トップ化学II 改訂版5部 生命と物質>第3章 薬品の化学>第2節 肥料

2節 肥

 

◆肥料

植物が成長する際,適当な物質を根から吸収する必要がある。人が与えるその様な物質を肥料という。肥料は,植物そのものに直接養分として作用するもの(例えば窒素肥料:尿素等)と,土の状態を改善するもの(pH調整:石灰CaO)に大別される。肥料取締法では「植物の栄養に供する事又は植物の栽培に資する為土壌に化学的変化をもたらす事を目的として土地に施される物及び植物の栄養に供する事を目的として植物に施される物」とされている。また,OECD農業委員会から1963年に出された肥料取引の促進に対する勧告では「作物の生育,収穫物の質的改良又は収穫量増加に有効な形態及び量の窒素,リン,またはカリウムを含有する物」とされている。

肥料には,化学工業によりつくられる化学肥料(硫安(NH4)2SO4,尿素等)と,ワラや野菜くず等を発酵させてつくる堆肥等の有機質肥料(天然肥料)がある。有機質肥料は土に施すと土中の微生物による無機成分に分解後に植物に吸収されるので,即効性はない。化学肥料は直接無機物(NH4+NO3-)を施すので施肥の効果が速く現れる。

 

代表的な肥料の分類

 

 

主 な 成 分

特   徴

化学肥料

窒素肥料

硫酸アンモニウム

(NH4)2SO4

即効性で土によく吸収される

硝酸アンモニウム

NH4NO3

即効性だが土に吸収されず,雨水で流れ易い

尿素

(NH2)2CO

中性の肥料で葉面散布にも適する

石灰窒素

CaCN2
(カルシウムシアナミド)

土壌線虫の駆除に効果があり,野菜に適する

リン肥料

過リン酸石灰

Ca(H2PO4)2H2O

2CaSO4

即効性で各種作物に適するが老朽水田に用いない方がよい

重過リン酸石灰

Ca(H2PO4)2H2O

即効性で高成分,性質は過リン酸石灰と同じ

カリ肥料

硫酸カリウム

K2SO4

即効性で土によく吸収される

塩化カリウム

KCl

即効性で繊維作物には適するがタバコ・じゃがいもにはよくない

複合肥料

化成肥料

N,P,Kのうち

2種以上を含む

バランスのとれた施肥が容易に行える

有機質肥料

普通肥料

魚粉末

 

遅効性で畑作物に適する

植物油かす

 

遅効性で配合肥料の原料としても用いられる

骨粉

 

遅効性で特に永年作物に適する

特殊肥料

たい肥

 

野菜,果樹,花等に適する

 

◆植物に必要な元素

植物栄養の10元素は,植物体を構成する炭水化物やタンパク質の成分になる。微量でよいが,不可欠な微量元素は,酵素の働きを助けたりする。

 

 

C

H

O

N

S

P

Mg

Fe

K

Ca

Mn,   B

CO2

H2O

CO2

NH4+

SO42-

H2PO4-

Mg2+

Fe2+

K+

Ca2+

Zn,   Cu

H2O

NO3-

HPO42-

Fe3+

Mo

 

根や葉(気孔から吸収)

 

イオンの形で根から吸収

微量元素

 

肥料は化学物質を含むのでその取り扱い,販売方法等が詳しく肥料取締法及び肥料取締法施行令で決められている。インターネットで肥料取締法を検索でき,農林水産省のWebページhttp://www.maff.go.jp/も参考になる。

肥料取締法施行令による肥料の分類

種   別

主要な成分*有機質肥料(動植物質のものに限る。以下)を除く)

三要素系

肥料

窒素質肥料*

(1) 窒素 (アンモニア性窒素又は硝酸性窒素)

(2) 窒素及びアルカリ分等

リン酸質肥料*

(1) リン酸 (肥料関係ではりんと書く)

(2) リン酸及びアルカリ分等

加里質肥料*

(1) カリウム  (肥料関係では加理と書く)

