。実験に基づく証拠が豊富である程仮説の確かさは高められるが,一方,実験は能率よく的確に進める事も必要である。したがって,実験に当たっては計画が大事である。既に知見が得られている事を無駄に繰り返す事のない様に,予め十分に調査し,その上で効果的な実験を計画するべきである。

当然,危険防止・安全対策も十分に考慮する必要がある。ラボアジエを追試した実験の(教科書)操作Aにおいて,スズを酸化する前に容器内の空気の一部を加熱によって抜いたのは,密閉して熱した時容器内の圧力が上昇し,場合によっては容器が爆発する危険を防止したのだった。空気を抜かずに実験を進めても得られる結果は同じだった筈である。この様な細かな配慮が,安全で的確な実験を行うポイントになる。

 

◆実験方法

燃焼という現象を質量の増減から調べようという定量的実験では,質量の測定値が十分に有意なものでなければならない。したがって,用いる天秤の精度が実験結果を左右する。目的とする現象の解明に最適の,そして必要十分な精度をもった器具の選定は極めて大切である。精度は,誤差がどの程度まで許されるかで決まる。有意な測定値を得る事に力を入れなければならない。実験の結果や変化の様子等はノート等に記録する習慣をつける。これらは結果の分析,考察,報告書作成時等に貴重な資料となる。

 

参考 化学分析

物質中にどんな元素,イオン,或いは化合物が含まれているかを調べる事を定性分析といい,また,含まれている量や割合がいくらかを調べる事を定量分析という。定性分析・定量分析をまとめて,広く化学分析という。

(1) 定性分析  定性分析の手段としては,化学反応を利用する方法を始めとして,各種の電気化学的,光学的,電磁気的方法が利用される。どの方法を利用するにしても,目的成分の含有程度は,多くの場合,大量・小量・微量・痕跡等,非常に漠然とした分類だが,推定可能な事が多い。

無機物の定性分析は,水・酸・塩基等に溶かした上で,化学反応を利用して沈殿の生成,液色の変化,気体の発生等を観察して行う(湿式法)。また,発光分光分析,蛍光X線分析等機器分析も有力な方法である(乾式法)。有機物の場合もほぼ無機物と同様だが,機器的方法として赤外線吸収・紫外線吸収・質量分析等が有効な手段となる。

(2) 定量分析  物質中の各成分の量的関係を知る事がいかに重要な事であるかは,18世紀の後半,天秤が使われる様になって初めて化学の発達が軌道に乗ったのを見ても明らかである。

定量分析を行う為には,最初にその物質の質量や容積を正確に量り,次に目的の成分だけを取り出して同様に量り,この2つの測定から目的成分の含有割合を計算する。したがって,定量分析のポイントは目的成分をいかにして取り出し,いかなる手段を用いて量るかにある。

古典的な化学分析は,もっぱら化学反応に頼っていたが,機器分析は化学反応のみならず,利用できるものは何でも使うという考え方である。化学分析を機器化する事により,それまでに比べてより正確に,より迅速に,より微量まで分析し得るばかりでなく,化学的方法では不可能或いは困難だった成分のものが,極めて容易に分析できる様になった。機器分析は分析の自動化を可能とし,組成の変化を絶えず指示して,化学工場において工程の監視或いは管理の役割を果たすに至っている。

機器的な方法について主なものを列挙する。

@光吸収分析  A炎光分析  B電気分析  Cポーラログラフィ

D放射化分析  E発光分光分析  F赤外線吸収分析  G質量分析

Hガスクロマトグラフィ

 

成分元素の検出(定性分析)

有機化合物に含まれる各元素の検出法を,以下に解説する。

(1) 炭素 有機物である事が判っていれば,普通は検出試験を行わない。一般には,次の様な方法がある。

(A) 濃硫酸を加えて熱すると,Cは黒〜褐色となって生じる。

(B) 封管中で熱分解すると,Cは黒色物質になる。

(C) MoO3(黄色)と伴に熱すると,これが青色のMo2O5に還元される。

(D) KN3と共に熱し,生じたKCNを検出する。

(2) 水素

(A) Na2SO3(またはNa2S2O3)と共に熱し,H2Sを発生させる。H2Sは酢酸,鉛紙の黒変等で検出する。

(B) CuOと共に強熱し,H2Oとする。H2OCuSO4の青変等で検出する。この方法はCも同時に検出でき,CO2が発生する。CO2Ba塩等の水溶液に通し,BaCO3の沈殿として確認する。

