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4節 セラミックス

 

◆ケイ素

天然には単体の状態で産出しないが,化合物として地殻中に酸素に次いで多く存在している。無定形のものは,ケイ砂をMgAlで還元しても得られる,褐色の粉末状である。結晶は,四塩化ケイ素をNaで還元すると得られ,濃暗灰色で,板状の八面体である。

SiCl4 4Na ―→ Si 4NaCl

無定形のケイ素は融点1410℃,沸点2355℃。結晶形のものの融点や沸点もほぼ同じで,硬度は7,粉砕され易く,化学作用は無定形のものに比べてやや不活性である。半導体の性質を示す。

フッ素とは室温で激しく化合し,塩素とは430℃,臭素やヨウ素とは500℃,酸素とは400℃,窒素とは1000℃で化合物をつくる。王水には徐々に酸化されて二酸化ケイ素となる。フッ化水素酸と硝酸の混合物とも反応するが,他の酸には侵されない。アルカリ溶液とは反応して水素を発生する。

Si 2NaOH H20 ―→ Na2SiO3 2H2

高純度の単体(結晶)は半導体素子として,アモルファス単体は太陽電池等に使われている。

 

◆二酸化ケイ素

無水ケイ酸とかシリカといわれ,天然には石英,水晶,玉髄,メノウ,ヒウチ石,ケイ砂,鱗ケイ石,クリストバル石等,結晶状或いは非結晶状で存在する。純粋な二酸化ケイ素は無色透明だが,不純物を含むものは不透明だったり,着色していたりする。融解したものを冷やすと石英ガラスとなる。

二酸化ケイ素は,SiO4の正四面体が結晶構造の単位となり,Oを共有して空間に広がった三次元的なネットワーク構造を持つ。その四面体の配列の仕方によって,石英,鱗ケイ石,クリストバル石等となり,配列が不規則だと石英ガラスになる。

SiO2の結晶

 

名称

無定形

クリストバル石

水晶(石英)

鱗ケイ石

オパール(水和物)

 

融点〔

1726

1713

1550

1703

1600以上

 

沸点〔℃〕

2230

2950

2950

2950

 

 

結晶系

非晶

立方,正方

六方,三方

六方,斜方

非晶

 

比重

2.20

2.32

2.65

2.26

2.12.3

 

二酸化ケイ素は水に溶け難く,アルカリや炭酸塩で融解すると,三次元的なネットワークが小さい分子やイオンとなって溶け易くなる。

SiO2 Na2CO3 ―→ Na2SiO3 CO2

また,フッ化水素HFと反応し水溶性の気体である四フッ化ケイ素SiF4となる。フッ化水素酸(フッ化水素水溶液)を用いるとヘキサフルオロケイ酸H2SiF6となる。

SiO2 4HF ―→ SiF4 2H2OSiO2 6HF ―→ H2SiF6 2H2O

 

◆ケイ酸ナトリウム

ケイ砂を水酸化ナトリウムまたは炭酸ナトリウムと高温で融解すると,ケイ酸ナトリウムとなる。この濃溶液は,無色透明だが粘稠で,乾燥するとガラス状になり,水ガラスという。人造石,ガラス,陶磁器の接着剤,耐火塗料等に用いられる。

SiO2 2NaOH ―→ Na2SiO3 H2O

SiO2 Na2CO3 ―→ Na2SiO3 CO2

ケイ酸ナトリウムは,[SiO4]の基本構造が繰り返し一列に結合し,繊維状の細長い一次元的鎖状構造のイオン[SiO32]nとなり,これにナトリウムイオンが結合したものである。

 

◆シリカゲル

吸着力の強いケイ酸のゲルで,成分はSiO2nH2Oで示される。多孔性で,吸着力は含まれる水の量による。高温にして脱水したもの程吸着力が大きい。普通,水ガラスの塩基性を酸で中和してゲル化し,それを脱水してつくる。乾燥剤・脱色剤等に広く用いられている。

 

ケイ酸塩化合物

ケイ酸塩化合物は,岩石の主成分として広く分布している。その構造はSiO4の正四面体の結合の仕方で,次の様に大別される。

(1) 次元的鎖状構造のもの SiO4の基本構造がO原子1個を共有して繰り返し1列に結合し,鎖状の細長いイオン[SiO32]nとなったもの。また,鎖2本が結合した形のものもある。これらのイオン間に種々の陽イオンが配列する。ある種のアスベストが繊維状になるのは,この様な構造をとる為である。

(2) 二次元的平面構造のもの [SiO4]構造が,平面状に結合したイオン[Si2052]nになり,これが更に種々の陽イオンを挟んで層状に結合したケイ酸塩で,雲母やカッ石等劈開性をもった鉱物等がこれに当たる。粘土もこの構造を持ち,水に濡れると粘土が滑り易くなるのはこの為である。

(3) 三次元的網目状構造のもの [SiO4]構造が,全て共有結合で,三次元網目状の巨大分子をくるとき,その組成式はSiO2となり,極めて融点の高い結晶となる。SiO2の組成をもつ二酸化ケイ素は,天然には水晶や石英として産出する。ある種のアスベストは平面構造のケイ酸塩が強く湾曲し,パイプ状となって組織をつくっている。