(2) カリウム及びアルカリ分等

有機質肥料

     窒素,リン酸又はカリウム

複合肥料

(1) 窒素,リン酸及びカリウム

(2)  窒素及びリン酸

(3) 窒素及びカリウム

(4) リン酸及びカリウム

(5) 窒素,リン酸及びカリウム並びにアルカリ分等

(6) 窒素及びリン酸並びにアルカリ分等

(7) 窒素及びカリウム並びにアルカリ分等

(8) リン酸及びカリウム並びにアルカリ分等

その他の

肥料

石灰質肥料

(1) アルカリ分

(2) アルカリ分,マグネシウム,マンガン,ホウ素

ケイ酸質肥料

(1) ケイ酸

(2) ケイ酸及びアルカリ分,マグネシウム,マンガン,ホウ素

苦土肥料

   マグネシウム  (苦土はMgOの事)

マンガン質肥料

(1) マンガン

(2) マンガン,マグネシウム

ホウ素質肥料

(1) ホウ素

(2) ホウ素,ホウ素

微量要素複合肥料

(1) マンガン,ホウ素

(2) マンガン,マグネシウム,ホウ素

 

◆リービッヒの最小律とドベネックの桶

リービッヒ冷却器を考案したとされる19世紀の有機化学者リービッヒは植物生理学も研究し,植物の生育は最も不足する栄養分に左右される為,最も不足する栄養分を施さない限り他の養分を施しても植物の収量はよくならない,という最小養分律を提唱した。その後,ウォルニーは養分だけでなく水,温度,光,通気(空気)等の要因を追加し,最小律とした。

これを解り易く説明したものにドベネックの桶がある。桶の板を各養分または要因とし,桶の中の水の量をその作物の収量とすると,その水の量は一番低い桶の板によって決まるというものである。現在では,それぞれの要因は互いに補う場合があり,最小律が成立する範囲は極めて限られている,とされている。

 

◆窒素の吸収

植物は窒素をアンモニウムイオンや硝酸イオンの形で根から吸収している。有機肥料中のタンパク質は土中の微生物によりアミノ酸に分解され,更に分解されてアンモニウムイオンとなる。石灰窒素と言われる肥料はカルシウムシアナミドと炭素の混合物でカルシウムシアナミドが,コロイド粒子の作用や微生物の作用により尿素に変換され更にアンモニウムイオンとなる。硫安(硫酸アンモニウム)や塩安(塩化アンモニウム)は,水に溶けるとアンモニウムイオンが電離してくる。アンモニウムイオンはそのまま植物の根から吸収されたり,硝酸イオンに迄微生物により酸化され,硝酸イオンは植物の根から吸収される。

 

◆生態系における窒素の循環

窒素の存在量(質量)は,大気中の窒素が38×106t,水中の溶存窒素が20×104t等とされている。窒素分子は自然界で直接還元される事はなく,放電()や細菌(根粒菌)の作用等により亜硝酸イオンや硝酸イオンに酸化される。更に一部は細菌によりアンモニウムイオンに還元される。アンモニウムイオンや硝酸イオンとして吸収された窒素は植物の葉に運ばれ,アミノ酸,タンパク質,核酸等の合成に利用される。

窒素肥料

アンモニア系窒素肥料

硫酸アンモニウム(NH4)2SO4 硫安と呼ばれる。ハーバー法により合成されるアンモニアと硫酸から得られるもの,コークス炉ガスに含まれるアンモニアを硫酸で捕集したもの,カプロラクタム,アクリロニトリル等の製造工程で得られる副産物等がある。水に溶け易く,速効性があるが,硫酸イオンを含むので酸性土壌には使われない。

塩化アンモニウムNH4Cl 塩安と呼ばれる。炭酸ナトリウムの製造法に塩安・ソーダ法があり,その際得られる。水に溶け易く,速効性があり,硫酸イオンを含まないので水田に利用される。

尿素(NH2)2CO 尿素はウェーラーWöhlerにより1828年に合成された事で有名。水に溶け易く,土壌中では微生物により分解されて炭酸アンモニウムになる為,アンモニア系窒素肥料に分類されている。