(3) 窒素

(A) CO2気流中でCuOと共に熱し,N2とする。この混合ガスは,KOH水溶液に通し,CO2H2Oを除き,N2を確認する。体積で定量する。

(B) 濃硫酸と接触剤(CuSO4HgSO4)と共に熱分解し,Nを硫酸アンモニウムにする。これを,NaOHの濃溶液に加えて熱し,発生するNH3を酸に吸収させて酸の消費量を知る。定量法である。

(C) 金属Naと加熱融解し,残りのNaをメタノールと反応させた後,ろ過して炭素を除く。ろ液にはNaCNがあり,液を酸性にしてFeSO4溶液とFeCl3溶液を加えると,ベルリンブルーが沈殿する。Nが少量の時は青緑色になる。

(D) CaOと伴に熱するとNH3が発生する。このNH3を検出する。

(4) ハロゲン

(A) 熱してCuO被膜をつくった銅線に試料を載せ,バーナーの酸化炎で熱する。このとき,Clがあれば緑色炎,BrIがあれば青色炎になる。これは,揮発性の銅のハロゲン化物が生じる為である。

(B) 窒素の分析法(C)と同様に試量を反応させ,ろ液を硝酸で酸性にした後硝酸銀溶液を加える。AgCI白,AgBr淡黄,AgI黄の沈殿で確認する。

(5) 硫黄

(A) Na及びCa(NO3)2と共に加熱融解し,冷却後水に溶かす。Sは硫酸になっており,HClBaCl2を加えるとBaSO4の白沈となる。

(B) ギ酸ナトリウムと共に熱すると,H2Sが発生する。これを酢酸鉛紙で検出する。

 

参考 有機化合物の元素分析

 

元素分析

有機化合物の構成元素を検出し,その量を決める方法。有機化合物はCHO等の一連の化合物であり,元素の検出だけでなくその成分比を求めなければ化合物を判別できないので,元素分析が行われる。

有機物の元素分析を行う時は,化合物を分離精製した後,まず物理的性質(色,臭い,結晶形,融点・沸点等)を観察して,一定の見当をつけてから行う。

 

組成式の決定

CHOを含む化合物は,燃焼させCO2H2Oとして定量する。装置の概要は,以下の通りである。

(1) 酸素または空気の精製  酸素または空気は,精製管を通して妨害ガスや水分を除く。このとき,線状CuOを詰めた加熱管で800°Cに熱して不純物は完全に燃焼させ,生じたCO2はアスカライト(NaOHとアスベストからつくられたCO2吸収剤。吸収能はソーダ石灰の34),水分はMg(ClO4)2に吸収させる。

(2) 試料の燃焼  試料は質量測定後,白金ボートに入れ燃焼管中に置く。試料は850°Cで加熱分解して酸素で燃焼させ,これをCuOを詰めた固定炉(800°C)に通し完全燃焼させる。燃焼は5分間行う。

(3) 生成物の吸収  燃焼ガスは,まず550°Cに熱したAgに通す。これは試料中のSとハロゲンを,Ag2SO4及びハロゲン化銀として除く為である。続いて水吸収管,窒素酸化物吸収管,二酸化炭素吸収管に通す。水吸収管ではアンヒドリンMg(ClO4)2,窒素酸化物吸収管ではMnO2,二酸化炭素吸収管ではアスカライトが通常用いられる。N2は外部にそのまま放出される。

(4) 質量測定  水吸収管,二酸化炭素吸収管は各々装置から取り外し,質量を測定し,反応前の質量と比較して,生じたH2OCO2を求める。この値から,元の試料中のHCの割合を求める。

 

分子量測定

主要な分子量測定法を以下に示す。低分子量物質では,分子量よりも他の物理的・化学的性質で化合物を推定する事が多いが,高分子では分子量を知る事が基本的な量として重要である。