水晶または石英を1600℃以上に熱して融解し,これを冷やすと,一定の融点を持たない石英ガラスとなる。石英ガラスを熱すると,歪みを持った切れ易い部分から次第に切れていき,徐々に軟らかさを増す。

一般に用いられるガラスは,SiO2Na2Oが加わった成分であり,SiO2の三次元網目構造が部分的に切断され,SiO2+x2xという組成のネットワークになっている為,石英ガラスよりもはるかに低い温度で軟化する。

 

ケイ酸塩工業(窯素)

主要構成物が無機質,非金属からなり,加熱過程を経てつくられるとき,これを窯業という。また,主要原料として岩石や土壌類を用い,これらは殆どSiO2Al2O3を伴うケイ酸塩やアルミノケイ酸塩からなっているので,窯業をケイ酸塩工業ともいう。窯業製品は,不燃性,耐熱性,耐候性,耐化学薬品性,電気絶縁性等に優れ,これらの性質を生かして様々な方面で使われる。窯業はその起源を1万年前の土器まで遡れる古い工業だが,最近では人工原料を用いた新しいセラミックス類が製造される。

(1) 陶磁器  陶土という良質の粘土を水で練って形を整え,陰干しの後,窯の中で焼いてできた素焼きに上薬を塗って,もう一度焼いてつくる。陶器の素地は多孔質・吸水性であり,叩くと濁った音を出す。磁器の素地は緻密で吸水性がなく,水を通さない。叩くと澄んだ音を出す。上薬(釉薬)は,石英・長石・陶土・CaCO3等を水に混ぜ,ペースト状にしたもので,陶器や磁器の素焼きにこれを塗って1200℃で焼くと,上薬は融けてガラス状となり,美しい表面をつくると共に水を通さなくなる。

尚,土器は,不純物を含む有色の粘土を比較的低温で焼成してつくったものである。素地は多孔質で吸水性が大きい。屋根瓦,土管,植木鉢等で土器が使われている。陶器は比較的焼成温度が高く,磁器は一般に高温で焼成する。

(2) 耐火物  一般に耐火度1500℃以上の物質を耐火物という。主に溶鉱炉等の耐火れんがに使われる。用途により酸性,中性,塩基性の耐火物に分けられ,酸性ではSiO2,中性ではAl2O3,塩基性ではMgOCaOを主成分とするものが用いられている。

(3) ガラス  ケイ砂,石灰岩,炭酸ナトリウム等の粉末の混合物を高温で融解し,一定の形にして冷やしたもので,主成分はCaNaのケイ酸塩である。ガラスは水に幾らか溶ける。温度の高い時や塩基性の水溶液には長い年月の間に侵される。

窓ガラスには鉄が含まれるので,青緑色に着色している。色ガラスは金属のイオンやコロイドを着色剤として用いたものである。Co2で青色,Ni2で褐色,Cr3で緑色,Mn3で赤紫になる。またコロイドでは,CdSが黄色,Auが金赤,紫,青等,Agが黄色,Cuが銅赤となる。

代表的なガラスの組成と用途

ガラスの種類

組    成()

用 途

SiO2

CaO

Na2O

PbO

K2O

B2O3

Al2O3

MgO

Fe2O3

ソーダ石灰ガラス

6575

515

1020

0.54

0.54

02

一般ガラス器具用

鉛ガラス

5070

215

535

410

1

光学用,医療用

ホウケイ酸ガラス

6581

414

06

513

2

理化器具用

 

(4) ほうろう  ほうろうとは,金属表面にほうろう薬(ガラス質)を焼き付けたもので,金属の機械的強さとガラスの耐腐食性を兼ね備える。家庭では台所の調理台や浴槽等で,その他,耐熱部品等に用いられる。七宝焼等もほうろうに含まれる。

ほうろう薬は,ケイ石,長石,炭酸ナトリウム,硝酸ナトリウム,ホウ砂等を主成分とし,金属の耐熱温度以下で融着させる為,融点が低く,膨張係数が金属に近いものを用いる。

(5) セメント  石灰岩34と粘土1の比の混合物を細砕して混ぜ,回転炉で高温に熱し,出てくる小さい塊(クリンカー)CaSO4を少量加えて細粉にしたものである。水を加えてよく練り,放置すると結晶化して硬い固体となる。このセメントは,ポルトランドセメントといわれ,広く用いられる。その他,硬化の速さや強度等,その目的に応じて種々のセメントがつくられる。

セメントは水と反応すると,不溶性水和物ができて硬化すると考えられている。

 

炭化ケイ素

炭化ケイ素SiCはダイヤモンドの置換型構造(SiCとが隣り合っている)をとる。即ち,ダイヤモンドの炭素が1つおきにケイ素と入れ替っている構造である。電気炉内で,過剰のコークスとケイ砂との混合物を2000℃に強熱してつくる。カーボランダム(商品名)とも呼ばれ,2700℃で分解する。硬度が大きく,研磨剤や砥石に,又,高温でも不活性なので耐火物,反応容器としての用途もある。

 

 








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