硝酸系窒素肥料 硝酸アンモニウム(硝安)NH4NO3 ,硝酸ナトリウムNaNO3 等がある。

シアナミド系窒素肥料 石灰窒素(主成分カルシウムシアナミドCaCN2) 土壌中で水に溶け鉄やマンガンの酸化物により加水分解され尿素となる。

 

◆リン肥料

肥料としてのリンは,無機肥料と有機質肥料の両方がある。有機質肥料としては核酸に由来するものが多く,微生物により分解されて根から吸収される。

無機肥料としては,様々なリン酸塩が利用されている。リン酸のカルシウム塩にはリン酸カルシウム,リン酸一水素カルシウム,リン酸二水素カルシウムがあり,このうちリン酸二水素カルシウムが僅かに水溶性(溶解度1.8g/100g(30))である。リン酸カルシウム,リン酸一水素カルシウムは水に溶け難い。過リン酸石灰はリン酸二水素カルシウムと硫酸カルシウムの混合物で19世紀以降肥料として利用されてきた。過リン酸石灰はリン酸カルシウムを硫酸で分解してつくられる。

Ca3(PO4)2 2H2SO4 H2O ―→ 2CaSO4 Ca(H2PO4)2H2O 

リン酸カルシウムは水に不溶であり,脊椎動物の歯や骨の主成分である。リン酸カルシウムを施肥しても肥料としての効果はなかなか現れないが,骨粉だけはその効果が速く出るとされている。

 

◆土壌の構造

畑の土は多くの空気や水を含んでいる。即ち,土壌は固相,液相,気相の複合体である。固相は鉱物と有機物からなり,有機物は落葉が腐食して生じたもの等である。

粒径による土壌粒子の区分

名 称

粒  径

 

成  分

レ キ

2mm以上

 

鉱物学的には単一ではない

粗 砂

20.2mm

 

石英が主成分

細 砂

0.20.02mm

 

石英が主成分

シルト

0.020.002mm

 

石英の他,長石,雲母等

粘 土

0.002mm以下

 

Al2O3SiO32-塩等

肥料等を土壌中に保持する粒子はコロイド粒子で,主として粘土である。粘土は微細な層状ケイ酸塩でありモンモリロナイト,カオリナイト等がある。粘土は天然物であり複雑な物質だが,人工合成されているものもある。合成されたものは均質であり立体構造が詳しく研究されている。

モンモリロナイトの一種のスメクタイトは人工合成されており,多層構造をとり,層空間に水和水を含み,陽イオンを吸着している事が明らかになっている。合成スメクタイトはベンゼンに溶け,水には不溶である。

 

◆土壌のpH

土は水に溶けないので水溶液にならない為,土壌の酸性,塩基性は次の様に評価している。

土壌の酸性の程度は大雑把に分けて2通りの方法で求めている。土壌粒子に接している水のpH及び土壌粒子に吸着しているイオンを交換した時のpHから判断する。

土のコロイドは負に帯電しており,Ca2+H+が粘土粒子の周りや粘土粒子の層間に入って吸着している。その為土を水中に入れても,通常はH+は水中に溶け出してこず,土の周りに付着していた水溶性の物質がpHに影響を与える。これが土壌粒子に接している水のpHという事になる。このpHの測定は,土を取りそれに2.5倍の純水を加えよく混ぜ(30分振とう),濁った状態のまま液をpHメーターで測る。

 

水中の土コロイド粒子と周囲のイオン

土の粘土の表面や層間に吸着している水素イオンを水中に取り出すには塩化カリウム水溶液を使う。土をKCl水溶液や酢酸ナトリウム水溶液中に入れ,H+Ca2+K+Na+と置き換わって水中に出てくる。水中に遊離したH+を水酸化ナトリウム水溶液で滴定して水素イオン濃度を求めている。

(稲松勝子“土をはかる”日本規格協会p.60(1987)

 