(1) 質量分析計による測定  分子をイオン化して質量分析計で測定する方法。分子量数万の物質まで適用できる。この方法は測定時間も短く,試料も1mgあれば可能である。多くは,化学式の決定も同時にできる。

(2) 蒸気密度の測定  気体を理想気体と仮定し,その質量,体積,圧力,温度を測定して,状態方程式から求める方法。

(3) 気体の流出速度測定  小穴より,一定圧で一定体積の気体を噴出させる時,気体が流れ出るのに要した時間tは分子量Mの平方根に比例する。既知の気体の流出時間t 1M1と未知の気体のt2M2を比べて,M2を求める。

(4) 沸点上昇測定,凝固点降下測定  試量の質量,溶媒の質量,及び沸点上昇度または凝固点降下度を測定して,分子量を計算する方法。

 

 

(5) 浸透圧法  試料の質量,溶液の体積,温度,浸透圧を測定して分子量を計算する方法。高分子に主に用いられる。

 

(6) 粘度測定  固有粘度[η]は,[η]KM aで表され,同じ高分子と溶媒ではKaは定数となる。したがって,粘度の値から分子量が求められる。高分子に用いられる。

(7) 超遠心法  試料をセルに入れ超遠心機で高速回転させると,分子量が大きい程速く沈降する。したがって沈降速度から分子量を推定できる。この方法は生化学分野の高分子に主に用いられている。

(8) 光散乱法  高分子の希薄溶液は,分子量や分子の形によって,散乱される光の強度が異なる。その強度と分子量は一定の式(Zimmの提出した式)で関係付けられ,この式から分子量が求められる。この方法では,分子の形や大きさを同時に測定できる利点がある。

 

構造の決定

分子式が決まった物質は,種々の物理的性質や官能基による化学的性質を基に,その構造が決められる。ここでは,構造決定に関係する主な物理的性質を解説する。

(1)   ニトロ化合物やヨウ素化合物,キノン類,アゾ化合物等は着色している。一般に有機物で着色しているものには,共役二重結合や発色団を含む。したがって,着色物質であればこの様な構造をまず考える。

(2) 臭い  臭いは信頼性のおけるものではないが,一定の物質の存在を推定できる。特有の臭いをもつものには,フェノール類,芳香族炭化水素,アミン類,脂肪酸,カルボニル化合物,チオール(メルカプト)類等がある。

(3) 結晶形  有機物は,結晶をつくる方法によって外形の異なる事もあるが,参考となる。

(4) 融点,沸点,分解点  融点・沸点は物質を固定する重要な値である。

(5) 比重  炭化水素等では,二重結合を有するもの程比重が一般に大きい。

(6) 溶解度  溶解度により物質の構造を直ちに推定はできないが,一般に「物質は似た構造をもつ溶媒に溶け易い。対称的構造をもつ物質は溶解度が小さい。パラ化合物はオルトまたはメタ化合物と比較して溶け難い。」

(7) 燃焼熱  燃焼熱が小さい物質は,不飽和結合が多く,生成熱が小さいと考えられる。

(8) 燃焼試験  芳香族は黒いすすの多い炎を出す。低級脂肪族は殆どすすを出さない。また,酸素の多い化合物の炎は青味がかった淡い色となる。ハロゲンがあるとすすの多い炎となる。タンパク質では特有の臭いを出す。爆発するものとしては,ニトロ化合物等がある。金属塩の時は,燃焼後灰分を残す。灰分に塩酸を加えたとき発泡すれば,NaKのアルカリ金属があるものと推定できる。

 

吸収スペクトル

試料に種々の波長の光を当てて透過してくる光の強さを求めると,波長によって異なる割合で光が吸収される事が判る。この吸光度を,波長毎にグラフで表したものが吸収スペクトルである。

物質による光の吸収は,光のエネルギーに応じて,物質のエネルギー状態が変わる事により起こる。光のエネルギーは,波長が短い程大きく,吸収される光の波長により,物質の分子構造を推定できる。

各波長の範囲により,スペクトルがどんな原因で生じるかを次に示す。

(1) X線領域  主に,原子の内殻にある電子が,外殻または外へ叩き出される場合に対応し,元素分析や原子の性質の研究に用いられる。

(2) 紫外線・可視光線領域  原子の外殻電子をより高い励起状態に上げる場合に対応する。分子の場合は,結合電子や非共有電子対を高エネルギー準位に押し上げる過程に対応する。

(3) 赤外線領域  分子中の原子間の振動状態の変化に対応する。C=OO-HN-H等の基によって,それぞれ特有の吸収スペクトルが現れる。また,分子の形によっても特徴ある変化をするので,分子構造や性質についての知見を得られ,物質の化学研究に広く用いられている。

(4) マイクロ波領域  分子の回転エネルギーの準位の変化に対応する。これから 分子の慣性モーメントを求めて,ひいては分子構造(原子間隔や原子価角等)を精密に決定できる。

 

質量スペクトル

気体試料に電子線を当ててイオン(主に陽イオン)とし,これをまず電界で加速して,続いて磁界をかけてイオンの進行方向を曲げると,イオンの質量と電荷の違いによって進行方向がいろいろ変わる。この時のイオンの分布を質量スペクトルといい,これを行う機器を質量分析計という。質量スペクトルには,初め導入した分子から電子1個が取り除かれた陽イオン(親イオン)と,それが分解して生じた小さなイオンが出てくるのが普通である。これにより,分子量の決定ができ,また,混合物試料との分析も可能である。

 

核磁気共鳴(NMR)

磁気モーメントをもつ原子核(1H13C)を,磁場中に置くとゼーマン効果により幾つかのエネルギー状態が生じる。このエネルギー差に相当する周波数の電磁波を当てると,分裂した核スピン状態間の遷移に基づくエネルギー吸収が起こる。その共鳴吸収位置の違いで色々な化合物の定性ができ,吸収強度から定量もできる。

 

◆結果の分析

定量的実験の測定結果を得たとき,ある量の変化に応じて他の量がどう変化したかの考察は,数値を見るだけでだいたいの傾向は判る。しかし,それらの間の関係(仮に変数xyとの間の関係とする)を正しく知るには,測定結果をグラフ化して考察するのがよい。そして,グラフが直線関係になったとき,一般にxyの関係を法則化できる。したがって,必要な作業はxのどんな量(2乗,平方根,逆数等)yのどんな量(2乗,平方根,逆数等)とが互いに直線の関係になるかをみる事になる。

教科書には,ボイルの法則の検証実験を例に,反比例の関係を見い出す作業のプロセスが述べられている。

1.グラフを描くときの注意

教科書の図は,圧力pの変化に伴う体積Vの変化を示したデータである。

 

空気の体積と圧力

Vcm3

p〔×105Pa

48.0

1.01

40.0

1.23

32.0

1.54

24.0

2.04

20.0

2.46

16.0

3.04

12.0

4.09

 

 

表の結果をグラフに描くとき,図(i)の様に折れ線のグラフに描いてはいけない。図(ii)の様に,全体の測定点を見通して滑らかに連続した曲線のグラフに描く。ある測定点と次の測定点の間は,測定はしていないが全体的な変化の流れの中にあるから,全体的な変化に沿った連続的な曲線として示すのが妥当である。折れ線グラフにするという事は,測定点と次の測定点の間が直線の関係であると示す事になり,これは誤りである。

但し,測定点と次の測定点の間が十分に小さい場合,実際は曲線の関係であっても便宜上直線の関係と近似的にみなして考察する事はある。即ち,2つの測定点の中間点の値は,2つの測定点の値の平均値とみなす考え方である。これは,グラフの考察において実際上行う方法であり,グラフを描く事とは別である。グラフの変化は,全体的な変化の一部として描かなければならない。

 

2.法則性への誘導

(ii)のグラフは,pの増大と伴にVが減少する事を表しているが,これを見てpVとが互いに反比例の関係であるとはまだ断定できない。図(ii)のグラフの形状は,確かに双曲線の一部に見えるが,円の一部か,楕円の一部か,或いは多次関数のグラフの一部かも知れないのである。したがって,pVとの関係がどの曲線の一部を示しているかを解明しなければならないが,その為にはpVをそれぞれ含む量の間の比例関係(即ち,原点を通る直線の関係)を見出すのが最も速く,また確かである。