農耕地における土のpHが下がる原因は次の様に考えられる。

硫酸アンモニウムや塩化カリウム等を施肥し,アンモニウムイオンやカリウムイオンが植物に吸収されると,土中に硫酸イオンや塩化物イオンが残る。陽イオンとして,カルシウムイオンやナトリウムイオンがあるうちは中性を保っているが,これらのイオンは水に溶け易く,雨等で流され,アルミニウムイオン等と置き換わると酸性に偏る。また,アンモニウムイオンは土の中で硝酸イオンに変わり酸性の原因となる。また,植物はカリウムイオンやカルシウムイオンを吸収すると,硫酸イオン等の酸性化に関わるイオンが土中に残る事になる。

 

◆土壌と金属イオン

鉄はクラーク数4番目の元素で,土中には多く存在するが,中性付近では水酸化物,酸化物として存在し,水に殆ど溶けない(pH67.5[Fe2+][Fe3+]10-15mol/L以下)。この微量の鉄を吸収する為に,植物は根からH+や有機化合物を分泌し,根の周りのpHを下げて鉄イオンを可溶化して吸収している。Fe3+の場合pHが1小さくなると,溶解量は1,000倍大きくなり,pH4.0での[Fe3+]1.1×10-6mol/Lになる。

根から分泌される有機化合物としてマロン酸,コハク酸,クエン酸,リンゴ酸等(これらをまとめて根酸と呼ぶ)があり,金属イオンと錯体を形成して吸収している。Fe3+については,オオムギではムギネ酸を分泌してFe3+とキレート化合物を作り,可溶化して吸収している。 (「根の事典」,朝倉書店,p.238(1998)

各種作物から分泌される有機酸の種類

有機酸(mgg乾燥根)

マロン酸

コハク酸

クエン酸

リンゴ酸

ソルガム(タカキビ,コウリャン)

微量

微量

0.045

0.008

キマメ(木豆,インド原産)

微量

0.025

0.101

0.047

ダイズ(大豆)

0.324

0.046

0.481

0.078

ヒヨコマメ(日本ではなじみが薄い)

微量

0.054

1.292

0.025

 

◆化学者,槌田龍太郎

1948年頃,敗戦した日本は大変な食糧難で,米の増産は国策であり,硫安(硫酸アンモニウム)は肥料として大量に用いられた。結果,農村にはレンゲソウの育たない畑があった。これは,長年硫安を使い続けていた為だった。

硫安の害は,土を酸性にする他,SO42-が根に吸収されると還元されH2Sとなり,根に影響が出ると,金属錯体を研究していた大阪大学の槌田龍太郎は考えた。彼は,SO42-を土から取り除く為に,硫化アリル(CH2=CHCH2)2Sを含むタマネギを米の裏作として農家に作ってもらい,表作の米の収量が増える事を確認し,その後イソシアン酸アリルCH2=CHCH2-N=C=Sを含むカラシナを奨励した。

環境問題より食糧増産が優先された時代に,化学的に考えて槌田は土を守る為に硫安の追放を呼びかけた。そして彼が特に働きかけていた富山県の単位面積当たりの米の生産量が1954年に日本一になった。

 

◆マングローブの林と土地の酸性

熱帯,亜熱帯の遠浅の海岸地帯にはマングローブの森林があり,地球環境の保全の面から注目されている。しかし,エビの養殖池を作る為等により,マングローブの林は開発され,減少している。その為,マングローブの植林の試みも行われている。

マングローブの果実は木についたまま発芽し,海中に落ちて成長し,マングローブが繁り出すと泥が堆積し,陸地を増やしていく。マングローブで作られた土地を切り開き,土を耕すと,土の中の通気性が高まる。その中に堆積していた硫化物が空気に触れると,酸化され硫酸が生じ,土が強酸性に変わり,植物の生育には適さない土となる。これを農地に変えるには,石灰等を施して中性付近の土にする必要がある。

(山村一郎土と微生物と肥料のはたらき”(農山漁村文化協会)p.66(1988))

 

◆主な化学肥料と天然肥料の生産量

肥料の生産量は,インターネットで調べる事ができる。例えば,農業・食品産業技術総合研究機構・果樹研究所Webページから統計資料を引用した。(http://www.fruit.affrc.go.jp/kajunoheya/fertilizers/toukei.html)から次の様な事が判る。