教科書の表とそのグラフは,V1/pが正比例する事を示しており,ここで初めて「一定温度の下では,一定量の気体のVpとは反比例する」というボイルの法則が検証された事になる。勿論,1/Vpとの直線関係を見ても同一の結論に達する。

変数xyとの関係が複雑な場合は,xを含む量とyを含む量との間の関係を直線のグラフとして見出すのは容易ではない。しかし,これが解明できなければ法則化もできない事になるので,十分に時間をかけて直線関係を求めていかねばならない。

次に,生徒用練習問題の一例を示す。

 

<練習問題>

物質ABが反応してCを生じる化学変化の反応速度を考える。この変化の反応式は,2AB―→3C と表される。

水溶液Aと水溶液Bとを混合した時から10分間経過する間の平均反応速度(初速度)v0mol/L分〕を調べる実験を行い,次表(a)(b)の結果を得た。表(a)では,混合直後のBの濃度は常に0.010 mol/Lで一定になる様にし,Aの濃度をいろいろ変えて(実験番号15)初速度を求めた。表(b)では,Aの初濃度が0.010 mol/Lになる様にしてBの濃度を変えた場合(実験番号610)の初速度を求めたものである。

この反応の反応速度式は,一般にv0k[A]p[B]qの形で示される。

(a)

 

()

実験

番号

[A]

[B]

v0mol/L・分〕

 

実験

番号

[A]

[B]

v0mol/L・分〕

1

0.010

0.010

2.0×107

 

6

0.010

0.010

2.0×107

2

0.0080

0.010

1.3×107

 

7

0.010

0.0080

1.8×107

3

0.0060

0.010

7.2×108

 

8

0.010

0.0060

1.5×107

4

0.0040

0.010

3.2×108

 

9

0.010

0.0040

1.3×107

5

0.0020

0.010

8.0×109

 

10

0.010

0.0020

8.9×108

 

(a)(b)の結果を基に,上記反応速度式のpqを求めよ。また,速度定数kの値を単位をつけて求めよ。

 

解答例

(a)の結果を基に[A]v0の関係,表(b)の結果を基に,[B]v0の関係を各々グラフにすると,次図(a)(b)となる。

(a)                (b)

(a)(b)のどちらも直線の関係ではない。グラフの形からは,[A]2の二次曲線に近い事が推定できる。そこで,[A]2v0の関係を表(a)′に,v0の関係を表(b)′に示し,各々のグラフ図(a)′と図(b)′をつくってみる。

 

(a)′

 

(b)′

実験

番号

[A]2

v0

 

 

実験

番号

v0

1

1.0×104

2.0×107

 

6

1.0×101

2.0×107

2

6.4×105

1.3×107

 

7

8.9×102

1.8×107

3

3.6×105

7.2×108

 

8

7.7×102

1.5×107

4

1.6×105

3.2×108

 

9

6.3×102

1.3×107

5

4.0×106

8.0×109

 

10

4.5×102

8.9×108

 

(a)′                (b)′

以上の結果より,初速度v0v0k[A] 2[B]1/2になる。実験番号1或いは6のデータを用いて,

2.0×107mol/(L・分)

k×(1.0×102)2mol2/L2〕×(1.0×102)1/2mol1/2/L1/2

∴ k2.0×102L3/2/ mol3/2・分〕

 

◆帰納と演繹

帰納 推理及び思考の手続きの1つ。個々の具体的事実から一般的な命題ないし法則を導き出す事。特殊な事実から一般的結論を導き出す推理。例えば,「地球・水星・火星等は球形である」,「地球・水星・火星等は惑星である」という2つの事実から,「ゆえに全ての惑星は球形である」という三段論法の形式をとる。この場合,全ての惑星が枚挙されていれば紛れのない結論として導き出されるが,帰納的推理では通常比較的少数の事例しかとらないから,導かれる結論には多少の不確実さは残る。しかし,事例を慎重に選べば,相当確実な結論を導き出せる。