肥料の生産は第二次大戦以降活発になり,化学肥料の増産は戦後の食糧増産に寄与した。しかし,田龍太郎によれば,1950年代には硫安による土壌の劣化が始まっていた様である。

1970年代に入ると無機肥料の生産量が減っていき,1974年に一時的に尿素の生産量がピークに達している。丁度それと対応する様に,197410月〜19755月まで有吉佐和子の複合汚染が連載された。そこでは,化学肥料も取り上げられ,肥料に大きな関心が持たれる様になった。

1990年代に入りバブルが崩壊すると共に環境問題に対する意識の高まり,無農薬農法の広まり等が見られた。これらと関係があるのかはっきりしないが,1990年以降,肥料の生産量は漸減の傾向にある様に見受けられる。

リンとリン酸

リンは,リン酸カルシウムCa3(PO4)2を主成分とするリン灰石に多く含まれる。動物の骨や歯もリン酸カルシウムを主成分としている。リン灰石をケイ砂SiO2,コークスと混ぜて電気炉で熱すると,まず,リン酸カルシウムがケイ砂と反応して十酸化四リンP4O10をつくり,次いで,これがコークスによって還元されてリンとなる。

2Ca3(PO4)26SiO2―→6CaSiO3P4O10

P4O1010C―→4P10CO

リンは,炭素と窒素を除く殆ど全ての元素と直接化合する。特に酸素,硫黄,ハロゲンとは激しく化合する。また,黄リン(白リン)は空気中34℃で自然発火し,猛毒で皮膚に触れない様に気をつけなければならない。

4P5O2P4O102984kJ

十酸化四リンは水に溶ける時の条件によって,3種類のリン酸を生じる。メタリン酸は,オルトリン酸が3分子以上縮重合して環状になった構造をもつ。ピロリン酸(二リン酸)は,オルトリン酸2分子が縮合した構造をもっている。

P4O102H20―→4HPO3

構造式

(-PO(OH)-0-)n

メタリン酸

 

 

P4O104H20―→2H4P207

構造式

(HO)2OP-O-PO(OH)2

ピロリン酸

 

 

P4O106H20―→4H3PO4

構造式

PO(OH)3

オルトリン酸

 

 

メタリン酸水溶液を熱するか,十酸化四リンを熱水に溶かすとオルトリン酸になる。オルトリン酸は,単にリン酸ともいう。オルトリン酸を熱するとピロリン酸になり,更に熱するとメタリン酸に変わる。オルトリン酸が最も安定で,他は長く放置すると全てオルトリン酸に変わる。

純粋なリン酸は室温で固体だが,融点は42.35℃で低い。不揮発性で,酸化性も還元性もない。三価の酸でありリン酸塩は3種類得られる。

リン酸二水素塩

NaH2PO4

Ca(H2PO4)2

リン酸一水素塩

Na2HPO4 

CaHPO4

リン酸無水素塩

Na3PO4   

Ca3(PO4)2

ナトリウム,カリウム,アンモニウムのリン酸塩は水溶性だが,他の金属塩の多くは,リン酸二水素塩が水溶性で,他の塩は不溶性のものが多い。過リン酸石灰と呼ばれるリン酸肥料は,不溶性のリン灰石を硫酸と反応させ,水溶性のリン酸二水素カルシウムとしたものである。

Ca3(PO4)2H2SO4

―→

Ca(H2PO4)22CaSO4

 

 

過リン酸石灰

リン鉱石を利用した場合は次の様になる。

Ca10F2(PO4)6 7H2SO4 3H2O

―→ 3[Ca(H2PO4)2H2O] 7CaSO4 2HF

この時生じるフッ化水素は,フッ化ナトリウムとして回収されている。

3価の弱酸であるリン酸の各成分(H3PO4H2PO4-HPO42-PO43-)の分率とpHの関係,及びリン酸を水酸化ナトリウムで滴定した時の滴定曲線のグラフは次の様になる。中性付近ではリン酸二水素イオンH2PO4-とリン酸一水素イオンHPO42-の濃度が微妙に変化するのが判る。

 

 

 








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