演繹 意義を推し拡げて説明する事。経験に頼らず,論理の規則に従って既に提出された法則から別の必然的な結論を導き出す思考の手続き。三段論法はその典型である。(広辞苑)

 

◆報告書(レポート)

実験を行い,考察を加えた研究の結果は報告・発表してこそ意味がある。空論でなく,実証的にどんな事が判ったかを,他の人に理解してもらうには平易で説得力のある報告書が必要である。

自然科学の報告書は長々しいストーリーよりも箇条書きにまとめる方が理解し易い。その見本が教科書に示してある。項目は必要に応じて変えてよい。

自然科学の報告書を書き慣れていない生徒は,内容よりも形式を先行させがちである。課題研究の本旨は,自分が考え判断し,時には創意を加えて探究活動を体験する事なので,なるべくその趣旨に従ったレポートを求めたい。したがって,特に重視するのは(2)実験の計画と方法,(4)実験の考察,(5)結論である事を予め告げておいてもよいと思われる。よって,評価もそのポイントにおいてなされる事になろう。

実験と失敗 あるテーマに従って探究を進めた時,常に目覚ましい結果が得られるとは限らない。むしろ,失敗と評価される場合の方が多い。報告書には,どんな経過で目的の探究が期待通りの結果にならなかったかを率直に書く様に指導したい。失敗の中には,新たな探究のテーマや解決の鍵が隠されているのもまた事実である。失敗こそが,いわば宝の山ともいえるのである。

 

◆コンピュータの利用

インターネット  1960年代末から米国国防総省が中心となり計画・開発してきた情報ネットワーク。規模が次第に拡大し,90年代には世界規模のネットワークになった。大学・研究所や企業等のWebページから,様々な情報が検索できる。

検索エンジン  インターネットで,キーワードから必要な情報を検索するのに便利なソフトウエアが“検索エンジン”である。“google ,“Yahoo”,“goo”等がある。

表計算ソフトウエア  実験データの計算処理やグラフ作成等に威力を発揮するのが,表計算ソフトである。実験データを指示に従って入力すると,様々な形でグラフ化してくれる。また,最小二乗法による近似直線の作成等統計的な処理を行う事もできる。

化学構造式作成ソフトウエア  一般のワードプロセッサ(ワープロ)ソフトでは,分子式・組成式はともかく構造式を表現するのはお手上げである。この為,構造式作成専用のソフトウエアが市販されており,大学・研究機関等では一般に使用されている。

ディジタルカメラ・ビデオ  ディジタルカメラの映像は,簡単にワープロソフト等で作成した報告書に取り込む事ができる。ディジタルビデオの映像も,プレゼンテーションソフトやWebページ等に取り込む事が容易である。

プレゼンテーションソフト  ワープロソフトの感覚で,OHPシートの様なスライドを作成する事ができる。ディジタルデータの写真や動画を,簡単に取り込めるのも利点である。スライドの順番やアニメーション等予め決めておくと,発表に合わせて“Enter”キーを操作するのみで,画面を映し出していく事ができる。パソコンの画面を大きく映す為には,プロジェクター等の機器等が必要である。

コンピュータによる測定  例えば,温度計の代わりに温度センサーを用いると,測定データを直接コンピュータに取り込む事ができる。コンピュータによる自動計測では,測定と同時にグラフ化する事ができ,測定誤差も少ない。温度測定以外に,質量,圧力電圧,電流等の測定にも,それぞれの測定に応じたセンサーが市販されている。

コンピュータグラフィックス  コンピュータグラフィックスとは,コンピュータを使った図形処理技術や装置,または,その図形の事である。拡大・縮小・回転等ができ,デザイン,設計,各種のシミュレーション等に用いられる。

高分子化合物において,その分子構造を知る事は大変重要である。化学において量子力学が導入されると,実験的にも理論的にも分子構造の研究が進んだ。分子構造は,幾何学的には分子の形・大きさ,エネルギー的には化学結合の力及び結合エネルギー,内部構造としては分子内電子の分布状態により記載される。

初期の研究は半定量的なものだったが,最近のコンピュータの発達により計算速度が大幅に向上し実験的研究と相まって,分子構造の本質解明の為の非経験的分子軌道法による理論的研究が主流になっている。

 

 








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